UBSがクレディ・スイス全体または一部買収で協議中-FT紙
ザ・ダブルスタンダード。
昨日は未だクレディスイスが不安定な動きをしている中で、米国時間が引けた後になんとUBSがクレディスイスの買収協議中というニュースが上記の通り出てきた。
このニュースの背景は政治的圧力など様々な純粋なM&Aとは違った要素を含んでいるため、自分でもきちんと何が起こっているかを書きなが現在考えている。
まず記事の中の登場人物はUBSというより、スイス中央銀行とスイスの金融当局である。
当局はこの買収については、「プランA」つまり買収することを前提として話を進めているということである。
英語版記事の中では、さらに関係者は日曜日夕方(要は東京時間始まる前)までに何かしらの結論を出すという方向で動いているとのことである。
記事からわかる通り、これはスイス金融当局主導で動いている案件である。
スイス金融当局がUBSについてクレディスイスを救済買収せえやと圧力をかけているのである。
そして、これはスイス金融当局が自主的に行っているものではなく、欧米(米国と英国が中心)に外部からなんでもいいから救済しろよ、絶対ベイルイン(金融機関の破綻認定)なんてすんなよと圧力をかけているのである。
【過去参考記事】
事業会社と金融機関で大きく異なる「破綻」の意味合い
個人的にこの買収について、UBSがノーアンサーという選択肢はまず取れないだろうと思っている。
UBSはウェルスマネジメントを事業の核としており、その中でも欧米での営業力は他の欧米メガバンクに引けをとらない一大勢力である。
もしUBSがクレディスイスの買収についてノーアンサーを出した場合には、米国・英国はスイスの金融当局とUBSに多大な圧力をさらに加える方向に動くことになるだろう。
米国・英国がなぜこうした圧力を加えるかというと、クレディスイスの社債を持っている人が多いし、クレディスイスと何かしら取引している人は非常に多いわけで、米国も自分のところの地銀が燃えている中でクレディスイスでベイルイントリガーなんて引かれた日にはたまったもんじゃないと必死になっているわけである。
こうした圧力をスイス当局はかわすことは不可能だろう。
スイスはGDPの大きな割合を占める金融業に圧力が加わるだけで、国の経済が危うくなりかねない。
ここらへんは人口規模・地政学の重要性がない国の悲しいところで、スイス当局にはクレディスイスを救済する以外は実質的に選択肢はないと言ってもいい状態である。
これが米国の場合は、諸外国からの圧力なんて米国は「うるせえ!」の一言で一蹴して自分のやりたいような処置を行うわけで、スイスに対してはベイルインなんてせずに救済せえよとダブルスタンダード極まっている話であるが、とにもかくにもUBSが日曜日夕方にどのような答えを出すかが来週以降の相場を実質的に決めるものになりそうである。
おそらくスイス当局・UBS・クレディスイスの担当者は徹夜でどうディールをまとめるべきなのか相談中だろう。
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
ザ・ダブルスタンダード。
昨日は未だクレディスイスが不安定な動きをしている中で、米国時間が引けた後になんとUBSがクレディスイスの買収協議中というニュースが上記の通り出てきた。
このニュースの背景は政治的圧力など様々な純粋なM&Aとは違った要素を含んでいるため、自分でもきちんと何が起こっているかを書きなが現在考えている。
まず記事の中の登場人物はUBSというより、スイス中央銀行とスイスの金融当局である。
当局はこの買収については、「プランA」つまり買収することを前提として話を進めているということである。
英語版記事の中では、さらに関係者は日曜日夕方(要は東京時間始まる前)までに何かしらの結論を出すという方向で動いているとのことである。
記事からわかる通り、これはスイス金融当局主導で動いている案件である。
スイス金融当局がUBSについてクレディスイスを救済買収せえやと圧力をかけているのである。
そして、これはスイス金融当局が自主的に行っているものではなく、欧米(米国と英国が中心)に外部からなんでもいいから救済しろよ、絶対ベイルイン(金融機関の破綻認定)なんてすんなよと圧力をかけているのである。
【過去参考記事】
事業会社と金融機関で大きく異なる「破綻」の意味合い
個人的にこの買収について、UBSがノーアンサーという選択肢はまず取れないだろうと思っている。
UBSはウェルスマネジメントを事業の核としており、その中でも欧米での営業力は他の欧米メガバンクに引けをとらない一大勢力である。
もしUBSがクレディスイスの買収についてノーアンサーを出した場合には、米国・英国はスイスの金融当局とUBSに多大な圧力をさらに加える方向に動くことになるだろう。
米国・英国がなぜこうした圧力を加えるかというと、クレディスイスの社債を持っている人が多いし、クレディスイスと何かしら取引している人は非常に多いわけで、米国も自分のところの地銀が燃えている中でクレディスイスでベイルイントリガーなんて引かれた日にはたまったもんじゃないと必死になっているわけである。
こうした圧力をスイス当局はかわすことは不可能だろう。
スイスはGDPの大きな割合を占める金融業に圧力が加わるだけで、国の経済が危うくなりかねない。
ここらへんは人口規模・地政学の重要性がない国の悲しいところで、スイス当局にはクレディスイスを救済する以外は実質的に選択肢はないと言ってもいい状態である。
これが米国の場合は、諸外国からの圧力なんて米国は「うるせえ!」の一言で一蹴して自分のやりたいような処置を行うわけで、スイスに対してはベイルインなんてせずに救済せえよとダブルスタンダード極まっている話であるが、とにもかくにもUBSが日曜日夕方にどのような答えを出すかが来週以降の相場を実質的に決めるものになりそうである。
おそらくスイス当局・UBS・クレディスイスの担当者は徹夜でどうディールをまとめるべきなのか相談中だろう。
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