金正恩氏、手術後に重体の情報 米CNN

なにかが変化すると思う方がおかしい。

北朝鮮の金正恩が重体で今にも死にそうみたいなニュースが流れてきて、なぜかリスクオフの流れとなったのが昨日の市場動向となった。
ただ、これは何か市場参加者がすごくリスクを感じたからというより、とりあえず何かが変化するかもしれないという不透明感からと、まあもう随分リスク資産も高い位置にあるしとりあえず売ってみようかというそういう単純な動きだと思われるので、時間が経てばみんな忘れるような材料だと思う。

なぜ忘れるような材料なのだろうか?
まず一応は後継者の目処が立っているということは多いだろう。
ニュースソースを見る限りキムジョンウンの妹である金ヨジュンがどうやら後継者として最も確率が高いと言われている。
実際に米国や中国との会談においてしばしば出てくるところを見るとまあ納得のいくところだと思う。

そして後継者が決まっているならわざわざ諸外国が介入してくる余地は今のところない。
なぜなら足元の国際情勢は各国外交に力を注ぐ余裕などというものがコロナウイルスのせいで一つもないからだ。
特に北朝鮮問題で大きなメインプレイヤーである米国・中国・ロシアの3者はいずれも国内のコロナウイルス対策・景気対策でてんてこまいで北朝鮮情勢については最小限の力しか割けない状態である。
特に中国は北朝鮮からコロナウイルスが逆に持ち込まれて再び感染拡大することに恐怖を抱いているはずなので、トップ会談が行われるということはまずないだろう。 
北朝鮮問題は中東情勢と比べると地政学リスクははらんでいるものの、中東とは比べ物にならないぐらいリスクが小さい。
なぜなら主要プレーヤーは実質米国・中国・北朝鮮の3者しかおらず、中東のような利害関係が5派・6派に別れて血を流しながら争う必要性はない。

北朝鮮国内情勢も不安定のようで安定度はそこらへんの中東国家よりずっと高い。
なぜなら民族は朝鮮民族しかおらず、民族自決の問題は絡んでいない。
金一族の勢力をひっくり返したいと思う一派がいたとしても、中国から多額の支援を得られなければ対抗するための暴力を揃えることができないので、現状そういった動きもなく、金一族の反抗勢力は徒手空拳状態である。
そういうことを考えると

というのを考慮すると北朝鮮問題うんぬんというので下がったとしても短期間で下落は終わるか、あるいはそこからさらに下げるとすれば単に売りたかった人達が大挙して待っていたというだけだと思われる。

なお北朝鮮の地政学リスクについては2017年の騒ぎの時にそこそこ勉強したが、その際に読んだ書籍は下記の通りである。

<参考書籍>

金正日秘録-なぜ正恩体制は崩壊しないのか 


ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争


独裁国家・北朝鮮の実像 核・ミサイル・金正恩体制


スターリンから金日成へ