村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年07月

中国消費減退が欧州ブランドメーカー決算に表面化し始める

独メルセデス・ベンツ、第3四半期減収減益 販売不振に為替差損

LVMH、主要事業が振るわず-中国人旅行者の購入で日本は好調

ようやく表面化してきた。

これまで当ブログでは中国消費についてはこれでもかというレベルでディスってきていて、それに関連してきた銘柄は避けるべきというのも書いてきた。
今決算でこの中国消費を捉えていた欧州企業の決算がガタガタになってきているので、書いていきたい。

上記リンクの通り、欧州ブランドメーカーでトップに位置づけするメルセデスベンツとLVMHの決算が全くの不調であった。
理由はやはり中国での売上減少であり、企業側も率直に消費動向の厳しさについて説明している。
もちろんLVMHについては為替の関係で中国より日本の方が商品価格が安くなっていて、日本の方で売れていると説明しているが、合算するとほとんど売上増えてないですよねというのがわかる。

株価についてもLVMHは2022年まで最強でリスクフリーの株みたいに見られていた部分があったが、足下は非常に芳しくない動きとなっていることからも、ファンダメンタルズを考慮するとしばらくどうもこうもなりませんねえという結論になりそうだ。

【LVMHの株価チャート】
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ベンツとLVMHの決算はブランド上位なのでまだかなりマシな方である。
問題はトップブランドではなく、中位以下のブランド力しかない企業群だろう。
例えばバーバリーやグッチを販売するケリングなどは、トップ富裕層御用達のブランドではなく、客層の悪い人達メインのブランドであり、超富裕層が余裕ある資金で購入するというより、クレカのリボ払いで無理くり買っちゃうような低属性客の方がずっと多いだろう。
例えば服飾系中位ブランド企業の商品は在庫がアウトレットで捌かれていることを考えても、いかにも客層の財布に余裕があまりないように見えるのは、そこまで想像は難しくない。
こういったことを背景に中位以下ブランドメーカーの株価はベンツやLVMHのように横ばいではなく、明確に底割れしていっている。

【ケリングの株価チャート】
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そういうことを考えると、欧州トップブランドでさえかなり決算が苦しいのに、中位以下ブランドはこの逆風に対して株価を維持できるほどの抗い方はできない可能性の方がずっと高いと考えるのが当然で、そういう株を持っている場合にはひどいことにならないうちに損切り投げ売りするのが吉だろうと思うし、一番の成長ドライバーであった中国消費が死んでいることを考えれば中長期投資についても現時点では割高として待ったをかけるべきだろうと思う。
ちなみに、なぜこれほど中国個人消費が死んでいるかは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

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農産物コモディティ価格が当面上がらなそうな理由

豚肉に異変!中国がデフレを恐れるワケ【坂井田淳の北京リポート】
↑Youtubeの動画リンクです。

ありえないシナリオの排除は非常に重要。

色々アメリカの統計が発表されて、インフレ率系も落ち着きつつあるが、そういった結果を見た後にアメリカ経済に対して非常にうがった見方をする人は「エネルギー価格や食料価格が上に跳ねて再度インフレ懸念が生じる可能性がある」と言う人がいて、さらに2022年のロシアのウクライナ侵攻を考慮するとそうなる可能性があるよねと思わされるということもある。
しかし、個人的にはエネルギー価格も食料価格もここからインフレ率に影響するレベルで上振れすることはないだろうと考えているし、特に食料価格が上昇とこの局面で言っているのは大分状況が変わりつつあることが見えていないと思わざるを得ないので、今日はそれをまとめていきたい。

食料価格といった時に、大体相場で参照するのは小麦・とうもろこし・大豆価格のチャートを見るわけであるが、見ていただければわかるがロシアのウクライナ侵攻がピークでその後だらだら下がり続けているというのが現状だ。
状況だけわからない人が見ると、もうそろそろ底打ちでいつ跳ねてもおかしくないと思うかもしれないが、個人的にはどちらかというとさらに安値に向かう可能性が高いと思っている。

【大豆先物のチャート】
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その理由は上記Youtube動画記事の内容にある。
テレ東WBSなのであるが、中国で豚肉が供給過剰になっているということである。
中国では豚肉が一つの主食になっていて、豚肉なしでは生活できないといっても過言ではないのだが、その豚肉が余っていて、大きな業者も大分苦しくてぽちぽちとデフォルトしている企業も出てきているということである。(詳しくは動画を見てもらいたい)
豚肉が余っている背景はここ数年特殊要因で豚の飼育頭数を増やしてしまったこともあるが、さらに全く回復しない景気を背景に外食需要が全く伸びなくなっているという2つの要因が大きいだろう。
そして当ブログでは繰り返しているが、中国景気が回復することは現状見込めない。
つまり需給を調整するには、豚の飼育頭数を減らすしかないわけである。

