村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2025年11月

権威ある人の発言引用で「日本株上昇はおかしい」と評する日経新聞の記事で思うこと

「日本の株高は何かおかしい」 高市財政にアベノミクス生みの親が喝

大学教授って肩書きの人がこういっている間は大体相場は大丈夫。

三連休中にスマホのアプリプッシュ通知で日経新聞アプリから上記の記事がプッシュ通知された。
日経新聞はなるべくPVを増やしたいという考えがあるのか、時々注目記事的なものをこのようにスマホのプッシュ通知を使って知らせてくるわけであるが、その記事が「日本の株高は何かおかしい」というのは逆を言えば皆が「足下の日本の株高はおかしい」と思っていることの証左であるとともに、まだ十分に日本株を買えていない人がわんさかいるんだろうなと想起させるような話であると思う。

一応中身の記事を見てみると、この発言者というのがアベノミクス提唱者である大学教授の浜田氏というわけであるが、よくこうした経済批判や相場批判にあたっては権威のある人の発言を引用するというのはメディアの常とう手段である。
しかし当ブログの読者であれば、日本株の足下の上昇トレンドは妥当性があることはこれまで当方が述べてきた通りかつそれなりに理論だった話であるのでそんなに違和感がない動きのはずである。

しかし、大体大学教授というのは現実経済に生きている人と比べて非常に現実認識が疎いのは少し想像すればすぐわかる話である。
彼らは自分が非常に頭が良いという自負がある一方で、現実の経済はそうでない大多数の人によって構成されていて、その人達が四苦八苦しながら色々考えて動いていることを十分に認識していないがために、少しでも自分の理論とそぐわない動きをするとそちらが間違っているとか何かがおかしいと言い始めるのである。

大学教授が現実世界に疎いことは他にもいくつか例がある。
例えば同じように大学教授で日本の物価統計の最先端研究をしている渡辺氏の下記書籍を読むと、これまでずっと低迷していた先進国のインフレ率が2022年になって急速に上昇したことについて、謎が多いと評している。

【参考書籍】
世界インフレの謎

しかし、実際に大学教授なんて偉そうな頭がなくたって、足下のインフレは下記過去記事にある通りの現象が起きたことによる現象であることは現実世界で真剣に経営や相場に携わっている人からすれば自明の理であり、既にそういう事業形態への変化や相場のポジション取りをしているわけである。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

こうしたことを考えると、大体大学教授というのは数値・理論については強いのだが、この辺の実経済動向・金融市場の動きというところには非常に疎いので、メディアが大体的にこうした権威のある人の発言を引用して株高がおかしいと発信していることは、まだ現実世界に十分足下の株高背景が認知されきっていないことを意味するわけで、引き続き日本株には強気姿勢で良いだろうと思う。

【TOPIXのチャート】
タイトルなし

 
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足下の相場下落の特徴とAIブーム崩壊言説についての個人的所感

【コラム】バーリ氏警告なくてもAIバブルの行方は見える-オーサーズ

ちょっと株価が下落するとすぐにブーム終了とか言い出しちゃうやつ。

先週の相場下落は人によっては相当程度きついレベルであり、その中で急速にAIブーム終了みたいな言説がわーっとネット上を席巻し始めている。
しかし個人的には、足下で株価がひどい動きをしているのはAIブームとかこつけて、実現可能性が不明な利益を思いっきり先どって調子こいていた企業の株価がひどいことになっているのに過ぎないように思うのでそれについてまとめていきたい。

今回の相場下落で下げ方がきつい銘柄をあらためて確認していこう。
その代表格は量子コンピューティング系であるが、IONQなどはまさにそれである。

【IONQの株価チャート】
タイトルなし


量子コンピューティングについては度々話題になるが、現時点で実現性があまりにも見えていないにもかかわらず、ITが盛り上がるとこの辺のいくらなんでも遠い夢を信じすぎでしょという銘柄も高騰するが、そこで金融市場が混乱するとあっという間に半値とかになってしまうのは恒例行事である。

