村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年05月

後から孔明でも真の株価の動向理由を把握できることは値千金

最低でも後から孔明でも正しい物の見方できるようにならないといかん。

世の中に株価情報というのは、大体先出予想解説をするタイプと後から孔明で結果が出た後の振り返りで株価動向を説明する2つのタイプで大別される。
しかし、様々な情報を見た時に、後から孔明の解説のくせに表面上の情報の単なるつまみ食いをしているだけで、真実にたどり着けていないがために、結局将来の投資シナリオについて何も有用なものを引き出せていないケースというのが世のメディアに出ている情報のほとんどとなっており、思考の深さが株価の判断をする上で致命的に駄目だなみたいに思う時がある。

今回はその例を直近で大きな減損を出したYoutube事務所であるカバーの決算から書いてみたいと思う。
下記参考ニュースの通り、直近でカバーは大きな減損損失を出していて、株価はやや厳しい動向となっているが、いわゆる大体表に出てくる情報は下記の通り、表にキレイに見える部分だけの解説がほとんどである。

【参考ニュース】
「ホロライブ」運営のカバー、メタバース事業撤退で30億円超減損……Vtuber事務所、成長の道はどこにあるのか

【カバーの株価動向】
タイトルなし


しかし、個人的には上記のような表面的にきれいな理由は真実の株価低迷理由ではないと思っている。

そもそもカバーの現在のVtuber達の主力タレントは基本的にニコ生上がりの配信者達が多い。(これは知っている人は暗黙の了解になっている)
大昔のニコ生市場はなぜか金儲け自体が悪だと考えられていて、今のようなインターネット配信自体が金になる市場とは認知されていなかった。
しかし、配信に人が集まるのを見て、普通は人が集まるところは金になりやすいというところに目を付けて市場として動き始めたのが、Vtuber市場だと認識している。

Vtuber市場が拡大する中でカバーはニコ生上がり人気配信者をスカウトしていって、それをマネタイズしていったことが実は成長原動力であった。
しかし、この成長モデルの限界はニコ生上がりの人気配信者をスカウトしきってしまった時に到達してしまった。
おそらくこれにいち早く気付いたエニカラはVtuber養成スクールを立ち上げて、常に潜在的にタレント能力のある人を発掘できるようなシステム構築に動いたわけである。(それでも株価はあまり上がっていないが)
一方で、カバーはこれに気づくのが遅れたのか、スカウトモデルからの脱却が遅れ、違う方向にお金をかけたわけで、以前に上手く行った成長モデルからの脱却が遅れた。
こうしたことから、カバーは新規で稼働してマネタイズできるVtuber確保というのが滞った。

そしてここからさらに問題なのが、新規Vtuber確保が滞った時に上場企業という性格が足枷となった。
上場企業は常に利益成長を求められるわけなので、利益成長プレッシャーが常にかかるわけであるが、新規Vtuber確保ができていなければ、既存で確保済みのVtuberの一人当たり売上高を増やすしかない。
これが配信時間の長期化などに繋がったわけであるが、人間がストレッチできる限界というのが存在するわけなので、Vtuberの健康問題に発展し始め、これが最近のVtuber脱退問題につながり始めたのではないかと個人的には推察している。
(だから最近ホロライブの主力タレントが1ヵ月休暇を取ったりしている)

ここまで推察できれば、カバーの株価低迷の真の理由はマネタイズできるタレント確保プール(元ニコ生人気配信者)の枯渇と自力でのタレント発掘能力不足に端を発した構造的な問題であり、それが解決できるかどうかが今後の同社の株価動向にとって重要ファクターになると理解できるし、それを解決することは短期間ではどう考えても難しいことも理解でき、ここまで判断してようやく適正な株価バリュエーション評価をできるようになる。

このように真の理由にたどり着けないと、正確な株価評価ができなく、投資判断があやふやになってしまうので、意外と後から孔明で株価解説するというのも難易度が高いもんなんですよと思う。
 
