村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年05月

ソフトバンクGのIR資料から考えるAI市場の期待リターン

ソフトバンクG、ハイブリッド債4180億円発行 個人向け

どーんと行こうや。

足下で世界的な金利上昇を背景に、金利動向や金融政策動向に注目が集まっているが、日本では住宅ローンの変動金利が1%がどうのこうのという範囲であーだこーだとネット上で議論や喧嘩が勃発している。

しかし、世界を見渡すとこんなしょうもない変動でうだうだ気にしているのが馬鹿らしくなるほどの動きをしているところがあり、ソフトバンクGの借入MAX全力レバレッジAIブーム全賭けがその代表例である。
足下でソフトバンクはバカスカ社債を出しているわけだが、円建てでもハイブリッド債で4180億円出しており、これが利率約5%という数字である。
でもこれ固定でしょみたいに思うかもしれないが大体ソフトバンクGの社債は年限3~5年が中心で、ハイブリッド債も5年経つと早期償還スケジュールがあり、早期償還されないとお前の企業やべーんじゃねーのみたいに思われるので大体リファイナンスせざるを得ないわけで、結局住宅ローン金利と比べればはるかに短い年限でぶん回しているわけである。

さらに直近ではソフトバンクGは外貨建ての債券も出しているが、これの利率は下記資料の通りドル建てで8%近辺となっている。

【直近のソフトバンクG外貨建て社債の金利状況】
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https://group.softbank/media/Project/sbg/sbg/pdf/ir/presentations/2025/investor-presentation_q4fy2025_01_ja.pdf

つまり、一般的にドル建てがメインであるAI市場において、ソフトバンクGは投資をするために平気で1桁後半%の金利で金を新規で借りているわけである。

もちろんこの借りた資金はAI市場に全部投入されるわけである。
じゃあソフトバンクGは一体AI市場からどれぐらいのリターンを取れると計算して、今の資金調達をしているのだろうか?
そのヒントもIR資料の中に書かれている。

【ソフトバンクGのIR資料】
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まずエクイティコストが11-16%と記載があるので、これがいわゆる最低限出すべきリターンだとはじいている。
しかし、エクイティコストしかリターンが出せないと、企業として成長していないことを意味するわけであり、ソフトバンクGがこの程度のリターンがAI市場の期待リターンの目線なわけがない。
さらに右側に記載があるが、過去の案件の平均年間エクイティIRRが書かれている。
この中でアリババは中国自体がオワコンになってポジションを利益確定していったので例外だが、TモバイルとARMはまだポジションを持ちながら、この含み益を活用して様々な資金調達を実行している。
これが意味することは、AI市場から出せるリターンはTモバイル・ARMのエクイティIRRより高い可能性が高い目線でいるということである。
この2社の年間平均エクイティIRRが25%ということは、どんなに低く見積もってもAI市場エクイティIRRは30%以上は狙っているはずである。

エクイティIRR30%を叩き出せるなら、今抱えているドル建て平均調達金利コスト5%なんてのは屁みたいなものと考えているはずで、だからこそ多少の金利上昇でもAI関連株が止まっていないのではないかと思う。
このようにソフトバンクGが考えていることと下記過去記事の考え方をあてはめていくと、我々個人投資家も基本的にはこの流れにライドしていくのが重要だと思う。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

     
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名実ともに金融政策最後尾は中国になった

長期金利、初の日中逆転 中国がデフレで歴史的低位

PBOCが金融引き締め意向を示すまで余裕で相場を見ていられる。

上記日経新聞記事は日中で10年国債利回りが逆転しましたよというニュースであり、個人的にはいつかは来そうと思っていたが、想像より早い段階でこの状態にたどり着いたなあと思ったので、これについて市場への影響をまとめていきたい。

当ブログではもう何回も言っているが、中国の低成長(どう考えても統計発表GDPが大嘘感)が長引きそうということについてはもう大分前から下記の通り言及してきた。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

これまでは本当にそうかなあみたいな意見がまだ市場では多かったが、もはや言い訳ができなさそうな状況が上記日経新聞記事や下記中国と日本の10年国債利回りの逆転が2026年頃から続いていることから見てとれる。

【中国10年債利回りのチャート】
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【日本10年債利回りのチャート】
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財政の質の問題なんじゃないかみたいな話をする人もいるが、中国は中央政府の財政状況はともかく地方政府があまりにも雑な財政をしていることを考慮するとそこまで状況は変わらないんじゃないかなあと思っており、そう考えるとこれは純粋にインフレ状況と名目経済成長率に直結した数値となっているわけである。

