村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年06月

アメリカの高物価が日本株の上昇を招く理由を考える

日経平均・円安・金…記録相次ぐ23年度 インフレ背景に

まだまだ日本株のアップポテンシャルは高いと思う。

ここもと個人的には日本株にはまだまだ上昇余地があると考えているものの、一体何を中長期的な上昇目途とすべきかというのを考えている。
統計データではこういうもののヒントは得ることはできないので、ぼやっとXのつぶやきを考えながら見ていたのだが、やはりこれじゃないかと思うのが一つあったので、それをまとめたい。

まあ難しいことは言わずに端的に言うとアメリカの物価と日本の物価差である。
大多数はこれを国力の差と言う人もいるが、個人的には全く見方は異なる。
そもそもアメリカが世界で一番物価が高くなり、給与の絶対額が高くなるのは当たり前であり、そうでなければ世界経済は回らないのである。
それは下記記事を読んでもらえればわかる。

【過去参考記事】
世界の経済や金融市場を見るうえで、米国経済の分析から始めなければいけない理由

覇権国家の経済力というのは消費力なわけであり、一番お金を払う国である。
さらにこのタイミングで中国が全く貿易パートナー・モノの供給拠点としての信頼性が全くなくなったことから、アメリカの消費欲を満たせるモノのサプライチェーンの再構築を余儀なくされている。
そうなると、信頼でき、かつ地政学リスクが低いパートナー国は欧州・日本・インド・メキシコの3択ぐらいしかない。
うち、高度産業のモノ供給ができるのは欧州と日本の2択にまで絞られる。
そこからさらにコストという観点だと日本に軍配があがるのである。
確かに、現在先進国物価と日本の物価の絶対水準を比べると日本は安いわけであり、それが現在グローバルパワーの一つになっているのである。
アメリカ様にはぜひとも日本の製品をたくさん買っていただいて儲けさせてもらえればよろしいだけの話である。

なので、Xの出羽守群が「アメリカの物価は高い、日本の国力衰退が~」と言っている間は日本株上昇ポテンシャルは非常に高いと判断するのが妥当だろうと思う。
物価については確かに一部は国力と関係はあるが、単純にモノの供給力足りないのにバカスカ消費して高い給与払っているというだけの話だったりする。
逆に言えば、こういう意見がXでつぶやかれなくなった時は大分日本株の旨味はなくなりつつあると判断し売却すべき時だろうと思うが、それはまだ随分先の話だろうと思う。

また株を買う際のレバレッジコストは未だにほぼゼロなわけで、仮に上昇率が米国株と一緒だったとしても、米国株でわざわざ2倍のレバレッジかけるのに金利コスト10%払うより断然お得どころか、金利が配当利回りよりずいぶん低い状態であるのでレバレッジかけるだけ配当もたくさんもらえるわけで、こんなおいしい相場を見逃すのはもったいないと思う。

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2回連続で滑った米国小売統計と金利低下

米小売売上高は予想下回る、前月分も下方修正-家計逼迫の兆候

もうこれは景気鈍化だと思うんだけどねえ。

様々な米国統計がFRBの金融政策を占う上で世界中から注目されているわけだが、今回は小売統計が発表された上に、内容についても注目すべき部分が多いということで、その中身と市場反応を確認したい。

今回米国景気を考える上で重要なのは実は小売りではないかと考えている。
理由として、2020年のコロナ禍のせいで多くの企業は設備投資を控えたし、金融機関もレバレッジ拡大に躊躇してきたため、投資面や金融面についてはレバレッジは大した水準にはなっていない。
一方で、消費面ではコロナ禍でばらまかれた給付金に加えて、現在は沈静化したが正規雇用の急増と住宅価格上昇によるキャッシュアウトリファイナンスによって消費活動が異様なレベルで活発であった。
しかし、多くのエコノミストが指摘しているように過剰貯蓄は既に尽きており、さらに以前の消費レベルを忘れられない米国人はリボ払いで消費しているというのが実態である。

そのため、当初から過剰貯蓄が尽きる時が消費が落ち込む時期だと見られていたわけで、貯蓄動向とリボ残高を見る限り、消費は落ち込むのは時間の問題と見られていた。
実際にその証拠が前回の小売り統計に出ていて、ここから米国債金利の低下は始まった。

そして今回の小売り統計も確認すると、なんと今回も下振れである。
市場予想が前月比+0.3%だったのが結果+0.1%だった上に、前回分も-0.2%下方修正されて弱さが目立つことになった。
1回ならば偶然と言える範疇であるが、2回も下振れた上に、下振れ原因も思い当たるフシがあるとすれば、これはもう決定的だろうと思う。
つまり米国景気鈍化が消費減退から始まっているのである。
市場はそれを既に感じ取っているわけで、既にFRBのタカ派FOMCを完全無視して長期金利は低下傾向で推移しており、実際昨日の小売り統計発表後も金利は低下していった。

