村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年06月

米国実質金利の上昇が相場の下押し圧力を強める展開

【米国各年限の実質金利推移】
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https://muragoeinvest.com/ustmarket

やっぱり警戒を強めておきたいような気がする。

6月頭までは株持っていないやつは馬鹿?みたいな勢いで株価が全般的に上昇してきたわけであるが、ここにきて大分株価もちょっと上がりすぎたんじゃないかということでギクシャク感が強まっている。
そうした中で、個人的に上記図にある通り、米国の実質金利が手前側中心に急速に上昇し、気づけば5~10年の実質金利が2%になっていることについてはかなり嫌な感触を持っているので、それについてまとめていきたい。

この5~10年実質金利が2%に達するのは結構危ないシグナルだったりする。
20~30年の実質金利はずっと高い水準になるが、20~30年の実質金利に関係するのはせいぜい米国債の超長期金利と保険の割引率ぐらいであって、大多数の企業や個人にとってはほとんど関係ないので、究極的にいえばどれだけ上昇しようとも実経済に対するインパクトは小さい。
一方で5~10年金利というのは米国でも社債が発行される中心年限であるわけで、ここのゾーンの実質金利の増加というのは直接的に企業の資金調達コストに悪影響をおよぼす。

特に足下はAIに絡まない企業は業績が伸びない中で金利コストの上昇がさらなる業績圧迫を生む状態であるし、AIに絡んでいる企業はメガテック勢が現在全力設備投資中で、投資先行であるがために金利コストの上昇に対して投資回収はまだ先というのが投資を抑制するのではないかという懸念を生むわけで、特に遠いキャッシュフローの評価が含まれてしまっている高PER銘柄ほど株価ダメージが増幅しやすいことに注意が必要なステージになっている。

さらに、ホルムズ海峡封鎖が行われた3月頭とは違って、みんなリスクオンしか見ていない状態であり、市場参加者のガードは緩いと言わざるを得ない。

以上を考慮すると、実質金利の急速な高まりは相場のギクシャク感を生む可能性が高いと思っており、加えてこれからサマーバケーションシーズン+下記過去記事のように季節性の悪い9月を控えてしまっており、市場が状況に慣れるまでに時間がかかり、この慣れるまでの期間はどうしても相場が不安定化しやすいと思う。

【過去参考記事】
なぜ9月は株式市場が荒れやすいのかを理論的に解説

実際に過去に5~10年実質金利が2%に達した2023年8月・2024年4月・2025年1月はいずれも株価の調整や上値が抑制される現象が確認されている。
(2025年の時はここから関税ショックでさらに下振れた)

そういうことを考えると、S&P500ベースでピークから5~10%ぐらいの範囲での調整を見ておけばよいだろうと思うが、そこに余計な材料が加わればその分だけ下振れ幅が大きくなることは注意しておきたい。
期間は2~3ヵ月ぐらいが妥当ではないかと思っており、やはり9月終わりごろぐらいまで待ちかなあと思う。
その間のFOMCが特に要注意点かと思うので、そこらへんを随時見ながら個人的には追加投資の待ちステータスを維持したい。
     
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需給だけ考えると、ややキオクシアの株価は重たそう

【キオクシアの株価チャート】
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単に需給だけ考えればという話ですけどね。

気づけば日本株最大時価総額になっているキオクシアであるが、ここの株価動向について色々議論がされているので、自分でも資金需給動向だけではあるが、それらを考えるとこんな感じなんじゃないのというところをまとめていきたい。

大体個別日本株の需給を見る時は、特に大手株であれば信用売買残を真っ先に見るのが妥当であるし、下記過去記事のようにキオクシアショートで退場した人がいたことからも、やはり信用売買残動向からざっくり方向性把握は重要だろう。

【過去参考記事】

キオクシアショートで退場したっぽい人が出現したことから思う空売りの難しさ

では実際に信用売買残動向はどうだろうかというのをヤフーファイナンスで確認してみよう。

【キオクシアの信用売買残】
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https://finance.yahoo.co.jp/quote/285A.T/history?styl=margin&page=1

これを見ると、なんとなく需給によるこれまでの株価上昇の流れがわかってくる。
4月まではこれは高すぎるというなんとなくショートが増えてきたが、これが完全に火だるまどころか焼死体になるレベルで焼かれてしまい、信用売りは燃やし尽くされ、これが5月以降の株価上昇原動力となった。
後ろから信用買いもそれに調子づいて積まれていったことも上記からわかりやすい。

