村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2025年06月

中国大手EVメーカーのBYD生産能力削減でいよいよ株価が危うい

中国BYD、国内工場で生産能力削減 ライン増設も延期=関係筋

一番駄目なやつが出てきた。

これまで中国国内で大幅に販売数を増やして躍進してきた中国最大手EVメーカーのBYDだが、過去記事ではこれまでディーラーに過剰在庫を押し付けた上に部品下請け会社への買掛サイトも長くして体裁を保ってきたことについては何回かブログで書いてきた。
さらに、そこからディーラーが耐えきれなくなってきたことから銀行が融資を絞り込み始めた上に、あまりにも部品メーカーへの買掛金支払いサイトが長すぎることから中国政府が介入しそうな雰囲気さえ出てきており、慌ててBYDがディーラー支援や買掛金を支払うことを口約束するなど逆風に関するニュースがいくつも出てきていた。

そこに今回上記のように生産能力の削減をするというニュースが流れてきている。
BYDサイドに全面寄り添った形で考えれば、需要に対して生産量を調整して需給の良化を図ったと言えるが、今まで拡張一辺倒で来たメーカーがそんな殊勝なことを考えている可能性は非常に低い。
普通に考えれば生産量の削減をせざるを得ない立場になっている可能性の方がずっと高いか、中国政府から過剰生産して値引き競争はやめろと言われたかのどちらかである。
生産量の削減をせざるを得ない立場になっているというのは、もはやディーラーがこれ以上の在庫を受け付けられないほど資金繰りが厳しくなっている可能性と、下請け部品メーカーが買掛金支払わなければ部品供給しないと開き直ったかのどちらかあるいは両方の可能性がある。

まあいずれにしろ、生産数を減らしたということはBYDにキャッシュインする量は減るわけである。
しかし、この拡張一辺倒で来ている中でBYDは部品下請け会社への買掛金支払を相当レベルで渋ってきて自社の資金繰りを維持してきたわけである。
中国政府からのこの分についても介入が入りつつあることは下記過去記事でも記載した通りである。

【過去参考記事】

中国EVメーカーのあまりにも長すぎる買掛金の支払いサイトに中国当局が介入

ということは、キャッシュインは少なくなる一方で、キャッシュアウトは増えるという最悪の事態に陥りる未来がほぼ目の前に差し迫っているわけである。
自動車製造企業というのはこの資金繰りというのが業界の特性上非常に重要なことを考えれば、パーフェクトストームとも言える事象であることは間違いない。
しかも無理な拡張策と買掛サイトの支払い延長は過去数年やらかしてきたことを考えれば、その是正は短期間で終わることはないだろう。
つまり、株主に残る想定キャッシュは大幅減になることはほぼ確定的なわけで、株主にとっては大惨事という一言に尽きる。

このような事態に陥った時は株価は通常半値八掛け二割引コースを辿るのが通常だ。
どんなに傷が浅くてもまず半値はみないといけない。
BYDの株価の最高値は150ぐらいだったので、まず75までは一定の株価上下はあれどずるずる持っていかれる可能性は非常に高いと思っている。
その時点でも、今回の資金繰り問題に解決目途が立っていない場合は、おかわり八掛け二割引を食らうので、この業界全体の不健全資金繰り状況の解決目途が立つまではBYDの株価はひたすら下落を続けるだろうと想定しておいた方が良いように思う。
まだBYDの株価自体は120ぐらいあるわけだが、大多数の投資家は状況が見えていないという状況だろうと思う。

【BYDの株価チャート】
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ファンダメンタルズ良好で強気な立場を続ける国内建設会社

