村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年08月

完全にネタなしイベントとなった米国PCE統計

PCE inflation in July report shows Fed's rate-cut path on track

まだあんたらショートしたいんか。

FRBの金融政策を決める上で最重要統計であるPCEが発表されたので、内容と市場反応をまとめていきたい。

PCEの内容については総合は市場予想YoY+2.5%に対して結果も+2.5%、コアについては市場予想YoY+2.7%に対して結果は2.6%と若干下振れたものの誤差の範囲であった。
個人所得は市場予想MoM+0.2%に対して結果+0.3%、個人支出は市場予想MoM+0.5%に対して結果は+0.5%とこちらも誤差程度の範囲での動きで、結果としてサプライズなしという結果に終わった。

これに対する市場反応は相変わらず債券プレイヤーがショートに偏っているなあという動きとなった。

インフレという点だけ見れば、金融政策はタイムラグをもって効いていくことを考えれば、ここ数回のPCE発表ではサプライズがなかったことからもう緩やかな低下の軌道から外れることはないというのが当然の話になっている。
いや、逆に遅行もいいところであるPCEがもはや軌道から外れていない時点で、ちょっとでも金融緩和が出遅れすれば逆に景況感が想定以上に下振れるリスクの方が大きいわけである。
にも拘わらず、PCE発表後の反応は金利上昇であった。
しかも奥側より手前側が上昇する形の金利上昇である。
本当に景況感の鈍化に対して利下げが順調に進むのであれば、相対的には手前側より奥側の方が金利が上昇しなければいけない。
この辺のイールドカーブに関する考え方は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
国債イールドカーブ変化が株価・実経済に与える影響(Pythonで米国のイールドカーブ動向が見れるコード付き)

特にソフトランディングで何も波乱なしに順調に事が進むというのであれば、奥側売って手前側を買うというブルスティープポジションを取らなければいけない。
しかし、実際の反応は手前側の方が売られるフラットポジションであった。

【米国2年債のチャート】
タイトルなし


このことからも米債をトレードしているプレイヤーも確固たる方向性の自信がない中で、だらだらと米債のショートポジションを引っ張ってしまっているというのが現状だろうと思う。
結局米債プレイヤーは何かしら景気が明らかに下振れる米国経済統計が出るまでは何も自信がないがために、ついつい逆イールドであるために米債ショートやロングの利益確定をしてしまうという流れが今回のPCE発表でも進んでいるということなのだろう。

株価はほとんど意味のない範囲での動きしかしておらず、こちらもパウエルプットが発動するような景況感下振れがないとおそらく最高値をズバズバ更新していくようなことにはならないと思うので、安値で仕込んだポジションは維持したままじっくりと待つべき時が続いているという状態だろう。

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Temuという誰も幸せにならないビジネスモデル

中国PDD、米市場で株価29%安 業績に慎重発言で

誰も幸せになれないビジネスモデル。

よくYoutubeの広告で億万長者気分で買い物!みたいな気持ち悪さ全開のオンラインショッピングアプリのTemuの広告を見かけるが、これを運営している親会社のPin Duoduo(PDD)が決算発表しており、Temuのビジネスモデルと併せてPDDの株価についても言及していきたいと思う。

Temuというアプリは、雑貨を中心として信じられないほどの安さで買えることを売りにしており、さらに満足いかない場合は返品もOKという形で格安でモノを売っているアプリである。

しかし、このTemuのビジネスモデルは個人的にはとてもではないが持続可能性があるとは思えない。
Temuの商品の安さというのは基本的に中国が供給過剰状態にある上に中国国内の景況感悪化で稼働率が非常に低くなっている製造業者に対して、無理やり稼働率を埋めるために赤字スレスレ・あるいは人件費ぐらいしか賄えなくて減価償却含めると普通に赤字な企業の弱みにつけこむ形であらゆる不利な条件をサプライヤーに課しているサプライヤー泣かせのビジネスモデルだ。
サプライヤーは基本的に酷使されているわけで、そこに人権もクソもない状態なわけで、労働環境的には最悪の一言に尽きるだろう。
このようにまずサプライヤーにおいて持続可能性があるとはとても思えないビジネスモデルである。

