グローバルに水平分業が当たり前になっている世界で、G20レベルの国を徹底的に制裁するのはやはり難しいということだろう。

ロシアがウクライナ侵攻したということで、侵攻したら制裁するといきまいていた欧米各国は経済制裁に動き始めた。
これは普通に武力でひっくり返そうとしているロシアに対しては正当な行為だと思う。

一方で、先進各国はコモディティ高やサプライチェーン問題で苦しんでいることから制裁は相当穴が開いていると言わざるを得ない。

まずロシアからのエネルギー供給について、イタリアが白旗をあげている。

【参考ニュース】
イタリア首相、対ロ制裁でエネルギー輸入の除外促す 国内事情訴え

イタリアはドイツに次いでロシアからのガス輸入量が多く、しかも国内発電では原発もない・石炭火力も少ないでガス発電依存度が高く、LNG受け入れ基地も揃えていないということでロシアのガスなしでは無理だと判断しているのが現状である。
ドイツはノルドストリーム2なしでもいける!キリッみたいな強がりをしているが、お前一番ガス輸入しているのに本気で言っているのかという感が否めない一方で、イタリアの方が素直な姿勢だと思われる。

そして欧州はSWIFTの遮断は決断できていない。

【参考ニュース】
米欧の対ロ制裁、SWIFT遮断には至らず-影響懸念で欧州が反対

本気でロシア金融を徹底的に制裁するならSWIFT遮断が必要だが、そもそも欧州の銀行群は直接的にロシアのエクスポージャーを持っている銀行が数行あることに加えて、間接的にかかわっているところまでカウントすると大半の銀行がなにかしらかかわっていることになっており、SWIFT遮断しちゃうと自分のところの業績にショック走る可能性があり、無理なんではという話になっている。

そして当の米国も自分に都合の悪い制裁は見送りな模様である。

【参考ニュース】
バイデン米政権、ロシア産アルミへの制裁見合わせ

米国は現在シェールガスのおかげで原油・天然ガスは国内で相当程度を賄えるようになった一方で、金属類の供給が現在間に合っておらず、ロシアから大量に輸入しているアルミの制裁は見送りという形になった。
アルミは自動車の部材なので、ただでさえ自動車生産が半導体不足で間に合っていない中、アルミも足りなくなったらとんでもないことになるという認識を持っているということだろう。

結局口では制裁だあああ!と欧米各国息巻いているが、自分の国の都合に合わせて制裁はかなり穴だらけという形になっている。
これがポーランドまで侵攻だったら全然話は違ってくるだろうが、ウクライナなので、そもそも欧州各国は「あのクズ国家が・・・」ぐらいにしか思っていないのが露呈している。

あとはロシアへの輸出規制とかも、結局中国を迂回させて入手できる手段があるということもあり、もろもろ考えると多少ロシア経済にダメージを与えることは可能だが、軽傷程度で済みそうな内容になりそうである。
相場的にも過度に悲観的に織り込み行き過ぎな分は是正されるだろう。

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