これまで、このブログでは現在のインフレや景気盛り上がりはあくまで米国政府の気前の良いばらまきの効果であり、これが永続的に続くように考えて財政引き締めの前に早期テーパリングを唱えることは間違っていると書いてきた。

<過去参考記事>

財政拡張策の撤収前にテーパリングというのに違和感


それに加えてもう一つ早期テーパリングはないだろうと考える理由がある。
それは早期テーパリングによって経済を揺るがすような市場変動リスクを冒す丹力がパウエル議長にはないだろうということである。

もし早期のテーパリングをかけて市場がそれに急速に反応して、経済を揺るがすレベルの市場変動が起きたとしよう。
特にテーパリングの場合直接的に金融引き締めになるので、マネーマーケット周りで変動が起きて銀行間取引がフリーズしたりすると、問答無用で資産の現金化行動が起きて相場が変動してしまう可能性は非常に高い。
ワクチン効果で感染者がコントローラブルなレベルになる前にそういう決断を行ったことに対して激しい非難が起こることも想像に容易い。
なぜそのような決断を下したか、いくら中銀に独立性があるとしても政治的に大きな批判を受けて吊し上げられることは間違いない。
しかも、これは米国だけの問題ではなく、米国の金融政策に大きく影響を受ける新興国も間違いなく巻き込まれる。
多くの国がドル建て債務の借り換えができなくなり、IMF駆け込みが発生するだろう。
このような事象が起きればまず間違いなくパウエルショックという名前がつく。
こうした汚名が歴史の教科書に残るのである。
そのような汚名が歴史の教科書に残るリスクを、トランプ政権時代にトランプの圧力に屈したパウエル議長が果たして犯せるだろうか?
それ以前にイエレン議長時代に早期利上げチャレンジして失敗しているし、2018年も全力で利上げチャレンジして滑ったことも考えると、やはり人間心理としてコロナウィルス感染者がまだアンコントローラブルな時に早期テーパリングで不要なリスクを取るというのはパウエル議長の丹力では無理であろう。
以上を考えれば、少なくともコロナウィルス新規感染者が米国内でコントローラブルなレベルになるまでテーパリングリスクを取るのはパウエル議長には無理だろう。

かといってツイストオペしてくれるみたいな観測も、それはそれで甘すぎる。
既に不動産価格がバブル真っただ中にいる中で、さらに不動産価格をバブらせるような長期金利押し下げ政策をする可能性は万に一つもないだろう。
なので、FRBの行動は一択で現状の金融政策をコロナウィルス新規感染者数がコントローラブルなレベルになるまで続けるということだけである。

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