村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年12月

特別なインプリケーションを感じることができなかった最新会社四季報

【参考書籍】
会社四季報 2025年1集 新春号

すぐにときめける銘柄はなさそうだけど・・・

新しい四季報が発売されてばーっと全部の銘柄を今回も見て回ったので、見た感じの感想を書いていきたい。

2023年の会社四季報とかは見ていてあれも買いだしこれも買いだしみたいなバーゲンセール的な感じであったことは過去のブログ記事を見てもらえればわかる話だが、今回の四季報を見ているとそこまでのときめきを感じることができなくなってきた。

ときめきを感じられなくなった理由としては、ぶわぁーっと上がってきた銘柄に対して上がりすぎという評価が下されたり(半導体製造装置関係など)、ファンダメンタルズがあまりよくなかったり(自動車関連など)というのもあるし、PBR1倍対策で配当性向引き上げられる銘柄はあらかた引き上げ終わったかなという感触があり、市場に対していますぐ大幅アウトパフォームするなと思う銘柄が見つけづらくなったなと感じた。
きちんとした材料のある銘柄はそれこそかなり高騰していて、すごく触りづらい感じになっていて、割安になっているのは逆にそれなりにマイナス材料のある銘柄しか残っていないみたいな感じである。
また、変に奇をてらったような銘柄は普通に業績が悪く、株価も余裕の爆落しているという感じで、これまでイナゴタワーを築いた銘柄もほとんどが滑落していることからも、一旦イナゴ的な投資も鳴りを潜めたという感じがある。

じゃあここから日本株はもうだめかと言うと個人的にはそうは思わない。
PERは明らかに米国株と比べて割安であり、立ち位置的があまり変わらない米国バリュー株と比べれば配当利回り-無リスク金利も非常に厚いしPERも安い。
つまり粒々でみると結構投資ハードルは高いが、グローバルに見た時と米国株の比較をしていくと、大型株全体として投資妙味はあるでしょという結論になる。
逆に言えば米国バリュー株なんて大半は投資価値なくて、米国バリュー株に投資するなら日本大型株投資するわぐらいの割り切りでも良いように思う。

以上を考慮した時に2025年の日本株というのは突飛なテーマを狙うのではなく、大型株で粛々とEPS上昇しそうなところを順当に買うのが無難だし、最悪TOPIXとか高配当株ETF買えばええでしょという感覚を持っている。
日経平均を見ると4万円に腐ったコールオプションの壁が2024年前半頃に生じていたが、もうそれから半年以上経っているわけで、休養は十分だろうと思うので今年は最高値を更新していく相場を期待していきたい。

【日経平均のチャート】
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今年さっぱりトレンドが出なかった米国債券金利

ウォール街はFRBに同調、25年の米国債利回り低下を予測

債券金利は結局今年一年なんだったんだ的なやつ。

色々去年予想していた相場動向を確認していたりするが、その中でも特に今年振り回されっぱなしでてんで動きが当てられなかったし、なんか立ち回りできなかったんかと思うのが米国債券金利である。

下記一年の米国10年債金利の動きを見てもらいたい。

【米国10年債金利のチャート】
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これを見てもらえればわかるが上下1%の幅で多くの人を右往左往させて結局金利上値のぎりぎりのところにいるみたいなお前なんなんだよという動きである。

動き的には結局なんだったよという話であるが、動いていた理由は結構目まぐるしく変わっていっていた。
年前半の金利上昇は前年にばーっと金利が低下した反動+インフレ率はまだまだ収まらないとした懸念から金利は上昇傾向で推移していた。
年半ばからインフレ率が徐々に低下しているのが確認できたことからじりじり金利が低下していき、そこに7月の雇用統計のド滑りで一気に金利が低下した。
しかし、9月からはトランプ政権再誕に加えて、雇用統計がそのまま悪化するわけではなくそれなりな数字を維持しながら推移していたということもあり、じりじり上昇していき、最終的にノーランディング濃厚ということで4.6%にまで戻ってきたということである。

利下げが開始されていたということもあり、Xを見ていると結構TMF買っとけば勝ち確やん!と資金を突っ込んだ多くの人がかなり大きな含み損を抱えて年末において損切りしましたって報告や損切りすべきかどうかのたうち回っている人が多いように思う。

【TMFのチャート】
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自分もどちらかというと金利低下方向だろと思ってはいたが、今の相場は債券に資金を振り向けるより株に資金を振り向けておいた方がいいだろうということでTLTとかTMFは避けていたので特段こうした苦しみには直面していないものの、ここまで債券投資がひどい状態に追い込まれるとは正直思っていなかった。

ただ、じゃあ10年債金利4.6%という水準は持続可能なのかいうとちょっとそうは思えない。
10年債金利が4.5%を超える中で、再びラッセル2000が下落し始めており、中小型株にとっては10年債4.5%という水準はかなり耐えられないレベルであるように思う。

【IWMのチャート】
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ナスダックだけが一強で上昇しているのは下記過去記事の予想の通りの話で、おそらく実体経済とは全く異なる動きであろうと思う。

