自分が言っていることを振り返ったら普通にやばいと思わないものなのか?

ここもとツイッターを見ていると、2021年後半に見られていたレバナスでFIRE!種銭が少なければレバレッジをかければいいじゃない!といった非常に安直な買いが横行していた時代から、2023年は「世界景気はもうお先真っ暗!株価は暴落必死!こんなとこで株買うやつは馬鹿」というつぶやきがかつてないレベルで増加しているように感じている。
しかし、実際は2023年はひたすら株価が上昇していてまさに総悲観は買いを体言しているかのような動きをしている。

【S&P500のチャート】
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そうした中で、色々見ていた空売りで捕まっている人達のつぶやきの中で最も常軌を逸しているなと感じたのは、「なかなか株価下がりませんね。早く世界景気が崩落して株価が暴落してくれると嬉しいのですが」とつぶやいているのを見た時であった。
これが如何に常軌を逸した考え方なのかを書いていきたい。

個人的には買いで捕まってしまった時に、状況が好転して株価が上昇することを祈るのは心情的には理解できる。
なぜならそもそも株は投資をしてその分け前をもらうものというのが前提かつ歴史であり、自分が買ったものが上がってほしいと願うのは自然だとさえ思えるし、長い時間かければ塩漬けとなっていた銘柄の株価が上昇して素晴らしいパフォーマンスを出す可能性さえある。
そもそも株自体が最初は企業を大きくするための仕組み、そしてそれが広く普及するにつれ経済を大きくさせるためのツールとして発展してきたわけなので、株の基本は買いなのである。
なので、個人的には買いで捕まってしまってひどい損失を追ってしまったのは、どんなにクソ銘柄をすっ高値でつかんでいたとしても、多少の同情余地がある。

一方で空売りの方は捕まってしまった時というのは買いに対するヘッジでない限りすぐに撤収するのが基本だ。
空売りというのは買っている人が愚かであり、判断が間違っているし、買っている人達の夢を粉々に砕くことを前提としていることは、きちんと言語化すればわかる話だろう。
空売りして株価が上昇して捕まっているということは、買っている人達が「え、そんな安く売ってくれるんですか!?ありがとうございます!!」と喜んでその空売りポジションを飲み込んで夢を追い続けている状態であり、
個別銘柄ならまだしも、株価指数などのインデックスベースで空売りするのは、世界中で株を買っている人達は馬鹿・政府も金融当局も対応を間違えている・世界景気はこれからどん底に行くこと間違いなしということを前提にポジションを構築しているわけである。

そこで捕まってしまったということは、そもそも「世界中で株を買っている人達は馬鹿・政府も金融当局も対応を間違えている・世界景気はこれからどん底に行くこと間違いなし」と思っているあなたが間違っていて、ひとりよがりの妄想に囚われている馬鹿ですということを意味している。
そして売りと違って、買いというのは機関投資家も個人投資家もいきなり全額ぶっ放してポジションを構築するのではなく、順々にポジションを構築していくので息が長くなりがちである。
ということは一度捕まった時は、捕まっている期間は買いのケースで捕まっている時間よりも長くなる可能性があるわけである。
なので、きちんとポジション管理ができる人・上手い人は売りポジションを平気で全部切ったり、場合によってはド転で買いポジションを構築したりするのである。
それぐらい売りというのは立ち回りにかなり気を遣う必要性があるし、その判断変化の速度はかなり早く行う必要性がある。

しかし、直近で空売りで捕まっている人達のツイッターのつぶやきを見ていると、その反応はあまりにもひどい。
大体は売り指導をしている人の助言に従ってベアETFやベア投信を買うことによってポジション構築しているわけだが、「どうすればいいですか」とアドバイスを求める時点で、自分は一体何を基準に売りポジションを構築したのか理解していない。
しまいには先ほど常軌を逸していると言及した「早く世界景気が崩落して株が下落してくれると嬉しいですね」とつぶやいてしまっている始末である。
普通に考えるとプライベートで「世界景気が崩落して株が下落すると嬉しい」なんていう人が自分の目の前にいたらどう思うだろうか?
この人はそんな人の不幸を望んでいるのかとゾッとせざるを得ないぐらいは常識で考えればわかる話である。
しかも、それに対して相場が逆に行った時に「これは相場がおかしい!株価は暴落してしかるべき!」なんていうのは、第三者から見れば正気ではない。
そんなにまでして、世界中の人が不幸になってほしいなんて、その考え方自体が正直きつい。
あとはそう思う人が増えれば増える程、政府・金融当局・企業はそれに対抗するための努力策を出してきて、どうにか状況を改善しようと動き出し、それが株価上昇ドライブになる。
その考え方についてはぜひとも下記過去参考記事を読んでみてもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか

というわけで売りで捕まっている時に「どうか世界景気が崩壊して株価が下落してください」って思った時点で、もう売っている側の負けなのでそんな人の不幸を願う不謹慎な祈りをせずに、すっぱりポジションを切るべきだろうと思う。

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