高配当株に資金流入 指数が最高値更新

やはり今年の日本株は高配当利回り株のターン。

ここもと日本株では高配当利回り株が強い。
単に日経平均やTOPIXより強いというだけでなく、絶対値ベースで今年のパフォーマンスが良い。
なぜこのような現象が発生しているのかをきちんと書いていきたいと今回は思う。
なお、今回述べる部分は一部は前回ブログで既に書いた要因が含まれているので、前回書いた要因については記述は省略させていただくので、興味ある方は下記過去記事を確認してもらいたい。

【過去参考記事】

今年の日本株は低PER・高配当利回りが正義か


一つは新NISAのスタートを来年に控えていることである。
一般的にはNISAでは高齢者が高配当利回り株を買う傾向が強く、日本株では特にその傾向が強くなることはほぼ明白だろう。
特に新年度は最初の枠あまりが非常に大きくなるので、高配当利回り株が買われる可能性はかなり高い。
そこで、既に市場では先回りして先に取っちゃえという動きが加速しているわけである。
特にグロース株の業績が伸びない中で、こうした高配当利回りなどバリュー系銘柄も業績は伸びていないが、一方でそこまで下がりもしていないという現状はグロースを諦めて上記のような理由でバリューに資金をシフトさせるインセンティブがあることも要因として大きい。

もう一つは外国人の動向にある。
なぜ外国人が日本の高配当利回り銘柄買いをするインセンティブがあるのかというのを書いていきたい。
一般的に米ドルを保有する外国人投資家が日本株を買う際には、現地通貨ベースで引き直したらどうなるのかというのを考える。
つまり日本株を買うには日本円が必要なわけだが、それをあらためてドルヘッジしたらどうなるんだというのを考える。
現在米ドルを保有している投資家が日本円売りドル買いによるヘッジを行うと5%の金利差をもらえる。
そして日本の高配当利回り株指数の利回りは4.5%とかあるわけである。
足し算すれば5+4.5=9.5%という利回りがもらえるわけである。
これは高利回りもいいところであり、米国の高配当利回り株対比で非常に有利である。
なぜならSPYDなどが参照している米国高配当利回り株の配当利回りは4.5%であり、日本株の方に実は軍配がある。
外国人から見たら、同じEPS横ばいで変わらないなら、米国高配当利回り株買うより日本株高配当利回り株を買う方がずっといいよねということで、直近SPYD(米国高配当ETF)と1577(日本高配当株ETF)を比べると、1577の方がしっかり伸びているのがわかる。

【SPYDのチャート】
タイトルなし

【1577のチャート】
タイトルなし


これらを理由に日経平均やTOPIXが上昇しない中、日本高配当利回り株が上昇するには「しっかりした理由がある」というのを意識したい。
しかし、この日本株高配当利回り銘柄戦略というのは永続的なものではないということに注意したい。
具体的にこの戦略はいつまでが賞味期限かというと、おそらくは米国が利下げに転じるタイミング~新NISAが始まってしばらくぐらいまでではないかと考える。
一つは日本と米国の金利差が少なくなると、外国人投資家にとって実質的にもらえる配当利回りが減少するために、わざわざ日本の高配当利回り株を買うインセンティブが減少する。
そして新NISAが始まったら最も行動の遅い人達がこの市場になだれ込んで来るので、そこに順繰りにすっ高値でパスするという現象が発生することは想像に難くない。

なので、来年のどこかのタイミングですっ高値になった日本高配当利回り株はスパッと利益確定するのが良いのではないかと思う。

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