しかもこのやり方は言ってみれば中国の無茶苦茶加減を象徴するもので、おそらく遅かれ早かれ関税強化という形で中国はしっぺ返しを食らう可能性が日に日に高まる。
実際に上記日経新聞記事でもブラジルでは安物商品の免税措置が廃止されていて、貿易というのはお互い様という不文律を平気で踏みにじっているがためにどんどん条件が悪化していっている。

唯一消費者にとって安いから良いのではないかと思えるかもしれないが、これも実は少し疑問だ。
安いが、そもそもサプライヤー自体がほぼ儲からないことを承知で作っているため、クオリティは最低クラス中の最低クラスだ。
すぐ壊れるし、なんなら最初から壊れているものが送り付けられるなんてことも当然にある。
壊れる速さを考えたら、もうちょい質のいいもの長く使った方がましなんではと思うレベルであったりする。
安全検査なんて当然しているわけもなく、有害物質が含まれている可能性もある。

これだけのことをやらかしているんだから、Temuを運営している会社はさぞかし儲かっているだろうと思いきや、親会社のPDDは決算ド滑りで普通に株価も大幅下落している。
株主も幸せになっていないという結末でなんじゃそりゃとなっている。

【PDDの株価チャート】
タイトルなし



こういったことを総合的に考えると、結局消費者が一時の安さに非常に目移りして使っていて目立っているが、中長期で見た時に誰も幸せになっていないという一言に尽きるビジネスモデルで、これほど邪悪で持続可能性がないビジネスモデルは正直初めてみたなという感想しかでなかった。

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擦られ過ぎてノーサプライズなエヌビディア決算

NVIDIA株、時間外取引で一時8%安 荒い値動きに

これだけ皆注目してるなら市場効率仮説があてはまるのでは?

8月後半であまり相場的にはネタなしとなっている中で、8月最後のビッグイベントとしてエヌビディア決算が非常に注目されていたのは、米国株を追っている人には常識の話である。
個人的にも一応注目はしつつも、いくらなんでも世界中の投資家が注目しすぎていてこれは擦られすぎているなと感じつつも、一応今日は朝起きて決算とその反応だけは見ておこうと思い、見ていたので、その内容についてまとめていきたい。

・・・とはいっても先ほど上述したようにエヌビディア決算の内容自体はもう擦られ過ぎだし、自分より半導体に詳しい人間が詳細に記載しているのでここでは書かないし、そもそも内容的には概ね想定内みたいな内容であった。
逆に言えばこれだけ注目されていれば、そもそも決算外れそうであれば決算前に株価はもっと下にいっているやろと思うので、その理由について書いていきたい。

先ほど書いた通り、世界中の投資家が血眼になって注目しているわけだが、ここまで注目されていると、エッジのあるトレードはほとんど無理である。
世界中で気にしていない投資家は存在しないわけで、エヌビディアの先行き動向を予想するために決算情報だけではなく、出荷先の動向(GAFAMなど)の投資動向を確認したり、流通メーカーの在庫状況を確認したり、GPUの納入期間を調べたり、オルタナティブデータを活用したり、あるいは出荷先や流通企業などから状況ヒアリングしたりなどあらゆる手段を駆使して調べられるし、インサイダーに近い人間も知っている情報を基に売買したりしているわけである。
S&P500やナスダックで大きなウェイトを占める上にその値動きは暴力的でもあり、多くの機関投資家がエヌビディア株をアンダーウェイトしていたがために負けてしまったというトラウマがあり、エヌビディア株については動向については何が何でも外さないような態勢にしておくという脅迫観念がある。

ようはほぼ調べ尽くされているに等しい状態で、アップサイド方向についてはこれこそ市場効率仮説でいう通りにほぼ全ての材料が織り込まれているみたいな状態である。
一方で、マイナス材料についてもこれでもかと調べられているはずで、ダウンサイド方向もほぼ全ての材料が織り込まれている。
個人的にはあまり市場効率仮説というのは信じていないのだが、エヌビディアほど世界中の投資家から注目されていたらさすがに市場効率仮説に当てはめられるぐらい調べ尽くされていると考えてもいいのではないかと思っている。
ようは擦られ過ぎているという表現が正しいと思う。

