国債投資家懇談会(議事要旨等)

国債投資家懇談会の資料が出ていたので、その資料を見ながら現状の日本国債市場についてレビュー。

来年度の国債発行予定金額については現状今年度と同程度の32-33兆円程度となる見込みだ。
ただしこれについて現在政府が考えている真水10兆円経済対策で国債増発というシナリオは含まれていない。
(真水10兆円経済対策が本当に実行されるかどうかもわからないし、そもそもそれに伴って国債を増発するかどうかさえもわからないが)

<国債発行計画>
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プロならだれでも知っている通り、日銀がかかげる80兆円国債買い入れというのは毎年の新規国債発行残高30兆円ちょいしかなく、しかもすでに日銀が残存国債の40%以上を持っている中で達成するのは不可能であり、実際に既に日銀の年間残高増加金額は今のペースだと年間30兆円が割れる状態にある。
いわゆるステルステーパリングがこの2年程度続いており、以前のような80兆円買い入れに戻ることはまずないだろうというところだ。

<日銀の国債買い入れペース>
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またこの買い入れでもっとも割りを食っているのが10年未満の短期ゾーンが主軸である銀行であり、これらプレーヤーは国債償還に伴って国債保有高が減少傾向で推移している。
しかし貸出の伸びはこの償還ペース未満であることが昨今の金法の外債やJREIT買い入れ増加の背景にある。
この流れも日銀がおよそ国債発行残高と同程度の買い入れが続く限りにおいては続くものと推察される。

<銀行の国債保有残高>
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生保も10年ゾーンまでの国債保有残高は大きく圧縮し、10年以上超長期ゾーンにシフトするしかなくなっている。

<生保のポジション>
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一方で10年以下ゾーンでは海外投資家の売買高・保有高の影響力が大きくなっている。
これは為替ヘッジにおいてUSDライボーとJPYライボーの差とベーシスを足した為替ヘッジプレミアムを勘案すると同年限米国債を買うよりペイするということで海外勢がマイナス間でガチャガチャ取引する市場になっている。
ただし、国内勢にとってはもはや10年ゾーン以下は売買する合理性がないことから機能していない市場と認識されており、超長期ゾーンのみが機能している市場という認識がなされている。

日本国債の平均償還年限については日銀買い入れに伴ってプラス金利である超長期で発行するケースが増加していることから足元では9年2カ月ぐらいまで伸びており、この流れはしばらく続くものと思われる。

まあここらへんの話は円債村の人達にとっては既に常識であるので、ようは新味のある話はなく現状確認されていることと、現状をまとめたグラフがきれいに載っているといった資料にすぎないということだ。 

詳しくはぜひとも記事冒頭のリンクから資料を見てもらいたい。