村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2025年07月

何かを新規で手掛けるには材料不足であった米国CPI

Inflation picks up again in June, rising at 2.7% annual rate

上にも下にも一旦は手掛ける材料ではなかった。

7月FOMC前最後の米国CPI発表があったので、結果と市場動向についてまとめていきたい。

発表された数値は、総合CPIは前年同月比で市場予想+2.6%に対して結果は+2.7%、コアの方は市場予想+2.9%に対して結果は+2.9%と若干だけ総合が上振れたが、まあ誤差と言えば誤差というレベルであった。
さらに細かく見ると、前月比ベースで見ると、総合CPIは市場予想と結果がほぼ一致したが、一方でコアの方は市場予想+0.3%に対して結果は+0.2%ということで若干下振れる結果となった。
まあこれも誤差と言えば誤差のレベルであるが、少なくとも一部の人がいうような過剰なインフレ上昇にはなっていないということの証左であり、7月はないだろうが、FRBがそのうち利下げをするだろうという方向性にはなんら変更はなく、結局インフレ率じゃなくて雇用の方が米国金融政策動向を左右する展開になっていると考えるのが妥当だろうと思われる。
関税転嫁についても、細かく見るとおもちゃ・テレビ等オーディオ製品・スポーツ製品などのインフレ率に兆候が見られてきたが、ホテル・航空サービスなどのレジャー系がマイナスとなり、トータルでまあこんなとこですかねえという落としどころとなった。

ということで、市場結果としては別に先行きインフレが高まることを怖がっている人が思うほどはインフレは高くなっていないし、一方でもっとインフレ下がってくれと期待している人が思っているほどは下がらないという、白黒つかない結果となっている。
そういうことを考えると米国債金利は煮え切らない動きしかしなさそうだなあという感じしかしなく、若干コアが市場予想を下回ったわけであるが、10年金利が4.5%を上回るようなネタにならない一方で、4%を切るような期待感も持てないなあと、まあ債券満期まで相場見なくてよい個人投資家はともかく、機関投資家はやきもきするような展開にしかならなそうである。

【米国10年債金利のチャート】
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一方で、これは株にとっては銘柄によっては都合が良い内容となっているように思う。
正確に言えばメガテック・AI投資ド真ん中銘柄にとっては非常に都合が良い。
以前記事で書いた通り、多少の関税混乱があっても誰もAI投資を全くやめていないわけで、そうした中でFRBが変に景気を阻害するような金融引き締めさえやらなければ借金をしてAI投資をする流れが継続している可能性が高いと思われる。
なので、下記過去記事の考え方をしながらAI関連銘柄の状況を考えれば、基本的にナスダック100を中心に大型株は上目線の最高値更新で問題ないだろうと思っている。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

ただし、実際に昨日の相場の反応として、メガテック・AI関連銘柄は調子よかったものの、一方で中小型株であるラッセル2000は2%近く下落しており、銘柄選別色は非常に強まっているという評価になるように思われる。

【ナスダック100のチャート】
タイトルなし

 
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日本の金利が正常化する中、預金振り向け先もどうすべきか考える時代になってきている

MMFとは?MRFや一般的なファンドとの違いをわかりやすく解説

ゼロ金利が長らく続いたから、この辺の運用が選択肢と出るのは久々。

日本もデフレの時代が終わりインフレとなる中で、自分の資産をインフレから守るためにどうすべきだろうかというのが真剣に考えられる時代となっているわけであるが、そうした中で日本もここまで数年前であれば可能性がほとんど考えられてこなかった利上げが行われてきて、政策金利は0.5%となっている。
しかし、この政策金利というのは日本銀行当座預金のうちの超過準備預金に対して付与される金利であり、預金者はそのまま0.5%の利息をもらえるわけではないのである。
そのため、足下で日銀の政策金利は0.5%であるが、それによって預金者は普通預金でそのまま0.5%の金利をもらえるわけではなく、大体足下では0.21%程度の預金利息しかついていない。
(銀行によってはもっと低いところもあるかもしれない)