一応決算を迎えて、アナリストコンセンサスはクリアしているが、一方でアフターの株価は▲7%ということで、これを基に市場の予想に届かなかったという話なようだが、そもそも120ドルという株価水準が馬鹿コールオプション買いで作られた水準であるため、株価動向的には同社株のボラティリティの高さを考えれば誤差の範囲なようにも見える。

【エヌビディアのアフター決算の株価チャート】
タイトルなし


さらに寄ったら普通に買い凸する人間もいそうで、おそらくアフターと実際の寄ってから数十分ぐらいの株価の位置さえ相当違う位置になる可能性があり、あまり深く考える必要性はないだろうと思う。

【エヌビディアの株価チャート】
タイトルなし


結論としては市場効率仮説が当てはまるぐらい調べ尽くされていて、決算もノーサプライズでアフターは数値的には少し大きめに下がっているようにも見えるが、ほぼ何か有意な株価動向ではないのではないかと思っている。
ようは目先の株価動向について、ほぼ何か意味のある値動きをしているとは思えない。
個人的には多少下に押すと思っているが、根本的にAI相場が終わりだとは全く思っておらず、株価が下がればきちんと買っていくべきだと思っている。
このAI相場はどこまで続くのかは借金サイクルを見ていけば良いと思っており、それについては下記過去記事を参考にしてもらえればよいと思う。

【エヌビディアの株価チャート】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

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ギャンブル依存症の人は投資でどのようなトレードをしてしまうのか?

【参考書籍】
デザインされたギャンブル依存症

相場もギャンブル依存症の人が損するようにデザインされている。

個人的にはここもとポジションを構築すべきタイミングというのは、雑なポジションを持ったがために、その後思惑と違う方向に相場が動いていき、最後の最後で愚かな売るべき人が売るところで買い向かっていき、その後その安全域で構築したポジションを引っ張るだけ引っ張るというのを意識している。
しかし、そのためには雑なポジションを持ってしまう人がどのような性格なのかというのを意識する必要性があると思い、ここもとギャンブル依存症に関する書籍を読むことによって、どういった人が雑なポジションを持って破滅するのかを考察しているので、そのことについてまとめていきたい。

まずギャンブル依存症というのは、元々カジノなどギャンブルをするところが、いかにプレイヤーに気持ちよくプレイしてもらって没入してもらうかを深く洞察し設計されていることによって生まれている側面が強いとのことだ。
相場も時として今すぐエントリーしたいと思わせるような要素があることは簡単に思いつくところである。
つまり、市場自体が多くの人間が誰かに搾取されるようにデザインされているという考え方を持っておくことは非常に有用ではないかと思う。
多くの人が買うべきでないタイミングで買い、売るべきでないタイミングで売るということは、相場がややギャンブルに似ているところを考えると、人間を深い部分で誘惑させる何かが存在するのだと思う。
なので、多くの人が無意識に今すぐ買いたい・売りたいと思う相場状態というのは高確率で損するようにデザインされている相場なのだと考えると色々しっくりくるところがあると思う。
これについては多くの人がまあそうだよねと思うところであるので、これにそこまで違和感を持つ人はいないだろう。

しかしもう一点は事実は小説より奇なりなレベルで、個人的にもほんまかいなと思うことが書いてあった。
ギャンブル依存症患者においては、お金を儲けることは二の次どころか、お金を全部失うことを目的としてギャンブルする人さえいるというのである。
これを投資にあてはめると、単に破滅の瀬戸際になった時に解放を求めて、傍から見れば破滅に向かうようなトレードをして退場するだけではなく、お金を儲けた時にそれが気持ち悪く全てを吐き出すためにトレードしているということになる。

これはとてもではないが常人では理解できない内容で、個人的にも非常に度し難い考え方で信じられないが、上記参考書籍を読む限りではお金を失うためにギャンブルをする人がいることは相場に携わる人間としては非常に示唆に富む内容だ。
Xを見れば、明らかに退場したがってるのではと疑いたくなるようなハイレバレッジ取引をして、結果としてすぐに大損して退場する人が相場末期で見かけるようになってくる。
2023年では売るべきでなかったのに大量ショートして資金の大半を失っていた人が多数Xで見られたことは記憶に新しい。
そして、足下の相場では明らかに買い偏重で同じようにハイレバレッジで勝負している人がいて、この株価すっ高値でそんな勝負するの?と不思議に思わざるを得ない人が増えていっている。

