ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
異例な利上げ幅は縮小させる見込み。
注目されていたECBであるが、まず発表直後に出てくる声明文の時点で今後複数回の利上げと書いてあった文言が消えて、金融緩和政策の撤回に向けて大きな前進を遂げたという中立金利下限程度に到達したと表明する内容となった。
QTに触れることもなく、APPとPEPP再投資維持も表明され、声明文の時点で前回と比べてかなりハト派的な見方がこの時点で市場参加者の間で浸透し始めていた。
(ただし政策金利を引き上げきると、再度QTの話は持ち上がるかも)
今週半ばにあったカナダ中銀が利上げ幅を想定外に減速させてきたこともあり、この時点でECBの今後の利上げ幅の減速が見込まれていた。
記者会見でも景気後退リスクについての言及が重なっており、ハト派と見られないよう頑張ってた感はあるものの、前回のような強気感は消えたように見えた。
【ECB記者会見動画】
https://www.youtube.com/watch?v=5XYCEfjoFkU
総合的に見れば目先のインフレは引き続き高いが、明らかな景気減速も出てきている上に、英国債・英ポンドのドタバタ騒ぎやクレディスイスの問題など先進国で金融システミックリスクが出ていることを考慮すると、これまで異例であった50bps以上の本来は複数回の金融政策決定会合で行われる利上げを一回の金融政策決定会合で行うことの正当性が薄れ、危険性が高くなりつつあるとみんな考え始めているということになる。
ただ、普通先進国の中央銀行は利上げ幅を縮小させるにしても伝統を重んじて25bpsずつペースを落とすわけになるので、ECBは今回75bpsだったが、次回は50bpsにして、その次は25bpsでその後はデータ次第でちょろちょろ25bps利上げするのかしないのかという話になってくる。
今ECBの政策金利が1.5%なのでとりあえず決まっているパスは次回50bps・その次は25bpsなので2.25%、その後は25bps利上げするかどうかよっくわかんねーなみたいな感じの予想に市場参加者の見方は変化した。
そのため年末に向かってECBは政策金利3%というそんなことしたらイタリアが死んでまうみたいな無茶苦茶な利上げはとりあえずなくなったと見えそうだ。
とはいえ、引き続き高いインフレ率であることは間違いなく、ピーク越えたらすぐに利下げーっていう感じではなく、2.25%というこれまでのデフレ時代との比較ではかなり高い金利水準が続くという見込みになると思う。
【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?
日本の機関投資家が大好きなフランス国債10年あたりが大体EUの無リスク債券の代表例として見られることを考えると、フランス国債10年2.5%より上に行く確率はとりあえず消えたとみてよさそうな気はする。
村越誠の投資の小ネタページはこちら
異例な利上げ幅は縮小させる見込み。
注目されていたECBであるが、まず発表直後に出てくる声明文の時点で今後複数回の利上げと書いてあった文言が消えて、金融緩和政策の撤回に向けて大きな前進を遂げたという中立金利下限程度に到達したと表明する内容となった。
QTに触れることもなく、APPとPEPP再投資維持も表明され、声明文の時点で前回と比べてかなりハト派的な見方がこの時点で市場参加者の間で浸透し始めていた。
(ただし政策金利を引き上げきると、再度QTの話は持ち上がるかも)
今週半ばにあったカナダ中銀が利上げ幅を想定外に減速させてきたこともあり、この時点でECBの今後の利上げ幅の減速が見込まれていた。
記者会見でも景気後退リスクについての言及が重なっており、ハト派と見られないよう頑張ってた感はあるものの、前回のような強気感は消えたように見えた。
【ECB記者会見動画】
https://www.youtube.com/watch?v=5XYCEfjoFkU
総合的に見れば目先のインフレは引き続き高いが、明らかな景気減速も出てきている上に、英国債・英ポンドのドタバタ騒ぎやクレディスイスの問題など先進国で金融システミックリスクが出ていることを考慮すると、これまで異例であった50bps以上の本来は複数回の金融政策決定会合で行われる利上げを一回の金融政策決定会合で行うことの正当性が薄れ、危険性が高くなりつつあるとみんな考え始めているということになる。
ただ、普通先進国の中央銀行は利上げ幅を縮小させるにしても伝統を重んじて25bpsずつペースを落とすわけになるので、ECBは今回75bpsだったが、次回は50bpsにして、その次は25bpsでその後はデータ次第でちょろちょろ25bps利上げするのかしないのかという話になってくる。
今ECBの政策金利が1.5%なのでとりあえず決まっているパスは次回50bps・その次は25bpsなので2.25%、その後は25bps利上げするかどうかよっくわかんねーなみたいな感じの予想に市場参加者の見方は変化した。
そのため年末に向かってECBは政策金利3%というそんなことしたらイタリアが死んでまうみたいな無茶苦茶な利上げはとりあえずなくなったと見えそうだ。
とはいえ、引き続き高いインフレ率であることは間違いなく、ピーク越えたらすぐに利下げーっていう感じではなく、2.25%というこれまでのデフレ時代との比較ではかなり高い金利水準が続くという見込みになると思う。
【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?
日本の機関投資家が大好きなフランス国債10年あたりが大体EUの無リスク債券の代表例として見られることを考えると、フランス国債10年2.5%より上に行く確率はとりあえず消えたとみてよさそうな気はする。
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