そのため、これまでは預金はどこに預けたってどこもほぼ同じなんだからということで預け先についてはあまり意識されてこなかったが、預金の振り向け先というリテラシーひとつでもリターンに差が出る事態となっている。
まず段々と定期預金の分野で金利に差がついてきていることは、色んな銀行の定期預金利率を比較することでわかる話である。
一方で普通預金の方はまだそこまで差はなく、0.21%より高い金利を得ようとしたときは様々な条件や制限付きで+0.5%ぐらいまでつける銀行が少数いるみたいな状態である。
様々な条件が付くということでややかったるさがあるということで、大きな預金シフトにまでは至っていないのが現状だ。
なので、めんどくさい条件や制限がつかない預金代替先を探す必要性が出てきている。

そういうめんどくさいことは嫌だよねえと考えた時に、ここにきて段々と預金代替として注目され始めてきているのは、証券会社などが提供するMMFだろう。
MMFとは短期国債や企業が発行するCPなどに投資をして高い利回りを得るファンドであり、一般的に預金より高い利回りを得られる上に、いつでも解約可能という流動性の高さを特徴としてもつ金融商品である。
このMMF自体は昔からあるものであるが、日銀がマイナス金利政策を導入していた時はどう運用してもプラスリターンが出ないということもありファンド償還が相次いだが、プラス金利になった上に色々できる余地が増えたということもあって、ここにきて拡販する動きが相次いでいる。

例えば楽天証券でも日本円MMFについての拡販がマイページ上で始まっており、その利回りは0.46%という利回りになっている。

【参考ページ】
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rakutenmoneyfund/

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これは投資をすれば大体この利回りで回るというものだし、政策金利が上がれば今後利回りはさらに高くなるものである。
これは預金利息が現在0.21%しかないことを考えると複雑な条件がつかない中で魅力的な投資先と言えると思う。
もちろん企業発行のCPにデフォルトリスクがあり、完全元本保証の商品ではないが、一般的にはよっぽどの金融危機が起こらない限りにおいてはMMFが元本割れで返ってくるということは相当稀であることを考えれば、まあ表示されている通りの利回りがあると思えば現状はいいんじゃないかなと思う。
実際に米国でのMMF人気というのは預金よりもリスク対比で利回りが良いという考え方から来ているわけで、日本でも同様な考えになる時代が近づきつつあるのかなあと思う。

とまあ色々述べたわけであるが、金利が正常化する中で、預金一つとっても色々選択肢が増えてきたので、この辺も細かくアンテナを張っておきたいところである。

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TACOが剥げても被害を被るのは弱い立場の企業群

最高値の米株を揺らしたトランプ関税 「TACO」再考の時

TACOだろうがなんだろうが関係ない銘柄への投資が重要。

4月のリベレーションデーの大幅下げから7月も半ばまで相場は一気に駆け抜けていき、気づけば米国株は最高値更新しているし、クレジットスプレッドも既に概ね以前の水準に戻っているなど、相場が崩れるとトランプがびびって関税政策を一旦調整するということでTACO(トランプ氏はいつも腰砕け)相場と言われてきた。

しかしそれだけ言われている中で、トランプ自体がそれに対して気に食わない気持ちを持っていそうだし、株価が堅調な時は強硬な関税政策を再びやりやすいのではないかという懸念が生じているわけで、これが金曜日の株価下げにつながり、またそこにパウエル議長が辞めるかも的な話で金利も上昇するなどTACO相場の剥落懸念が生じている。

