UBS、クレディ・スイスを買収 4200億円で合意 金融機関

最初から最後まで絶対に当局はこのディールを合意させるという気迫があった。

土曜日の時点でブログに書いていた内容の通り、金曜日夜から話が進んでいたUBSのクレディスイス救済合併について上記の通り合意に至った。

【過去参考記事】

欧米圧力でUBSはクレディスイスを買収させられる可能性大


土曜日夜から日曜日昼ぐらいの時点で、ヘッドラインを見ているとまさに救済合併の実況中継のように話は進んでいった。
そして日本時間夕方時点でUBSがクレディスイスに対して一株当たり0.25CHF(金曜日の引け値1.8ぐらい)と大幅ディスカウント買収で進むという話が出てきた。
これに対して、クレディスイスは買収金額が低すぎるということで一旦難色を示したが、これが出た段階でいきなりスイス当局が国有化する可能性についても言及してきた。
もしこのまま破断ならもう国有化待ったなしというバックストップ的な話と、国有化したら株主は全損だからなという脅迫込みという絶対にこのディールはまとめ上げるという気迫を見せた。
しかも、ニュースヘッドラインは常にスイス当局だけでなく、脇から米国・英国金融当局も入っているということで、スイス当局は死ぬ気でこのディールを東京時間始まる前にまとめあげなければと必死になっていた。
結局自分が寝るまでの間はここまでのヘッドラインだったが、起きてニュースヘッドラインを確認すると、UBSの買収金額は最終的には30億CHF(最初の3倍程度)の金額で妥結ということになった。
最初の3倍の金額だが、それでも金曜日終値時点から考えると株主は大半を損失させられることに変わりはなく、さらに既存株主の権利はく奪的な法律変更をして捻じ曲げてでもこのディールは絶対に最後まで持っていくという気迫を見せた。
UBSに対しては、買収した資産について追加損失が起きた場合には90億CHFまでスイス当局が補填する約束も取り付け、さらに流動性も1000億CHFおかわりと、もう破談は絶対に避けるという覚悟みたいなディールとなった。
これにてクレディスイスは欧米圧力の下、スイス当局が自腹を切ってまでUBSに救済買収させてこの騒動を終わらせるという帰結となった。

さらにこの措置を受けてなのか、日米欧の中銀が併せてドル供給拡大を行うことを発表した。

【参考ページ】
日米欧の6中銀、ドル供給強化で協調 金融不安に対応

この協調的なドル供給というのも週末におそらくは内々で会議が持たれていたものであろう。
なぜ4月までかというと、おそらく3/22のFOMCで記念的な25bps利上げはすることが要因だろう。
そして4月以降は利上げはなしということで、このドル供給拡大とバトンタッチする形で流動性絞り込みの停止をしていくのだと思う。

つまり、このクレディスイスの救済合併話は実質的にこれまで予想されていた5月以降のFOMCでの利上げを粉々に砕く事件となった。
あとはこれによって米国金利の天井が決まれば、金利上昇による債券損失が主な震源地となっている米国地銀問題についても解決目途が見えてくるものと思われる。
まだ、相場を考える上では金融当局は絶対に金融システミックリスクは起こさせないという覚悟が強いことも考慮しておく必要性があるだろう。

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