〈ビジネスINSIDE〉発注者とゼネコン 立場逆転 中野サンプラザ、再開発白紙に 清水建設「工費2倍」譲らず

案件がより取り見取りなので、利益を追求できる立場。

最新四季報を購入したので確認していたりすると、序盤も序盤に出てくる建設会社の株価が非常に好調であることが目立つ。

【参考書籍】
会社四季報 2025年3集 夏号

まあ最新の四季報だけでなく、過去数冊分の四季報を読んでいた時も建設会社が全体として元気あるなと思っていたが、上記中野サンプラザの再開発とん挫などを見ていても、国内建設会社のファンダメンタルズの良さが目立つなあと感じるところである。
上記中野サンプラザの再開発計画とん挫では、野村不動産会社に対してこの金額じゃないと工事できないと清水建設が突っぱねてきたことが原因であるわけだが、第三者から見ても相当見積もりから想定外に上振れた金額であったわけである。
清水建設側もそんなことは百も承知であることは確実であり、ようは清水建設側としてはこの要求でこの工事がとん挫したところで業績的な問題は何もないし、自分達の立場も揺らがないと考えて工事費上乗せを要求したわけである。
なぜこのように過去と比べて建設会社の立場は上昇したのかを文字化していきたい。

1つ目は業界統合と工事キャパシティの調整が30年たってようやく調整することができたということだろう。
日本の不動産バブルが崩壊して以降、これまで拡大一辺倒だった不動産周りが全て死んだことから、建設会社は受注が自分達が抱えている工事キャパシティに対して大幅に不足することになった。
そのため過去は採算ぎりぎりでも受注せざるを得ないという下の立場にいたが、その間に多くの建設会社がデフォルトしたことに加えて統合されてきたことから、徐々に工事案件と工事キャパシティが需給的にバランスするようになったのである。
まあ過去の建設会社の苦しみを考えれば、30年もかかりましたわなあという感慨深いものがあるだろう。

2つ目は国内でデータセンター建設ラッシュが進んでいることにある。
最新の四季報で建設会社のコメントをざっと見ていくと、データセンター建設に関するコメントがたくさん出てきており、受注引き合いが強いことはぱっと四季報を読んだだけでもわかる。
ようは過去には見られてこなかった受注案件が舞い込んできていることから、受注は捌き切れない量あるわけなので、こちらからこの工事費用出せないんだったら工事やらんわと強気に出ることが可能なぐらい受注残が多いということにある。

3つ目はこれは直接的ではないが、海外案件の獲得があるだろう。
これはこれまで信じられない安値受注で工事を請けていた中国建設会社が地方政府の財政収支の厳しさを背景にもはや安値受注を積極的にできなくなっており、安値でなければどう考えてもクオリティ的にも地元経済的にも問題しかない中国建設会社に発注するような海外企業はなく、そこを日本の建設会社がじわりと拡大してきていることが挙げられるだろう。

こうした3点が建設会社の立場を強くしており、この状況はまだ変わる兆しはないように思えており、引き続き国内建設会社周りの株価は堅調に推移してくだろうと個人的には考えている。

【建設・資材ETFのチャート】
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米国個人支出も所得も前月比マイナスで利下げ待ったなし

Consumers cut spending on cars and other goods when tariffs kicked in. What will they do next?

7月利下げしなかった場合、9月に50bps利下げも十分あり得そう。

月末恒例の米国金融政策への影響度が大きい米国個人所得・支出統計とPCE統計が発表されたので、中身とそれを踏まえた上での相場の動き予想をまとめていきたい。

まずPCE自体は総合では市場予想前年比+2.3%に対して結果は+2.3%、コアは市場予想が前年比+2.6%に対して結果は+2.7%と若干上振れたが、ほぼ誤差みたいな内容なので、これはほとんど何も相場に新しい材料をもたらさなかった。
強いて言うなら、関税影響はまあこんなもんでしょという範囲で収まっているということだろう。

一方で今回目立ったのは個人支出・所得統計の変調の方だろう。
まず個人支出が市場予想前月比+0.1%に対して▲0.1%なのでこれは関税影響で十分に下振れたと表現して良い内容だっただろうと思う。
これまでの統計では支出はマイナスだったけれど、所得はプラスだったので、どちらかというと収入はあるけど先行き不安だから消費を止めておこうという動きといいうのがメインであった。
しかし、今回個人所得が市場予想から下振れた上に、▲0.4%というマイナスなことを考えると、関税政策の混乱で米国民所得にも明らかな悪影響を与えたことが観察される。

