村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2025年08月

会社業績予想は大体5~8%ぐらいのバッファー込みでの開示となっている

【参考書籍】
本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝

大体会社予想EPSの5~8%が実際はバッファーとして考慮されている。

上記書籍を読んでいる中で、日経平均において会社予想EPSと市場予想EPSについての乖離幅について言及されているところがあったのでそれについて今日はまとめていきたいと思う。

元々会社側が出してくる業績予想というのは保守的なものであることは有名である。
なぜなら、業績未達となった場合に経営陣が株主から退陣を迫られる可能性があるわけであり、最初に出してくる会社業績予想というのは保守的なものであり、そこから徐々に期末に向けて業績予想を上方修正するのが常であるというのは市場の常識である。
自分もこれは十分認知していたものの、じゃあどれぐらい保守的な数値なのかというのはあまり認識はなく、ぼんやり考えている場合が多かった。

しかし、上記書籍を読んでいる中で、日経平均の会社予想EPSと市場予想EPSのグラフデータがあり、そこを見てみると2016年頃のデータではあるものの、大体会社予想EPSが1200ぐらいの時市場予想EPSは1300という数値となっていた。
その他の年でも大体50~100ぐらいの幅の乖離があり、会社側が保守的に見積もっている数値分がそれぐらいあるんだなというのを初めて目にした。

以上から考慮すると、大体経営陣はなにかあった時のための利益目標バッファーを5~8%程度持っていると考えるのが妥当だろう。
心理的にも5%以下しかバッファーないと、過去の業績ボラティリティを考えると下限ブリーチしてしまう可能性がある一方で、10%もバッファーを取ると投資家サイドの心理から見れば職務怠慢と見做されて経営陣側にクレームが入り追放される可能性が増大してしまうので、5~8%のバッファーというのが落としどころみたいになっているのだと思われる。

なので、実際に会社が業績上方修正をかけた時などに、そのバッファーを考慮しても期待を上回る業績になっているのかどうかを確認する必要性がある。
個別企業だとどうしてもその業態の特性などによって業績予想のズレみたいなのは大きくなるので、そこは日経平均のβに対して、それぞれのセクターのβがどれぐらいあるのかを考慮して計算をすれば良いかもと思っていたりする。
例えばベータが2倍のセクターであれば、バッファーは倍ぐらいあるかも、つまり実際に市場期待値を超えるには当初の会社予想業績のEPSから10~16%ぐらい上方修正されるべきという考え方である。

 
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

M&A増加が株式市場におよぼす影響

「桐生のバフェット」に買い場到来、グロース市場改革でテンバガーの夢

やっぱりそこを見てる人は多いよね。

上記記事では日本の中小型株市場に勝機を見出して投資している個人投資家がBBGの報道でピックアップされているが、その中で文章後半にM&Aの増加に期待するような発言をしている箇所に個人的には注目している。

一般的にM&Aと株式市場での取り組みについてはTOB狙いの投資みたいなイメージを持つ人は多いが、実はM&A自体が株式市場全体を押し上げる原動力に理論的になるわけで、このM&Aの視点が相場を考える上で抜けている人は多い。
特にいわゆるチャートしか見ていない人はこの実経済の動きを無視して考えてしまうので、往々にして上昇相場の時に取りこぼしが非常に多くなるケースがあったり、変な高値で掴んで爆死したりすると言うケースが増加する。

M&Aというのは一部を除くと現時点で株式市場でついている値段の株価+2~3割とかで買収されるわけで、今見えている値段より相当程度高値で取引されるので、これは単純に株式市場にとっては追加的に株価が上昇する原動力になる。
さらにM&Aは大抵手元キャッシュだけでなく借入を増やして行うわけなので、下記過去記事に照らし合わせて考えると、株価押し上げ原動力になることは間違いない。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

特に足下では日本の大企業でさえ人手不足感が強まっていて、会社の中のリソースが足りなくなっている中で、一から立ち上げるよりも既に立ち上がっている企業を買収して欠けている穴を埋めることは
この会社単独だと価値つけるのが難しいケースでも、買収されて大きな企業の一つのピースとして考えると非常に良い会社もあるわけなので、そういうところはこういう投資家がめざとく見つけて株価を押し上げていくだろうと思う。
金融市場では一部めざとい投資家がTOB狙いでの投資で大成功をおさめたりするが(最近だと住銀SBIや東洋建設など)、無理にTOB狙いでなくても株式市場全体をM&Aが押し上げてくれると考えるだけでも十分様々な投資戦略の中で活用できると思う。

このように、単に金融市場という考え方だけでなく、実経済上での動きというのも考えていかないと、なぜか不思議と「足下の株価はどう考えても高すぎておかしい!」というヒステリックな反応をして上昇相場を見過ごしてしまうので、このような実経済上でみんなどう動こうとしているのかもきちんと観察することが足下の相場では重要だろうと思っている。
  
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

エヌビディアの決算でわざわざ右往左往する必要性がない理由

エヌビディア、売上高見通しが予想上回る 中国巡る不透明感で株下落

業界最先端の人間が売っていないのに、決算数値見て判断する素人に何のアドバンテージがあるの?

