村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年03月

一旦ゴールド・シルバーの下落は止まったかのように見えるが・・・

金・銀価格が再び急落 金利上昇・原油高・アジア株安、揺らぐ価値

難しいこと考えず、単に割高なだけ。

今週は貴金属を高値で掴んでしまった人達にとっては非常に手厳しい相場となり、特に一時期人気のあった銀(シルバー)はあれよという間に高値から半値近くまで下落する大惨事となった。

【シルバーのチャート】
タイトルなし

報道やYoutubeで小難しく解説していたりする人はいるが、別に経済ファンダメンタルズがーとか実質金利がーとかそういうことはほとんど関係なく、当ブログでは何回か買ってきたが、後先何も考えていない投機プレーヤーがレバ掛けて買った分がCMEの証拠金引き上げで買いが鈍ったところに、イラン情勢のせいで貴金属なんて買ってる場合じゃねえぞということでさらに買いが薄れて、強制投げさせられた人が爆増しただけだろと思ったりしている。

しかし、さすがに米国上場ETFのSLVの出来高を見ると投げ売りっぽい出来高が出来ていることに加えて、下記過去記事の考え方に沿いながらCBOEのサイトで確認できるオプション出来高を見ても大分投げ売りのテンションが高まったなというのが観察できた。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

このようにたった数ヵ月前はいかにレバレッジをかけて上値を追うかみたいなテンションだったのが、木曜日の貴金属は今度は慌てて売りに回るみたいな極端なムーブになり、そういった極端なムーブが見えたことでとりあえず強制売りに追い込まれた人の売りが一巡して、無差別爆撃的な下落は一旦止まったかもと思ったりしている。

しかし、じゃあ再び貴金属が再び上値を目指すかと言うと、これは現時点では少し難しいのではないかと思う。

まず理由の一つ目としては、以前として割高感が目立つことは下記過去記事の考え方をすれば当然であり、馬鹿が高値掴みしたところをわざわざ助けに行きたいみたいなお人よし投資家は少ないわけで、上昇すればやれやれ売りがどかどか入ることは想像に容易い。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

また、これまでゴールドの上昇の大きな理由として世界各国の政府・中央銀行がドルの代わりにゴールドを外貨準備として買っているという材料があった。
しかし、今世界各国にとって重要な戦略的資源はなんなのかと考えればゴールドではないことは明白だ。
ご存じの通り、今世界各国にとって最も重要な戦略資源は原油・天然ガスであり、いくら払ってもいいから手に入れなければいけないという国だらけになっている。
そんな時に暢気にゴールドを買うという判断する馬鹿がこの世に存在するだろうか?

さらに原油価格をゴールドで割ったレシオを計算してもらえればわかるだろうが、1990年以降の中で最もゴールドは原油価格に対して割高になっている。

【1990年以降のWTI原油/ゴールドのチャート】
wti_gold_ratio_since_1990

こんな状態でわざわざクソ割高なゴールドに金を消費する意味が足下ではないわけなので、ゴールド価格の上昇の大きな根拠になっていた中央銀行や政府による金購入期待が当面期待しづらくなる。
少なくとも世界各国とも備蓄を放出している状態なので、備蓄の再補充ができるまでゴールドの積み増しをしている場合ではない。

以上を考えれば貴金属価格自体はワンチャン底打ちはあるだろうが、上値を追えるようなポテンシャルがなく、ゴールドは当面横ばいのような値動きが継続するだろうと思う。
そうした時に、シルバーはよくわからんインフルエンサー達が煽った分に経済合理性があるとは考えづらく、さてどうなるんでしょうかねえというところである。
       
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キレてインド株をぶん投げた話

久々のブチギレ投げ。

自分の投資能力的に短期売買や投機的な買いというのが苦手ということもあり、比較的長めの投資スパンを前提にストーリーを考えて投資をしている。
そのため、一定期間投資の値動きが悪くても、投資ストーリーさえ崩れていなければ多少下落してパフォーマンス悪くてもそれを許容しながら上昇するのを待つスタイルであったりする。
少なくとも投資先が苦境に対して真面目に対応する意志があるのであれば、その努力を見守る形で投資ポジションを維持を継続する。

しかし、逆をいえば自分の考えた投資ストーリーから外れていき、さらに投資対象が状況に対して不誠実な動きしかしなくなり、最終的に怒りを感じた時にキレる形でポジションをぶん投げたりする。
詰め将棋的に考えていき、これは詰んでいると思った時にぶん投げるスタイルだと考えてもらえればいいだろう。

