村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2025年07月

M&Aが株価上昇の誘い水になる

メタの人材獲得加速、音声AIスタートアップ「PlayAI」の買収完了

現実世界の動きも考えれば、強気でよさそう。

足下引き続き米国株価は堅調推移しているが、その動きについて不自然だという人は非常に多い。
その理由が買う理由がないからとか先行き不安材料は多いとかを挙げて、このような状況で機関投資家は買わない・個人投資家しか買っていないということを挙げる人がネット上では多いように思う。

しかし、株式市場の世界はなにも単に投資家の思惑だけで動くわけではないし、個人投資家の資金は全体から見ればさほど大きくない。
現実的には機関投資家の方が影響力はずっと大きいし、さらに言えば最も大きなお金が動く時は投資家というよりは企業が何か別の企業を買収する時のM&Aの時である。
(だからこそ投資銀行部門という部門が成立していて、日夜命削りながらハードワークしている)

そして、足下のM&A動向を見ると、AI関連企業については積極的なM&Aが見られている。
特にAI周りのM&Aは活発であることは、記事冒頭のニュースを見てもわかる話であると思う。
M&Aをする際というのは、新しい借金をこさえた上に、市場が想定している時価総額にプレミアムをつけて買収価格が決定されることが多いわけで、つまりは市場に金が投入されるし株価も買収に影響されたプレミアムが付くことになる。

足下のトランプ政権の政策については先行き不安を起こしているのではないかと思われるかもしれないが、個人的にはM&Aにはもうほとんど影響は与えないだろうと思っている。
新規の設備投資みたいなのは不確実性が高くて引っ込める可能性はあるだろうが、M&Aの場合は業界トータルでは供給力を増やすものではないし、買収してからの合理化とかも期待できるわけで、トランプ政権の政策不確実性がある中で、実はM&Aというのは比較的に手堅い事業戦略と見ることもできる。
さらに足下クレジットスプレッドが非常にタイトなことを考えると、この調達コストの安さを社債発行を駆使してM&Aしたいというインセンティブは非常に高いだろうと思われる。

【米国投資適格社債のスプレッド】
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https://fred.stlouisfed.org/series/BAMLC0A0CM

このように株式投資家だけでなく、企業が自分の事業拡大のために買収したいという意欲が強いことは買い手が想像以上に分厚いことを意味するわけで、この現実世界での動きを無視してしまうとどうしても足下の株価の値動きを投機的な個人投資家の値動きという頓珍漢な判断をしてしまい、本来はこのまま保有しつづけるだけで良い株を売却してしまったりするので注意したいところである。

 
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実は米国閣僚側も合意に早くこぎつけたかった日米通商交渉

日米関税交渉、1%ごとに見返り要求たたみかけ…トランプ氏70分後「ディールだ」

株価が上昇してたら米国側は強気という言説は間違いだった。

日米通商交渉が妥結したことから、徐々にだがどういう交渉が行われていたのかというのがちらほらと情報が出始めているが、その中でも目を惹いたのが上記の読売新聞に記事である。

上記読売新聞の記事では、どういう風に交渉が進んでいたかということと、その際に米国側の閣僚達がどのような態度であったかというのが書かれているわけであるが、6月時点では90%近く妥結に向かっているような状態であった。
おそらくこの段階ではベッセント氏・ラトニック氏に妥結内容についてほぼ合意が取れていて、あとはトランプに説明して完了という形を双方考えていたようだが、ここでトランプが一度難題ふっかけたれというテンションで脅しをかけてきたわけである。
これには日本の閣僚側だけでなく、米国側の閣僚も多分ふざけんなとなっていたわけで、おそらく双方で提案内容を変えずもう一度トランプを説得しようという作戦に切り替わったようである。
しかもその際には、米国側の交渉役であり、かつ今回の関税政策をぶちあげたラトニック氏が非常に強力的であったことが上記記事からわかり、米国側もこの内容で妥結させたいという熱心さが高かった。

ということで蓋を開けてみれば、少なくともこれまで報道で言われているほど関税交渉については進展していなかったわけではなく、進展する中でお互いが様々な駆け引きを行って紆余曲折があり、思ったよりは交渉は進展していたんだなということがわかった。
これに加えて、元々馬鹿げた関税政策を内々にぶちあげた原因の一人であるラトニック氏が、赤沢大臣を自宅に招いて予行演習をした上に、ラトニック氏自体もトランプに何回も内容について説明していたということは、相当程度ラトニック氏には関税交渉をまとめろという圧力がトランプだけでなく、共和党議員からもかかっていたことは容易に想像できる話で、少なくとも株価が堅調だから米国側は交渉に強気などという言説は間違っていたことがはっきりわかったので、もはやTACOトレードかどうかを考える必要性ももはやなく、当面は株を握りしめたまま枕を高くしてようやく寝ることができそう・夏休みを満喫しようという気持ちになっている。

【TOPIXのチャート】
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ちなみに、今時点でまだ株を買うべきかどうかとかX上で言っている人は相場認識が2周ぐらい遅いイメージであり、そういった人達が多い間は株価は上昇を継続するだろう。

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色んなものの防波堤になっているベッセント財務長官

ベッセント長官、パウエル議長が今辞任すべき理由見当たらない

トランプの発言は相場に与える影響としてはそこまで真剣に考える必要性はもうないんじゃないかな?

