村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2026年01月

行き過ぎた貴金属人気と急速暴落した流れに対する所見

金・銀暴落で460兆円超が数分で消失

いくらファンダメンタルズの追い風があるとしても、行き過ぎているのでは。

昨日のメイントピックはやはり貴金属価格動向で、ゴールド・シルバー・プラチナとまさに暴落という表現が似合う値動きとなった。
ゴールドはまだ下げ幅が10%ぐらいなのでまあまあという話だが、特にひどいのがシルバーで25%以上の下落となった。

【銀価格のチャート】
タイトルなし

プラチナも20%近くの下落、パラジウムも17%近くの下落と厳しい値動きとなり、ゴールド・シルバーはまだ12月より上の価格帯水準だが、プラチナ・パラジウムは12月の価格水準にまで一気に押される形となった。

元々今回の貴金属価格の上昇は最初は中国政府をはじめ、様々な国が外貨準備高でドルではなくゴールドを選好して積み増ししていたという背景からスタートしていた。
基本的に政府外貨準備積み立てはレバレッジ取引ではなく現物取引的なものになるため、これによってロシアのウクライナ侵攻以降じわじわとゴールド価格が先行して上昇していた。

ここに途中から金銀レシオが歴史的に割安となっていることに加えて、シルバーの主戦場である米国にて利下げが再開されたということもあってシルバー価格は急上昇していった。
シルバーについては一定程度産業需要で需給が引き締まっている的な話があり、これまでずっと不人気でインフレ負けしてきたという背景もあることから、過去の不人気分を取り戻す形で上昇していったというのが当初の値動きであった。
こうしてゴールドとシルバーが変わりばんこで上昇していく中で、途中から急速に買い一辺倒になっていき、2025年は急速に貴金属価格高騰という値動きが発生していった。

こうした流れはわかるが、それでも個人的には途中からゴールドについては明らかに常軌を逸した動きだと感じるような速い上昇ペースであった。
少なくとも下記過去記事に照らし合わせてゴールド価格の現在の割高度を考えると、過去30年の中で最も割高だと感じざるを得ない状況である。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

【ゴールドの長期チャートと3年移動平均線】
タイトルなし

もちろんゴールドについては引き続き世界各国政府が外貨準備高で積み増ししていくという実需があるので、多分暴落するというよりはしばらくは上値が重い的な動きになるかなあと思うし、個人的にも大分安い値段で買ってそのままになっているゴールドポジションについては特段売るつもりは全くない程度の感覚を持っている。

しかしシルバーやプラチナ、特にシルバーについては上昇途中から先物証拠金が引き上げられる中、明らかに嘘っぱちの噂情報が流布される形で取引がETFやオプション市場で人気化していき、そして実際に代表的ETFであるSLVのオプション取引動向を見るとやりすぎだろというのが出来高や下記過去記事のような考え方から想像できると思う。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

【SLVのオプション取引出来高】

タイトルなし

 一昔前のゲームストップ株のように、シルバーだと取引市場規模が少し大きめの米国株銘柄ぐらいなので、上記のように無理くり資金を入れると価格を吊り上げることは比較的容易であり、さすがにゴールド以外の貴金属熱狂はこの辺で一旦沈静化してすべきではないかと思っている。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

米国に対抗する形でECBもユーロ高の口先牽制が入る

ユーロ高、ECBの政策を左右する要素-フランス中銀総裁

口先介入祭り。

ここ数週間は円について日米での協調レートチェックによる口先介入的なものが入り、円高・米ドル安になっている中で、米国側は米ドル安については一定程度は産業の国内回帰をめざせるものとしてあまり心配していないという発言がトランプから出たりするなど、あえて米ドル安指向のような口先介入っぽい方向性となった。

そうした中で主要通貨ではこれまでユーロが一方的に買われてきた背景がある。

【EURUSDのチャート】
タイトルなし

しかし、このユーロ高はあまり行き過ぎると輸出採算が合わなくなったり、国内デフレ要因になるということもあり、既にEU圏のインフレ率は2%となっている中でユーロ高が経済に逆風という認識が徐々に出始めている。

このように米国の口先介入が入る中で、ECB側もこれ以上のユーロ高が見られるのであれば何かしらの措置をする可能性を示唆するような報道が、わざわざECB高官から出ているというのが上記ブルームバーグニュースの内容である。
何かしらの措置というのはいきなり介入をぶつけてくるということはないが、次のECBのアクションが利上げかもと見られている見通しを利上げなしや逆に利下げに傾けるなども可能であり、様々なアクションが想定されるが、いずれにしろECBから軽い口先介入っぽい動きになったと考えるのがよいように思う。