そうした中で、全体のポジションの中ではそこまで大きい比率ではないものの、インド株の投資を2023年から続けていたが、ここにきて自分の考えた投資ストーリーの成就が難しいことに加えて、ここもとのインドの金融政策の不誠実さにキレてしまい、まだ利益があるうちにぶん投げようと決意するにいたった。

【SENSEXのチャート】
タイトルなし


まずインド株については新興国の中でも製造業サプライチェーン移転での成長ストーリーを前提に高いPERが正当化されてきていたが、これが中々進まないことに加えて、直近のイラン情勢のせいもあり、皆それどころではなくなりつつある状態になっている。
特に新興国ではこれまでずっと資源国系が過小評価されてきたということもあり、資源高になりつつある中でインドについては他の新興国より立ち位置が不利な雰囲気が目立つようになってきて、はたして高いPERが正当化できるのか疑問が高まりつつあった。

そうした中でインドという国において不誠実なのは、インドの国債金利がインド中銀の買いオペによって人為的に低い水準に抑制されていることにあり、しかもそれをイラン情勢で原油価格が高騰しても続けていることにある。
インド中銀は2024年後半ぐらいから市場流動性がタイトであることを理由に度々国債をセカンダリーで中銀が買いオペをしてきた。
しかも短い国債だけでなく、10年ゾーンの国債買い入れも積極的にするなど、その動きは日銀とやや似ている部分がある。

しかし、これによってインドの国債金利については人為的に本来あるべき水準から低い水準に抑制されてきたわけであるが、それでも株価がなかなか上昇しないということにややいらだちを個人的にはおぼえていた。
そこに今回原油価格の高騰がぶつかってきた。
周りの新興国を見ると、為替については介入している国もあるが、国債金利を買いオペで抑えようという国はインドを除いてほぼなかった。
一方でインドはすかさず1兆ルピーの買いオペを実施し国債金利の上昇抑制に動いた。

しかし、これによって他の新興国と比べてその金利の低さが目立つようになってきた。
メキシコ・ブラジルより明らかに低いだけでなく、ハンガリーよりも金利が低い状況になっているわけで、他の新興国が国債金利が軒並み数十bps単位で馬鹿売られする中で、インドの国債金利はほぼイラン情勢前の水準に留まっている。
しかし、インドについては人為的に国債金利を低く抑えているせいもあって、そのひずみが為替に波及してしまっており、インドルピーの為替は新興国の中でもダントツに動きが悪い状態になっている。
はたして、この歪なひずみをどれだけ市場が許容しつづけるかが疑問に思えてきたし、さらにこのひずみが解消される時は株式市場が無傷というのはどう考えても難しい様に感じた。

このように、国債買いオペによる歪みが強制解消を受けた時に株に対して現状以上に厳しい悪影響を与える可能性を考慮すると、ただでさえ高いインド株のPERをどうしても許容できなくなったし、その事情を無視して国債買いオペを継続するインド中銀に対して怒りを感じ、今回インド株ポジションをぶん投げるに至った。

このブチギレ損切りでカテゴリ丸ごとぶん投げたのは、過去には2021年7月の香港株・ARKKなどグロース株でもやったことがあり、久々であったがそれぐらい今回インド株については失望させられたということである。
そして、このインド株をぶん投げて得られた資金は丸ごとにそれにあてつけるかのように米国株エネルギーセクターETFへの資金投入に使うことにした。

【XLEのチャート】
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米国エネルギー株については既にそこそこ高くなっているものの、まだ過去からの推移を考えれば上昇幅は大したことがないことに加えて、バークシャーハサウェイが未だにオキシデンタルペトロリアムへの投資コミットを続けていることを考慮すれば、まだ十分エントリー余地があるだろと思い、さらに言えばインド株のこのマイナスひずみの分は結局エネルギー株に吸われていると思ったので、丸ごとインド株資金を米国エネルギー株に振り向けることとした。

下記過去記事の考え方で直近のエネルギー株動向見ると、ようやく永い眠りから覚めようとしているように思えており、逆に言えばこれはインド株にとっては明らかなマイナスということで、思い切ったポジション入れ替えとなったわけである。

【過去参考記事】
原油・ガス価格の先行きを予想するために注目すべきエネルギー需給サイクルとは?

