普段証券アナリストジャーナルは流し読みしたら速攻ゴミ箱に投げ込んでいるのだが、このデータだけは今までどこかでデータはないかと思い探していたものの一つである。

知っている人は知っているだろうが、地銀は貸出先が足りなく、手元に余計な預金を抱え込んでしまっている状態にある。
黒田日銀以前の時代であれば、十分に日本国債の金利はあったことからひたすらJGBを買っていればよかっただけの話だったのが、異次元金融緩和によって触れそうな年限のJGBの金利を全て潰され、社債もオペで買い上げられと運用先に非常に苦しむ事態になった。

銀行ポートフォリオの場合、株はリスクウェイトの観点からそこまで大量に入れることはできないし、元本保証している預金に対してリスクの高い株でポートフォリオをどんどん構築していくのは非常に問題がある。
そこで地銀はJGBだけでなく、先進国の国債や社債(為替ヘッジするパターンがほとんど)、JREITや私募REITにポジションを振り向けていくことになる。
先進国の国債や社債は大体は米国・欧州・オーストラリアで占められている。
ちなみに欧州といっても非常に多くの国があるが、地銀が大好きなのはフランス・スペインらへんで、次点でイタリアといったところだろう。
(ドイツは金利が低すぎる上に量が少ないので多分触っている人は少ない)

しかし上記のように地銀が段々とそういったポートフォリオを増やしているということは、地銀のポートフォリオが海外の金利上昇に弱くなっていることを示している。
特に米国債とフランス国債の金利上昇に弱い。
次点でスペイン・イタリア国債の金利上昇にも弱いのだが、この二ヵ国については2010年代前半のギリシャショックの時にやらかしている国ということでまだ日が浅く、地銀もポートフォリオに入れていても一定程度損失を覚悟しながら触っているので、まだ影響度としては低いと見られている。

しかし、米国債とフランス国債はがっつり無リスク資産として入れているので、この二つの金利上昇にはほとほと地銀のポートフォリオは弱く、これが起きると合わせ技で損切りのためにJREITが売られたり株が売られたりするし、それによるボラティリティ上昇でCTA系が走ったりとろくなことが起こらない。

特に米国債ポートフォリオについては足下イールドカーブがベアフラットになってきている上に利上げされていくと為替ヘッジコストが膨らむことから、さてあなたたちどうするんでしたっけという話にもなりかねない。

この辺のイールドカーブの話とかデータの取得の仕方は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
国債イールドカーブ変化が株価・実経済に与える影響(Pythonで米国のイールドカーブ動向が見れるコード付き)

ちなみに直近だと損ぶっこいているプレイヤーとして島根銀行が話題になっていたりする。
(全部SBIが悪い)


一般的には債券金利の上昇が企業や個人の借り入れコストを高めて緩やかに景気過熱を抑制させると言われているが、先に相場が下落で反応するのは多くの銀行勢が債券投資の損失を埋めるためにポジションを投げることによって発生するからである。

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