PCEは関税影響があるので、関税除きで考慮すればもはや2%に近いことは疑いようがなく、関税影響が時間が経って薄くなればほぼ問題ないレベルに落ち着いていくことを考えれば、個人所得・支出を見るだけでもまあ米国利下げはもう確実なものになっており、まず少なくとも9月利下げは間違いなしという形になっている。
7月利下げは現在の市場予想上では20%近くしかないわけであるが、まだ7月発表分の雇用統計を控えている上に、7月据え置きにした場合は9月FOMCまでにあと2ヵ月分様々な重要経済統計発表があるので、そこで少しでもさらなる下振れがあった場合はもう利下げペースを早めるしかなくなるのである。

こういったことを考えると、もう米国債金利が上方向に暴れることによって相場が荒れる可能性というのはほぼなく、この点は2022~2023年とは全く異なる相場形成になるだろうと思われる。

【米国10年債金利のチャート】
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既に市場は今現在の景気というより、先々金利が低下していくことによって自力で稼げる企業は借入コストの減少でさらに活躍できる余地が大きくなると考えて動いており、それがナスダック100の最高値更新でも読み取れる形になっているし、個人的にはその動きの方が今回は正解だろうと思っている。
一方で、経済統計を数字通りにしか読めない人は、景気が減速しているのだから皆が不安を感じてリスク資産を売却するので株価は下落するのではないかと思ってしまうが、それはこれから金を借りて一儲けしてやろうという人達のガッツを侮りすぎていて相場の本質を理解していないので、そういう考えに囚われている人は下記参考記事を読んで考え方を修正してもらいたいところである。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

まあいずれにしろ、関税混乱騒ぎで下がった部分で買えたポジションというのは特段慌てて売る必要性なく、引っ張れるだけ引っ張るのが良いだろうと思う。

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個別企業の経営危機・株安材料は表面化するずっと前から出ていることがわかるLVMH株の失墜

LVMH、アルノーCEOの巨大帝国に揺らぎ-中国失速や米国関税で

過去のツケを払う時が来た。

上記記事は欧州ブランド株大手のLVMHの株価がピークから既に半値になってしまっており、経営大丈夫なんでしたっけと心配されている記事であり、実際株価動向を見るとまあこれでもかというレベルでひどい動きになっている。

【LVMHのチャート】
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しかし、LVMHがこうなる運命であることは、当ブログでは下記過去記事のように2024年1月段階で書いてきた。

【過去参考記事】

バーバリー決算から考えるラグジュアリーブランド株の長期低迷要因

その後も何回か欧州ブランド株はエルメス以外は総崩れでしょうと書いてきていたが、まさにその通りの動きとなった。
その原因も過去記事で書いてきた通り、中国市場が成長する中で今までブランド品を手にしてこなかった中国人を相手に非常に雑なマーケティングとM&Aばかりを行い、既存顧客をないがしろにして洗練されたブランドから下品なブランドへ格落ちし、その後中国が不動産バブル崩壊でしたことでこれまで当てにしてきた顧客が消滅してしまったことから立て直しが難しくなっているわけである。
株価が下落している要因は明らかであるが、立て直しは組織文化が腐ってしまっているがために口で言うほどは簡単ではない。

このように多くの企業は経営が絶好調になっている時に何をしても利益が増える中で極端に利益だけを追求する癖が出てしまうところがあるが、その過程でその利益追求に見合った顧客ベネフィットを提示できない会社は株価・利益が絶好調の裏で徐々に顧客の心が離れていき、将来ファンダメンタルズが暗転した時に一気にその悪影響が表面化するのである。
しかもその悪影響が長ければ長いほど、その立て直しには時間がかかるわけで、経営危機が長期化するのである。

今回のLVMHはどうであろうか?
中国の不動産バブルで儲かった中国人を中心にしたマーケティングは2017~2023年頃ぐらいまで行っており、その間に多数の買収によって規模だけを極端に追及してしまった。
2024年1月時点で、当ブログのようにブランド品に対して詳しくなくても株的には大分まずい状況にあることは察知できていた。
しかし、2023年頃までは中国経済の過大評価が続いていて、下記のような考え方に至れなかった企業、まさにLVMHのような企業は企業姿勢を改めることができなかった。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