      
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利下げ終着点が後ろ倒しになる結果となったFOMC

FRB議長「原油高を非常に懸念」 金利据え置き、年内利下げ1回は維持

どんどん利下げ終着点が後ろ倒しになっていく。

市場の話題はイラン情勢8:プライベートクレジット懸念2みたいな雰囲気だが、そうした中で何か特別な言及があるかどうかということで注目されていたFOMCが開催されたので、内容をまとめていきたい。

FRBからの公開文書の時点で前回より2026年のインフレ見通しが引き上がっており、これを理由に政策金利見通しにおいて2026年利下げ回数が1回あるかどうか微妙なラインとなっている。

【FRBのプロジェクションデータ】
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据え置き判断において反対票はこれまで2名だったのが1名に減少しており、全体として先行きがどうなるかようわからんわといった中で据え置きが適当ということになっている。
この反対票一名は完全空気になっているミラン氏であり、これは実質考慮する必要性がないので、今回は原油価格上昇によるインフレ懸念をおそらくは理由にしてウォラー理事が据え置きに賛成に回ったということもあり、年内利下げは本当にあるのかないのか微妙な状態となっている。

記者会見の中でも住宅は弱いという話とか、雇用は強くはないといった話は出ており、また利上げという話はごく一部で議論されただけでそれはメインの議論ではないということもあり、引き続き利上げになるとかそういうのではないし、また記者からの質問でもスタグフレーションなのかという話で、それは1970年代の失業率が馬鹿高くてインフレ率も今とは比較にならないレベルの上昇率だった時のことであり、それと比べて今はそんな兆候は全くないということも強調している。
イランとの戦争による影響についても、んなこと予想とかできんわということで、結局出てくるデータを基に決めつけをせずに金融政策決めますわといった話しか出てこず、FRBの様子見姿勢が際立つ内容となった。

市場反応はタカ派だったということで、金利上昇と株安のセットとなり、まあこの反応は多少はしょうがないよねえというぐらいの反応であったと思う。

ただ、逆を言えば利下げ終着点にたどり着くまでよりタイムスパンが長くなったと捉えることが可能だと思っている。
自分の投資シナリオで一番怖いと思っているのは米国の利下げサイクルが終了し、低金利を背景としたAIブームの爆発によって経済指標が景気を過熱させるほど上向きになり、FRBが景気を阻害するように利上げを開始するシナリオである。
従来だと2027年にはその終着点に到達してしまっている可能性があったため、2027年後半からどういう考え方をすべきかなあと考えたりしていたが、どうやら2026年利下げが2027年後半にまでずっと後ろに引きのばされたことから、単純な利下げ終着点は2028年まで考える必要性がなくなった。
経済成長が健全に続く中で利下げサイクル終着点も相当後ろであれば、FRBが景気を阻害するような金融引き締めをしない中で株は基本的には上昇しやすいはずなので、足下は短期的に我慢が続きそうであるが粘り強く市場に居続けることが重要だろうと思っており、下記過去記事の通り暴落待ちで全部現金待機待ちというのは正解ではないと思っている。

【過去参考記事】
株の暴落を待つことは株式投資において正解ではないかもというのをデータ検証してみた

      
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米ドル建て投資適格社債の利回り5%タッチでリスクテイク復活の兆し

2026 Outlook: Corporate Credit

みんな狙っているラインなんだよねえ。

ここもとの個人投資家動向でXやYoutubeなどで実力はともかくとして声がでかい人達の目はほとんどが株に向いているが、個人的に足下気になっているのはドル建て投資適格社債市場の動向である。

今米ドル社債の利回りは下記の通り、半年ぶりぐらいに5%にタッチしている。

【米国投資適格社債の利回り推移】
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https://fred.stlouisfed.org/series/BAMLC0A0CMEY

これは原油価格の上昇によって米国債金利が上昇していることに加えて、社債の上乗せ利回りであるスプレッドも中東情勢からのリスクオフ+大量起債が続きていることもありやや緩んだ結果、利回りが上昇したわけである。
この利回り5%というのは半年ぶりぐらいの水準であるが、この水準というのは多くの投資家にとって非常に重要な水準なのである。
ちなみに重要というのは主に必ず資金を投資しなければいけない年金や生保などの機関投資家からの立場であり、今の情勢でチキって売っちゃうような個人投資家ではない。

この必ず資金を投資しなければいけない機関投資家は年間に〇%ぐらいを目標にして運用しなければいけないといった数値目標と時間制約があるわけで、そうした中で先々いくらぐらいのパフォーマンスになるかよくわからない株だけにアロケーションをふるのは難しく、先々のリターンが見通しやすい固定利付債もミックスさせながらポートフォリオを構築していく。

