三井住友銀行「長期金利1%で国債に魅力」

日経新聞を見ていたら三井住友銀行の市場部門(ようは銀行自己勘定プロップ部門)の役員が、今後の相場方向について考えていることについてのインタビューが書かれていて、わけのわからないプレーヤーよりよっぽど巨額金額を扱っていて真面目に相場に取り組んでいるわけで、いくつか今後の相場を考える上で非常に示唆に富んでいたので、先行き考察を考えていきたいと思った。
なお、量が多いので今日明日と2分割での内容になる。

①日本の政策金利上限は過度なインフレがなければあっても0.5%
コメントの中では日本の政策金利は仮に引き上げられるとしても、せいぜい0.5%というのがベースシナリオのようだ。
理由としては、せっかく賃金上昇の機運が高まっているところに冷や水をぶっかけるようなことをして再デフレに陥ることを日銀も政権も非常に慎重になっているからであるという至極真っ当な考え方をしている。
0.5%になると住宅ローンの変動金利の計算の時に用いられている短期プライムレートは、過去日本の政策金利が0.5%の時は1.875%であった。
現在が1.475%なので、上がっても0.3%程度であることがわかる。
そうなると住宅ローンの変動金利は現在0.4%程度が主流だが、それがせいぜい0.7%になるぐらいであることがわかる。
その程度の上昇であれば、基本的に住宅ローンを組んでいる人に致命的な金利上昇ではないだろう。
(そんなんで破産するやつはそもそも組み方が無謀すぎて遅かれ早かれ破産する)

ただし、このベースシナリオについてはあくまで欧米型インフレにならないという前提であることを前提であり、いつまでもインフレ率が3~4%みたいな数値が続く場合はこの限りではないという条件付きである。
今のところコアインフレ率については1.7%と2%を下回っているので、エネルギー・食料インフレが落ち着くと3~4%というインフレ率からは低下していく可能性はかなり高いので、今のところはあくまでリスクシナリオというサブシナリオ的な考え方でよいのではないかと個人的には思う。

②現状の日本国債はやや売り持ちだが、10年1%に近づくにつれロングを増やしたい
ここまでは日本国債についてはロングポジションに対して同様なショートポジションも保有していたために、日銀のサプライズYCC修正ではほとんど影響を受けてこなかったようだ。
YCCの修正あるいは撤廃は新植田日銀総裁下では、まず間違いなく起こるイベントだと考えているようだが、そこが実質的には買い場になるのではないかという目線を持っている。
特に10年債1%で買いたいという目線は持って当然だろうというコメントだ。
ただ、実際はそこに目線を定めているプレーヤーが多いことも承知の上だろう。
そういったこともあり、実際の運用ではもう少し手前でみんな飛び込んでくるのではないだろうかという目線を持っているようだ。
20年については2%と言っているが、銀行の主戦場は10年ゾーンであり、20年というのは生保プレーヤーが主戦場の世界なので、20年2%というのはかなりてきとーに話している感じが否めないことには注意が必要だ。

まだ示唆される内容があるので、明日のブログ記事に続く。

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