村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2025年10月

FOMC記者会見から考えるFRBの利下げパスとAIブームの状況

FRB、2会合連続で0.25%利下げ 量的引き締めは12月に終了

少し米債金利跳ねたけど、ほぼ心配する必要なさそう。

あんまり大きなネタはないだろうと個人的には考えているFOMCについて、一日遅れだがまとめていきたいと思う。

まず25bps利下げ実施自体は雇用の軟化を背景に普通に決定されたし、バランスシート縮小も12月に停止ということでここは波乱なしとなった。
しかし、あれだけ冒頭で雇用軟化の話をしながら、12月の利下げについては既定路線ではない的な話をしたことから、金利はやや上昇する展開となった。

【米債10年金利のチャート】
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ただ、個人的にわざわざパウエル議長がこういったのは、FRBもかなり足下で状況は手探りなので、ここで2ヵ月も先の話をコミットしたくないという単純な話だと思っている。
まだ一部では足下の米国インフレ率が3%なのに、FRBがターゲットとしているインフレ率2%を上回っているので利下げはおかしいという論調で語る人は未だ多い。
しかし、当ブログでは以前に書いた通り、関税は実質的な消費税に等しく、消費税分で上がったインフレ率って持続的インフレ率じゃないですよね?という話である。
そして既にトランプ関税については、まだ中国とインドがもめているが、その他主要国は関税率が最終妥結しており、概ね米国輸入関税率は平均すると15%になりそうというのが判明している。
そして過去に日本総研から25%アラウンドだとインフレ率が+1.5%上乗せになるというレポートが出ていた。
つまり15%だと単純に1.5÷25×15=0.9%なので、ほぼ1%インフレ率が上乗せされると考えればよい。

【過去参考記事】

関税悪影響は金融緩和で十分吸収できる量で、相場への心配は必要なし

そうなると、足下インフレ率3%ということは、関税影響除くと2%になるわけである。
こう考えるとインフレターゲットは既にクリアしているわけで、そうした中で雇用も弱くなっている中で、失業率は移民減少影響のノイズでまだぎりぎり数値を保っているみたいな状況なので、そうしたことを考慮すれば12月利下げなくても、トータル利下げ回数は変わらなそうだなと思う。

また、もう一つ収穫として、記者会見で一部質問者からAIブームでデータセンターがバカスカ立っているが、これによる景気浮揚効果で金融政策は変わる可能性あるのかという質問があったが、パウエル議長はデータセンターが数多く立ちつつあることは認識しているが、現時点では金融政策への影響は見込んでいないと発言していた。
個人的には最終的にこのAIブームはバブルとなり、金融政策にも影響すると思っているが、現時点ではそこには至っていないので、金融政策がAIバブルを阻害するということは現時点ではないことが確認できたので、そう考えればAI関連株への投資というのは継続すべきだろうと思っている。
  
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アドバンテストの決算でAIブームに懐疑的だった機関投資家がギブアップ買い

アドバンテストがストップ高、最高益更新の見込み(29日の株式市場)

相当ギブアップした機関投資家が多そう。

昨日の日本株は稀に見る異常事態であった。
日経平均は+2%なのに、グロース指数がマイナスどころかTOPIXもほぼ横ばいと、中身を見るとソフトバンクGと半導体製造装置企業しか株価が上昇していないという、幅広く分散投資している人から見ればインチキ極まりない値動きとなった。

【アドバンテストの株価チャート】
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そのきっかけになったのはアドバンテストの決算で、まさにAIブームの中で製造が増えているAI関連半導体を製造するために必要なテスターを生産しているわけであるが、もうその需要が爆発的であることが決算で明らかになった。
しかもこのアドバンテストの株は日経平均に占めるウェイトが非常に高く、一般的に機関投資家のベンチマークはTOPIXではあるものの、もうこれアドバンテスト持っていないと負け確定・少なくとも半導体製造装置株は持っていないとやばいみたいな雰囲気になったのである。

こういう動きになったのは、機関投資家の多くはまだAIブームに懐疑的であることに起因しているように思う。
これまで書いてきたブログ記事を振り返ると、1年半前の2024年2月時点でまだ機関投資家のAIブームに関する考え方は下記程度の考えしかなかったわけで、1年半程度でこの懐疑的な見方はそうそう変わっていないだろうと思われる。