引き続き相場はトランプの発言による政策方向性を懸念して右往左往が続いているが、以前と比べるとその影響はずっと低くなっている。
それでもトランプから度々相場のボラティリティが急変動するような発言が出てきたりするが、相場がぐらつきそうになる度に登場して修正するような発言をして相場を維持させようとするのがベッセント財務長官である。
ここ数ヵ月の流れを見ると、一番相場を考える上でニュースフローを追うべきなのはベッセント財務長官の発言であり、トランプの発言ではないのではないかと思ったので、それをまとめていきたい。

トランプによる相場大混乱はあの4月の謎のリベレーションデーに端を発していたわけであるが、トランプ大統領にとって4月のリベレーションデーの相場のぐらつきは完全に想定外であったのだと思う。
あの時の関税内容はトランプ・ラトニック・ナバロの3名だけが内々で議論し、そして他の関係者に確認することなくぶちかました内容であったが、ラトニック・ナバロいずれも過激派であり相場への影響など全く考慮しなかった策であったことから、相場が大崩れしたことは記憶に新しい。
結局あのリベレーションデーからの立ち直りについては、ラトニックとナバロに怒りをぶちまけながらベッセント財務長官がトランプを説得して軌道修正したわけである。

その後も度々トランプがわーわー言ったりするが、実際に金融相場への影響はやばそうとなった時はベッセント財務長官がトランプを説得してメディアに出て説明したりしている。
上記冒頭の記事リンクの通り、FRBパウエル議長解任疑惑の話が出た時もトランプにそれはまずいから止めてくれとトランプを説得してメディアに発表したり、8/1を通商交渉最終期限だとトランプが啖呵を切る中でベッセント氏は柔軟に対応するし交渉期限もそこが最終期限ではないと度々修正発言をしたりと後処理をして相場に安心感を与えるために奔走していたりする。
トランプも相場の動きについては全くラトニックが何も信用できないこともあり、基本的にはベッセント財務長官の話をよくよく聞いていると思われると思われ、おそらくこの辺の市場の動きについては精通しているベッセント氏の話を全面的に聞いていると思われる。
トランプが細かい実務とかをするわけはなく、自分が理解できていない部分は比較的他人に丸投げしたりすることを考えても、おそらくこの分野はベッセント氏丸投げだろうと思われる。
なので、ベッセント財務長官がわざわざ反応しないようなトランプの発言は、まだ何も決まってもいないし緊急の話でもないとベッセント氏は考えているわけで、まともに相場への影響は考える必要性がない。
そして影響あるような話であれば、すかさずベッセント氏が軌道修正するような発言をしているというのが昨今の流れだと思われる。

つまり足下の相場はトランプを見てTACOかどうかというより、ベッセントプットが存在すると考えるのが妥当だろうと思うわけで、それで足下米国債金利は安定して推移している理由になっていると思われる。

【米国10年債金利のチャート】
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日米通商交渉妥結で日本株指数最高値更新はほぼ確実

日米通商交渉合意、市場にはうれしいサプライズ-ストラテジスト

最高値更新待ったなし。

7月も後半ということで、再延期されるかどうかということが焦点になっていた8/1の日米通商交渉について、突如今朝になって合意したとトランプが発表した。
最初は本当なのかどうか真偽が不明だったが、その後交渉役であった赤沢大臣から任務完了というXのつぶやきもあり、どうやらこの合意内容が真実であるということが判明した。



一番のポジティブサプライズは自動車関税が15%に抑えられたことで、元々2.5%の関税をかけられていたことから12.5%の関税追加で済んだということである。
関税がかかっているじゃないかと思う人もいるかもしれないが、米国での自動車製造はグローバルなサプライチェーンに依存していて大体全部を米国内で完結させるのは難しく、実際は米国内で完成車完成させるのに鉄・アルミ・部品などをカナダやらメキシコやらから輸入するために、実は米国内製造の方が不利な数値になってないかこれみたいになっていて、そう考えれば綺麗な落としどころで妥結したなという形になった。

