村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年08月

Saasはグロース株からバリュー株へ変貌

米セールスフォース、通期見通し上方修正 アンソロピックと提携拡大

株価は上昇したけど、以前とは違う理由なことには注意。

ほぼ米国企業決算終わりましたねえという中で、エヌビディア決算と同様に決算で大きく動意づいた銘柄がセールスフォースであった。

【セールスフォースの株価チャート】
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セールスフォースはいわゆるSaas銘柄の代表銘柄であるが、ここ2年ぐらいはAIによるサービス代替懸念で「Saasの死」と呼ばれてボコスカに株価は叩かれてきた。
それが直近決算でさすがに行き過ぎだろということで買い戻されたというわけである。

この動きだけ見ると、なーんだSaasの死ってもう死語なんじゃないですか~という結論に早合点しがちだが、株価バリュエーションを見ると、ひと昔前のセールスフォースとは全く異なる景色が見える。

一般的にSaasはグロース株であり、一度客を掴めば半永久的にキャッシュフローが見込めるとして遠いキャッシュフローが評価される形で高PERが許容されてきており、PER100倍みたいなのが当たり前の世界であった。
しかし、今のセールスフォースのPERは何倍なのか?
セールスフォースのPERは15~20倍みたいな数値の株価評価となっており、一般的にグロース株で見られるようなPER30倍以上みたいな数値ではない。
例えば典型的なバリュー株である石油株などだと、今エクソンモービルはPER13倍みたいな数値なので、PER15~20倍というレンジは米国株にとってはバリュー株の範囲になる。

つまり、セールスフォースは業績自体は別に激しく落ち込んだわけではないが、やはりAIによって将来的な利益成長期待というのが過去のようなすさまじい勢いには回帰しづらそうということで、ロース株的PERの評価は難しくなったがために、マルチプルコントラクションが発生する形で株価は下落したり伸び悩んできたりしてきたわけである。
そうしてこれまでPERが50倍以上あったセールスフォースのPERは15~20倍まで叩き落されて、バリュー株として評価するのであればかなり適正範囲に入ったとして株価は上昇したということである。

こうしたことを考慮するとSaas株はようやくバリュー株としての適性バリュエーションにまでなりましたねえと評価できるだろうと思う。
グロースではなくバリューということを考えると、投資するとすれば上値を追うというよりは押し目を狙う方に重点を置くという発想転換は必要だろうと思う。
ただ、どうしてもSaas株はセクターのくくり的にAI関連株と比較されやすいわけであり、特に1年間で売上高・利益が倍になっているエヌビディアの予想PERが24倍であることを考慮すると比較されやすい。
PER24倍のエヌビディアとPER20倍のセールスフォースどちらの株を買いたいですか?と言われると個人的にはエヌビディアじゃないか?とも思ってしまうが、そこは各々の投資判断次第だろうと思う。

とにもかくにもSaas株はどの銘柄もピークから50%下落当たり前みたいな動きになったが、少なくとも老舗Saasはきちんとしたキャッシュフローがあるわけで、下記過去記事のようにこれまでずっと悪い状態であったが各社の必死の努力もあって、一応株価的には下げ止まりラインは見えたんじゃないかなと思う。

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか

ただ、バリュー株の扱いなので、無邪気に上値を無限に追えるかどうかはまた別の話であることは頭に入れておきたい。


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S&P500の年率EPS増加率が30%を超えたことと今後重要な個別銘柄投資の考え方

“Mag 7” Companies Reported Earnings Growth Above 100% Boosted by Investment Gains

比較感が重要。

一通り米国企業決算が出尽くしたわけであるが、S&P500全体のEPS成長率について今期はすさまじいものとなった。
詳細は下記ファクトセットのレポートを読んでもらいたい。

【ファクトセットのレポート】
EARNINGS INSIGHT

単純なS&P500のEPS成長率は前年同期比+50%という数値になっているが、これはAmazonとアルファベットの決算で多額の一過性利益が乗せられている(確かスペースXの上場でしたっけ?)ために押し上げられているので、これらを除外すると大体YoY+32%でしたとレポート内では記載されている。
また、単純にマグニフィセント7のEPSだけ見るとYoY+118%、マグ7以外の493社EPSもなんだかんだで+30%ぐらいありまっせということで、AIブームを背景に全体として好調推移したことが確認できている。

これによって、将来的な株価上昇がどうのこうのと判断することも重要であるが、もっと重要なのはこのS&P500を基本として個別銘柄株やセクター投資するにあたっては判断を構築していくことが重要だと思っている。

以前に書いた通りだが、下記過去記事の通りS&P500というのは株式投資の中では王道中の王道であり、機関投資家でも株式投資はS&P500のインデックス投資みたいなものがやはり主流だったりするケースがある。

【過去参考記事】
なぜ積み立て・安定的な株式運用ではS&P500への投資が王道なのか?

