米CPI発表後にビットコインが上昇した理由──米国債利回り上昇にもかかわらず

一番金融資産の端っこにいる市場が堅調であれば、根本にいる資産も大丈夫だろう。

週末にやや相場は荒れたが、最悪期と比べるとかなり相場は堅調推移しているという中で、ビットコインをはじめ仮想通貨の価格は回復基調で推移している。

【ビットコインのチャート】
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これについては、ただの泡沫Youtuberのように単にナスダック100とビットコインについて相関関係があるというだけでは芸がないので、金融の仕組みから仮想通貨と伝統的資産の間の関係について考えていきながら、何を意味しているのか考えたい。

一般的に伝統的資産の中心は債券にあり、最も古い歴史を持っていて、かつ全ての資産の根本にいるというのは下記過去参考記事を読んでもらえればわかると思う。

【過去参考記事】
債券金利をテクニカル分析だけで判断することにはほとんど意味がない理由

この債券の上に乗っかる形で存在する伝統的リスク資産というのが株・REITなど不動産が挙げられていく。
この債券の上に乗っかっている株・REITといったキャピタル系のリスク資産というのは、根本にある債券がぐらついていると株・REITなどの資産に投じられている資金のファンディングに問題が生じ、強制的な売却に迫られるためにリスク資産価格が下落していくというのが一般的な見方である。
個人的には仮想通貨はこうした伝統的キャピタルゲイン系資産のさらに周辺部にいる、言ってみれば金融資産ではもっとも端っこにいる資産ではないかと考えている。
仮想通貨についてはものにもよるが、代表的なビットコインは先物市場が出来上がっているなど、一定程度の市民権を得ており、金融資産として一つのカテゴリとして成立しているのが現状である。
金融資産の中心に債券があり、そこからあふれ出る余剰資金が株に流れ、最後の最後に仮想通貨に流れるという構図であり、逆に資金が引き上げられる時はその逆の流れというイメージである。
ちなみに金融資産の中心部にいる債券から離れれば離れるほど、一般的には価値があいまいになるので、テクニカル分析が効きやすいという話もある。

つまり、仮想通貨が上昇するときというのは債券・株と伝統的資産に十分に資金が行き渡り、そこからしみでてきた資金が流れ込んでいる時ということになる。
2021年以降では世界各国で激しい金融引き締めが生じたことから一気に市場から資金が吸われたために、一番金融資産の中で端っこにいて、かつFTXなど馬鹿みたいにレバレッジをかけていたプレーヤーがぼこぼこデフォルトしていったことによって強制的なレバレッジ解消に伴う投げ売りで最悪なレベルにまで価格下落したが、FTX破綻でもうデフォルトすべきプレーヤーが全員一掃されたことから投げ売りが止まったというのがここまでの流れである。

足元の仮想通貨はビットコインやイーサリアムを見ると、FTX破綻で最悪な位置まで下落した後、足元でぴょこっと上昇し、木曜日に米国PPIが予想以上に高かったということもあり高インフレ長期化かといった形の懸念で債券が揺れたことから下落した分や金曜日深夜から日曜日にかけて結局下げた分をほぼ消す動きとなっている。
つまり、一番端っこにいる仮想通貨が揺れていないわけで、そうなると債券・株は根本のところは揺れていないということを意味しており、足元の相場に挑む際はあまり下の価格目線で挑むのは割に合わない、逆にまだ上目線で挑んでいった方が得策なように思う。

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