しかし、もうほぼ全てのショートが焼き尽くされた一方で、信用買い側の方ももう買える人はほとんど買ったみたいな状態であり、逆にさすがに利益乗っているから利益確定に動くという自然な動きも見え始めている。
足下残っている信用売り残は、おそらく既にキオクシア株を現物で持っていて、利益確定の代わりにショートしている分であろう。(税金面でそちらの方が有利なため)
そうした中で最近キオクシアを買いから入っている層の質はなんとなく悪そうだし、さらに隣の韓国メモリ株も非常に質の悪い状況に陥っていることを考えると、さすがに上値を再度追うには一定程度の休憩をはさむ必要性はあるのではないかと思う。

もちろんキオクシアの最終的な株価到達地点というのはAIブームがどれぐらい続くのかにかかっているわけで、AIブームがどれぐらい続くかを見るにはどういうポイントを見ればよいかは下記過去記事を参考にしてもらいたいが、とりあえず資金需給だけ考えればちょっとごり押しだけで株価が上昇するといったステージではないように思う。

【過去参考記事】
どのようにAIバブルが醸成され、最終的にどうはじけるかのプロセスを考える

ちょうど米国株も個人的に9月ぐらいまでは休憩挟まないといけないのではないかと思っており、それとも時期的には整合性取れているような気もするので、結局世界的に株価需給的には一休みといった可能性が高いという結論を個人的には念頭に置いている。
     
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投資家から経済対策催促され始めてきた香港株式市場

中国5月経済指標、消費3年超ぶり減・生産加速 不均衡の拡大示す

そろそろ外国人投資家ブチギレ寸前では?

ここもと明確に中国の経済統計は悪い。
上記ニュースの通り、消費系が明らかにメタメタで、これまではまだ消費系が維持されていたし、一応中国政府も消費喚起策っぽい何かは出していたので、それでどうにかなるかと一部は期待していたようである。
そして一応GDP統計は堅調だからみたいなことを理由に今まで多くのエコノミストは擁護していたわけであるが、それが全く誤魔化せないレベルで消費系統計が悪かった。

一応GDPって生産面からのアプローチだから、生産だけを考慮すれば4%台成長あるかもみたいな話カモしれないが、じゃあ実際に消費面からアプローチしたらいくらなんでも実質GDP成長率統計をそのまま信じるのは無理あるんじゃないですかねえと言う話で、個人的に見積もっている実際の経済成長率については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国の本当の実質GDP成長率はどれぐらいを見積もるのが妥当なのか?

このような状態であるが、中国政府とPBOCは沈黙を継続している。
投資家はこのような状態であれば、さっさと財政支出を拡張し、金融緩和を強化することが当然と考えるわけで、実際に2024年に中国本土株もやばい雰囲気が出ていた時は矢継ぎ早に対応策を出したので、株価が一定程度回復してくれた。
しかし、今回は明らかに景気が消費面から悪いにもかかわらず、財政支出も金融緩和も強化してくれるといった話が出てきていない。

これを見逃してくれるほど投資家は甘くはないだろう。
中国本土株の方は国家隊で一定程度下支えは可能だろうが、外国人がメインの香港株式市場は既にだらだらと下げ始めている。

【香港ハンセン指数のチャート】
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真面目に経済対策を出さないのであれば、AIで米・日・韓・台湾株が盛り上がっている中で、香港株に投資する意味なんてないよなあ!?というのが投資家の実直な感想であり、実質的には中国政府とPBOCにはよ景気対策出せやという脅迫的な売りが発生しているというのが現状だろう。
一部では中国だってAI市場が発展しているじゃないですかみたいな意見があるかもしれないが、AI関連銘柄が多いであろう香港ハンセンテック指数は香港ハンセン指数より下げ幅がひどいので、AI市場の発展見込みがないか、あるいは発展した利益は全て中国共産党に没収されると思われているかのどちらか・あるいは両方であり、いずれにせよ一番基礎にある経済が駄目そうかつ対応策も出ないのであれば、出るまで売り込んでやろうという流れだろう。
    
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ゴールドはようやく資金需給が正常化して底打ち期待

金価格、7カ月ぶりに一時4000ドル割れ ドル高で基調に変化

ようやく需給が正常化してきたように思う。

今年頭までは絶好調であったゴールドだが、既にピークから25%も下落してきたということもあり、Youtubeなどでは暴落という表現が飛び交うような雰囲気となってきた。

【ゴールドのチャート】
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しかし、これまで当ブログで書いてきた通り、ゴールドは単にレバレッジかけて買われ過ぎてて、その後のCMEの先物証拠金引き上げでぶち壊されて需給環境が悪化しただけであり、それ以外の理由をこねくり回すことにはあまり意味は見いだせていなかった。
逆を言えば、需給環境さえ整えば引き続き中央銀行需要などがあるわけなので、しっかりした値動きになるだろうと思っていた。

では何で需給環境を見ればよいかといえば、やはりオプション売買のバランスであり、元々下記過去記事のような仕組みでゴールドはやり過ぎ上昇を演じてきたわけである。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