豚の飼育頭数を減らすということは、つまり豚に使う飼料を減らすわけである。
ここまで書いていけば詳しい人はすぐに気づくだろうが、中国は豚の飼育のためにとうもろこし・大豆を大量に輸入しているわけであり、これが世界一の食料輸入国の要因になっている。
どうせ欧米人なんて中国経済よくわからない状態でいろいろ事業計画を立てているために、中国の輸入需要が伸び続けること前提に作付けとか行ってしまっているわけである。
そうなると足下の中国景気の長期低迷は予想外なわけで、そういうのを考えずに皆穀物需給がタイトになるという妄想に囚われて農業機械を既に購入してしまい、栽培しているわけである。

とうもろこし・大豆は中国の豚飼育頭数の影響を受けている一方で、それとはやや関係ないはずの小麦も、結局なんだかんだでウクライナからの輸出もされていて、ロシアも外貨獲得のために必死に増産しているわけで、小反発はありながらもダダ下がりしているのが現状である。

【小麦先物のチャート】
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こういう状況を知っていれば、食料価格が上昇してアメリカでインフレ再燃!と考えるのがいかにありえないシナリオを織り込んで市場を見ているかがわかると思う。
きちんとあり得るシナリオとあり得ないシナリオを分けないと、このようにあらゆる事態を想定していると言い張る一見すると賢そうな人(実際はただの怠惰・臆病・マヌケなのだが)の言説に惑わされることになるという良い例ではないかと思う。

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米国物流倉庫大手プロロジスの決算から考える米国景気の鈍化

Prologis (PLD) Q2 2024 Earnings Call Transcript

決算コール聞いた限りは米国経済のファンダメンタルズは悪くなってきている。

米国決算シーズンもはじまり、色々ファンダメンタルズを確認する上で重要な企業の決算が開示されていたりしていて、それをひとつひとつ確認しているが、その中で気になったものとして米国物流倉庫大手のプロロジスの決算を今回はまとめていきたい。

プロロジスは基本的に決算は強気コメントが常な企業で、ファンダメンタルズ的にも米国はずっと物流倉庫が足りていないということもあり、長年我が世の春を謳歌してきたこともあり、常に強気なことはまあ致し方ないようには思う。
なので、決算のコールの内容を確認する時はその強気具合を少し引いて確認していくのが良いと個人的には考えている。

そう考えると今回の決算内容は先行きについて、プロロジスの自信のなさを示す内容となった。
まずこれまでは物流倉庫は引く手数多と言い方であったが、既存顧客がおさえている床面積については契約更新は行われているが、新規顧客については交渉が長引いていて新規契約が停滞していると言及している。
顧客は引き続きスペース確保については緊急性を感じておらず、経済の不確実性を考慮してコスト削減を進めているために、スペースの稼働率は既に例年レベルであるにもかかわらず新規契約には二の足を踏んでいるとのことである。

さらに実際に賃料に圧力が生じているところとしてカリフォルニアを例としてあげており、これは以前にカリフォルニアの失業率が相当悪くなっているとブログ記事で書いたことからも当然な話であり、実際に企業が体感できるほどカリフォルニアのファンダメンタルズは悪くなっていることを示している。

プロロジスの株価も見るとぱっとしていないのは一目瞭然である。

【プロロジスの株価チャート】
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株価的には実質的に2022年の利上げ調整の時からほとんど変わっていないことから、ファンダメンタルズは悪いままであり、やはりこの分野は利下げを必要としていることがなんとなくわかると思う。
物流倉庫の需要が伸びていないことは単純にモノの需要が伸びていないことを示すわけで、やはり米国経済のファンダメンタルズは悪化しているということだろう。

しかし、じゃあこのまま株価が暴落するほど経済は悪化するかというと、それはそれで違うと思われる。
理由としてはプロロジスの決算の中にもあるが、倉庫の床スペースの開発についてはピークアウトし始めているわけで、賃料いくらでもいいから契約するというレベルにまで追い詰められているプレイヤーはほとんどいない。
そういうことを考えれば、FRBが利下げをどこかのタイミングで早めていけば、大きな問題はないだろうと思う。

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投資家心理をさらに冷やす結果になったPBOCのしょぼい後追い利下げ

中国人民銀、主要短期金利引き下げ-景気支援も効果限定的か

いかにも無理やりひねり出しましたみたいな金融政策。

22日に中国PBOCが事実上の利下げをしたので、これを少しまとめておきたいと思う。

今回のPBOCの利下げについては、おそらくだが多くの外国人投資家や国内投資家をさらに失望させる内容であったと思う。

ご存じの通り、中国は鄧小平の対外開放政策を行って移行では最悪の景況感である。
これまで中国経済は対外開放政策移行はひたすら借金をして投資したもん勝ちの世界であったわけであるが、不動産バブル崩壊から始まったデフレ・貸し渋り・借入拡大意欲の低下から急速にデレバレッジ経済に入っており、マネーサプライの中でM1は前年比マイナス、M2も前年比+6.2%と過去30年で最低の伸び率になっていることに加えて下げ止まる気配を見せていない。
つまり、少なくとも経済状況に対して借入コストが高すぎることははっきりしているのである。