二つ目はOKLOなどの核融合炉などの銘柄も今回の相場混乱の主体であったりする。
この核融合炉についても量子コンピューティングほど遠い夢ではないものの、それってAIブームが続いている間に実現可能なんでしたっけ?という現実的な問いに答えられないような株価上昇をしていたが、当然のようにここに修正が強烈に入っている。

【OKLOのチャート】
タイトルなし

こういったものに加えて、さらには中小型株でAIに現実的に絡んでいるが、それって将来メガテック勢が駆逐しそうな気がするけどその辺の考慮ってされてますかねみたいな銘柄の下げ方も厳しい動きになっている。

【NBISのチャート】
タイトルなし

このように今回のAIブーム崩壊とか言われて相場下落している分は、いくらなんでもお前ら夢見すぎで現実見えていないだろという銘柄の下落に端を発しているように思われる。
足下の相場はAIブーム崩壊とわちゃわちゃいっているが、ナスダック100指数でいうと高値から7%ちょっとしか下落しておらず、下落調整するとすればこれぐらいは当然度々あるでしょうという値幅であるが、このようによくわからん夢だけで上がった株の下がり方がひどいだけというのが足下の相場下落の特徴であり、もっと現実的なAIブームに取り組んでいる企業の株価は健全な調整範囲にとどまっている。

このように市場においてAIブームとかこつけてやらかしている銘柄の下落が中心で、相場全体が異常事態に陥っているようには見えない。
しかし相場はなにか異常に全体を怖がっていて、下記過去記事のようにVIX指数を観察すると大分追加買いできそうな悲壮感が織り込まれたかなと感じつつあるので、個人的には押し目買いをしていっているところである。

【過去参考記事】
VIX指数を工夫しながら観察し、相場のパニック度・悲観度の理解をより深める方法を考える

そもそも本当にAIブームがもう駄目で崩れるというのであれば、本来は下記過去記事の通り9月で崩れ切っているべき話であり、今年はそうなっていないことを考えれば相場の地合いは根本的には強い状態が継続していると思う。

【過去参考記事】
なぜ9月は株式市場が荒れやすいのかを理論的に解説

ただ、銘柄選びは一旦夢だけでどうのこうのというステージではなくなっているので、あらためてもっと現実を見ようよといった銘柄選別が良いように思うが、それは個々人のリスク許容度によるだろうと思う。
    
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強い言葉・思想は自分の運用能力を狭めるリスクがある

【さわかみファンドの運用報告動画】
https://www.youtube.com/watch?v=9rEduAqLZRI&t=1658s

強ければ強いほど軌道修正は難しくなる。

上記Youtube動画はさわかみファンドの直近運用報告で、ちょっと参考程度に見ておこうと思い、動画を見ていた。
そこでは運用ヘッドが熱い言葉で投資哲学を語り、相場観を語ったりとまあエネルギッシュなプレゼンをしているなと感じた。
しかし、個人的にはこのように公衆の面前であまりにも強い言葉・思想を全面に押し出すことは、自分で自分の首を絞めているように見えて、ほんとうにそんなに熱弁ふるって大丈夫なのかと不安になったのでそれについてまとめていきたい。

株式運用で難しいのは、時と場合によって全くその動きの性格が違うことによって、状況によっては臨機応変性を求められることにある。
なぜなら経済は時間とともにその性格を変容させるわけで、直近数年でも下記過去記事のように経済環境は激変し、以前の考えでは全く通用しない相場動向となっている。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

そのため、その時々にマッチした相場スタイルを取る必要性がある。
実際にcis氏などはこの辺が抜群に上手く、数分前に煽っていたことを平気で手のひら返しして全ポジションを全力でド転させにいくという柔軟性が最大の武器であり、普通の人にはできないからこそあれだけ大きいリターンを稼ぐことができるわけである。

しかし、こんなことができる人間はごく一部であり、普通は自分の発言・考えを全否定する行動を即座に取れるなんてのはどこかサイコパス的な性格がないと無理な話である。
そのため、一般的には相場に対して何か意固地になるほどの強い思想を持ったり強い言葉で相場を語るほど、相場観を外した時に自分を否定してポジションを変化させることが難しくなり、買いそびれたり売りそびれたりするわけである。