それが今このような株価暴落を招いているわけである。
株価を回復させるにはこれまでの経営姿勢を全て否定しなければいけないのだが、外部に対して明らかに禊が行われたよねと言われるほどの身の削り方を見せる必要性があるわけであるが、巨大組織であるほど難しく、個人的にはまだLVMHをはじめとした雑マーケティングをしてきたブランド株の低迷は続くだろうと考えているし、このように企業の経営危機というのは少しでも気を緩めて雑なことをすればあっという間に表面化することが理解できたと思う。

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状況によっていくらでも利下げ進展させることを証言したパウエル議長

情報BOX:パウエル米FRB議長の議会証言要旨

経済データのトレンドが変化すればいくらでも姿勢は変えるということ。

6月FOMCで特段材料なしで終わったかと思いきや、その後日ウォラー理事・ボウマン副議長が7月利下げは可能性としてあり得ると発言したことから債券金利動向が盛り上がっている中で、続いて議会証言でパウエル議長の発言待ちとなっていた。
これについて、既にその前段階からまだ様子見姿勢が妥当だろうという発言が出てくるという前提で市場は考えていて、そういったこともありその前段階でやや金利は上昇する雰囲気さえ見せていた。

そういった中でパウエル議長の議会証言が始まったわけであるが、大筋は結局様子見が妥当という発言に終始していたわけであるが、7月利下げについては「今後の動向には多くの道筋があるし、インフレが予想ほど強くなかったり労働市場の減速があれば利下げに動く」と必ずしも意固地に様子見になるわけではなく、状況が変化すればいくらでもこれまで発言したことをひっくり返して利下げを進める的な発言が出てきた。

ようは、実際は債券金利に対して強硬派が考えているよりも、ずっと足下の金融政策は薄氷の上にいる状態であり、しかもその薄氷とは利下げするかしないかの2択の薄氷の上で、状況によってはワンショット50bpsの利下げだって選択肢にあるということで、市場に対して変なバイアスかけて債券金利動かすなよという牽制を入れたような恰好になったように思う。
特に、足下ではやや経済統計が悪いものが出ているにも関わらず、債券市場では普通に考えると一時的である関税による物価影響をやや強く意識しすぎて金利が利下げが目の前なのに長期を中心に下がりづらくなっていることにも、あらためて上だけじゃなくて下の方もきちんと目を向けろという牽制を出したように思われる。
色々総合すると労働市場の減速については実は何かしら最新情報を知っているのではないかと思い、下記過去記事に照らし合わせた労働市場の動きを考えて引き続き利下げ状況について考えていきたいところである。

【過去参考記事】
FRBはどれぐらいの失業率で「完全雇用が達成されている」と見ているのかを考察

これにより米国債金利はボウマン副議長の発言の時と同様に一気に金利低下に転じ、全体として米債市場プレイヤーが相当利下げ動向に懐疑的な状態となっていることが明らかになった。
また、中東情勢うんぬんで原油価格が上昇したところで円安になって、再度円安バイアスの強い人達が円安だあああと興奮したところで、イランとイスラエルの間の紛争が手打ちになりそうになっていることに加えて、米国利下げが想像よりも進む可能性が見えてきたことから、一気にドル円相場は往ってこいとなっており、円安バイアスの強い人の見立ては完全にふいをつかれる形になった。
(もう2年単位ぐらいで佐々〇融氏の予想がこれっぽっちも当たらなくて、彼は昔円高論者でおお外しして、再度円安論者転換して大外しするって恥ずかしくないんかね?というのとふくおかFGはなぜ彼を雇い続けているのかよくわからない)

【ドル円のチャート】
タイトルなし

また、これに伴ってナスダック指数は最高値を更新しているわけである。(円ベースだと円高分まだ最高値更新になっていない)
いよいよ金融相場に入りつつあるわけで、個人的には引き続き強気で臨むのが妥当だと思っている。
株を買う材料がないと言っている人もちらほら見られているが、それは金融政策の動きとそれに伴う資金の新たな動きを理解しておらず、相場はそういう人達を置きざりにして動いていくだろうと思う。

  
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