そうした中でできれば固定利付債を高い利回りで買っておきたいというのは当然の話であり、さらに運用しているのも普通の人間なので、やはり5%という大台のところは意識しやすい水準であることは間違いなく、上記記事冒頭のリンクなど少し検索すれば、2025年あたりからごろごろと米ドル建て投資適格社債で5%を一つの目安として投資が推奨されやすい。

そしてこれまでは米ドル建て投資適格社債利回りが4.75%ぐらいとやや下に押されている中で、一方でAIブームを背景に企業側は社債を出したくてしょうがないといった需給状況のにらみあいが続いていて、ここもとは供給側が資金調達コストが安いとしてバンバン社債が出されている一方で、投資家側がやや様子見になっていたということもありここもとはやや押され気味であったが、原油価格の上昇やここもとのリスクオフで社債利回りが上昇したことから投資家側が望む5%利回りに達した。

絶対値利回りが5%に達して投資家の資金がバンバン入るようになると、リスクマネーが市場に投下されているのと同じであるということから自然と株価は固くなってきていて、全くイラン情勢については状況が改善していないが、皆の懸念をよそに株価は下落しそうで下落しない状態となっている大きな理由になっているように思う。

世の中機関投資家の動向を見ればわかるがバークシャーハサウェイが実質現金を大量に余らせていることからも分かる通り、投資家はパンパンにまでレバレッジを掛けているどころかじゃぶじゃぶに現金を余らせているのが現状であり、このクレジット周りが順調に買われるなら少なくとも米国株についてはそこまで大きな心配をする必要性はないのではないかと思っている。

ちなみにこのクレジット市場がどのように現実世界に影響を与えるかの基礎知識は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
米ドル建てクレジット市場の構造と現実世界に与える影響についての基礎
 
   
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相対的に原油価格上昇に強そうな米国株の中でも弱いセクターはどこか?

米ガソリン価格が16%急騰 イラン攻撃、家計負担増で政権に危機感

米国民が本当に節約する気があるならという話ですが。

引き続き原油価格の高値推移に高い緊張感が続いている中で、この原油高状況というのはどこに一番悪影響が出るのかというのが目下市場では一番の話題になっている。
どちらかというと高価格での原油価格推移は株式市場にとってどれぐらい悪いかという市場全体で語られがちで、もう少しブレイクダウンされてもせいぜい国別や地域別で語られるぐらいで、もっと細かいところまで考えられているという感じではない。

国別でいうと米国株は現時点で原油輸出国なのだから影響は相対的に低いと考えられているのが一般的であるが、この原油高の市場環境下、米国株の中でもちょっと注意しなければいけないセクターがあるように思う。
そのセクターというのはずばり米国レジャー系銘柄ではないかと思っている。

米国は自動車交通が必需品であるがゆえに、ガソリン価格というのは実質的に税金に近い性質を持っている。
そして今回の原油価格高騰は直接的に米国ガソリン価格を上昇させるわけである。
そうなると、米国国民は基本的に一旦ガソリンが安くなるまで移動を控えようというインセンティブが働きやすくなるわけであるが、そうなると一番移動距離長くなるのは何かといえば、レジャーでしょうというのがすぐに思いつくところである。

ざっと様々な統計データに目を通して計算すると、米国民がレジャー移動目的で使うガソリン量が荒く見積もって全体の25%ぐらいかなーと思っているが、この25%を削るだけで相当程度家計計算が変わってくるはずであり、本当に米国民が足下の原油高が家計にとって苦しいというのであれば、真っ先に削られるのはレジャー関連だろうと思っている。

レジャー関連でもダイレクトに原油価格上昇から直接的にマイナス影響を受ける航空会社から、関節影響的に大きそうなディズニーなどの遊園地関連銘柄まで結構幅は広そうであり、この辺はレジャー関連ETFの構成銘柄などを見て考えておきたいところだと思う。

【米国レジャー関連ETF(PEJ)のチャート】
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米国民が旅行に行く距離を短くするだけでも相当程度ガソリン需要にマイナスインパクトが生じるので、それを考慮して原油価格は動くはずであり、原油価格が無制限急騰というのは急騰前の需要を前提にして考え過ぎであるわけなので、あまりにも速い価格上昇は需要にも大きなマイナスに働きやすいので、エクストリーム悲観シナリオで金利が上昇すると考えるのはこうしたレジャー要因マイナスを考えていくとちょっとないんじゃないかなあと思ったりしている。
     
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