さらに言えば、この問題は個人投資家より機関投資家の方が見られる現象かもしれない。
上記さわかみファンドのようにお客の資産を預かった上に受益者の前で「暴落に備えて現金比率を20%持ちます!」と宣言した上に、強い言葉でいかに自分達の投資スタイルが優れているかを熱弁しているのを見ると、相場観を外して軌道修正したくても、皆の前であれだけ熱弁していたことは嘘だったのか!?と非難されるわけで、これでは次にいつ来るかわからない暴落相場を待ち続け、その間上昇相場が続けばより状況が苦しくなるのを座して待つしかなくなってしまう。
これが相手が法人投資家であればもっと理性的な説明が求められるので、そこまでしばられることはないだろうが、相手が個人投資家だとついつい運用ヘッドみたいな人は理性的な説明より投資啓蒙みたいな伝道師的な語りをついついしがちだし、そっちの方が個人投資家のウケが良いのでついついそういった方に傾倒しがちである。
しかし、一たび相場観をそれで外すと、ビジネス的にも軌道修正が極めて難しそうだよなあと外野から見て感じるところであるし、その結果として現金比率20%保有をしているがために直近数年はベンチマークであるTOPIX(配当込み)に対して相当劣後している状況である。

【さわかみファンドの現金保有状況】
タイトルなし


なので、相場なんてのはいくらでも変幻自在なわけなので、まあこんなこともあるよね~ぐらいの感じでいくらでも自分の考えをひっくり返せるようあらかじめ相場を決めつけずに柔軟に様々な角度で見ておくべきだろうと思う。
あとは追加でいえば、そういった相場の変幻自在性を考えれば、相場を明らかに常軌を逸しているような強い言葉・思想で語っている人はすべからく相場に真面目に取り組んだことのない単なるバーチャ野郎か自称プロで実際は素人レベルということも覚えておいてもらいたい。
 
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今回のエヌビディア決算コメントで思うことのまとめ

エヌビディア株4%高、堅調な売上高予想示す-AIバブル懸念払拭に寄与

今回の決算ではどちらかというと上値を抑えている要因があることに注目。

最近はエヌビディアの決算が近づくたびに、VIXのコールオプションを買うプレイヤーが大幅増大して市場全体の株価変動が大きくなる傾向にあるが、そもそもAI最前線に取り組んでもいないウォール街が決算前にどたばたエヌビディアの株価が下落した時用のヘッジ売りをしているというのは本当に意味があるのかどうかというのが毎回疑わしいというのは下記過去記事に記載している通りである。

【過去参考記事】

エヌビディアの決算でわざわざ右往左往する必要性がない理由


個人的にはそんなところには決算数値自体にはあまり注目しておらず、どちらかというと決算コールの中で語られたGPU需要の制約要因に注目している。
セルサイドの質問者がAI市場の進展において現在制約要因があると思いますが、何が一番大きな制約要因ですかと電力・土地・ファイナンスなど様々な制約要因を挙げたが、エヌビディアのCEO回答は全部が制約要因になっていると回答している。
つまり、エヌビディアのGPU需要というのはこういった各種制約要因がなければもっと需要が大きいはずだが、これら各種要因で現在は需要が抑制された状態である
こうしたことを考慮すると、エヌビディアの株価は構造的に下落しそうというより各種制約要因で上値が抑えられていると考える方が妥当なように思う。
エヌビディアが決算で語った各種制約要因なんていうものはAIにかかわっている人からすれば当然知っている話であり、株価には織り込まれているはずである。

【エヌビディアの株価チャート】
タイトルなし


なので、もしエヌビディアのGPUが根本的に需要が落ちているというのであれば過去記事で書いた通り決算が発表される前時点でもう当然のように底値割れるレベルで売られているはずである。
しかし、実際は底値を割っていないわけなので、AIブーム終了でエヌビディアのGPUの需要動向に何か異変が起きているというわけではないわけである。
一方で株価の伸びはここ3ヵ月ぐらいは止まっている状況であることも事実であるが、これは需要懸念があるというよりエヌビディアが決算んで語った制約要因によって、潜在的に存在する需要をまだ取り込み切れていないと考える方が自然だろうと思う。