先日注目のエヌビディア決算が発表されてきたわけであるが、細かい内容については既にありとあらゆる人達が様々な角度で分析・判断して、様々なメディアで記載していたりするし、それに対して自分がより価値ある独自見解を持っているわけでもないし技術的な理解もそこまでないので、決算自体の内容については特段言及しないが、総合的に言えばぼちぼちといった内容であっただろうと思う。

決算発表直後のアフターでエヌビディア株自体は3%ぐらい下落したが、結局米国時間が始まって引けてみると下げ幅は1%未満だったことからも、決算的に多少けちつけられるほどAIブームとそこでのエヌビディアの立場が弱くなっていることは認められないということだろうと思う。

【エヌビディアのチャート】
タイトルなし

多くの人はエヌビディア決算が注目!みたいな感じでまるでエヌビディアの株価やハイテク株の動きがエヌビディアの決算前後で大きく変わるような言説をしたりするが、個人的にとっくにそのフェーズは終わっており、エヌビディアを追う際に決算数値しか頼みの綱しかない場合はもはや何もアドバンテージがないと考えるべきだろうと思うようになってきており、その理由をまとめていきたい。

まず、現在経済で最もホットなのはAI投資・開発ブームであることは誰しもが疑わない話であり、これが続くかどうかがエヌビディアの決算にとって最も重要なことであることも誰もが疑わない話だろう。
そしてエヌビディアはバリュー株とかとは違い、グロース株であり、何か財務上の欠点がありそこに企業経営努力が入るかどうかなんていうのは全く関係がなく、結局AI投資・開発ブームが続き同社のGPUやその他半導体が売れ続けるのかどうかというのが重要なわけである。
既にAI市場ではエヌビディアは独占に近い立場にあるわけなので、言ってみればGPUを必要としている人達は自分達がどれぐらいAIに投資するつもりでエヌビディアにどれだけ発注するのかというのを誰もが考えているのである。

つまり、エヌビディアは本当にAIブームが落ち始めて決算悪そうという話になるのであれば、既にそういった最先端分野に関わっている人達がエヌビディアのGPU需要が落ちるだろうと考え始めてエヌビディア株を真っ先に売るはずであり、決算前時点でバカスカ下がっているはずなのである。
なので、決算の数値見てから動くなんていうのはそういった人達に1周以上ビハインドした過去結果を見て投資判断をすることになるので、そこには何のアドバンテージもないことは少し考えれば容易に想像つくだろう。

なので、エヌビディア株が決算前にもかかわらず高値を維持できている時点で、業界最先端にいる人達がエヌビディアは引き続きAI業界で君臨していることには疑いを持っていないわけで、素人が決算数値を見てあーだこーだと言っている時点で、じゃあなんで業界最先端の人達は株売ってないんですかねという話になる。
過去にエヌビディア決算で株価がジャンプしていたのはChat GPT登場によるAIブームの本格始動という予想外の話があったからであり、今やそれをほとんどの市場参加者が認知している時点で、エヌビディア株が決算を手掛かりに動くということはまずないだろうと思っている。
エヌビディア株が動くとすれば決算以外の技術イベントや日々の技術進化の移り変わりで動くはずである。
 
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

信用買い規制強化で中国・香港株に大逆風

中国株の時価総額1兆ドル増加、証券会社やファンドが購入制限に動く

さすがに中国株もここまでだと思うけどねえ。

当ブログ読者であれば、ここ数年中国株・香港株について基本的にネガティブな見方をしていて、投資する必要性はないとブログ内で述べてきたことは既に認識していると思う。

まあ元々本当に一株あたりEPSの数値が正しいのであれば、さほど高くはない数値なので、大暴落というより誰も買わない形で放置されて、他の地域の株価が上昇する中、そのパフォーマンスに劣後するだろうという見立てをしたが、その予想に反する形で中国本土株は上昇を継続していた。

