楽天G、携帯事業継続へ覚悟の「12%」社債

なんで美談のように書いているの?

楽天については以前のブログ記事で、ドル建て社債2年を12%という格付けでいうとB格の下の方のクラスのコストを払って社債を発行したことについて、原因は楽天モバイルの底なし赤字と改善見込みなしという状態で窮地に陥りつつあるという話を書いた。

【過去参考記事】

段々と窮地に立つ楽天とその原因になっているモバイル事業の現状

上記日経新聞記事では楽天の覚悟だとか調達の多様化だとか書いていて、まるでこの社債発行が美談のように書かれているが、個人的には単にデットIRが下手くそなだけだという感想しか出てこない。

こういう負債調達はいわゆる 財務部やトレジャリー部門の仕事である。
そしてこの負債調達部門が考えることはいかに低コストで負債を調達するかである。
銀行から借りるのであれば銀行と交渉していかに安い金利で借りるかで、これはクローズドな世界であるわけだが、直接市場で社債という形でお金を借りようとすると誰しもが借りているレートを見れるオープンワールドの世界なので、単に安い金利で金を借りるというだけでなく、どれだけ市場にインパクトを与えずに社債を発行するかというのが至上命題になる。
ここでいう市場にインパクトを与えずにというのは、過去に発行したことがある既発債の価格が下がらないように発行するということである。
なぜ市場にインパクトを与えずに社債を発行しなければいけないかというと、無理やり新規で社債を発行して既発債価格を下げてしまうと、社債市場の投資家はほとんどが機関投資家であるため、保有している機関投資家のポートフォリオが傷んでしまう。

一度そういった裏切りに合うと、当面は新規での社債投資を行うのは控えようと思われてしまうし、場合によっては投げ売られてしまう。
そうなると次回社債を発行しようと思った時は、十分な玉が集まらない・さらに高いプレミアムを要求されるといったサステナブルなデット調達を続けられなくなってしまう。

そう考えると今回の楽天の2年ドル債12%700億円発行は最悪のやり方であった。
既発のドル債価格の下落も招いた上に、円債の方もどうやら荒れているようで、多くの機関投資家のポートフォリオを痛めてしまった。
円債で新しく借りるのでもおそらくこれほど荒れなかったし、一部フォロワーからは個人向け社債を出せばもっと安定的に大きなロットで金を借りれたのではないかという人もいたし、個人的には同感である。
もちろん一番手っ取り早く金を借りれるのはドル債という事情はあるものの、そうなるとそこまで資金繰りせっぱつまっているの?と想起させることも負債調達としては最悪であった。

個人的には楽天のIRは以前に楽天IR部門の人が書いた楽天IR戦記を読んで、かなり丁寧に投資家と対話しながらやっているイメージがあったが、どうやらもうそのような人材はいないのではないかと不安になる。

【参考書籍】

楽天IR戦記 「株を買ってもらえる会社」のつくり方
 
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