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

エヌビディアCEOのジェンスンファン氏の手はミダスタッチ

インテル株が24%急騰、ドットコムバブル期の記録を更新

ジェンスンファン氏は実質ミダスタッチ。

米国市場3連休ということで、結構連休挟まったりすると相場の雰囲気が変わりやすいということもあるので、ブログの過去記事を読むながらこれまでの相場の動きどうたっけかなあと振り返っていると、そういえばインテルについて以前にこんな記事を書いたなというのを思い出した。

【過去参考記事】

オールUS覚悟ガンギマリでテック業界はインテルを支える方針が決定

これは米国政府がインテルに出資すると同時にソフトバンクG・エヌビディアもインテルに出資するといった報道であり、当時のインテルの株価は30ドル台であった。
この出資報道当時は何を馬鹿なことをしているんだみたいな論調がXでは多かった記憶があり、個人的にもインテル自体にどうのこうのというよりオールUSにエヌビディアも乗っかることあるんだねえと思う程度であった。

しかし、馬鹿だったのは結局我々素人の方であったことは、現在のインテルの株価を見れば一目瞭然であり、そこからインテルの株価は余裕の3倍になっている。

【インテルの株価チャート】
タイトルなし

インテルの株価が途中から爆発的に上昇したのはマルチエージェントAIの実装進展に伴って、CPUも必要数量が増加し始めており、既にTSMCの稼働状況がほぼ満杯な中でインテルの垂直統合ファブの方はまだ稼働を増やせる余地がたっぷりあり、今後利益が爆発的に増加する可能性が見えてきたからである。

 ここから考えられることは、エヌビディアのジェンスンファン氏はAI市場拡大のために必要なものは何かというのを全て知っており、それに対してどういったパーツが必要なのかに基づいて資金を投じているということである。
そして関係したものは順にそのうちAI市場で必要とされるものであるということで株価が爆発的に上昇していくわけで、ジェンスんファン氏の手はミダスタッチ的な能力があるとも言えよう(笑)
それに対してAIについて知らない大半ド素人が外野からやいやい騒ぐが、結局後で株価という結果を見せつけられてわからされるのである。

もちろんこの投資が成功するかどうかの大前提は下記過去記事のような考え方に照らし合わせてAIブームが崩れないという確信を持っている場合に限定される。

【過去参考記事】
どのようにAIバブルが醸成され、最終的にどうはじけるかのプロセスを考える

AIブームは間もなく崩れると思うのであれば全く見当違いの投資手法であるが、逆にAIブームは崩れないと思うのであれば、エヌビディアが出資・取引している企業の株を片っ端から買えばいいのであり、外野の素人の意見を聞く必要なんてのはないのである。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

2022年の利上げと2026年利上げの雰囲気は全く違う

豪中銀が今年3回目の利上げ、4.35%に インフレ高止まり警告

同じ利上げという文字面だけで捉えると相場認識を誤る。

2026年に入ってからまだ米国は利下げ継続と思われていたところから、原油価格高騰もありあれよあれよと利下げ観測が消えつつあり、逆に少し利上げがあるんじゃないかみたいな予想も出てきている。
これによって米国金利上昇するんだからもう株価は下落間違いなし・あるいは上がるわけがないという論調が強い。
しかし、これについて利上げという表面上の文字面だけで判断していて、中身をしっかり考えていない人ほどそういった雑な判断に行きつきやすいと思うので、今回はいやいやその判断はいくらなんでも拙速ではというのを書いていきたいと思う。

2022年の時を思い出すと、ちょうど下記過去記事のようにデフレからインフレに世界が変わる中で、一体どれだけ利上げすれば良いのかという恐怖感があった。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

また中央銀行側もインフレが止まる兆しが出るまで無制限に利上げするという覚悟さえ見せていて、ワンショット50bps利上げとか平気でぶちこんできたために多くの市場参加者が面食らってしまった。
これが2022年の大体ピークから20%ぐらいかつ1年ぐらい続いた弱気相場の動きで、まだ多くの人の記憶に残っている動きであった。

しかし、現在の中央銀行の姿勢は利上げはもしかすると必要かもぐらいのテンションで、やったとしても25bps様子見をしながらとなる。
しかもその回数もあったとしてもたかが知れていることが直近のオーストラリア中銀のRBAの金融政策決定会合で確認できている。