このように中国が金融政策において最後尾にいることが鮮明になっていることを考慮すると、やはり日銀が利上げをしたら市場が崩壊して株価が暴落すると未だに考えることは大きな間違いであることがわかる。
過去記事にも書いた通り、日本が利上げしたら市場が大混乱に陥ったのは日銀が金融政策の最後尾にいたからという理由が非常に大きい。
しかし今は違う。
はるか最後尾に中国PBOCがおり、しかも金融政策が後手に回っている可能性を背景に人民元高にさえなっているという状態にあり、ほぼ完ぺきにデフレ時代の日本をトレースしている状態にある。
それをしっかり裏付けしているのが、10年債利回りが逆転したことで確実となったわけである。

なので、今市場全体が金融政策で崩れるとすれば最後尾にいるPBOCが調子こいて金融引き締めを意図し始めて誰も金融市場を支える資金供給をしなくなった時であるわけだが、それは1年や2年では到底たどり着けなさそうだとは思うし、PBOCは金融緩和を継続しないと真っ先に中国株が死んでしまうので、PBOCにはだらだらと金融緩和を続けて今の生ぬるい相場を継続させてほしいところである。
    
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エヌビディア決算は問題なく通過すると予想

日本株、米NVIDIA決算がAI相場左右 長期金利の上昇が懸念要因

外れたらごめんちゃいということで。

米国決算シーズンもほぼ終わりだが、毎回であるが本当の終わり頃に大ボスのエヌビディア決算が待っており、投資家の注目は最大限ここに集まるというのがここ数年の流れであり、大体主要メディア報道ではどうなんでしょう!みたいな報道が大量に発生する。

そして、大体どうなんでしょう!みたいな文章が出てくる時は懸念材料とセットで合わさって出てきて、大抵不安煽りのPV狙い目的的な内容が大半である。
そして決算が発表されると毎回内容大丈夫でしたねという動きになる。

ただ、決算内容と株価はまた違った動きをするわけで、実際にエヌビディアの決算自体はほぼ問題なかったが、株価は2025年8月頃から動きが悪くなり、2026年2月の決算発表でも株価は持ち上がってこなかった。

【エヌビディアの株価チャート】
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これはそもそも2023年から関税ショックを除くとほぼ休憩なしで上がってきた反動的なところがあり、みんなポジションがパンパンになってそろそろ違うところにもポジション振っていこうみたいな動きから2025年8月以降からは決算が問題なくても株価は休憩を挟まざるを得なかった。

しかし、このポジションアンワインドはホルムズ海峡封鎖で売りたいと思っていた人達は売り切ってほぼ払底したことに加えて、下記過去記事に書いている通りAIブームは第二幕に突入した。

【過去参考記事】

AIブーム相場第二幕が開始されたと思う理由


そしてこうしたことを反映してのエヌビディア株価上昇は角度的には急速に見えるが、底打ちからはまだたったの2ヵ月程度しか経っていない。
このような短期間で買いたいと思う人がポジション構築を仕切れるとはとても思えない。
個人投資家ならともかく、超大型銘柄なわけで機関投資家もポジションをどうするか悩むような銘柄であり、機関投資家は資金量的に短期間で金をつっこむと相場ぶっ壊してすっ高値買わざるを得なくなるので、普通に考えれば機関投資家のポジション構築は道半ばだと思う。
もちろんこのような考え方の根っこには、下記過去記事のようにAIセクターを観察見しながら考えている。

【過去参考記事】
どのようにAIバブルが醸成され、最終的にどうはじけるかのプロセスを考える

こうしたことを考慮すると、今回は特段エヌビディア決算を跨ぐことについての恐怖感は個人的にはなく、持っているものでここまで好調推移してきたものは全部引っ張るのは問題ないだろうと思っているが、外れたらごめんちゃいとしか言いようがないことはご留意ということで・・・

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インドもゴールド・シルバー市場から金を抜く体制に移行

インド、金・銀の輸入関税を15%に引き上げ ルピー防衛で

貴金属市場から税金として資金が抜かれ始めている。

ゴールド・シルバーなどが去年の半ばごろから今年初頭まで途中から投機的な動きをしながら大幅上昇してきたが、そうしたこともあり一部の国ではこの投機的な動きに警戒感を示したり、ここから金を分捕る動きが発生していた。
その代表例が中国において金購入時のVAT引き上げなどがあり、これがゴールド価格上昇の中で発生していた。

そして、足下ではこの貴金属購入にあたっての税金を引き上げた仲間としてインドが参加した。
インドは原油価格の高騰からの外国人投資家の資金引き揚げもあり、為替がずっと圧力を受けている中で外貨繰りの改善が必要な状態となっていた。
そうした中では、国民全体からの反発が少ない手法から選択肢が採用されていくわけであるが、既に相当な為替介入をしている中で、何かしら外貨資金流出の対応が必要になっていた。

そうした中でインドが過去にも採用したことがある政策として貴金属輸入の関税引き上げであるが、今回は実際に上記のように引き上げられた。
この時点で個人の金購入が世界一多い国と2番目に多い国が実質的に貴金属を購入するにあたって徴税を強化したのである。
そして、これは実質的に貴金属市場のプールにある資金に手を突っ込んで略奪しているのと同じであり、これが足下の貴金属市場の足を引っ張る結果となっている。

