米16地銀、預金5%減 ファースト・リパブリック4割減

FRBのドットプロットももはや風前の灯。

決算を発表したファーストリパブリック銀行であったが、決算説明会でもうつっこみだらけになることは確かなので銀行側はQ&Aをやらないという異例措置を取り、そして開示資料から預金流出のでかさにびっくりすることとなった。
これによって決算翌日の株価は50%安となった。

【ファーストリパブリック銀行の株価チャート】
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これらのニュースによって、再び米国政策金利の見通しは利下げ方向に偏っていき、年末の利下げ回数見通しも増加していった。

今回のこうした金融不安は米国金融当局のやらかしだというのがほぼコンセンサスになっている。
新しいニュースでも、既にこうした金利引き上げによる大規模な米国金融機関の含み損については去年の10-12月時点で電話会議で規制当局高官と電話会議をしていたというのも暴露されている。

【参考ニュース】
米規制当局、SVB破綻の数カ月前に損失巡る警告受けていた-関係者

このため、もはやFRB・米国金融当局においては一社たりとも新規でベイルインしてしまう金融機関を出されないというのが至上命題になっていることは想像に難くない。
そのため、単にファーストリパブリック銀行のような銀行に対してBTFPといったサポートという飴だけでなく、鞭も同時にこなしながらなんとか金融機関不安を軟着陸させようと努力せざるを得ない。
それが直近でファーストリパブリック銀行が1000億ドルもの資産売却をすると発表せざるを得なくなっていることにつながっている。
こうした資産売却をしている間というのは新規で融資を拡大させるわけにはいかないので、やはりこれは以前のFOMCでパウエル議長が述べたように複数回の利上げ効果があることは確実だろうと思われる。

現在次にやばいと思われている地銀はファーストリパブリック銀行なわけであるが、この銀行の資産売却は一つの試金石となるだろう。
なぜなら金融危機とはこうした投げ売り資産が現金化できなくなることによって生じるものであるからだ。
この考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

この資産現金化については「成功するかどうか」ではなく、「成功させなければいけない」必達目標であり、米国金融当局は絶対にミスすることができない指導である。
資産現金化を成功させるには、もう金融引き締めをしているどころの話ではないし、貸し剥がし対応のために利下げすることも当然の話である。
市場でも次回FOMCで経済見通しを引き下げることによって、これまでのドットプロットを撤回する可能性があるという見方も出てきている。

なので相場を見る上で「米国金融不安で景気がやばい」という見方もあるが、それと同時に「FRBは米国地銀を人質に取られる形で金融緩和を催促されている」と考えることもできるわけで、どちらの方が相場に効くのかを考えて取り組むべきだろう。

なお個人的には「FRBは米国地銀を人質に取られる形で金融緩和を催促されている」という形で株式相場にプラスで効く形で動くと考えている。

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