【CSI300のチャート】
タイトルなし

普段「こんな株価動向はおかしい!市場が間違っている!」なんて言わない自分でもなんでやねんと思う値動きであった。
不動産バブル崩壊から一向に立ち直ってないし、強烈デフレかつ現在の経済問題の原因である政治構造に一切改善が見られていない中で、どこに上値を積極的に追う理由があるんだよと思う動きである。
そこらへんの考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

その背景としては上記BBG記事の通り、中国国内の投資家が信用買いをどんどん積み上げていることが背景にあるわけである。
これは中国政府の景気支援策は絶対に効くと疑っていない投資家がリスクを顧みずにバンバン買っているわけである。
しかし、習近平政権にあまりにも株価が上昇した後に、この溜まりに溜まった信用買い残が逆回転して連続的に株価がストップ安を繰り返す悪夢を2015年に経験しているわけで、さすがにこのまま放置するわけにはいかないとして、信用買い残が増えないようコントロールしようと規制強化に動いたわけである。

しかし、これは中国・香港株にとっては致命傷に近いと思っている。
なぜなら前述したように中国景気自体にほぼ改善見込みがない中で、株価上昇はほぼこの投資家の信用買いポジション積み上げに依存していたわけであるが、これが政府によって規制されるということは、今後この信用買い残はどこかのタイミングで期限が来て売却せざるを得なくなる一方で、新しい買いは湧いてこないので、普通に考えればもうこれはよーいどんで株売り競争になるはずである。
しかも、これは実質政府からのお達しであり、これまで大体中国のリスク資産価格が下落してきたところは全部政府による規制強化にあるわけで、普通に考えるとこれで株価は相当下落するんではないかなあと思う。

もしこれでも中国・香港株が下落せず株価が高値を更新するのであれば、自分が何か根本的に見落としている材料があるはずなので、それはその時に反省しようと思う(開き直り)。
  
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

不良更生理論だけでは株価の伸びに限界があるアルゼンチン株

ドラッケンミラー氏、アルゼンチンETFの保有を縮小-最高値記録後

不良更生理論では限界がある。

アルゼンチンはミレイ氏が大統領になって以降、色々な改革を進めたことにより状況が改善しているよねということで、アルゼンチン株も評価が改善し、ここまで相当程度アルゼンチン株は高くなってきた。
しかし2025年になってからアルゼンチン株は上昇がとまっており、そこから一段高になろうとしたところでバカスカ売られて結局レンジ圏内に押し戻されてしまった。
 
【アルゼンチンETF(ドル建て)のチャート】
タイトルなし

これは何を意味しているのだろうか?

アルゼンチンというのは農業以外は目だった産業がなく、そして行政の非効率性は目も当てられないレベルである。
これまでは一応ミレイ大統領の改革が上手くいっているのか、まだ絶対値レベルはひどいものの、以前のアルゼンチンと比べればかなりマシな経済統計結果も出ている。

しかし、問題はこの先の展望が見えないということである。
現在アルゼンチンの代表株価指数のPERは大体11倍ぐらいであるのだが、国としての発展性が低く、別にEPSも伸びているわけでもないのに、これ以上高いPERを現時点でつけることが難しくなりつつあるのではないだろうか?
アルゼンチンがいくら状況が改善しているとはいっても、別に直接投資が増えている気配もないし、産業構造も特に変わっていない。
ようは不良が更生してお涙頂戴的な形での評価改善だけでは天井が知れているわけで、その天井にぶつかり始めているのではないか?

さらに足下で農業産業系があまり状況がよろしくないこともマイナスである。
中国が失われた〇〇年(まあ10年以上は確実)になっている中で、これまで世界の食糧需要を牽引していた中国の需要の伸びが死んでいるわけで、じゃあ農業しか頼りになる産業がないアルゼンチンのマクロ経済がここから改善するんかいなというのは見通しが立たないわけである。

結局、それはあくまで不良が更生した分の評価を与えられただけで、じゃあここから一般人と比較した時にお前は伸びしろがあるのかというのが評価されるステージになりつつあるわけだが、そう考えた時に明らかにアルゼンチンは見劣りすることは確実なわけである。
それがストレートに市場に反映され始めているわけで、やはり割安是正というのは一定程度より上になるとそこからは実際にじゃあお前これから優等生になるんだよね?というストーリーが必要になるわけで、そこがないのであればアルゼンチン株の快進撃もこの辺までかなあと思ったりしている。
 
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信