エクソン株主総会、物言う株主の取締役選出 気候変動対応へ圧力

原油価格にはプラス、先進国石油開発会社にとってはマイナス。

上記ニュースでは米国石油大手エクソンモービルに物言う株主が指名した二名の取締役が入ることになり、気候変動対応圧力が高まるだろうと報じられている。
この動くはエクソンモービルだけでなくシェルなどもそういったESGに対応するよう圧力がかかっていると報じられている。

これより以前にも気候変動について、関連した業種について様々な議論があったが、実際に投資家が企業に対して働きかける場面というのはあまりなかった。
しかし、今回のESGは私募を中心に幅広く運用会社がコンセプトを取り入れたファンド運用を行っており、ESGに反している企業に対しては投資ポジションから除外したり、あるいは圧力をかけてESG格付けを引き上げるための方策を指導したりしている。
今回のエクソンモービルでの出来事はその一端を示したものである。

今後想定されることとして先進国石油開発会社は新規で油ガス田を開発するにあたって、開発分の二酸化炭素をオフセットするだけの社会貢献をすることが求められるようになるだろう。
 そうなるとそれだけ開発にあたってコストはかさむ。
また、このコストというのは短期的な話には終わらない。
ESGというのは元々ノルウェーのSWF年金ファンドが考え出したもので、巨額な運用資金で運用していて短期的なリターンではなく中長期のリターンが重要なわけで、その際に持続可能な社会作りに貢献できる企業を中心に投資することが中長期リターンを高めるものになるのではないかという考えを基に作り出された概念である。
その辺は下記書籍を読んでもらえればわかる。

<参考書籍>

ESG投資 新しい資本主義のかたち


運用会社がこれだけ本気でやっているわけで、短期的なコスト増加だけでは済まなく、先進国石油開発会社には重いコスト負担を強いられる可能性はかなり高いだろう。
また、これによって変に採算の悪い油ガス田の開発には着手しづらくなることから、無節操な油ガス開発が行われなくなる。
(なかなか米国シェールガス生産が復活しないのもここらへんの事情もあったりするだろう)

これが意味することは現在一時的に米国財政効果で原油需要が拡大していて、これはいつかは消えるものの、一方で供給については以前の原油バブル時代のような開発のされ方は先進国石油開発会社初では行われなくなる可能性が高く、これが原油価格の下値を固くするだろうということである。

スキマ時間で楽しくポイントGET|マクロミル