中国人民銀、永久債通じた銀行の資本拡充促す新たな手段を創設

個人的にかなり注目している施策だ。
中国政府は銀行に融資拡大を促したいところだが、そのためには銀行の資本が足りないというのが現状だ。
とにかく資本を拡充するには増資かAT1債の発行のどちらかを行う必要があるが、増資は株価下落を招くのであまり乱発させたくないので、AT1債の発行を中国政府は促している。

しかし、問題は需要サイドである。
需要サイドが弱く、なかなか銀行の資本増強が進まない状態である。
少なくとも需要サイドもなんの得もなしにAT1債に投資資金なんて振り向けてやんないよと中国政府に反発していることを意味している。

そこで中国政府が考え出したのが、中銀の流動性供給の担保適格としてAT1債を入れるということだ。
つまり、AT1債を購入した金融機関は、このAT1債を担保に中銀に差し出せば、低金利で資金調達することができることを意味している。
これを欧州で考えてもらえば、いわゆる欧州銀が出すCoco債をECBに担保として差し出して資金調達することが可能ということになる。
これほど大胆な流動性供給はあんまり聞かないなあと思う。

もちろん需要サイドがどうしようもないほどメタメタになったりしていれば話は別だけど、投資ガッツ意欲が少しでもあるならば、この話に乗るっきゃないとばかりにのっかっていきそうだ。

そしてもし、この政策が上手く回ると、購入サイドは新しい低金利調達をすることが可能となり、供給サイドは自己資本の増強で融資拡大余地が生まれるという流動性拡大策が一気に進むと思われる。