Unconstrained Investment@UnconstrainedI
@perp_nc10 国内投資家は国内格付に左右されるので、国内格付会社が格付判断にB/S上の資本を重視し過ぎる以上、変わらないのかなと。
2019/11/25 09:18:01
初めて海外クレジットをカバーした時に、債務超過の高格付会社とか結構あって驚いたものです。
米国企業だけが許された特権。
一定程度財務分析などができて、米国企業の財務を見にいくと安定した利益は出ているものの自己株買いをしすぎて債務超過、つまり純資産がマイナスになっている企業が意外とあることに驚く人が多いかもしれない。
自己株買いのしすぎて債務超過になっている企業の例として、ホームデポ・スターバックス・マリオット・マクドナルドなどが挙げられる。
またそれを見たことによってじゃあなぜ日本企業は大量に自己資本を蓄積して投資をしないのかといぶかしがる人も少なからずいると思われる。
しかし、これは個人的には米国企業だけが持つ特権だと思っている。
それはなぜなのかと言えば、最後の最後は米国政府がドルを刷り散らかすことによって助けられるからだ。
世界が金融危機や流動性危機に陥った時、企業の最後の砦となるのは現金である。
しかしこの現金というのもどんな通貨でも良いわけではなく、やはり最後はドルを保有していなければいけない。
特に金融機関はドル調達が命綱であるため、ドル調達が絶たれた時点で命運が決まってしまう。
そう考えると、ドルを自国通貨として使う米国企業に一日の長があることぐらいは誰でもすぐわかる。
米国企業はどんなにグローバルな企業であっても、収益の半分ぐらいは米国からきている。
だから自然とドルを手に入れることができる。
そして米国企業は米銀からのコミットメントラインを基本的には保有しており、いざという時のドルファンディングもばっちりだ。
そして本当に世界的に不況がきた時であっても、米国経済はいざとなれば米国政府が無限に輪転機を回してドルを供給すれば米国経済を立て直すことが可能であり、それを市場参加者全員が信じている。
だからこそ米国企業は米国政府がドルを刷り散らかせば基本的に助かると思われる企業については債務超過を普通に許容しているのだ。
また格付け機関もそれを知っているので、米国企業については必ずしも債務超過だからといった理由だけで格下げなどはしない。
しかし米国企業以外は残念ながら話が違う。
米国以外の金融機関はドルファンディングを米国政府の助力なしで自力で行わなければいけない。
そしてドルファンディングが詰まってしまった場合は自動的にドル融資だけでなく自国通貨建て融資についてもストップさせざるを得なくなる。
そうなると金を借りたくても企業は銀行から金を借りれず、資金調達ができなくなることからバタッと倒れてしまう。
それを防ぐためのバッファーは絶対に保有してなければいけない。
新興国になればなるほどそもそも自国通貨建てのファンディングさえ弱いのでそのバッファー幅は厚くなってしまう。
そう考えれば米国企業以外が債務超過のまま許されるという確率は当然低く、企業側もそのリスクははっきりいうと取れない。
つまるところ、ドルが基軸通貨であり、その恩恵にあずかれる企業だけが安定的な利益さえ伴っていれば債務超過を許されるだけであり、それが世界的に適用できるかというそういうわけではないというわけなのである。