前回金融政策決定会合で、RBAは0.25%の利上げを決定して、政策金利4.35%と今年3回目の利上げとなった。
利上げ理由として経済の供給能力に対して需要が強い=capacity pressuresが残っていることを示しているとして、そこにさらに原油価格上昇でインフレ懸念があるというのを挙げている。
しかし、議事録を見るとかなり据え置き議論も丁寧になされていて、今回の利上げでかなり金融引き締め的な状況になったので様子見したいという姿勢が強い内容となった。
これは直近10年国債の実質金利(名目金利-10年予想インフレ率)が既に2.5%近くと諸外国の実質金利と比べても一番高く、この水準であれば様子見することが是となるとRBAは考えているわけである。

オーストラリアが10年実質金利2.5%で立ち止まっていることを考えると、現在米国の実質10年金利は2.1%になっているわけで、利上げしたとしても1~2回がせいぜいでしょという見極めが可能なわけである。

【米国年限別実質金利】
タイトルなし

https://muragoeinvest.com/ustmarket

こういうのを考慮していくと、「金利上昇しているのに株価が上昇しているのはおかしい」というのはちょっと大袈裟であり、別に今ぐらいの中央銀行のテンションであれば多少の金利上昇はあってもAIブームを止める程の利上げにはならないわけで、多少株価にマイナス影響があったとしても根本的に相場を崩すほどのような話にはならないでしょというのも見極めやすいだろうと思う。

ネット上では一部金利がボックスを上抜けする可能性があり、そこを上抜けたら金利は上昇トレンドになるという意味不明な解説をする人もいるが、金利がテクニカルだけで動くなんてことは下記過去記事の通りありえないので、参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
債券金利をテクニカル分析だけで判断することにはほとんど意味がない理由

    
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

世間一般の相場認識は「逆金融相場」である模様

【参考動画】
タイトルなし

https://www.youtube.com/watch?v=n_qewuGccUY

こういう見立てをしてくれているのが一般的なら、まだまだ投資チャンスは大きい。

以前のブログ記事にも言及したことがあるが、自分は結構投資系のYoutube動画を見る。
なぜなら、Youtubeの投資系動画というのはおしなべて「今世間一般が思う相場認識」に近く、自分の考えとどれぐらいギャップがあるかというのを見ながら、投資ポジションをどうするか考えるヒントになるからである。
ギャップが大きければ大きいほど、基本的には「自分の認識の方が正しい」と考えながら投資方針を決め、逆にギャップが縮めば「そろそろ危ないかも」と考えて戦略見直しなどを実施したりする。

そうした中で、金融サイクルと業績サイクルがどの位置にいるかという議論が時々Youtubeの投資系動画では出てくる。
いわゆる「金融相場」・「業績相場」・「逆金融相場」・「逆業績相場」のどの位置にいるかという議論である。
Youtubeの投資系動画を暇な時に色々見ていると、大体この辺を解説している人の解説は大体「業績相場の後半」あるいは「逆金融相場の入り口」と述べる人がほとんどであり、これは素人だけでなく、上記のようなピクテなどの金融サービスを提供していて、相場をきちんと見ている人でもこのように述べることが確認できている。

個人的にはこれは非常に嬉しいお知らせだと思っている。
なぜなら自分の見立てでは今は金融相場だと思っているからだ。
いや、正確には特殊な金融相場だと思っており、金融環境は大多数の企業のために緩和的である一方で、AIブームが一部の企業の収益を大幅に引き上げているために半分業績相場も混じっているのである。
だからこそ投資ポジションは非常に強気な姿勢を維持している。

しかし、相場が難しいのは皆が金融相場だと思っているとあっという間に相場が過熱してしまい、実際に2022年の株式市場の低迷は皆が金融相場という認識を持って一気に相場を押し上げてしまい、そこに世界各国の金融引き締めがぶつかった影響が大きく、皆が金融相場だと認識してしまうことが最大のリスクだと思っており、そうならないことを逐次チェックしている。