しかし、個人的にはこのTACO相場の剥落懸念については、保有銘柄にもよるがそこまで既に大きく懸念する話でもないように思っている。(株価に関して言えばということで、金利はまた別かもしれない)
リベレーションデー以降の動きとして、市場の認識として固まりつつあるのは「関税の数値に関係なくAI投資・利用は継続される」という認識である。
そのためAI関連銘柄はTACOが剥がれたとしても相対的に立ち位置が良いのである。
一方で、それ以外、特にオールド銘柄群はもろに関税影響によって先行き消費量が変わってくる可能性があるために相場がぐらつく可能性があるし、特に大企業より中小企業の方がその影響はずっと大きいことがほぼ市場の共通認識になっている。

実際に先週金曜日はその動きが顕著であった。
過去最高値を更新しているナスダック100の下げは0.3%程度と限定的な一方で、過去最高値に届いていないラッセル2000は1.5%も下げており、その差は顕著であった。

【ナスダック100のチャート】
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【ラッセル2000のチャート】
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リベレーションデーの時は十把一絡げに相場が売られたがために、単にベータが高いものから下げが大きくなったがために、ナスダック100の方がS&P500やラッセル2000より売られたわけであるが、あの衝撃から早3ヵ月で市場参加者も大分考える時間が生まれたことから、関税影響を受けやすい銘柄とそうでない銘柄を選別する余裕が出てきたことで、もしかすると堅調な株価を見てトランプのTACOが剥げるという懸念が見えつつも、それはAI投資にはほとんど関係ないですよねという判断になったのだと思う。
さらに言えば、TACO剥落で中小企業株の下落幅が大きくなれば、再びTACOになる可能性が高くなるので、いずれにしろAI投資関連銘柄であればそれによる金利低下の恩恵を受けられるという、どちらに転んでも大丈夫なんじゃないですかねという論理構築が可能になっている。

以上を考えると市場参加者の心理は比較的余裕があり、以前のリベレーションデーの驚きと比較すれば市場参加者は分別が付いている状態なので、TACO相場が剥落しても前回ほどの衝撃はないだろうし、AI投資ド真ん中銘柄への影響はさらに限定的だろうと思われる。
下記過去記事の通りの考え方をすれば、AI投資している人達が借金をさらに増やしてでも投資していることを考慮するとそういう結論で概ね問題ないのではないかと思う。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

 
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実は一方的合意であった米国とベトナムの関税交渉から考える先行き

トランプ政権20%関税、ベトナムにとって寝耳に水-税率引き下げ探る

結局ほとんどの国と何も決まってないも同然。

これまで米国政府との関税交渉については、イギリスとベトナムが米国政府と妥結したという認識を皆が持っていた。

しかし上記BBGの記事ではどうも様子が違うようである。
トランプは大々的にベトナムと関税交渉で妥結したと高らかに宣言し、その関税率は20%・中国からの経由輸出の場合の関税率は40%だということになった。(どういう風に中国からの実質輸出というのを判定させるのかは一切不明)
しかし、これについてベトナム側は全くの寝耳に水だったようで、ベトナム側はまだこれから交渉継続して、ベトナム側の要望である10-15%ぐらいの関税率で妥結を目指していたところ、トランプが一方的に妥結したと言い張るという珍事態になっているのである。
そしてどうやらベトナム側はまだ関税交渉は妥結していないとして交渉を継続するようである。

この状況を考えると、実質的に本当の意味で関税交渉が妥結しているのはイギリスのみということになる。
これはイギリスがそもそも米国にまともに輸出するようなものなんてないという事情が大きく、現在交渉で揉めている国は全員米国への輸出が非常に大きい国である。
つまり、輸出金額が大きい国については何一つ交渉が進んでいないし、まさかの一方的に妥結したというケースまでトランプ側からは発せられるというのはちょっといくらなんでも稚拙すぎるという話になっている。

さらにカナダに35%の関税とか、ブラジルに50%の関税とかもうトランプ側が言ったもん勝ちみたいになっているが、交渉中に急にゴールを動かしてしまうという、もはや一体トランプ側は何をしたいのか多くの国は戸惑うしかない。
せめて最終ゴールはどこらへんなのかというところを決めてから交渉やれよというのが各国の本音だろうが、あまりにも理解不能な動きをしていてこちらから妥協すべきポイントが見当たっていないというのが関税交渉が進展しない原因になっていると思われる。