それに対する答えというのが、結局とりあえずやっていないことを見せるだけのアピールのためだけの7日物リバースレポ1.7%→1.6%とたったの0.1%利下げである。
既に2年国債金利が1.6%を割っている中で、たったの0.1%の利下げなんてものは想定内もいいところである。
国有銀行の利ザヤを守りたいし、人民元安になるのが怖いから、なんとかひねり足しましたというのは百歩譲って理解はできる。
しかし、不動産バブル崩壊の深刻度は過去の日本のバブル崩壊・米国のサブプライムショックのことを思い出せば、想定内利下げなんてもので景気に働きかける力はゼロと言っても過言でもない。
いや、ゼロならまだマシな方で、どちらかというと中銀がまともに景気対策を考えていないとして、さらに借金返済のデレバレッジが進む形で、利下げしたのにマイナス影響が加速するということさえ発生しかねない。
(まあ利下げしなければもっと過激にマイナスなわけであるが)
そういうのも考慮して本当に金融政策を決めているのか疑わしく、これが投資家の失望度を増やしている原因おtなっている。

まだ外国人主体の香港株が下がるだけなら擁護の余地があったが、上海総合やCSI300といった中国国内投資家メインの本土株が下落していることは、外国人どころか国内投資家でさえ擁護できない最悪な金融政策であったという評価ができるだろうと思う。

【CSI300のチャート】
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また三中全会の時もそうであったが、より中国の景気悪化が深刻化するということであらゆるコモディティ価格にマイナスに働くわけで、鉄鉱石・銅らへんはそこらへんの事情をストレートに反映している動きとなっている。

【銅先物価格のチャート】
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結論としては0.1%ずつとかいう市場がフルに織り込んでいるような金融緩和策をやったところで、経済悪化のペースに間に合っていないと考えるのが妥当だろうと思う。

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若干のコアPCE上振れを吹き飛ばすぐらい悪かった米国個人収入

Fed’s key inflation gauge rose 2.5% in June from a year ago, easing path to rate cut

まだインフレ再燃で金利上昇を願っている人が多いように思う。

米国で月末に発表される注目のPCE関連指標があったので、内容と反応をまとめていきたい。
PCE発表の時は個人収入・支出関連統計も併せて発表されるので、それもセットで見ていくことが重要だろう。

FRBの金融政策を決定するインフレ率であるコアPCEは市場予想前年比+2.5%に対して結果は+2.6%とほんのわずかであったが上昇した。
しかし、これを打ち消すぐらい弱い指標が実はその横で発表されていて、Personal Incomeが市場予想前月比+0.4%が結果は+0.2%しかなく、さらに実質個人支出についても市場予想前年比+0.3%に対して結果は+0.2%とこちらも余裕の下振れであった。
個人消費のサイクルは金利が変化しないのであれば収入があって支出があるわけだし、そもそもクレカのリボ払いが限界であることも考えると収入の伸び鈍化は普通に支出鈍化が今後発生するわけで、ほんのわずかコアPCEが上振れることなんて問題ではなく、中国景気も完全に死んでいて、米国景気も個人の過剰貯蓄なし・クレカリボ払いも限界にきていて高金利で厳しい中で収入の伸びが鈍化するのであれば、自然と世界景気は軟化し、インフレが収まることは自明の理である。

このようにもはやPCEが問題ではなく個人の収入とか支出の傾向の方が問題ですよねというのがパッと見てわかるのに、経済指標が発表された直後はコアPCEの上振れとも呼べないようなごくわずかの上振れに対して反応したのか金利が若干上昇したのを見ると、まだ金利をロングすることに対しておよび腰な機関投資家が多いことは確実だろう。
(金利の世界は個人ではなく機関の世界なので)

【米国5年国債の金利推移】
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しかし、すぐに個人収入統計の明らかな下振れで普通に景気鈍化だろという普通の考えが台頭して金利はブルスティープしたことを考えれば、金利ショート組がじりじり追い詰められていることはほぼ間違いない。

金利ショート組の最後の望みはトランプ政権誕生からの減税で財政支出が増えるんだから金利は上がるはずという極端なシナリオであるわけだが、民主党側はハリスでは大統領になれなくても下院ぐらいは過半数取れる確率はかなり高いので、捻じれ議会になった瞬間にトランプ減税がすんなり通る見通しが消滅して金利ショートしているやつらは全員燃やし尽くされればいいと思っている(願望)

ちなみに株などのリスク性資産は個人的にはどう動くかは足下は重要だとは思っておらず、前回ブログ記事で書いた通り、FRBビハインドからの9月FOMC前付近で第二波売りによる押し目が発生することを拾うことしかもはや考えていないので、株の値動きについては今回割愛したいと思う。

【過去参考記事】

第二波の下げが来るまで株の追加買いを待つ戦略を考える


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