これによって、米ドル・ユーロという世界の通貨流通量の大半を占める2大通貨が通貨安指向方向になっていることが判明したわけである。
通貨安を指向するということは、基本的には資金の流動性を注入していく方向になるわけなので、現在市場は金余りとなっている中で、さらに追加される観測になるのである。

結局これで大きく上昇したのはゴールドであった。
シルバーよりゴールドの方が上昇したのは金銀レシオがもう相当きつい数値になっているというのもあるが、シルバーは米国市場が主戦場で、欧州の方はゴールド選好が強いのでゴールドの方がイントが高まったという理解をしている。

【ゴールド価格のチャート】
タイトルなし

ユーロ高によって容易にECBが利上げに踏み切れないことを考慮すると、これは貴金属価格だけでなくリスク資産価格全体にサポート要因になるので、やはり株などには強気姿勢を継続したいと思う。

また、これによってこれまで通貨安にやや苦しめられてきた日本・韓国はほっと一息な状況になる確度がより高まったと言えるだろうと思う。
  
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

将来利下げ姿勢は変化がなかったように思うFOMC

FRBが4会合ぶり利下げ見送り 反対2票、政権圧力に応じず

将来利下げ織り込みは剥落せず。

1月FOMCが開催されたので、内容をまとめていきたい。

声明文だけを見ると、経済成長率について堅調なペースとあったり、労働市場についてもバランスが取れている的なニュアンスで書かれていることもあり、そこだけ見るとなんかちょっとタカ派っぽい的な雰囲気があった。

しかし、その後記者会見で確かに労働市場の安定化とかそういう話はあったが、現在の金利は中立の上限近くでやや抑制的・関税はほぼ経済に織り込み済みで関税ピークが過ぎれば緩和調整は可能といったコメントをしていることから、別に現在利上げが視野に入っているとかそういうのはなく、普通に経済に歩調を合わせる形で利下げの可能性が変化しているわけではないよねと言う内容であったように思う。

個人的にはまあ足下は確かに経済について好調そうという解釈も可能だよねえという一方で、やはり注目コメントは「関税ピークが過ぎればインフレが落ち着いてくるので、そうなれば利下げできる」というコメントのところだろうと思う。

確かに足下失業率は下記過去記事に述べる水準にあるのかどうかは相当微妙なラインにいることは確かである。

【過去参考記事】
FRBはどれぐらいの失業率で「完全雇用が達成されている」と見ているのかを考察

かといって、過去のようなペースで労働者が増えているわけではなく、移民が入ってきていないことによって縮小均衡的な労働市場状態にあり、決して良いとは言えない状態にある。
そうした中で関税ピークが過ぎてインフレ率が低下してくれば追加的な利下げが可能だし、おそらくそれを十分見越して、現在の金利は中立金利の上限付近とコメントしているのだろうと思う。

こうしたことを背景に米国債金利は10年を見ると、FOMC記者会見後に声明文などがタカ派っぽい的な見方がされて一瞬上昇したものの、それは足下の状況をごく短期に見ただけの話であり、状況変化すればいくらでもこんなタカ派的なスタンスは変わるでしょということで金利は結局前日比ほぼフラットまで押し込まれてにらみ合い的な動きにしかならなかった。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし

株については個人的にはこれだったら上昇してもええやろと思ったりしたのだが、まだ全体としては様子見姿勢が続いているような感じであった。
(一部セクターは元気に動いているので、相当セクター間格差は大きい)

どちらかというとメイントピックだったのは引き続き貴金属市場で、昨日はFRBは遠い将来利下げ変化しないし、なんかトランプ政権もドル安指向強いこと考えればゴールドやろ!みたいな動きになっていて、完全に自分の想定範囲を大幅に超える位置にまで上昇している(脳死)。

【ゴールド価格のチャート】
タイトルなし

とにもかくにもリスク資産価格には特段マイナス影響は見られない内容であったことから、引き続き安心してリスク資産の保有継続をするので良いだろうと思う。
 
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

銀ショートでJPモルガン破綻の可能性とかいうとんでも与太話についての所感



雑噂話でここまで変な結論が出るのか。

Xをチラ見していると、引き続き銀(シルバー)価格が暴れ回っていてわっしょいわっしょいになっているが、その中でJPモルガンが銀ショートで破綻する可能性があるみたいな、全く理性的ではない与太話が流れてきたので、これについてまとめていきたい。

