村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年01月

米国クレジットカードの延滞率について蔓延している誤解

チャーリー・バイレロ:米国のクレジットカード延滞率は12.4%に達し、2011年以来の高水準に

数字自体は嘘ではないが、暴落煽りのための材料にされている。

米国株は下落間近で危ないと言う人は多く、その材料も色々提示してくるのでなまじあまり投資経験が少ない人は情報の洪水から重要なことの取捨選択ができておらず、そのまま情報洪水にのまれてしまうケースが多いように思う。

その最たる例が下記米国のクレジットカードの延滞率である。

【クレジットカードの延滞率(件数ベース)】
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https://www.newyorkfed.org/medialibrary/interactives/householdcredit/data/pdf/hhdc_2025q3.pdf?sc_lang=en

大体XやYoutubeで見かけるクレジットカード延滞率はこちらのデータを掲示し、既にクレジットカードの延滞率が水準が既にリーマンショックの水準に近づきつつあるとして、米国景気はメルトダウン状態であり、米国株暴落はもう時間の問題的な形で主張する人は多い。

しかし、実は上記延滞率は件数ベースの延滞率であり、これを金額ベースでの数値を見ると大分様相が違う。

【クレジットカードの延滞率(金額ベース)】
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https://www.federalreserve.gov/releases/chargeoff/chgallsa.htm

金額ベースで見ると、4%ちょっと程度しか延滞率はないわけで、10%近くあったリーマンショックの時と比べると率としてはちょっと景況感悪いこと考えれば妥当な数値ぐらいな位置に留まっているし、ここもとはなんなら改善傾向で進みつつあるわけで、メルトダウンとはどう考えても言えないような動きとなっている。

これが意味することは米国の格差拡大・状況の二極化と同時に、金融市場への影響は件数ベースほど高くはないという話である。

件数だけ見ると確かにリーマンショックかと思えるほどの悲壮感がある。
しかし、金融の世界というのは残酷であるが金額が全てである。
なので、件数ベースで延滞が多くても、金額ベースで問題なければ問題ないのである。
件数ベースではリーマンショックに近づいているという評価になる一方で、金額ベースで見ると実は2024年3Qからじりじりと改善している状況かつ絶対水準もリーマンショックの10%という数値から考えると極めて健全な位置で踏みとどまっているのであり、金融市場はこちらの方を評価しているわけである。

しかし、逆をいえばこれは異様にクレジットカードの延滞が低所得者層に寄っていることを意味するわけで、米国経済の格差拡大・二極化がさらに進んでいることを意味しているわけである。
これは度々政治的な混乱イベントが生じるので、市場にボラティリティを与えるものであることは確かだし、またFRBが利下げを決断する材料であることも確かである。

こうした数字を定義からしっかり確認していくと、ちょっとこの状態で多少の政治的イベントで調整はあれども、根源的な金融危機に発展するとはさすがに主張するのは無理筋だろうと思う。

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為替についてウルトラC策をかましてきた片山財務相

片山財務相「お答えできない」 円急騰が為替介入か問われ

ダボス会議でそんな話までつけてきたのか。

金曜日は日銀金融政策決定会合が終わり、もうあとはニュースフローあんまなんもないよなあと思っていたら、ドル円が大幅円高になり、為替介入か?みたいな話になっているので、これについてまとめていきたい。

【ドル円のチャート】
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ロンドン時間でも日本側からのレートチェックじゃないかということで円高になっていたが、米国時間のレートチェックはなんと米銀側からのレートチェックということで、これに面食らっておそらく実際は為替介入実弾は投入されていないが強烈円高になったと思われる。

今回の大きなトピックとしては米銀側からレートチェックがあったということだろう。
一般的に日本側からだけの為替介入だと限界があり、為替介入度を試される可能性があるというのが以前の為替介入でもまことしやかに言われていた話であった。

しかし、日米協調介入となると全く話は別物になる。
米国側からもお墨付きを得ている場合は、米国側から為替介入についてお咎めを受けないし、場合によっては無尽蔵に売るためのドルを供給してくるわけで、全く威力が別物になる。
実際に、日米強調為替介入は2011年の東日本大震災の時に、現在とは逆であるが円高為替介入のために行われて、その威力がすさまじかったことはその当時相場に携わっていた人達の記憶にはあるだろう。
もちろん、本当に為替介入が行われるかどうかは不明であるが、少なくとも今回の為替介入は日本単独介入ではなく日米協調介入の可能性をちらつかせるだけで、無限円安で攻めようと思っていた人達を思いとどまらせることは単独介入よりはるかに威力が高い。

これについては片山財務相がベッセント財務長官とダボス会議中に話をつけてきたというのが妥当な判断だろう。(もちろん裏方はそれまでの準備をしていただろうが)
日本は米国政府にとって重要な米国債を引き受けている国であるが、米国が利下げ・日本が利上げという方向で金利差が縮小しているにもかかわらず、円安ドル高になっているのは為替市場参加者がノリとテンションだけで日本側を試していると話をしたのだろう。
そしてこのままだと為替でJGB長期金利が荒らされて、それによって日本の国内機関投資家の米債購入にも悪影響があり、ドル円レートは単に日本だけでなく米国側にも不都合な問題であると強調したと思われる。
さらに選挙期間中は為替介入はしづらいのではないかと市場参加者が試してくる可能性もあり、ここを牽制するのは日本だけでは危なく、米国側にも協力をお願いしたいと申し出て、ベッセント財務長官はOKとしたのだろう。

