BASF breaks ground on $10bn China chemical complex
これは過剰供給になって全員苦しむ羽目になる。
足元で中国が国内での化学プラント建設について外資への開放をすすめており、外資各社がこぞって新プラント建設に着手しているという話が出ている。
その中でも特に目立つのは欧州勢のようだ。
ドイツ化学大手BASFがすでに100億USDの化学プラントの着工を決めていることに加えて、ベルギー化学大手のソルベイもフィージビリティ調査をしているようだ。
これに加えていくつかの米国企業も興味を示しているとか。
しかしこれは化学会社各社にとって需給を悪化させるニュース以外の何物でもない。
既に足元で化学精製会社各社は化学品とナフサ間のマージンの低下が収益を圧迫し始めている。
これは中国で建設完了してオペレーションを開始した化学プラントからの供給増加に加えて、景気スローダウンによる需要の伸び減退が原因になっている。
ここに倍プッシュで中国での供給増加懸念が上記の外資開放によって加速される可能性が高く、特にコスト高のプラントを持つアジア化学企業にとってはこれによる精製マージンの低下は大きなマイナス以外の何物でもない。
しかもFTのコメントを見れば、こうした投資についてBASFは「長期的なマーケットファンダメンタルズを考えれば大丈夫」という言い方をしており、大体こういう時はほんとうに一番体力のある大手以外はろくでもないことが起こる予兆である。
大手がこういう言い回しをするときは大体みんな同じようなことを言い訳に使って投資を正当化する。
しかも中国での化学プラント建設というのは基本的には中国国内内需の需要取り込み以外は立地面は資源調達面で特にメリットがあるわけではなく、半分利益度外視といってもいいと思っている。
そもそも中国側がなぜこの化学分野の外資参入開放をしているかというと、ここらへんの化学プラントは基本的には中国国内では国営企業が担っているのだが、いかんせん生産量を優先して効率など度外視した高コスト操業ばかりやっている。
当然民間は国営企業の暴力的な供給増などを背景にこの分野に参入する旨味など感じておらず、地元民間からプラントを立ち上げて参入する気のある人なんてのはほぼゼロ。
中国政府もこれ以上国営企業の不採算操業を許すわけにもいかず、だからこそ外資にその負担をさせればよいという割り切り方をしており、これが外資開放の主な狙いであり、必ずしも何の算段もなくこれに参入すれば痛い目を見ることは確実だ。
以上を勘案すれば必然的に化学プラントを持つ化学セクター株が出遅れることは必至であり、今化学セクター株を保有している方はあきらめて違うセクターに切り替えることが吉だと思われる。