【米国10年債金利のチャート】
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金利がやや大きく動いたのに対して、その他の資産は米国祝日の前日ということもあり、一部を除けばほぼ小動きだった。

少し頭に入れておかなければいけないのは、消費先行系の景気減退というのは金融市場へのインパクトというのはゆっくりとした変動を促すもので比較的対応可能なものであり、投資・金融から発生する景気減退のようなスパイク的な暴落というのは一般的にはないソフトランディングになる可能性が高いわけで、なぜソフトランディングになるのかは下記過去記事を読んでもらえればと思う。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

そういうわけで、大局観的には株価は上昇期待があり続けているので、スタンスについては安値で保有できているポジションは引っ張り続ける一方で、新規買いはもう目の前に景気鈍化が見えている中でFRBがビハインドしつつあることを考慮して、相場が一旦揺れるタイミングまで待ちたいというスタンスがやはり一番気が楽な投資態度だと思っている。

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フランス解散総選挙の決断は階級エリートの驕りが見える

フランス大統領は正気なのか、選挙の賭けは理解に苦しむとG7首脳

なぜ欧州人は政治で博打を打つのか?

ヨーロッパ議会選挙にて、フランス議席分で極右が予想外に議席を伸ばしたために、マクロン大統領がいきなり「解散総選挙をする」と言い出して欧州相場が急変動しているのは衆知のことである。
そしてこの解散総選挙で場合によっては極右がさらに台頭するのではないか、場合によってはルペン大統領爆誕ではないかという懸念の下に、フランスの株・国債が売られているだけでなく、周辺国にまでリスクオフムードとなっており、傍から見るとこの解散総選挙は非常に悪手だと見られている。

【CAC40(フランスの代表株価指数)の株価チャート】
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マクロン大統領も馬鹿ではないので、何か勝算があって今回の解散総選挙を仕掛けたのではないかという人もいるが、ここは個人的にはそれはどうかな?と少し思うところがある。
かつてイギリスでBrexitの国民投票を仕掛けたら政権が考えているのとは逆方向の結果でBrexitになってしまったことを考えると、既存欧州政治で見えるところがある。
欧州社会というのは階級社会的な色合いが強いところであり、その中で政治というのはその階級社会のトップエリート達である。
階級社会・トップエリートという組み合わせは、言ってみればその所属に階級している人達は「自分達は選ばれて当然」という驕りが存在することを個人的には疑っている。
もちろん、驕っているからといって選挙活動で手を抜くわけではないが、それでも選挙活動の端々で「自分は選ばれて当然」というのが見えてしまうので、これが選挙活動で悪影響を与えるのではないかと懸念している。

なので、今回のマクロン大統領が解散総選挙を仕掛けたのも「今一度自分達の政権アピールをきちんとやれば自分達が選ばれるはず」という階級エリートの驕りを前提としたものではないかと思う。
しかし、欧米諸国でそうだが、社会が分断されている中でこうしたエリート階級の驕りというのが段々と受け入れられなくなっていることの深刻さをあまり深く考えずに、選挙という博打に走ってしまうのが、現在の欧州政治の弱点と言えるだろう。

ただ、実際に極右が選挙に勝利したところで、そこがマーケット的な恐怖のピークで、実際はその後は恐怖は緩和されていく方向だと思われる。
そう考える理由としてはフランスの国民性にある。
フランスの国民性は歴史的に言えば、現状に不満を抱いて革命が起こっても、その後不満が解消されない場合には早々と現政権に対してギロチン処刑をしかけに行く気質がある。
そのため極右があまりにも無茶な政策をしかけにいってフランスの国としての状況が揺らいでくると、即座に国民は掌返しをすることが期待できる。
ここらへんがアフリカや南米といったクソ国家とは大きく違うところであり、先進国として認められているような国のレベルである。

なので、まずは解散総選挙を通過するまでは常にマーケットを揺さぶる要因であるが、選挙さえ終われば極右が勝とうがどうだろうが徐々にマーケットかく乱要因ではなくなっていくのではないかとにらんでいる。

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株とコモディティのボラティリティ拡大時の方向性の違い

大荒れの商品相場に備えよ、猛暑が世界を揺らす恐れ-物価高止まりも

コモディティは上昇不安を煽る記事が出ると天井になりがち。

よく株についてはボラティリティが上がる時というのは皆が恐怖している時と言われており、株買いチャンスであると見られている。
例えばS&P500のオプションから計算されたインプライドボラティリティを基に計算されたVIX指数などはその代表例で、VIXが拡大した時は買いというのは一般的な話である。

