石油の呪い――国家の発展経路はいかに決定される

今回は上記書籍を読んで考えたことのまとめ記事です。

ようやく相場も落ち着きつつあるということで、相場を追う以外に勉強する時間が再開できつつあるということで、今回は上記書籍を読んで考えたことを書いていきたい。

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昔から言われていることだが、石油産出国というのは通称「石油の呪い」と呼ばれる状況に陥ることが多く、それは石油で利益が出るために他産業育成が全く進まず、国家としての発展がなくなる状態を示す。
今回の書籍ではなぜこのような状況が発生するのかを書いている。

やはり石油によって利益を得られる政府において最大の問題は、そこから得られる膨大な利益をきちんと開示してどのように適切に使うかが問題となる。
人間は概して巨額の利益を目の前に見せられると、それを独り占めしたいと思うもので、原油で多大な利益を得られるようになるとこれをネコババするか自分の権威を保つのに私的に利用するのかに大きく傾き、自国の適切な発展・産業育成を考えなくなるようになる。

まず一つ目に考えることは石油で得られた利益の不適切利用構造にある。
石油で利益が得られるようになってまず初期に現れる不正は、得られた利益の隠匿である。
得られた利益を開示すればあちこちからたかられる可能性があるし、黙って自分の財布に入れておけば大金持ちだと考えるのは容易な話だろう。
さらにこうしたことを繰り返していく中で、徐々に石油で得られた利益の使い方が合理性の欠片もない不適切使用がまかり通るようになり、資金の非効率性が目立ち、国家としての発展がなくなっていくというのが多くの腐敗石油国家で見られるパターンである。
また、こうした石油で得られた利益を軍備に回すことも可能であり、これも石油国家独裁政権が転覆しづらい要因の一つにもなっている。

二つ目に石油利益を利用して権威を保つことについて言及していきたい。
一般的に政府と民主主義下における国民の関係は、国民が自分達に対して適正なメリットを出す政府であれば信認し、適正でないと感じた時は選挙で交代を迫るという関係性にある。
特にここで注目したいのが「税」であり、税の使い方に不平がある場合は特に選挙での交代というのが促されやすい。
一方で石油国家は、石油で得られた膨大な利益によって税の徴収が必要ないと考え、税負担を軽くする傾向が強い。
これによって国民は税を納めずに自分の生活が可能となる一方で、政府に対するきちんと要求というのを出せなくなる。
加えて、選挙がある石油国家では選挙前に石油で得られた利益をばらまくことによって票を獲得することが可能であり、これも民主主義を阻害する要因となっている。
さらに、政府は税徴収金額を増やすために産業育成を真剣に考えて政策を行うが、石油国家はそうしたインセンティブが低いために、結局こうした相乗効果で石油国家ではその他産業が育ちにくいという構図に陥っていく。

その極地にいるのがやはりサウジアラビアとロシアであろう。
特に今ウクライナ侵攻で注目されているロシアについては、石油によって得られた利益によって国民を政府が養っているという関係性にあり、国民はプーチン氏に対していまだそこまで大きな不満を持っていないというのが現状だろう。
戦争で兵士が死んでいても、そもそも税金を払っているわけではなく、貰っているという精神であることから民主主義の先進諸国とは違い、政府と国民は対等ではなく、政府が国民を養っているという形で一定の不満を抑えている。
ロシアという経済についてはエネルギー利益を除けば国民一人当たりが生む税金や生産なんてたかが知れているわけで、単純に戦争で人が死んでいるというだけでは政権をひっくり返すほどの不満は出にくい。
国民がプーチンに本格的な不満を持つには現状原油価格の値下がりによる利益減少とそれに伴う政府への不満爆発がなければ中々崩しにくい状態のように思う。

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