そして、その王道投資であるS&P500についてのバリュエーションがPER20倍・EPS成長率は年率30%となっている。
これは個別株に投資するにあたっては非常に重要な指標となる。
このバリュエーションよりしょぼくて、かつ逆転するシナリオも思い浮かばないような個別銘柄は即売って別銘柄に入れ替えるかS&P500に入れかえた方が良いことを意味するわけであり、特段個別銘柄にこだわりがない人はS&P500投資でいいじゃんとしょぼい個別銘柄は即入れ替え対象候補になってしまう。
これをまともに食らうと、せっかく個別銘柄投資でリスクを取っているのに、インデックスに全面負けみたいな状態になってしまう。
そして、このEPS成長率とジャクソンホール会議のケビンウォーシュのタカ派的な姿勢を考慮すると、少なくとも米国金利は下がらなそうわけで、今後リスクフリーレートによる割引率というのもよりシビアに見られるようになるために、少しでもS&P500と比較した時に個別銘柄株価はバリュエーション・今後のシナリオに欠点があると即負けになりやすくなるので注意しなければいけないような気がしている。

そんなこと言われても、そこまで難しいこと考えたくねーよという人は何も考えずのS&P500投資で十分なリターンが得られそうなので、素直にインデックス投資しましょうという話になると思う。

【S&P500のチャート】
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日本の住宅不動産価格の停滞感はそこそこ長引きそう

住宅ローン「超長期」急増、首都圏新築は3人に1人 家計にリスク

融資でないんだから、上値追いできない。

ここ数ヵ月はずっと中古マンション価格について下落しそうだねえという話がXやネット記事など頻繁に見られるようになってきていたが、グロス価格が高い物件というのは上記の通り一部ペアローンかつ50年住宅ローンで買うといった動きが見られていた。
50年住宅ローンだと月あたりの支払金額が少ないというのはあるが、実状は50年ローンじゃないと手が届かないという方が多いように思う。

しかし、この50年住宅ローンについてはまだBBGだけでしかニュースが出ていないので、真偽は不明であるが、金融庁が50年住宅ローンについて監視を強化するといった報道が出ていて、この50年住宅ローンも融資が絞られる可能性が出てきている。
今まではグロス価格が高くても一応融資が出ていたのだが、融資も出なくて買いたくても買えないとなると物理的に買える層が減少するために、下記過去記事の考え方をするとそりゃ中古マンション価格元気ないですわとしか思えない。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

さらに住宅不動産というのは空売りができないので、価格が上昇してきたところから調整・下落する時は株と比べてかなり長い期間が必要ということは下記書籍でも述べられている内容であり、実需は融資が出ない・転売業者は在庫じゃぶじゃぶという中で高額物件が能動的に動く感じが全くしない。

【参考書籍】
フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く

自分のブログでも毎月レインズのデータを追った記事を書いているが、雰囲気が怪しくなってきたのは2025年終わりごろぐらいからで、2026年新年度が始まると在庫増加・成約数減少の明らかなトレンドが出ていることからもオワコンとは言わないが儲けが簡単に出る時代は終わってるなあと思う。

そもそも、最近Xで元々不動産クラスタだったみたいな人達の一部が株クラに転向する向きも見えてきており、それだけ住宅不動産投資で今できることが少ないわけである。
ただ、中国のようなバブル崩壊の暴落というよりも米国のようにインフレ率負け程度の価格動向しかしないという煮え切らない雰囲気になるだろうと思う。
米国でも住宅不動産価格の停滞感は2022年のインフレ抑制政策金利カチ上げの状況から続いていて、下落こそしていないものの、価格上昇率はインフレ率負けしているのが現状であり、日本も似たような環境になるのかなと予想している。

【米国ケースシラー20都市住宅価格指数(前年同月比)】
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https://jp.tradingeconomics.com/united-states/case-shiller-home-price-index-yoy

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そのうち住宅ローンの利払いを超長期国債からの利息収入で賄いたい

国債買い手、「個人」に照準 減税・NISA対象案も浮上

まあそのうちという話ですけど。

足下利上げで変動住宅ローンの利払いについての議論がいろいろX上やネット上では話題になっている。
自分もまだ変動の住宅ローン金利がそれなりの金額残っているが、いざとなれば株売却すればいつでも全額返済できる資金はあるため、さほどこの利払いが多少上昇すること自体については心配していない。
ただ、それでも利払い増加というのはマイナスであり、これを今後どう対応しようかというのを考えている次第である。