このように、トランプの関税交渉についてはもはや何も実務が追い付いていないのが露呈しつつあることを考えれば、どうせ大きな国は誰も何も進んでいないので、必ずしも日本の関税交渉が進展していないと嘆く必要性はほとんどないように思うし、だから相場は壊れると考えるのももはや遅れている考え方ではないかと思う。

あとはなんとなく興味を持っているのが、ベトナム側が考えている関税率よりずっと高い率で勝手に合意と発表されたにも関わらず、ベトナムの株価指数は上昇しているのである。

【ベトナムVN指数のチャート】
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このことが意味するのは20%アラウンドとかの高い関税率での妥結でも、別に交渉相手国の経済的にはそこまで大きな問題が発生せず、単に米国の消費者が税金払うだけじゃないかという風に見られている可能性はありそうだ。
また、ベトナムに対して一方的に合意したとトランプが発言したことからも、相当焦りが見え始めている可能性はあり、この関税交渉というのはもはや短期的なもので終わるのではなく、ロングランを前提に考えていくものではないかと思っている。
そう考えると、中間選挙まで時間がなく、案外米国側が折れる可能性の方がずっと高いのではないかと思っている。
 
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日本の中古住宅不動産市場動向(2025年6月)

http://www.reins.or.jp/library/2025.html

↑中古住宅不動産市場統計を出しているレインズデータライブラリーのHP

東京以外の価格が結構弱まっている。

毎月レインズデータライブラリーで発行されている首都圏の中古住宅不動産市場動向の2025年6月データを今回は確認していきたいと思う。

まずは概況からである。

【中古マンション市場の概況】
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見た目はさほど前月と変化していない成約増・単価増であるが、前月よりも単価の伸びがやや低くなっており、これは東京以外は相当価格弱かったんじゃないかと既に若干嫌な予感がするような雰囲気が出ている。
しかも在庫全体の件数のマイナス幅も少なくなってきており、成約も伸びているが在庫がやや滞留している感じが読み取れる感じがしている。

【地域別成約価格動向】
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地域別を見ると東京区部は相変わらずの強さであるが、他が想像より弱い動きとなっている。
特に千葉と神奈川県他が非常に弱いことは、相当郊外実需が弱っているような感じをさせている。
横浜・川崎もかつてほどの勢いは見られておらず、なんとなく神奈川で今元気あるのは武蔵小杉だけなのではと思わせる雰囲気さえある。
埼玉県はかろうじてプラスであるが、これはさいたま市の伸びが大きく、実はその他の地域の成約単価は前年同月比マイナスであるため、東京区部以外資産性維持するのが難しそうみたいな内容となってしまっている。

【新規登録・在庫関連】
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東京区部以外は弱いのだが、新規登録と在庫価格が伸び続けているのを見ると、いかに東京区部が強いかという話になる。
しかも別紙のより細かい地域別で見ると都心3区の在庫数が大きく伸びており、わーっと売り出しながら価格が伸びているという状態で、外国人投資家中心にバカ高い物件が買われているように思われる。
そういったこともあり、全体として郊外実需は全体的に弱い動向+都心3区は入れ食いで外国人に馬鹿高値掴ませる在庫放出をしているといった随分地域によって違う動きが見られている。

今回の統計は東京区部以外は価格の伸びが低迷していることが継続しているのが浮き彫りになっており、グロスの壁+日銀の利上げによる住宅ローン金利の上昇による郊外実需層の様子見姿勢が明らかになってきている。
これは短期的に悪いが、中長期的には日銀に利上げを躊躇させるような動向というところもあり資産価格的にはプラスと見ることも可能なように思う。
この程度で実需が一旦様子見姿勢を見せるなら、まあバブルとは言えないんじゃないですかねというのが個人的な評価である。

 
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