知っているだけでマーケットの予測の仕方も変わる。
以前に銀行は貸付に回らなかった預金を有価証券投資しているという話をした。
<過去参考記事>
アベノミクス以前から日本の銀行は貸付先不足で預金が貸付先に対して余るという状態となっていた。
ただアベノミクス前は預金コストがほぼゼロな中、10年国債とかは1%の金利とかついていたので、デュレーションリスクだけを気にしながら日本国債を中心に投資をして利ザヤを稼ぐ構造になっていた。
劇的に状況が変化したのはいわゆる黒田総裁からである。
異次元量的金融緩和によって銀行が余資運用を行う際にターゲットになる日本国債10年未満の金利がゼロに近づいていった。
特に2016年に実質10年をターゲットにしたYCC(イールドカーブコントロール)によって10年未満の金利が全てゼロ以下になったことから、余資を10年国債で運用するのが難しくなっていった。
ここから銀行の余資運用は国債だけでなく、まずは円で発行されている社債組み入れを行うようになった。
しかし、社債についても日銀が社債オペによって買い入れを行うため、玉確保が難しくなっていった。
JREITや私募REITでの運用も行っているが、こちらはリスクウェイトの関係で無節操に入れるわけにはいかない。
そのため、次に銀行が余資運用として拡大させていったのは海外先進国国債である。
その中心はやはり米国債である。
米国債銀行ば流動性は豊富にあり、あとはドルでの為替ヘッジを行うだけでよい。
ただ、米国は2016年~2018年に政策金利を引き上げていき、これによって短期調達金利と長期米国債の利回りがどんどんなくなっていき、米国債運用では満足に利ザヤを稼げなくなっていた。
(ちなみに金利が上昇した時に度々金融庁から横やりが入ってポジションを解消させられたりしていた)
そこで、日本の各銀行の余資運用はさらに手を広げていくことになる。
まずはユーロ建ての国債になる。
しかし、一番安全なドイツは既にマイナス金利に没して使えなかった。
フランス国債はまだマイナス金利深堀が進んでいなかった時は多くのプレーヤーが投資していたが、こちらも満足に利ザヤが取れなくなってしまった。
そこでよりリスクを取る形でスペイン・イタリア国債への投資を拡大させていった。
そしていよいよ国債では十分に利ザヤを稼げなくなっていったところで、CLO・外貨建て先進国社債、外貨建てカバードボンドなどクレジットリスクを取る形での余資運用が拡大していった。
特によく金融庁から問題視されているのはCLOで、米国で政策金利引き上げ時に変動利付の商品なので好まれて投資されるものの、政策金利引き上げで最後に景気に揺らぎが出た時に一番ダメージを受ける分野な上に流動性に問題があるということで度々クローズアップされる。
こうした形で足下、日本国債だけの投資では十分なリターンを得られない中で、為替ヘッジをした米国債・外貨建て投資適格社債の厚みを増やしながら預金を運用している。
現在米国債は歴史的にイールドカーブが立っている状態なので、銀行が手元の外貨建てポジションをぶん投げるには短期金利上昇あるいはドル円に対するベーシスの上昇がみられる必要性があるが、ドルはじゃぶじゃぶでベーシスはかつてないほど低コストになっているので、現状クレジットや金利から相場がひっくり返る状況にはないと思う。
はじめての仮想通貨投資なら コインチェック
以前に銀行は貸付に回らなかった預金を有価証券投資しているという話をした。
<過去参考記事>
銀行が余った預金を活用した有価証券投資についてのおさらい①
これについて、今までどういう変遷をしてきたのかを解説したいと思う。アベノミクス以前から日本の銀行は貸付先不足で預金が貸付先に対して余るという状態となっていた。
ただアベノミクス前は預金コストがほぼゼロな中、10年国債とかは1%の金利とかついていたので、デュレーションリスクだけを気にしながら日本国債を中心に投資をして利ザヤを稼ぐ構造になっていた。
劇的に状況が変化したのはいわゆる黒田総裁からである。
異次元量的金融緩和によって銀行が余資運用を行う際にターゲットになる日本国債10年未満の金利がゼロに近づいていった。
特に2016年に実質10年をターゲットにしたYCC(イールドカーブコントロール)によって10年未満の金利が全てゼロ以下になったことから、余資を10年国債で運用するのが難しくなっていった。
ここから銀行の余資運用は国債だけでなく、まずは円で発行されている社債組み入れを行うようになった。
しかし、社債についても日銀が社債オペによって買い入れを行うため、玉確保が難しくなっていった。
JREITや私募REITでの運用も行っているが、こちらはリスクウェイトの関係で無節操に入れるわけにはいかない。
そのため、次に銀行が余資運用として拡大させていったのは海外先進国国債である。
その中心はやはり米国債である。
米国債銀行ば流動性は豊富にあり、あとはドルでの為替ヘッジを行うだけでよい。
ただ、米国は2016年~2018年に政策金利を引き上げていき、これによって短期調達金利と長期米国債の利回りがどんどんなくなっていき、米国債運用では満足に利ザヤを稼げなくなっていた。
(ちなみに金利が上昇した時に度々金融庁から横やりが入ってポジションを解消させられたりしていた)
そこで、日本の各銀行の余資運用はさらに手を広げていくことになる。
まずはユーロ建ての国債になる。
しかし、一番安全なドイツは既にマイナス金利に没して使えなかった。
フランス国債はまだマイナス金利深堀が進んでいなかった時は多くのプレーヤーが投資していたが、こちらも満足に利ザヤが取れなくなってしまった。
そこでよりリスクを取る形でスペイン・イタリア国債への投資を拡大させていった。
そしていよいよ国債では十分に利ザヤを稼げなくなっていったところで、CLO・外貨建て先進国社債、外貨建てカバードボンドなどクレジットリスクを取る形での余資運用が拡大していった。
特によく金融庁から問題視されているのはCLOで、米国で政策金利引き上げ時に変動利付の商品なので好まれて投資されるものの、政策金利引き上げで最後に景気に揺らぎが出た時に一番ダメージを受ける分野な上に流動性に問題があるということで度々クローズアップされる。
こうした形で足下、日本国債だけの投資では十分なリターンを得られない中で、為替ヘッジをした米国債・外貨建て投資適格社債の厚みを増やしながら預金を運用している。
現在米国債は歴史的にイールドカーブが立っている状態なので、銀行が手元の外貨建てポジションをぶん投げるには短期金利上昇あるいはドル円に対するベーシスの上昇がみられる必要性があるが、ドルはじゃぶじゃぶでベーシスはかつてないほど低コストになっているので、現状クレジットや金利から相場がひっくり返る状況にはないと思う。
はじめての仮想通貨投資なら コインチェック