対応というと、大体ネット記事で議論されるのは繰上げ返済するかしないか、あとは株に投資するかどうかみたいな極論に振れるかのどちらかであるが、個人的には既に関係なく株投資の比重は大きいため、選択肢には入らない。
繰上げ返済はまだ短期の実質金利がマイナスとなっている中ではもったいない。
そう考えると別の方法を考える必要がある。

そういった中で個人的に考えている作戦としては、超長期国債を買って、その利払いで住宅ローンの金利を払うという考えだ。
現在超長期国債の利回りは4%ぐらいあるわけだが、これに対して住宅ローン金利はまあそのうち2%ぐらいはいきそうだが、3%という水準まではいかんだろうと個人的には考えている。

【日本30年国債金利のチャート】
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そうなると、住宅ローン金利の残債見合いでそれなりの円預金があれば、大体住宅ローンの残債の半分ぐらいを超長期国債投資に回せばほぼ住宅ローンの利払いを相殺させることが可能だと考えている。
しかも超長期国債投資なので、信用リスクを取っているわけでもないし、いわゆる最終的に元本が返ってくるリスクフリー投資であるため、作戦としては確実性が高いように思う。

もちろん日本の政策金利が3%超える数値になるといったところになると話は別であるが、そうでなければ住宅ローン利払いを賄いながら負債ポジションを維持できるというメリットがあり、トータルで有利子負債の借入がプラスリターンを生んでくれる。

ただ、今はまだAIブームが加速している中で、債券より株が圧倒的に収益性が高いという状況にあるわけだし、債券バブルが長くてその後遺症的なものが長引いていると考えると、今すぐこの作戦を実施すべきかというと疑問であり、もう1~2年様子を見ながらこの作戦を実行するタイミングを考えたい。
住宅ローン残債の1/5ぐらい回すだけでも相当程度の住宅ローン利払いをカバーできるわけで、日銀の利上げの限界ラインを見極めて実施できれば非常にワークする作戦だと思う。

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見た目の株価指標だけ見ると割安に見えるエヌビディア

NVIDIA決算、「メモリー高騰による利益率悪化に不安」 米市場関係者

AIブームが本物になるまではディスカウントが入り続けそう。

注目のエヌビディア決算が発表されたので、それについて所感をまとめていきたい。

決算数値とか決算コール内容についてはもっと詳しい人達が各方面から書いているということもあり、細かい業績の話はここではしないが、普通に売上高も利益も1年間で倍になっているわけであり、足下の数値だけでいえばAIブームが引き続き盛り上がっているという状態である。
ただ利益の中には株式投資利益245億ドルも含まれていて、実際に営業キャッシュフローベースだとちょっと割り引く必要性があったり、出資先にGPU売っていますよねということで、その点はAIブームがしぼむとリスクになりますよねと見られており、まあ色々決算にケチをつけようと思えばできるといったところである。
上記日経新聞の記事でもメモリの高騰でマージンが悪化しているところでうにゃうにゃ言っている人が多く、まあ随分細かいところでケチをつけますねえと思ったりする。

AIブームド真ん中銘柄であるが、まだ市場立ち上がり期ということもあり、エヌビディア自体が自腹を切って色々市場を支えていくといった状態であることが総じてディスカウント要因になっているように思われる。

この決算コールを受けたアフターの株価動向は+4%という数値であるが、単純な決算数値だけでいうと売上高・営業利益が1年間で倍で、2028年度まで売上高+80%が見えていると経営陣が説明していても実績PER32倍・予想PER24倍という数値は見た目上の株価バリューエーションは異様に安く見える。
しかし上述したように単にAIブームの持続性という話だけでなく、よく報道される循環構造にあるのではみたいな諸々のリスク要素を織り込んでこの株価といった評価になっていると思われるので(そうじゃないとこの安さは説明できない)、AIブームが自力で成り立つ本物感が出てくるとこのディスカウント幅も小さくなっていくことが想定される。
なので、実際に株式投資という観点では目先の決算コールの材料であーだこーだというよりも長い目線でAIブームが本物となるかどうかを考える方が重要だろう。

AIブームがここで終わりだと思うなら即株売りだし、まだまだここからだと思うのであれば株を握りしめたままホールド継続が正しい判断になるが、こればっかりはそれぞれの予想次第ということなので、各自に判断を任せたい。

ただ、個人的には下記過去記事のような考え方で考察すると、AIブームというのはまだまだこっからだと思っており、エヌビディアのディスカウント要因もゆっくり解消されるのを待っていればいいんじゃないかなと思ったりしている。

【過去参考記事】
どのようにAIバブルが醸成され、最終的にどうはじけるかのプロセスを考える


【エヌビディアの株価チャート】
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