【過去参考記事】

クリスマス休暇前までにナスダックをてきとーに買っておけばいいのかも

ただ実体経済と株価動向が違うから、これは相場が暴落するとかいう話ではなく、強いものは株価が上昇し、弱いものは打たれるという構図なだけだろうということも下記過去記事に書いたので、あらためて参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
「一部の銘柄しか上昇していない相場は不健全な相場」と考えることがどうして間違っているかを解説

とにもかくにも、今の債券金利は債券しか触れないような機関投資家が真剣に考えるべき相場で、別にどんなアセットでも触っていいという個人投資家にとっては特段投資対象としてはさほど魅力がないと思っているというのは、2025年もなんとなく続きそうな気がしている。
 
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来年の相場予想(コモディティ)

来年予想最後のパートです。

これまで先進国株・新興国株と予想を書いてきたが、コモディティについても書いていきたい。

・原油
多少の上下はあるだろうが、概ね横ばい程度の動きしかしないと思う。
中国は景気が完全に死んでいるので原油需要が予想外に伸びるということはないし、逆に言えば予想外に伸びがさらに縮小する可能性さえあるだろう。
米国についても来年のFRBの金融政策はインフレに配慮した非常に緩慢な利下げペースに留まるために、米国でも需要の伸びは市場想定から大きく上振れるようなものになる可能性は低いだろう。
原油需要が劇的に伸びる可能性があるとすればインドだが、インド株が今年後半ややグダったことを考えると来年は早すぎるなと感じた。
供給側もOPECプラスが必死になって減産を継続しており、供給側もギリギリの戦いを強いられている。
以上を考慮すると来年はそもそも市場参加者の注目も非常に小さいものになろうだろうと思う。

・ゴールド
2024年はゴールドは非常に良いパフォーマンスとなったが、これは中国の買いと米国の利下げ期待という材料でここまで動いてきた。
しかし来年にかけては米国の利下げ幅は今年半ばに想定されていたレベルから大幅に回数は縮小し、中国もゴールドを継続的に買う原資が本当にあるのかやや疑問である。
そのため、上昇幅は2024年ほど高くはならないだろうと思う。
おそらくインフレ率+αぐらいのレベルの上昇幅に留まると思うので、別に追加で買うかどうか検討する必要性はそこまで高くないのではないかと思う。

・シルバー・プラチナなどのその他貴金属
劣化ゴールドであるが、段々と微妙な立ち位置の貴金属資産なら仮想通貨で良くないかと考える人が増えているように思えるし、ゴールドと同じように利下げ期待剥落で来年はおそらく出番はないのではないかと思う。

・農作物コモディティ
小麦・大豆・とうもろこしの3大農作物は中国の外食需要が死んでるし、構造的な状況悪化なので今年も大した動きにはならないだろう。
唯一狙うとすれば、今需給がひっ迫しているココアとかもう少しマイナー農作物系ではないだろうかと思うが、この辺は門外漢なので個人的にはわからないとコメントしておきたい。

・仮想通貨
一番予想が難しい分野である。
2023~2024年はプットオプションで売っていた馬鹿が多かったので上値を追いやすい展開であったが、米国大統領選以降で一気に火が付き、どちらかというとコールオプションで上値を狙ったり、MSTRのように転換社債発行からのビットコイン購入を花見酒的な投資姿勢で臨む人達が爆増しており、その過熱度合いが強いのは確かである。
しかしより馬鹿ゲームになる可能性も否定ができず、そのままノンストップで上がっちゃったらもうしゃあないぐらいの考え方しか思いつかない。
逆に中途半端に下がるなら買ってもいいだろうと思う。

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来年の相場予想(新興国株)

多分インド株一強。

・中国・香港株
2024年は不動産バブルが2021年に崩壊してから3年でひたすら対応策を出し渋ってきたわけであるが、これに対して2024年にとうとう耐えきれなくなって金融政策・財政政策を出し始めたことから、逆張り投資家や本土個人投資家が盛り上がって9~10月に一気に吹き上がった。
しかしその後は上値を追う感じではなく、だらだらと下落しており、Worst is overとは言えないのではないかと思っている。
特に金利が死ぬほど下がってるのに株価が上昇していないところに、やはりこの国のこれまでの矛盾した構造を無視したツケが一気に噴出しており、そう簡単に解決できるものではないと思う次第である。
そう考えると2025年はやっぱり中国政府の対応策は不十分であり、もっとおかわりなければ株売るぞという投資家の脅迫と、それに後追いする形でしかたなく対応策を出す政府という構図に変わりはなく、上下はあるだろうがほぼ横ばいぐらいで来年推移するのが妥当なのではないかと思う。
結局下記過去記事に書いた通りの動きになっているのが現在の中国相場の現状だろう。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

・韓国株
アジアの半導体株といえばサムスン・SKハイニックスの2社でこれが韓国株を牽引してきたわけであるが、ここにきて韓国自体の政治不安や、地政学リスクの高まりで韓国の位置づけがかなり不安定になってきていること・経済構造に無理が生じ始めていることもあり、外国人投資家が韓国への投資に見切りをつけ始めているように思う。
これは場合によっては国の小ささから中国・香港株より状況が厳しくなる可能性があり、新興国株の中でも最も評価が低い国であるかもしれない。