ベッセント財務長官もここもと下記ニュース記事の通り一部アジア通貨についてはファンダメンタルズから乖離した動きだと牽制しているわけで、別に米国側から金を出さずとも口をだせば十分な威力があることを認識しているわけであり、これはポーズだけでなく実際の行動に移すことも印象づけたものだろうと思われる。

【参考ニュース】
ベッセント長官、韓国ウォンの下落は行き過ぎと発言-円も上昇

この動きを考えると、ドル円については超絶円安論者の佐〇木融が一時期ドル円200円宣言ぶちかました後に全然その数値にならないことから170円・157円と目線を下げてようやく円安到達するとまた170円に目線を挙げた瞬間にこれになったので、ドル円については160円より上は極めて攻めづらくなったと思われる。
また、為替が動かないなら、長期金利についても日銀が為替を変に考慮する必要性なくなるので、タームプレミアムの圧縮も可能性としてはありえるかもしれない。

いずれにせよ金利差が大幅圧縮された中で、為替介入は意味ないと甘くみていたレバかけて円安ベットしていた勢はかなり面食らう局面になったと思われ、円安ベットトレードはこの辺が限界なんではと思う。
 
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年2回利上げオンコースな日銀金融政策決定会合

日銀、政策金利0.75%で据え置き決定 26年度物価見通しを上方修正

決め打ちしたらロンドン時間入った瞬間からぶっ壊されてる。

今年初の日銀金融政策決定会合についてまとめていきたい。
12月利上げしたばかりということもあるし、そもそも利上げについてはその都度データ見ながらということで1月金融政策決定会合は特段何か変わったこと言わんやろと思っていたが、特段何か面白い話があるというわけもなく、無難に終わった感であった。

インフレについては若干の上昇修正はあったものの、そこまで大きな見通し変化はなく、少なくとも今年は食料品価格込みで2%ぐらいまで落ちるよねえというのはデータが見えているので、緩やかな利上げが適切的なスタンスに変化はなかった。
ただし、物価見通しについて確度が少し高まっている的な話をしており、とりあえず今年は2回ぐらい利上げありそうな雰囲気じゃん?といった考え方が妥当であったと思う。

記者からの質問は半分以上クソの役に立たない自分の主義主張を述べるお気持ち表明で何の役にも立たねえなほんとというところであった。
消費減税の話されても、本当にするのかどうかわからんのに今の段階で質問されてもなんとも言えないし、そもそも政府管轄の話で日銀があーだこーだという話ではないし、財政への口出しは日銀的に越権行為なのに口出ししろという記者がいたりともうあいつ出禁だろみたいな時間の無駄遣いする記者もいたりと、相変わらず治安の悪い記者会見場だなあという感想しなかった。

まあとにもかくにも、2025年は米国関税のせいで利上げペースが後ろ倒しになるのかどうかみたいな話がややあったが、それが正常な軌道に修正されたといった記者会見内容であったと思う。

これに対して、リアルタイムで見ていたアジア勢(というか日本勢?)は円安でしかける動きとなった。
気の早い投資系Youtuberなどは、もう日銀の記者会見終わったところらへんで円安やばいみたいな動画を出す始末である。

しかし、為替市場主戦場であるロンドン時間に入った瞬間にレートチェックが入ったという噂もあるが真偽ははっきりせず、いきなりばーっと円高になってドル円は157円前半に一回タッチした後に158円まで戻したが、そこからさらに円安で攻めるといった雰囲気はなく、様子見感が強まった。
これは以前のブログ記事で書いた通り、手前側はともかくとして長期側の日本国債金利と諸外国金利が既に相当差がなくなってきている上に、今年は2回利上げがありそうということで手前側金利の差も低くなりそう+場合によっては為替介入もありうるという局面で外国人から見ると円で攻めるより他通貨に戦場をシフトさせた方がリスクリワードが良いということで、積極的な円売りを解消して違う市場にシフトしやすい環境になりつつあると思う。
この辺はなぜか日本人は日本政府は何もできないから外国人様が売り続けるみたいな変なバイアスを持って見る傾向があるので、今日の日銀金融政策決定会合後の円高はなんとなくここから円安で攻めるのは他通貨市場でもっとイージーそうなトレードできそうな中で魅力低いのではないかなと思う。

【ドル円のチャート】
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グリーンランド関税懸念についてほとんど心配しなかった理由

トランプ氏、グリーンランド「大枠合意」 武力行使否定・関税撤回

ネタ的に出涸らし感強かったのと、そんなことはAIブーム関係者にとって関係ない話だからね。

もはや終わったネガティブネタであるが、この1週間半ぐらいはトランプがグリーンランド占有に関して米国の思い通りにいかないなら関税をかけるみたいな話が出て、地政学リスクの上昇で株がドタバタするという展開となった。
しかし、個人的にこのグリーンランドの話は大した相場材料にはならんでしょということで、当ブログではほとんど話題にしてこなかったので、なぜそう思ったのかまとめていきたい。