【銀価格のチャート】
タイトルなし


そもそもこのJPモルガンが銀ショートを持っているという話時点がChatGPTで確認するといくつかの噂が変に重なって解釈されてできた与太話だとぶった切られているのに、さらにその妄想話を膨らませる形で銀ショートでJPモルガンが破綻するみたいな話に飛躍する人さえ上記ツイートのように出始めている。

なぜJPモルガンの銀ショートの話が与太話と考えるのか?
当ブログでは、以前にクレディスイスが実質破綻した時に事業会社と金融機関での破綻の意味合いが全く違うことについて、下記記事の通り書いてきた。

【過去参考記事】
事業会社と金融機関で大きく異なる「破綻」の意味合い

この記事を踏まえて考えると、そもそもJPモルガンが裸銀ショートを組んでいる可能性は極めて低い。
上記過去記事に書いてある通り、金融機関というのは金融当局によってその経営状況を監視されているわけであるが、さらにJPモルガンはTLAC規制対象行として最も影響力が大きい銀行としてより厳しい資本バッファーを積むことなどを強制されている。

そのような銀行が銀価格が爆裂上昇しただけで破綻に追い込まれるようなポジションを裸で保有しているとすれば、まずそのポジションは大量にリスクウェイトを食うし、金融当局が絶対に黙っていない。
シリコンバレーバンクでさえプレーンな国債とMBSを雑保有していて、それをサンフランシスコ連銀が見逃していたら長期金利上昇すると同時に預金引き出し連鎖が起きて破綻したことについてザル監視と言われていることを考えると、JPモルガンが破綻するような銀ショートなんてポジションを持っていたら今頃とっくのとうにFRBが飛んできて即刻ダイモンCEOをクビにするはずである。

しかし、FRB当局から特段警告は出ていないし、仮にあったとしてもここまでの銀価格上昇の中でいくらでもヘッジ手段やポジション解消が可能であったわけだし、ここまでポジション放置するような銀行経営者なんて無能どころの話ではない。

なので、この噂話というのは銀をロングしている人が意図的に流している与太話的なものであり、相当質の悪い情報だなあと思うと同時に、こういう噂話で勝負している人間がいるほど煮詰まってきているのかと思う次第である。
     
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

行きあたりばったりな中国の株価対策と国家隊の株式売却で起こること

中国の国家隊、675億ドル規模の売却-当局の株式戦略に変化

中国以外の市場に最終的にばらまかれることを期待。

上記ニュースは2024年9月以降にずっと株式市場テコ入れのために中国株市場では国家隊と呼ばれる国営企業群が株式購入を進めていた。
これは不動産バブル崩壊以降株式市場がメルトダウンし、このままだと広範な影響が出かねないということで動いていたもので、一定程度功を奏して中国株式市場はそれなりに回復していった。

【上海総合指数のチャート】
タイトルなし


しかし、2024年の上海総合指数はPER13倍であったのが、足下すでに18倍を超える水準となっており、グローバルに見ても株の割安感はPER上は消えた。
そして最近の中国のこういった金融政策的な動きというのは、不動産バブルが崩壊して以降取れる選択肢というのが限られている中で、基本的に行きあたりばったり感が強い。
株式市場がメルトダウンしている時は国家隊は買ってくれていたが、一たびPERが高くなると上記ニュースの通り、逆に国家隊は売りをぶつけてくる結果となった。

これは、単純に株式市場が割高になりつつあるというのに加えて、中国の財政収支が不景気対策で厳しくなっている中で債券購入や財政補填に使うことが考えられるので、長い目線のコミットではなくその場その場で自分達にとって都合の良い動きをしがちとなっている。
国家隊が売りに回っているなら、民営企業の元気が全くない中国株なんて触るに値しないので、ここから中国・香港株は相当上値が重たいと思った方がよいと思う。

ただ、このニュースについては中国株・香港株が上がりづらくなりそうという以外の副次的効果がある。
それは最終的に売却して得た資金はどこかにばらまかれる可能性が高いということである。
少なくとも現金待機のまま放置されるなんてことはないはずなので、中国・香港株以外にこの売却資金はスピルオーバーしていくことを期待したい。

この株式売却資金流出先の一つとしては貴金属があったように思う。
1月になってからゴールド・シルバー・プラチナの価格高騰がかなり早かったが、これは一部はこの中国株売却資金が回っている可能性は十分にあるだろう。
ここもと上昇圧力が強かった中国超長期国債の買いに回る可能性もあり、中国の低金利が続くのであればこれが世界全体のリスク資産価格の底上げにもつながるだろうと思っている。

いずれにせよ、中国株式市場から金が抜かれて別のところに循環すると、個人的には中国株・香港株を投資対象から除外している自分としてはうれしいところである。
    
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信