中国政府が報道規制できないレベルで影響範囲はでかいということか。

今回のエバーグランデ(恒大集団)の件では日本のメディアの報道はやけに活発である。

エバーグランデの各オフィスで揉め捲っている現況を随時報道することができているし、現地インタビュー報道もよく目にする。



少し所要で実家に寄っていたのだが、ほとんど経済ニュースに興味のない親がエバーグランデのニュースを知っていたりとその報道ぶりは既に多くの人が知るところになっている。

これについてこれまで長い間中国を観察している人ほど違和感があると思う。
一般的に中国は政府側にとって都合の悪いことは情報を隠蔽してくる。
報道をしようとすれば捕まるし、報道したらその後捕まることなんて常識である。
しかし今回のエバーグランデの件はほぼ報道が野放しになっている。

これはいくつか中国政府の意図があると思う。

1、影響が広範囲で報道を抑制した場合に国民の不満が大爆発する可能性がある
今回エバーグランデの理財商品は万人単位で被害者が生じている。
そのため、仮に報道規制を敷いた場合には投資者にとっては政府は金融詐欺の片棒を担いでいて共同富裕なんてのは口だけで弱者を無視するんだと反発が生じるため、政府としても一触即発なこの状態に対して手を出しづらくなっている。
中国政府が一番怖いのは国民が団結しての抗議集会である。(決して最も恐ろしい脅威は外国ではない)

2、理財商品は元本保証ではないことを広く知らしめる
エバーグランデは民営会社だし、元々財務が悪いことが有名で、外部格付け会社からの格付けでも一度もジャンククラスから脱却することはなかった。
そういった意味で今度こそ理財商品は元本保証ではないということを周知しなければいつまでたっても国民はリスクを取ってもいざとなれば政府が全部尻ぬぐいしてくれるという間違った投資リテラシーを基に投資を継続してしまう危険性がある。
それに今回は理財商品の中では最も影響の大きい会社が潰れることによって影響が出るということで、モラルハザードを考えれば政府は救済できないことを知らしめるしかないと考えている。

そして金融機関ではエバーグランデ向けエクスポージャーを持っているのか持っていないのかを開示する中国の金融機関が出始めている。

特に保有金額が比較的大きい銀行として民生銀行や浙商銀行が名前が挙げられており、それぞれ関連保有債権は100億元持っているとか言っているようだ。

<参考ニュース>
Evergrande's Biggest Lender Says Default Will Not Have 'Significant Impact' on Bank

ちなみにこうした発表をしているのは一般的にかなり疑惑を持たれている会社で、だからこそ株価を見れば既にコロナ底値を割っているというひどい状態になっている。

<民生銀行の株価チャート>
タイトルなし

発表しなくても平気な大手銀も社債などの信用力に影響出るレベルにはなっていないものの、株価はコロナ底を割りかけており、株価だけ見るとノックアウト寸前である。

<ICBCの株価チャート>
タイトルなし

これらが意味することは、中国政府が救済に乗り出す気配はまだないということと、報道規制できないレベルで影響を受ける人数が多すぎるということである。
中国政府が金という実弾を投入して解決しようと思えば迅速な解決が望めてかつ市場がそれを催促する形になっている。

なお、以前に紹介した中国通の加藤氏のインタビュー動画の中で説明されているが、エバーグランデが住宅不動産政策を管轄している省庁ではなく、金融当局から呼び出されていることからことの重大さは一介の普通の企業が潰れることとは一線を画していることは確実だろう。

 
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