この各種制約要因が取り払われるまでは時間がかかることは必然であるということに加えて、逆に言えばこの各種制約要因を提供できる企業の株価はまだ十分に上昇余地があるということを示しているように思う。
加えてこの各種制約要因が取り払われる中でじりじりとエヌビディアの株価もまだ上昇できる余地は十分にあると思うので、目先のニュースに右往左往することなくじっくり買いで取り組んでいくことを継続すればよいと思っている。
少なくともまだAIブームについては懐疑的に見ている人が多いことは、個人的には下記記事に照らし合わせて考えればまだまだ相場はきちんと銘柄選びを間違えなければさほど株式市場に対してネガティブに考える必要性はないと思っている。

【過去参考記事】
先行き不安材料がなければ株式市場は上昇しないと思う理由

 
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信越化学ほどの超優良銘柄でも事業環境が変化すれば株価が伸びなくなる

信越化学工業の純利益12%減、4〜9月 中国供給過剰で塩ビ市況悪化

まだこの銘柄に固執している投資家は基本センスがないと思う。

高値圏で好調推移している日本株であるが、色々見ているとかつては超優良株としてもてはやされていた銘柄が実は足下ぱっとしない動向が続いていたりするということで、今回はそれについて例を挙げたいと思う。

個人的にかつて超優良株の代表格であったのだが、現時点でここ数年株価がぱっとしない代表例として信越化学が挙げられる。

【信越化学の株価チャート】
 タイトルなし

信越化学は日本の化学メーカーの中でもダントツに利益率が高く、多くの優良株に投資すると謳っているファンドで組み入れ上位に入る企業である。
信越化学は主に塩ビとシリコンウェハーという2つを武器に利益を稼ぐ会社で、しかも非常に企業体がスリムということもありその優良さにはお墨付き的なものがあり、相場に困ったら信越化学株を買っておこうみたいな考え方も多くのファンドマネージャーは持っているかもしれない。

しかし、現在の信越化学の株価は明らかに日経平均・TOPIXに大幅劣後しており、信越化学をオーバーウェイトで持っているだけで負け確定みたいな状態になってしまっているが、なぜこうなってしまったのか?

その理由は塩ビとシリコンウェハーの両方で中国の採算度外視大増産が原因にある。
上記日経新聞記事では中国勢の塩ビ大量供給について記事は書かれているが、実はシリコンウエハーも同様に中国の国策的大増産が仕掛けられている。
それについては実はSUMCOの決算説明会ではきちんと説明がなされており、次世代産業投資だけは続けたいという中国政府の意向で化学・半導体絡みの供給設備投資が進んでいるがために、信越化学の業績を停滞させるほどの状況にしてしまっているわけである。
このシリコンウェハーの中国勢大増産についてはこの4~5年ぐらいに徐々に明らかになっていって、ここ2~3年で明らかに悪影響が大きくなっていることが確認できている。
そして中国政府の動向を考慮すると、供給増が止まるとは思えず、信越化学の業績が伸びない状況はまだ当面続きそうである。

このように優良株として名高い信越化学も、事業環境が変化すれば利益動向が芳しくなくなるわけであり、しかもこれが数ヵ月とかいう一時的ではなく、数年単位で続いているわけなので、中長期投資を謳っているファンドであれば、もちろん銘柄入れ替えをしていなければいけないはずである。
しかし上記のようにグローバルに業界動向を把握していない情報感度の低いファンドマネージャーだとこの変化を見過ごしてしまい、未だにファンド組み入れの中で高い組み入れ比率を維持したままにしてしまうという大ミスをやらかしてしまっているわけで、こういったケースがいくつか有名ファンドを見ていくと散見される。

当ブログでは具体的にどこのファンドがそうなっているかまでは列挙しないので各自が自分の目で確認していってほしいが、少なくとも現時点で組み入れ比率トップ10に未だに信越化学をポートフォリオに入れてしまっているようなファンドマネージャーは現在の相場についていけていないという判断をするので問題なく、そのようなファンドは今すぐ解約してインデックス投資に切り替えた方が良いだろう。
    
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