【過去参考記事】

プロでもきちんと認識できていない生成AIバブル


上記記事の中で有名FMの苦瓜氏はこのAIブームに懐疑的な理由としてAIブームの継続は米国メガテック勢の巨額投資が必要だとし、その継続性に疑問を持っていることを挙げている。
しかし、実際はトランプ関税の大混乱がありながら、米国メガテック勢は投資を維持するどころかより過激に積み増しに来ていることは昨今のニュースフローを見れば明らかであり、この推理は完全に外れたのである。
下記書籍を読めば分かる通り、メガテック勢はOpenAIが台頭してきた時点で衝撃を受けていたわけで、それさえ分かっていれば巨額投資を続けるなんてのは2024年時点でも容易に想像できたわけである。

【参考書籍】
イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマン なぜ、わずか7年で奇跡の対話型AIを開発できたのか

そうした間違った判断をしていた機関投資家がギブアップ買いをすると同時に、ポジションの急速な入れ替えでその他がバカスカ売られてなんだこのインチキ相場みたいな感じになったのだと思う。
もちろん米国利下げが進んでいき、経済全体への好影響が明らかになっていけばこれまで弱かった銘柄にも御鉢が回ってくるだろうと思うが、それまでひたすらAI関連株が上昇するのを指をくわえて眺めることは、一定期間で相対的あるいは絶対的にパフォーマンスを求められる機関投資家には難しいだろうということで、足下の株式市場ではやはり中心にAIブームが続くことを考慮したポジション繰りが重要だろうと思われる。
  
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ゴールド・シルバー・プラチナ価格の急落で思うこと

金価格急落、投機マネーが翻弄 ETF経由で流入「安全資産」揺らす

やりすぎだし、ちょっと冷静になるとそこまでしか欲しいかという話になる。

ここもとこれまで一気に挙げてきた貴金属(ゴールド・シルバー・プラチナ)の価格がやや大きめに下落している。
まあ下落しているとはいっても、大分上昇してからの下落なので、よっぽど高値掴みしているやつでない限りは普通はまだまだ含み益バッファーがあるのでまあ大した話ではないと思うが、ちょっと価格がピーク付近の時はさすがにみんな異常な考え方を持っていたなあと思うので、それについてまとめていきたい。

【ゴールド価格のチャート】
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貴金属価格が上昇していたのはいわゆる脱ドル化的な話がメインであったが、途中からなんか金本位制回帰みたいな不思議な話も登場していたように思う。
しかし、人類の産業発展の歴史を考えると金本位制に回帰するなんてことはまずあり得ないし、それがいいとも思わないのでこの金本位制議論が急に貴金属価格の上昇理由として取り上げられると、価格上昇を無理やり正当化しているような感触を感じざるを得なかった。

また貴金属を持っていたところでなんだ?という話がある。
もちろん安いところからの購入であれば貴金属には価値保存機能があるので、価値保存が安くできるからいいよねという話であるが、みんなが殺到して価値保存機能が高くついている中で熱心に買う理由がはたしてあるのかというところも疑問に持たざるを得ない。
いわゆるペーパー資産系は一般的にその割安・割高を計るバリュエーション的なものがあるが、貴金属類はそういうのがないために、みんな結局需給動向となんとなくーで売買しているに過ぎなく、結構割高・割安の判断が甘くなりがちなところが問題になりがちである。
そこらへんの貴金属類の割高・割安はどのように見るかは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

本来発展性を担保にして価値が生じている株式のパフォーマンスを上回り続けるのは普通に考えると難しいはずであるが、既にここ数年に限定すると株をアウトパフォームしてやや割高感があった中で、わざわざETFで本来のNAVの15%も高いところで購入したり、貴金属店の行列に並んで購入したりするもんでもないだろうという普通の感覚を持っているとさすがにまあしばらくこれはお休みだし、ここからは株の方が貴金属よりもアウトパフォームしやすい局面になりそうだと感じるところである。
 
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AIバブル温床のソフトバンクGが劣後債発行でさらに加速の予感

ソフトバンクG、ハイブリッド外債発行 総額4300億円

フルスロットルモードに入ってきた。

上記はソフトバンクグループが劣後債をドルとユーロ併せて4300億円の発行をしてきたということで、相当巨額な上に以前に劣後債を発行したのは確か7~8年ぐらい前だったことを考えると、思い切ったファイナンスをしてきたなと思うので、今回まとめていきたい。