なので、その逆の状態が見えればよい、つまりプットオプションの出来高の方が大きくなれば需給動向は概ね正常化したと考えることができると思われる。
そして米国上場のゴールドETFであるGLDのオプション売買を見てもらうと、ようやくプットオプションの方が出来高が大きくなった。

【GLDのオプション売買動向】
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https://fintel.io/sopt/us/gld

ちょっと前まではワンチャン上値狙いのスケベコールオプション買いが殺到したために相場の中身がスカスカになっていたのが、今や逆にこれ以上下落されると困るというプットオプションヘッジをする方が向きとしては多くなっているわけで、さすがに上目線で無理やりレバレッジをかけた買いポジションはほぼ一掃されたように思う。

またゴールドのチャートを見ても下記過去記事に照らし合わせて考えれば、必ずしも割安ではないが、少なくとも割高ではないよねという水準にまではたどり着いたように思う。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

まとめると、ようやくゴールドは現時点でフェアバリューぐらいになったのではないかと思い、中心価格帯は4000~5000ドルの間ぐらいで推移するのではないかと思っている。(そこから多少上下あり)
ただ、個人的には積極的に買いたいというよりはとりあえず下げ止まる可能性が高いからこれ以上は含み益を削られなくて済みそうぐらいの感覚がメインであり、積極的に買い向かいたいと思う時期は多分もうしばらく後かなあと思っている。

なお、銀の方はSLVのETFのオプション売買動向を見ると、まだコールオプションの方が出来高が大きく、未練がましくロングにすがっている人が多いので、ゴールドと比べて劣った値動きしかしないだろうと思っており、いわゆる貧者の金と呼ばれる値動きが続くだろうと思われる。
    
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ストラテジー社の優先株STRCが仮想通貨市場の急所になる

ビットコイン6万ドル割れ、ストラテジー株は2年ぶり安値——AIミームコイン「MemeToro」が注目を集める

算数的に考えると、相当圧力が強い。

仮想通貨の下げが引き続き止まっていない状態で、とうとうビットコインの価格は6万ドルを割れる状態となっていて、多くの仮想通貨プレーヤーにとってはかつてないほど厳しい動きになっているように思われる。

【ビットコインのチャート】
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この仮想通貨下落の原因となっているのが、ストラテジー社の高利回り優先株STRCが原因になっており、これについて算数的にまとめていきたいと思う。

現在ストラテジー社が保有するビットコインは500億ドルぐらい(流通シェア4%)あるのだが、これに対して優先株の名目残高が145億ドルもあるわけで、大体この優先株に対して利息10%近く払う必要性があるので15億ドルぐらい年間キャッシュアウトが想定されるわけであるが、定常的なキャッシュフローをもたないストラテジー社はビットコインを売るか新しい資金調達をするかの2択しかないというのが市場参加者から見切られている状態となっている。
それしが選択肢がなくなり、さらに市場でクジラになっているのであれば、それを見逃すほど金融市場は甘くなく、足下ではビットコインとストラテジー社の優先株が同時に売られて下落する展開となっている。
ビットコインが理論的には1/3ぐらいの価格になると優先株の残高ぴったりになってしまうわけであり、ビットコイン下落が自己実現的に優先株の信用棄損に発展してしまっており、ビットコインが売られるのが先なのか優先株が売られるのが先かもはやよくわかっていない状態であるが、それが一番状況としてはまずい。

【STRCのチャート】
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発行残高が最も大きいSTRCの単価が既に80を切っているとなると、逆算した利回りでないともはや優先株を発行できない状態となっており、逆算すると大体配当利回り13%ぐらい出さないといけない。
しかも一番ビットコイン界隈で大きくなったストラテジー社が新しい優先株を発行すると13%近くの利回りを投資家に提示しないと資金調達できないということは、他の企業はもっと高い資金調達コストを提示する必要性があるのだが、もはやそこまで行くと自滅行為以外の何物でもなくなるので、実質的にこれまで他人の金でビットコインを買っていた企業達の資金調達の道は閉ざされたように思う。

ちなみにこれは優先株なので利息返済ができなくても会社としてデフォルト事項にあたらないものの、払えなかった時点でストラテジー社どころか仮想通貨を高配当優先株で資金調達して購入しようとする企業全部が新しい資金調達が今後一切できなくなるので、利息払えなくても問題ないと考えるのは大間違いである。
そしてこのように八方ふさがりになっている時は、皆が投げ売りたいというレベルにまで価格下落する可能性が高いわけで、下記過去記事の通りピークから75%下落は十分あり得るというシナリオが見えてきているように思う。

【過去参考記事】
ブームからバブル崩壊したセクター・個別銘柄が最低でもピークから75%株価が下落する理由

    
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