この妥結内容から、もちろん日本株は暴騰していて、TOPIXは最高値更新手前まで上昇していて、実質的にもう最高値更新は時間の問題という非常に良好な相場付きとなっている。

【TOPIXのチャート】
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ところがひねくれている人はこの妥結があったにもかかわらず、日本側に不利な内容ではないかとして日本株最高値更新について未だに疑問を持っており、インバ握っちゃってる人でさえX上では観測されている。

しかし、我々は既に米国と関税交渉について妥結した場合に株価はどうなるかという前例があることを知っている。
それはベトナムである。
ベトナムでは関税率20%で米国側が一方的な妥結を宣言して、ベトナム側は不本意として交渉を続けているわけであるが、それでもベトナムの株価指数は暴騰しているわけである。

【ベトナムVN指数のチャート】
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ベトナムはほとんど米国側で製造できる製品を持っていない中で20%で妥結してこの内容であるわけだが、日本は関税率15%ということで米国側と産業が被りながらの関税率15%、自動車に至っては実質的に関税率12.5%の引き上げに留められたことは非常に有利な話なわけである。
さらに元々日本株はトランプ政権再誕による関税懸念で株価がこの1年ぐらい足踏みだったわけであり、休憩は十分だろうと思われる。

そう考えれば素直に日本株指数は日経平均でもTOPIXでも最高値更新すると予想するのが自然であり、変にひねくれてこの合意内容で株は上がるのはおかしいと考えることこそおかしいわけであり、素直にこの上昇相場についていくことが重要だろうと個人的には考えている。

ちなみにその中でも今日日本株で上昇していたのはバリュー株がメインであり、下記過去記事の考え方をすれば日本株は引き続きバリュー株フェーバーな状況が続くだろうと思っている。

【過去参考記事】
バリュー株投資はどのような時に真価を発揮するのか?

 
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タイミングよく現金比率をコントロールすることは難しい

「次の株価急落時に徹底的に買い向かう」さわかみ投信・澤上龍社長が新聞全面広告で放った強烈メッセージの真意

結局あれだけ大口叩いたけど、一切買えてないんだよね。

以前にも当ブログでは話題にしたが、さわかみファンドが4月末時点で現金比率を20%ぐらいに持っていって、暴落時に買い向かうと宣言していたが、関税政策ドタバタであれだけ株価が下落してその後米国株が最高値を更新する形で既にリスクオンの状態が明確化しているにもかかわらず、結局ほとんど買い向かえていない状態が6月末データから明らかになっている。

【さわかみファンドの現金比率推移】
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その結果として、引き続きさわかみファンドは直近3年間のパフォーマンスでTOPIX(配当抜き)で比較するとよりパフォーマンスが拡大している結果となっており、これはTOPIXの方を配当込みで考えるとより差が際立つ結果となってしまっている。

【さわかみファンド(青)とTOPIX(配当抜き)のパフォーマンス推移】
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まあ結局下がっても買えないじゃないかこの野郎と言うのは簡単だが、このことから言えることは、現金比率をコントロールしてパフォーマンスを出そうということが極めて難しいということである。
さわかみファンドの失敗を見れば、毎日相場を見ている人間でもタイミングよく現金比率をコントロールして儲けるということがいかに難しいかということがわかるかと思う。
特にこれはレバレッジをかけない人にとっては現金比率をあまりにも意識した通りは百害あって一利なしというところではないかと思う。

現金比率コントロールの戦略が活きるのは、やはりレバレッジをかけて投資をする時だろうと思う。
直近で儲けているcis氏などは、相場が動きそうな時に限界までレバを活用して勝つ手法を採っており、実質的な投資比率100%を超えるやり方を活用しているからこそ、現金比率コントロールが活きる手法となっている。

しかし、信用取引を積極的に手掛けている個人投資家は売買金額ベースでは大きな存在があるが、じゃあ個人投資家人口から考えるとどうかというとさほど多くないことを考慮すると、大多数の人はノンレバで投資しているように思う。
特に昨今増えているのはいわゆるインデックスのみに投資する人達であり、インデックス投資であるとここ数年の動きを見ると下手に現金比率コントロールするよりも全ツッパで保有して続けた方がずっとパフォーマンスが良かったのではないかと思う。

もちろん全ツッパを全面肯定する気は毛頭ないが、ノンレバ個人投資家の場合は現金保有比率についてはとりあえず最低限絶対何があっても株を保有する比率を決めて、そこからはあまり変に意識して現金比率をコントロールをせず、度々-10%とか-20%とか株価が動いたところでアドホックに買い増すぐらいの姿勢で相場に臨んだ方がパフォーマンスが良いのではないかと思うので、個人的には個別株ならともかく、指数ベースで上手く売り抜けてやろうという考え方はあまり上手くいかないんではないかなと思う。
 
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