今回はツイッターで時々つぶやいているクレジットクランチとは何かについて説明しておきたい。

企業や銀行というのは常に「お金が循環する」ことを前提に運営がなされている。
さらにお金が循環することを前提に利益を最大化させようと、大抵の企業・銀行は借入を行ってレバレッジを利かせている。
米国ではそもそもレバレッジをかけていない企業は株主の利益を最大化していないということで株主から反発を受ける。

「お金が循環する」という前提が崩れるのはどういう時だろうか?
それは様々なきっかけがあるわけだが、大抵は負債がばかでかい企業がデフォルトした上に、連鎖的にそれが他の企業・銀行にも発展する・加えて政府がその対応に遅れた場合に起こる。
リーマンブラザーズの破綻から始まったリーマンショックはまさにその典型例で、全米5位の金融機関が債務不履行して、他の銀行も同様にデフォルトするのではないかという懸念が生じ、そして政府は金融機関の救済を制定する法律の実施が遅れた。
この3要素のうち全てを満たすと「お金が循環する」前提が崩れる。

ではもし「お金が循環する」という前提が崩れたらどうなるだろうか?
投資家が資金を出すことについてのコンフィデンスが崩れるため、企業や銀行は新規で借入を起こすことができないor今までとは比にならないレベルの高金利で借り入れを起こす必要性に迫られる。
そのため企業や銀行は手元の資産を売却して現金を作る必要性に迫られる。
しかし、全員が同じことを行うため金融市場では買い手が不在になり、スパイラル的に金融資産価格が下落する。
これがクレジットクランチのメカニズムである。

このクレジットクランチが発生している時は将来の発展性とかそういうのは全く無視される形で、リスクの高いもの・流動性の薄いものから順に大規模な価格下落が発生する。
リスクの低いもの・流動性の厚いものしか生き残ることができなくなる。

最終的にクレジットクランチは政府がこれはやばいと気づいて本格的に救済を始めた段階で止まる。
所詮金融なんていうのは人間が考えた仕組みであり、最後の資金の出し手である政府が財務の健全性というお題目を投げ捨ててお金をダメージを受けた各方面に供給した段階で止まることは当然といえば当然である。
実際に2020年3月のコロナ暴落の時は米国政府とFRBの迅速な資金供給でクレジットクランチは短期間で止まったことは記憶に新しいと思う。

現在個人的に危惧しているのは中国ハイイールド不動産のクレジットクランチである。
エバーグランデを初め、BB格以下の中国住宅デベロッパーが習近平政権の不動産規制強化のせいで物件契約は減少・融資も引き出せないという苦境に陥っている。
特にハンガリー政府より借金が大きいエバーグランデがもうほぼデフォルト待ったなしみたいな状況であることは以前のブログで記事にした。

<過去参考記事>

中国ハイイールド債発行企業がクレジットクランチ一歩手前


エバーグランデがデフォルトすれば、少なくともB格以下のデベロッパーは連鎖的に信用不安に襲われてデフォルトに陥るだろう。
加えて現在は経済の自然メカニズムで状況が悪化しているわけでなく、中国政府の政策のせいで状況悪化しているので、おそらく救済が遅れることも想定される。
GDP世界2位の国の不動産デベロッパーに信用不安が生じれば、大なり小なり世界の相場に悪影響が出ることもそこまで想像は難しくないと思う。

ただし、一応資産サイドは需要がある不動産ということもあり、回収率はそこそこ高いだろう。
そのため、さすがにリーマンショックと比べるのは間違いで、あと中国政府が政策の方向性さえ転換すれば解決はそこまで難しくないと思う。
ただ、中国政府が自分達がしている行為が経済的に間違っているということに早く気づけばというところだが。

LINE FX 新規FX口座開設&1取引で現金5000円がプレゼント

LINE証券 新規口座開設で3株分の購入代金がもらえるお得なキャンペーン