US could buy back oil for strategic reserve late this year

今年後半買い入れなら、もう相場には影響が出始めていいような気も。

上記ニュースでは、これまでロシアのウクライナ侵攻以降に原油価格の上値を抑制するために米国が必死に戦略的石油備蓄(SPR)を市場に放出していたわけだが、放出した分はどこかのタイミングで買い戻さなければいけないよねということで、市場参加者はまだかまだかと待っていたわけであるが、ようやく今年の後半には買い戻しをしたいといった示唆が米国政府高官からなされた。

去年時点ではこの戦略備蓄放出は2022年9月までとしていたが、ロシアが減産をぶつけてきたことからエクストラ的にさらなる戦略備蓄放出を2月に行ったこと・そこからSVB破綻などの金融不安が出て景気先行きの不安や、先物を活用するための資金が引いたことから原油価格はもう一押し下に行く展開となった。

【参考ニュース記事】
米原油備蓄の放出、先物上値抑える ロシア減産を相殺


【WTI原油価格のチャート】
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加えて、今年は運よく欧州が暖冬で、ガスについては使用量節約効果もあり、予想よりはエネルギー需給はひっ迫しなかったということもあり、ロシアのウクライナ侵攻ピークからだけを見ると原油価格は相当程度下落してきたと見ることができる。

とはいえ、原油価格はようやく3年移動平均線上ということで、過去3年平均程度の価格に落ち着いたにすぎず、エネルギー開発会社にとってはまあ60ドル割らなければどうということではないという話は続くだろうと個人的には考えている。

現在米国政府は原油を68-72ドル/バレルで買い戻したいと言っているわけなので、ちょうど上記でいう3年移動平均線付近が価格フロアとして機能する形になるだろう。
それに直近になって欧州が2035年に新しく販売する車両について内燃機関は禁止としようとしていた案は結局廃案になって先送りになり、先行き原油需要については予想よりも減少幅は少ないだろうということもなんとなく見えてきた。

【参考ニュース】
EU、エンジン車の販売2035年以降も容認へ 全面禁止の方針転換

そしてエネルギー開発投資の増え方は緩やかであることはEIAのデータを確認したり、各メジャーエネルギー開発投資会社の決算を確認しても概ね確認できている。

こうした需要はこれまで何とか抑えてきて、さらに先行き景気不安で上値はそこまでというところな一方でSPRの補充見通しが出てきて、供給側は引き続き開発投資は抑制されていることを考えれば、本当に金融ショック的なものが来なければ、少なくとも原油価格が下がる方向という話にはならないだろうと思っている。

エネルギーセクターサイクルは基本的に長いわけで、まだ2020年ボトムから3年しか経っていないので、エネルギーセクターの投資寿命が終わったとは個人的には思っていない。
現在の世の中が全体としてデフレではなくインフレにレジームチェンジしている話ともつながっているので、この辺の見方を知りたい方は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?


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