【ゴールドのチャート】
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このようにゴールド・シルバーの貯蔵については税率変更リスクがあり、既に中国・インドと2大個人購入国が税率を増やしていることを考えると、みんな原油確保でひーひー言っている中で暢気にゴールド・シルバー買っている場合じゃねえというのが本音ではないかと思う。
そしてこの引き抜かれたお金は原油購入に実質的に充てられるわけなので、自然とゴールド/原油レシオが歴史的にゴールド割高となっている中で、貴金属⇒原油へのマネー還流が起こっているわけである。

なので、ゴールドがいくら高くても投資妙味があると考えるのはやはり浅はかであり、下記過去記事のように見ていくとゴールドの買い場というのは当面ない、上昇したとしても当面は株に劣後する可能性が高いと思っていた方が良いと思う。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

貴金属は安全資産みたいな言い方をする人もいるが、このように税率変更リスクなどがあり、価格が上がりすぎると価格上昇から金を引き抜こうとする国が出てくるので、決してゴールド・シルバーの価格上昇率が無限になることはないのである。
     
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セレブラスの株価下落で冷や水ぶっかけられた半導体株

AI半導体の新星セレブラス上場 公募価格2倍に急騰、NVIDIAに挑む

まあこれはしゃあない。

先週金曜日は世界全体的に株価が崩れる結果となったが、その中でも半導体株の下落幅は他よりも2~3倍近く大きい下落幅となった。

【SOX指数のチャート】
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これについては、多くが世界的な長期金利の上昇を理由に挙げているが、個人的にはそれは確かに一つの理由だとは思うが、メインの理由ではないのではないかと思うので、ではメインの理由は何かというのをまとめていきたい。

じゃあ金曜日の半導体株下落の犯人はなんだったのかというとセレブラスの上場が原因ではなかったかと思う。
上記日経新聞の記事でも取り上げられているが、このセレブラスという企業はエヌビディアと同様にGPUを設計する企業であるが、特徴としてはウェハ全体を一つのGPUとして製造して、半導体間のコネクティビティ問題を解決しようという半導体企業である。

メディアでは第二のエヌビディアとして注目されていたりするが、これがIPO価格に対して2倍の初値で上場スタートしたということもあり、著名投資家ジムクレーマーがさすがにその株価は馬鹿げているなど一部では過熱しすぎだろという話が出てきた。
そして、セレブラスの株価が異常な値段を維持できたのはたったの一日で、翌日の金曜日はいきなり10%下落するという展開となった。

これは何が起きたかと言うと大型IPOが実施された後に初値が無茶苦茶なところについてしまうと、IPOに当たった投資家は濡れ手で粟という形ですぐに利益が出るので、すぐばーっと売り出されてしまう。
そうなると、バスケットで半導体持っているファンドやら機械的な売りなども入るために、半導体株全体が下押しされてしまう、これが金曜日に起こった半導体株の大きめな下落のメイン要因だと思われる。
もちろん金利上昇とかもあるが、いってもまだ米債金利はレンジ圏内にいるわけで、セレブラスが売られる理由にはあまりなっておらず、どちらかというと真実はこちらの方だろうと思う。

一応IPO価格自体は主幹事のモルスタがそれなりに理性的な値段をつけていた(それでも純利益対比で140倍ぐらいだったりするが)が、そこから投資家が勝手にわっしょいしてプライスを持ち上げてしまった。
このようにセレブラス上場はこの企業自体は実態がきちんと伴ったものであるが、わけわからないIPO後のプライス着地をして、さすがにその値段はさっさと売っちまって逃げちまえという判断が働きやすくなり、そこからドカドカ確定売りが入ったがためにセレブラス株が下落した上に、他の半導体株もまとめて売られたというのが先週金曜日の動きだっただろうと思われる。

一部ではこの動きを見てもうAIブーム終了みたいなことを言い出す人もいるが、下記過去記事に照らし合わせて考えれば、少なくともセレブラス上場は初値がおかしかっただけで全体としてはそこまで目くじらを立てるような話でもないので、一定の調整でも十分耐えられるポジションであれば特段気にする話ではないだろうと思う。

【過去参考記事】
どのようにAIバブルが醸成され、最終的にどうはじけるかのプロセスを考える

ただ、これで一旦半導体株についてはブレーキがかかったので、半導体一辺倒ポジションの場合は少しポジション以降などを考える時期に来ているかもしれないと感じた。

ちなみにこれからSpace Xの大型上場を控えており、宇宙株も同じような動きになりそうというの今からでも十分想像しやすい動きだろうと思う。
しかも宇宙株は半導体株と違ってどいつもこいつも黒字化いつやねんというやつらばかりであるので、より影響は大きくなりやすいので、この半導体株下落は宇宙関連株大丈夫なんですかねということも暗示しているように思う。
      
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