World’s biggest container shipping lines MSC and Maersk end alliance

業界大手が油断したところが大体ピーク。

海運はリーマンショック以降は2020年までと約12年間地獄を味わってきた。
その原因は世界の実質GDP成長率の2倍貿易量は増えるという前提にたった2011年頃までの船舶の発注にある。
実際はリーマン後は世界の貿易金額は久しく伸びなかったことからこの目論見は完全に外れてしまった。
しかし、船舶は発注してから数年して市場に出てくるため、ひたすらコンテナ市況やバルチック海運指数は悪化を続けたことから、海運業界ほぼ全社が赤字といった地獄絵図が2013年頃から本格化して、コロナバブルまで続くことになった。

ではコロナバブルの時になぜあれだけ各海運市況が上昇したかというと、もう2012年頃から海運各社は投資意欲が萎えてしまったことから、その付近からパタっと投資をやめてしまった。
その後も度重なる減損で、船をスクラップしたり、他社とアライアンスを組んで共同運航することによってキャパシティを減らすことに心血を注いでいった。
そして徐々に米国もリーマンショックから立ち直っていった中で、気づいたら国内の生産能力が長年のデフレで停滞していた中で、コロナバブルのペントアップデマンドもあり国内供給だけでは米国のモノ需要を満たせなくなったために、海外から輸入する金額が一気に増えた。
ようはここにきてようやく世界の貿易量が急拡大した一方で、運航キャパシティ投資は全然拡大してこなかったことから、いきなり需給が急速タイトしたことにより、海運運賃は急速上昇した。
これが海運株を急速に押し上げた原動力となった。
これは海運市況だけでなく、その他モノ需給がひっ迫して、オールド銘柄やバリュー銘柄が好調推移していることにも起因しているので、そこらへんは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

上記FT記事にあるコンテナ船最大手のマースクと中国系MSCのアライアンスも、古いコンテナ船をスクラップしていくために共同運航アライアンスを組んで対応していた名残なわけである。
しかし、このアライアンスの期限が2025年なのだが、これを更新しないとしている。
これが意味することはもはやアライアンスを組んで、余剰スペース削減のために古い船をスクラップする必要性がないと判断したわけである。

これが意味することは純粋に将来的な運搬キャパシティの増加を意味するわけで、コンテナ市況の盛り上がりはさすがに今がピークというのを印象づけるものになったと思う。
少なくとも海運株の上昇速度は相当程度落ちることになるわけであり、ここから日本の海運三社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)を手掛けるのはあまりうまくいくイメージがわかない。

【マースクの株価チャート】
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