そして、上記ピクテのセミナー動画を見ると、現在のサイクル立ち位置は逆金融相場に近い位置にいるという解説をしている。
つまり多くの人は杓子定規に相場を見ていて、株式ポジションをどう追加するかではなく、どう減らすか・どれだけ現金ポジションを持っておくべきかという、自分とは全く対照的な考え方をしている人の方が心理的には多いことがわかる。
他のサイクル図解説を見ても、その認識はどうやら確固たるもののようだ。

【参考動画】
タイトルなし

そしてこれに基づいた推薦ポートフォリオは下記のようである。

【参考動画】
タイトルなし

すごく良い!(皮肉)
株式をポートフォリオ全体のたった25%しか持たせないようにしてくれている。
さらにその中でAIに絡みそうな比率はさらに低い。
現金35%も持たせようとしているところも今後この出遅れ現金ポジションが今後の相場上昇エンジンになってくれると思うと楽しみでしょうがない。

結局このように経済統計や企業財務など公開情報から同じ情報を見ているはずなのに、全く市場サイクルが今どこに位置しているのか真逆とも言えるレベルの判断になるのは下記過去記事のように市場サイクルの解像度が低くて、単に経済統計を数値としてしか見ていないからだと思っている。

【過去参考記事】
市場サイクルの解像度を上げるためには何を見るべきか?
      

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

日本株はバブルの領域に入っているのかを法人企業統計から考える

海外投資家、「日本株スルー」脱却 心地よい3%インフレ

まだまだこっから。

日経平均6万越えでわっしょいわっしょいとなっている中で、これはもうバブルではないかと早売りしたり変にショートを振ったりという人がX上では結構見られているが、個人的にはまだまだこっからではないかと思っているので、それについてまとめていきたい。

株価が継続的に上昇していくためには、企業が借金をして設備投資や研究開発投資を継続的に行うことが必要なことは下記過去記事で書いてきたわけであるが、今の日本企業はどれぐらいその余力があるのかというのを考えないことには株価の上値余地がどれぐらいあるのかというのを計測することはできない。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

そこで、財務省が出している法人企業統計を基に、その余力を見ておこうというのが今回の試みである。

【参考統計情報】
財務省 法人企業統計

まず日本企業全体の自己資本比率というのはどう推移してきただろうか?

【日本企業の自己資本比率推移】
タイトルなし


日本は高度成長経済期からバブル崩壊まで全力でレバレッジをかけてきたことにより、自己資本比率が極限的に薄くなっていたのが上記統計データでもわかると思う。
そしてバブル崩壊後は借金返済に追われる形でひたすら防衛に回らざるを得なくなった。
その過程で自己資本比率の改善は1995年前と後で大分様相は違う。
1995年前まではどちらかというとまだ一部でこのバブル崩壊が軟着陸するかもという希望を持ちながらのダマシダマシ的な改善であったが、1995年に本格バブル崩壊で借金返済が第一優先になったことから自己資本比率をひたすら改善させるしかない状況となっていた。
この自己資本比率改善は設備投資・研究投資・従業員賃金などあらゆるものを犠牲にして行われたことは容易に理解できるだろう。

そして時は流れて2025年のデータを見ると、自己資本比率は44%となっている。

【最新の自己資本比率状況】
タイトルなし

昨今のインフレで賃金引上げが行われながらこの自己資本比率なので、今後この自己資本比率を設備投資や研究開発に回す余力は十分ある状態である。

しかも、これは単にストックだけでなくフローにも余裕がある。

【受け取り利息と支払い利息状況】
タイトルなし

バブル期は支払い利息が圧倒的に受け取り利息を超えていたのが、今や受取利息が支払い利息の3~4倍ある状態にある。
これは相当程度が外貨で預けられていてという要因もあるだろうが、受取利息が支払い利息より多額にのぼる状況は、まさに金余りもいいところという状況である。
こうした中で発生しているのがこれまで無限にモノを供給してきた中国の切り離しとAIブームによる設備投資の絶対的必要性の増加である。
このチャンスを日本企業はまさに掴める絶好の立ち位置にあると言ってよいだろうと思う。

こういうことを考えていくと、今時点で日本株がバブルだとは個人的には到底思えず、粘り強く投資ポジションの維持と買い増しをしていきたいのが現状の日本株の状況だと思う。
    
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信