そういったことを考えれば、彼らは「お金を失うために、市場でわざわざハイレバレッジでこんな株価が高い位置で勝負している」というのは結構存在すると考えるのが妥当だろうと思う。
そして、足下の相場のふらつき具合はそういったギャンブル依存症みたいな人達のトレード回数を増やさせ、ポジションを膨らますには絶好の環境だろう。
さらに言うとこういう人ほど自己顕示欲・承認欲求でネットで自己ポジションを開示し、どれだけ自分がチャレンジングなことをし、成功へと続くビクトリーロード(笑)を突っ走っているかをアピールしたがるわけで、相場がそのような危ない雰囲気をしている時ほどXやYoutubeでいくらでもこのようなタイプの人間を見ることができるだろう。

既に何度も退場している退場芸人のものであれば逆神として皆笑いものにして済むが、初めてネット上で自己顕示欲丸出し投稿する人のポジションを見ると、ついついもしかするとこの人についていけば儲かるのではないかと思ってしまう上に、相場自体がそういう考えを生むような動きをするので、ついついポジってしまい、挙句それに巻き込まれる形で本来しなくてもよい損をしたりするので、相場玄人に見せかけて単なるギャンブル依存症に両足突っ込んでいるような人のネット投稿には気を付けるべきだろうと思う。

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実質金利の低下とドル安を見込んで積極的なゴールド買いが進む

Gold SWOT: gold is finding momentum, touching a new all-time high of $2,470

この前さらっと流すように書いたけど、さらに詳しくという感じで。

ここもとゴールドの価格上昇が目立つことは多くの人が知るところであるが、ここについて個人的にはいくつかの市場の構造変化が見られているように感じているので、それについてまとめていきたい。

【ゴールド価格のチャート】
タイトルなし

まずゴールドは実際どれぐらい本腰が入った買いであるのかを振り返りたい。

これまでは全般として中国買い(これは政府も個人も)要因が大きかったのは以前のブログ記事で書いてきたが、ここにきて先進国(主に米国?)での買いが目立ってきている。

上記ニュース記事の中に記載があるがETF経由での保有が、これまで今年5月ぐらいまでずっと減少し続けていたのが増加に転じてきている。
これが足下8月までずっと同じトレンドが継続しているわけで、ゴールドETF買いについて何やら自信が生じていると考えるのが妥当なように思う。
ゴールドETFについては個人だけでなく世界の機関投資家も積極的に売買するものであり、機関投資家の動きを結構反映しているような雰囲気がある。

さらにそこに以前に書いたように、今年4月からゴールドETFのオプションインプライドボラティリティーにおいて長期側より短期側の方が高い状態が今年4月から実は足下までずっと続いている。
このオプションインプライドボラティリティーの短期側が高いことはオプション売買が活況なことを指しているわけで、価格が上昇しながらのオプション売買が活況ということはコールオプション買いが活況であることを指している。

このようにゴールドの取引状況は構造的に変化したことが確認されており、ゴールド価格については短期的には上下はあるものの、やや息の長い上昇になりそうだなと感じている次第だ。

そしてゴールドの買いが活況であることは、単純に言えばドルおよび主要他通貨において実質金利の低下が見込まれるということを意味しているように思う。
現状実質金利についてはドルについてはそこそこかなり高い水準にある。
今は金利が下がってきていて、実質金利は2%を下回りつつあるものの、まだ1.5%ある状態である。
これは諸外国と比べても比較的高い水準を維持しているわけであるが、この実質金利水準は景気鈍化を背景に遅かれ早かれ縮小あるいは消滅することが見込まれているように思う。
そうでなければ、これほど熱心にゴールドを買い向かうという形にはならないだろうと思う。

ようは全般的に言えばゴールド買いしている人達は、実質金利の低下とドル安というトレンドをしっかり見極めていると認識することが重要だと思う。
参加プレイヤーについては実質キャッシュポジションみたいなノリでゴールドで買っているのではないかとさえ思う。

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