・インド株
インド株は2024年は前半は好調であったものの、後半にかけて当局のバブル警戒からのノンバンク規制強化や中国・香港株への資金シフトで多少ぐずついたが、成長ストーリーには変化がないと見ている。
実際にEPSは着実に上昇しているし、新興国の中でまともな姿勢を維持しているのは正直いってインドぐらいしかない。
少なくとも足下のグローバルサプライチェーンの再構築を考えればインドにどうにか頑張ってもらおうと世界の大企業はインドへの直接投資を継続するだろうし、それに伴った経済成長やバブルもあるだろう。
最終的にはおそらくだがノンバンクの個人向け貸出バブルで最後爆裂するとは思うが、それはまだまだ先の話(5年以上先だろう)なので、それまでは相場上昇をエンジョイするのが吉であると思う。

・ブラジル・メキシコ株
基本駄目。
メキシコはトランプ懸念が強すぎるし、ブラジルは中国への輸出がぱっとしなければすぐに持続不能な経常赤字になる。
南米はとにかく政治体制がアフリカの次にクズ国家ばかりで、ファンダメンタルズ的なバブルがないと投資妙味が非常に薄い特徴がある。
今年前半まではメキシコぐらいが投資スコープに入る範囲だったが、もう賞味期限切れであり、来年も投資対象として一切見る必要性はないだろう。

・ベトナム株
最近目立った話がない上に、メインで投資してくれている韓国の経済の元気がなくなりつつある上に、ベトナムの政治自体もかなり独裁色が強まっていて、投資に二の足を踏む投資家が増えているように思う。

・その他新興国株
台湾は別として、上記国家以下レベルのクズ国家に渡す金なんてもったいないとしか言いようがない。
アフリカとか自分が生きている間に発展することはまずないだろうと思う。

ということでインド株以外は新興国株は選択肢がないも同然という結論である。

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来年の相場予想(先進国株)

基本的には堅調推移だと思う。

そろそろ今年も終わりということで、来年の相場を予想しなきゃなということで、去年と同様に先進国株・新興国株・コモディティで書いていきたいと思う。
そして今回は先進国株から書いていきたい。

・米国株
基本は堅調推移だと思うが、やや気がかりなのはPERの高さである。
このPERの高さはFRBの利下げ+トランプ政権による減税期待が重なっているわけであるが、さすがにちょっと行き過ぎではないかと思う。
そうなると、継続的に上昇する銘柄というのは結構選別色が強くなるのではないかと思う。
具体的に言うと、大体3つで、きちんとEPSが継続的に上昇する銘柄・極端にバリュエーションが安い銘柄・夢見させる材料のある銘柄の3つに絞るべきだろうと思う。
そしてこの中で最も安全牌な投資選択肢がEPSが継続的に上昇する銘柄であり、つまりAI関連銘柄・プライベートクレジット関連銘柄の2つではないだろうかと思う。
指数ベースではS&P500などは例年通りの10%前後ぐらいのリターンしか出ないのではないかと思う。

・日本株
足下はトランプ政権の関税懸念でやや上昇が米国株より出遅れているが、米国経済がノーランディングとなるのであれば、来年もかなりパフォーマンスが良いのではないかと思う。
特に米国株のバリュエーションがきつすぎて、もっとまともにバリュエーション考えて投資できるところがないかと考える投資家にとっては比較的触りやすい投資対象ではないかと思う。
流動性が高いことも比較的触りやすい理由にもなるわけで、日本株はバリュエーションの観点でいうと実は米国株より触りやすいわけで、来年も引き続き期待していきたいと思う。

・欧州株
立ち位置は非常に中途半端である。
別に極端に株価が下がるとは思っていないが、ドイツとフランスの政治が非常に流動的になっており、政治的混乱が投資家の投資意欲を削ぐ結果になりかねない。
また、これまで経済的に密接度が高かった中国経済が死んでいたり、ロシアとの関係性はいつまでたっても不明瞭な状態であるわけで、業績の伸びもさほど期待できないようにお思う。
これまでの欧州の経済政策もエネルギー政策・EV政策がとん挫しかかっているといいことがあまりなく、投資妙味的にはあんまりないんじゃないかなあと思う。

・その他先進国株
オーストラリア株は大して投資妙味もないので見る価値がないと思っている一方で、少し気になるのがシンガポール株である。
シンガポールはASEAN・インド経済のハブであり、金融仲介機能の強い市場であるわけであるが、配当利回りが指数ベースで5%近くあり、増益期待あり・香港がアジアの金融ハブから脱落しかかっていることを考えると一考の余地があるのではないかと思う。

【シンガポールSTI指数のチャート】
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というわけで、来年も先進国株は全体として堅調なものの、2024年と比べると米国株はそこまでイージーな相場ではない一方で、日本株とかシンガポール株の方がイージーなのではないかと思う。

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