しかし、多くの人が勘違いしているのはこれがどんな資産にも当てはまると思うところである。
実はコモディティの世界では全く逆なのである。
コモディティではボラティリティが上昇する=価格が上昇する という構図になるのである。
なぜならコモディティは常に生産者がいて、この生産者は手持ちに現物を持っていてこれを売りたいと思っており、先物を売り持ちしているのが常なのである。
そこに供給不安や投機筋のいっちょ嚙み買いなどが絡むと、薄い板の中を一気に買いがバクバク売り手の玉を食っていくがために、一気に価格が上昇するみたいな現象が発生するのである。

実際にコモディティETFのインプライドボラティリティーを見てもらえればわかるが、価格が上昇する時にインプライドボラティリティが上昇するのである。
実際にFREDで確認できる原油ETFのIVを見てもらえればわかる。

【原油ETFのインプライドボラティリティ】
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https://fred.stlouisfed.org/series/OVXCLS

なので、株は下落した時に皆の緊張感が一気に高まるわけであるが、コモディティは逆で価格が上昇した時に皆の緊張感が高まるのである。
もちろん景況感がめちゃくちゃに悪くなったり、コモディティサイクルが大崩れするとコモディティ価格が下落する方向になったりすると、下落時にもインプライドボラティリティが上昇するというケースもあるが、通常サイクルではコモディティ価格はゆるやかに下落する・上昇の時はスパイクしがちという組み合わせになるのである。

そして上記ニュースの通り、最近コモディティというのは価格上昇を煽る報道タイトルが目立つということで、これはコモディティ市場に緊張感が走っているということを意味する。
しかし、実際は原油価格も下がっているし、ついこの間まで大騒ぎであった銅も下がり始めていて、あと残っている選択肢として買い手投機筋が天然ガスや食料価格でもうひと騒ぎさせて売り抜けたいという気持ちが満々な記事をこうしてニュース記事として書かせたりするわけである。
そういうのを考えれば、今は逆に景況感の悪化でコモディティ価格は皆が想像するより下落方向に進むのではないかと見るべきタイミングではないだろうかと思うわけである。

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日本の中古住宅不動産市場動向(2024年5月)

http://www.reins.or.jp/library/2024.html
↑中古住宅不動産市場統計を出しているレインズデータライブラリーのHP

日銀の利上げ懸念で、東京中心部以外はさすがに動きが鈍ってきた。

毎月レインズデータライブラリーで発行されている首都圏の中古住宅不動産市場動向の2024年4月データを今回は確認していきたいと思う。

まずはマンション。

【中古マンション市場の概況】
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動きは若干鈍ったように思われる。
まずこれまで給与アップして与信が増えたプレーヤーが増加したことから4月までは成約数の伸びが大きかったが、ここにきて鈍ってきており、先行き日銀の利上げ確率が高いという懸念が徐々に効き始めてきているように思う。
また価格の伸び率も平米単価で+7.5%となっているが、地域別を見るとグロス単価が高い地域で、外国人が投資目的で買うような物件以外はやや単価の伸びが鈍り始めているように見えてきている。

【地域別成約価格】
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こう見ると神奈川県西部はともかくとして、実需層がメインで買う地域は価格の伸び率が前年比5%前後で落ち着いているように見えてきている。
東京区部は+8%だが、これは山手線内の外国人が買うような投資物件が高値になっているのがメインの話で、普通の人にとってはほとんど関係ない話なので、普通の物件は前年比+5%ぐらいの伸びなのねと思えばよいと思う。
そうなると、そもそも東京で働いているような人のベアが3.5%以上あることを考えれば、これぐらいの伸び率ならまあねえという感じだと思う。

【在庫水準】
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在庫水準は絶対値は過去比高いものの、新規登録が前年比減少に転じている中で成約数が若干のプラスなので、在庫水準の方向性は微減に転じている。
このことはマンション価格の高さ、日銀の利上げ懸念があり上値が以前より重たそうなのは確かな一方で、慌てて値下げして捌かなければいけないほどの在庫積み上がりはないことを意味するので、買い時ともいえないし売り時ともいえないなんとも中途半端な状態となっている。

一方で、中古戸建はどうだろうか?

【中古戸建の市場概況】
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価格自体は前年比プラスとなっているが、問題は成約数が再度マイナスに転じていることにある。


【地域別成約数】
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東京区部以外全滅である。
特に郊外になればなるほど成約数の数値は厳しく、前月にちょっと成約数盛り上がるか?と見せたところは東京区部に限定されることになった。
そういった意味で、住宅不動産は東京23区だけが別物で、23区とそれ以外という状態になっているように思われる。

そうじて言えば、マンション人気は続いているが実需層だけが買う物件はせいぜい巡航速度、中古戸建にいたっては東京区部以外は全滅といっていい状態であるため、資産性を重視するのであれば郊外の中古戸建は避けるという選択肢になるのだろうと思う。
マンションであれば郊外でもランドマーク的なものであれば問題ないようにも見える。

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