理由としてまずクレジットはほとんど動揺しなかったことが挙げられる。
相場の根っこというのは株ではなくやはり債券にあり、その中でも株価にダイレクトに影響を与えやすいのは下記過去記事を参考にしてもらえればと思う。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

そして実際に米ドル投資適格社債のスプレッドを見てもらうとほとんど動いておらず、表面的な株価の動揺は大きく見えても、企業の円滑な資金調達状況はほとんど変化していなかったことから、相当表面的な動きに過ぎないなと感じていた。

【米ドル投資適格社債のスプレッド】
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https://fred.stlouisfed.org/series/BAMLC0A0CM

そして株価も動いているように見えて、実は一番の注目分野はほぼ株価は下がらなかった。
その注目分野というのはGPU供給のボトルネックになっているHBMを供給しているSK Hynixやマイクロンの株価であり、これらがグリーンランド懸念の間でもほぼ株価は下がらなかった。

【SK Hynixの株価チャート】
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結局、GPU供給のボトルネックになっているところに対して 熱い目線が向いている状態には変わりないし、このボトルネック解消に向けた市場動向はグリーンランドで関税がどうのこうのとはほとんど関係がないからである。
グリーンランドよりどちらかというとJGB金利の大幅変動の方がよっぽど気になる話だったし、結局TACOるんじゃないのとずっと言われている中、結局トランプは関税を

そもそも関税をこれ以上かけると、既に米国内では物価高不満がずっとくすぶっていて、いよいよ間近に迫っている中間選挙で大きなマイナスになりかねないリスクをそのまま現時点のトランプが取るとは思えないわけで、結局TACOって相場センチメントは大幅改善し、米国株については代表株価指数の最高値更新はほぼ時間の問題といった雰囲気が強まっている。

【S&P500のチャート】
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金利依存の低いセクターに日本株は買いが集中

日本株は続落へ、欧米貿易摩擦警戒し世界的リスクオフ-金利高も懸念

想像より株価は下がらなかった気がする。

今週に入ってから日本国債金利の急騰で相場がごたごたしそうというのが始まってきて、緊張感MAXっぽい雰囲気が出ているので、各セクターよく注意しながら相場を見ていたので、それについてまとめていきたい。

金利上昇で真っ先に悪影響を考慮されるのはやはり不動産ということで、不動産セクターは当然のように株価は下落した。
この辺の企業は超長期債での資金調達も時々やるということもあり、悪影響は直接的にありそうだよねというのはすぐ思いつく話だろう。

【日本不動産セクターETF(1633)のチャート】
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JREITも、一部界隈ではJREITは債券とか言われている通り、JGB金利比較されやすいプロダクトということもあり、ここもさすがに悪影響を免れることはできなかった。
おそらく今回の金利上昇騒ぎで銀行が保有しているJREITの含み益とセットで売却するといったやり方をしている可能性も十分にありそうな気がする。

【東証REIT指数のチャート】
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また金利は上昇したが銀行株もやや大きめに下落した。
銀行株は金利上昇した方が利益的にプラスであるものの、国債金利の変動幅があまりにも大きいと金融混乱ではないかという考え方が台頭するために動揺しやすいわけで、金利上昇したが銀行株は下落するといった流れとなった。

【銀行株ETF(1615)のチャート】
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このように金利や金融市場から影響を受けやすいセクターはさすがに株価は大きめに下落で反応するのはまあ当然の話だよねということになる。
一応昨日はJGB金利は上昇しなかったし、片山氏がどうにかするみたいな話もしているということで、おそらく財務省側もどう安定消化させるかみたいなことを官僚が頭悩ませながら考えてはいると思うので、少なくとも金利上昇に対して野放図で対策なしにはならんでしょというのはあるが、それでも先々の金利動向に自信が持てない人がほとんどなので、この辺の金利依存で株価が動きやすいセクターは触りづらいというのは確かだと思う。

一方で昨日の相場で意外だったのは半導体株は上昇しているということである。

【日本半導体関連株ETF(2644)のチャート】
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さらにAI関連株も下がっているどころか上がっている銘柄の方が多い印象を受けて、これが昨日の日本の代表株価指数の下落がそこまで大きくなかった根本要因だったりする。

一般的に日本のAI関連株は主に部材供給とか製造装置供給など、AI自体の活用というよりAIを動かすためのインフラ供給銘柄が多いわけであるが、この辺の企業は一般的に自己資本比率が高く、借り入れが少ないといった特徴が強い。
そのため金利がどう動こうが、そもそもAI自体の需要が強ければ業績は関係なく伸びるよねというのが見えやすいわけで、もしかすると機関投資家の間でそういった考えで資金シフトしている可能性があるかもしれないという可能性も視野に入りそうな気がする。
実際、日本の半導体関連株は相当ここ1年半出遅れてきたので、それを考えれば出遅れにシフトしている考え方が妥当なのかもしれない。
      
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