このソフトバンクGの劣後債というのは一定期間発行金額の50%を株主資本に算入できるとして、投資を拡大したいけど格付けを落としたくないという時に多少追加コストを払ってもいいからという時に活用されがちなファイナンス方法であるが、ここにきていよいよAIブームの確証が得られている中で孫正義氏としてはここでドライブをかけていきたいという考えがあるのだと思う。
今のところ開示上ソフトバンクGのLTVは17%と投資家に約束している25%よりバッファーがある中で、全部普通社債でファイナンスするより劣後債でバッファーが一定程度保ちながら投資するほうがいいだろうという判断があったのだと思う。

さらに言えば、これはソフトバンクG側の都合だけでなく、投資家側も好都合だと思っている節があり、この社債調達が成功したと思われる。
S&Pの格付けがBB+とジャンク級の格付けで、かつ劣後債となるとそこから2~3ノッチも低い格付けではあるものの、ソフトバンクグループ自体は東証の中でも非常に時価総額が大きく、わけのわからない小型米国企業と比べると素性がわかっているし、既発債含めて非常に流動性があるので、ジャンククラスの中でも比較的安心して投資できる発行体だったりする。

そうしたクレジット界隈で人気がある中で、さらに金融緩和期待もあるわけで、これを機会にソフトバンクGは一気にAI投資を拡大できるだけしようと社債の発行を活発化させているわけであるが、これが続く限りはAIセクターに次々と投資資金が投じられることを意味するので、変にこの辺で打ち止めだろうと思ってAI関連銘柄の株を手放すのはもったいないだろうと思う。

逆を言えば、ソフトバンクGがAI投資するための資金調達ができなくなった時が最も相場的に危ない時なので、ソフトバンクGのファイナンス動向をモニタリングすることは足下の相場において非常に重要な作業であると言えるだろう。
まあ少なくともFRBが利上げを再開するまではみんな高利回り社債に群がる可能性は高いわけなので、とりあえず現在FRBが利下げサイクルにある中でそうそう崩れるとはちょっと考えづらいんじゃないかなあと思ったりする。

【ソフトバンクGの株価チャート】
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結局チキンレースの延期でお互い妥協した米中対立と盛り上がる相場

対中100%関税回避、レアアース規制1年延期 米中首脳会談で最終決定へ

週明けから結局こんな感じ。

先週金曜日は相場が絶好調で引けた形であったが、さらに週が明けた直後に米中の貿易交渉について、米国側は対中追加100%関税・中国側はレアアース輸出規制について1年延期するということで妥結しそうということで、いきなりリスクオンでの始まりとなった。

【S&P500(CFD)のチャート】
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元々今回は中国側からレアアース輸出規制というカードを切ってきたことによって、米国側がブチギレの100%追加関税と言い始めていたわけであるが、前の記事にも書いたがお互いこれを長く続けるほどは余裕がないということを書いてきた。
米国側はもう多くの人が知るところであるが、関税による値上げで消費者の節約志向が強まっているので、さらに追加関税が加わるとさらに景気が厳しくなりそうということで、もう中間選挙のスケジュール見えている中でそんなことできんやろと見る向きは多かった。
一方、中国は中国でXの親中勢が言うほど余裕がないことも確かであり、不動産バブル崩壊で超絶不況な中でレアアース輸出規制して諸外国からドン引きされて資金引き抜かれたり、レアアース自体のビジネスが縮小していくと国内の雇用状況の不満がいよいよ危ないレベルになりそうという状況である。

そういった中で、お互い国内向けのメンツもあり、撤回ができないという中で、結局一旦延期で話し合いましょうということで合意するという展開になったというのが今回の結末だったと言えるだろう。
ちなみに、1年後にはみんなこの話はほぼ忘れていると思うので、再度話し合われるのかそれとも違う話題が台頭するかは正直今のところはどうでも良いだろうと思う。

これを見る限りは米国の対中関税での対立というのは、日本や欧州のように最終妥結にいきなり向かうということはなく、このようにお互いぎりぎりの駆け引きをしながら時間の先延ばし的な感じの交渉が続くように思える。
そのため、度々新しい激化ヘッドラインで相場が揺らされるかもしれないが、結局米国も中国も本当に事態を極限にエスカレーションさせるほど余裕がなく、先延ばし的な感じでだらだらと対立が続くような形が続くものと思われる。

ただ、こういう状況であればAIブームの勢いがすさまじい中で、マイルドな米中対立は変に相場が一気にバブル化するのを防ぐ効果もあり、下記記事のように中途半端なマイナス材料が実は相場を長続きさせる重要なファクターになっているように思われる。

【過去参考記事】
先行き不安材料がなければ株式市場は上昇しないと思う理由

      
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