村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年06月

さすがにカリフォルニア州の労働需給緩和に気づいたデイリー総裁

米SF連銀総裁、労働市場のリスクを警告-変曲点に近づいている

さすがにやばいと思い始めた雰囲気。

以前に当ブログではアメリカ各州の失業率動向を見ると、既にカリフォルニア州は他州と比べて、既に相当程度失業率は上昇していて労働市場の緩み方は明らかに段違いで違うわけで、本来はサンフランシスコ連銀のデイリー総裁からハト派的な発言が出るはずなのだが、今の時点でハト派的発言が出ていないのはその無能がゆえなのかという記事を書いてきた。

【過去参考記事】

無能デイリー総裁は判断を2度間違えるか?


しかし、記事冒頭のブルームバーグ記事を見ると、さすがにそうは言っても誰の目から見ても明らかなカリフォルニア州の労働需給緩和の様相や企業へのヒアリングなどを通じてそろそろ危ないレベルに近づいてきているのではないかということに気づいてきたようである。
記事内では、未だに労働市場は緩やかな調整に留まっており、失業率は小幅にしか上昇しておらず、引き続きインフレ率には警戒が必要だとしつつも、インフレだけがリスクではなく、本格的な雇用調整が始まれば失業率上昇は明らかであるため、労働市場にも目を配るべきだとし、インフレが急激に鈍化したり労働市場が予想以上に減速した場合にはすぐにでも利下げできるようにすべきだと発言した。

これこそが、債券市場が待っていた言葉だろうと思う。
口では表面上は他の連銀総裁と同様にインフレ警戒を続けるべきと言っているが、その実情はカリフォルニア州だけを見れば、インフレ率さえ許せばすぐにでも利下げしたいというニュアンスが非常に強い内容であり、個人的な目線ではもうハト派もいいところみたいに見える。
どっかの中小都市レベルの連銀総裁のように再利上げも辞さないみたいな、そりゃお前のところだけ見ればそうだろというようなところに異様に債券市場は反応してきたわけであるが、さすがにカリフォルニア州レベルで労働市場の方向性の明らかな悪化が生じていて、それが無能な連銀総裁レベルでもはっきりわかる程度まで進んできたということを如実に表している記事ではないかと思う。

実際に昨日の米金利は結局小さいレンジ内に留まりつつも、どちらかというと上昇するよりも低下になりそうみたいな雰囲気が強く、特段指標が出ていない中で月曜日は米国債金利が低下したことを考えると、このデイリー総裁の発言に反応したように思う。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし


ただし、カリフォルニア州だけで全米労働市場を語ることは無理があるわけなので、苦渋の判断をしながらデイリー総裁は発言をしているように見える。
そのため、他の連銀理事と相当程度の発言意向の乖離が出るので、おそらくデイリー総裁の発言だけでは、なかなか本格的な債券投資家のスタンス変更は難しそうに思われる。
カリフォルニア州の次になんとなく失業率や雇用の雰囲気が悪いのはニューヨーク州であり、ニューヨーク連銀理事のウィリアムズ総裁のスタンス変更が次には来るはずで、ここまで来ればおそらく債券買いが本格的に進み始めるだろうと思われるので、それまでは市場は我慢を強いられるだろうと思われるし、これに反する値動きについては安易に飛びつかないように気を付けるべきだろうと思う。

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ビットコインが米国利下げが実施されるまで調整しそうだと思う理由

ビットコインオプション市場は強気──10万ドルのコールに偏り

これはアカン。(巨人師匠風)

当ブログでは仮想通貨の代表であるビットコインについては去年2月頃から強気的な姿勢を続けていた。

【過去参考記事】

仮想通貨の価格上昇と金融市場との関係性を改めて考察


しかし、4月頃から株式市場に対して慎重に見るべき時だろうという判断に切り替えたと同時に、仮想通貨についても慎重になるべきだろうと考えていた。
ビットコインの価格が伸びなくなってきたのは、ちょうど当ブログでは投資判断を切り替えたタイミングであり、現状レンジ内の動きとなっているが、先行きはなんとなく気持ち悪い動きになっている。

【ビットコインのチャート】
タイトルなし


理由としては上記過去記事に書いてきた通り、仮想通貨というのは金融市場では一番端っこにいるアセットクラスであり、ドルの流動性が十分か不十分かということに対して大きく反応するわけである。
そして、元々当方では株価の先行きに対して、いよいよ景気後退が見え始めている中で、未だにFRBが利下げの判断を遅らせているということでビハインドし始めていることを理由として挙げてきた。
つまりドルの流動性が市場では不十分となる可能性を示しているわけである。
そして実際にそれを反映してか、ビットコインの価格は伸びなくなってきており、先行きは垂れそうな雰囲気が出ている。

そこに追い打ちをかけるように上記のコインデスクの記事である。
もうどいつもこいつも買うことしか考えていないが、現物を買って逆噴射するのが怖いからとワンチャンコールオプション買いをしているスケベ野郎しかいないことが判明したわけである。
つまり、全く腰が入っていない買いであり、腰を入れて買っているやつはもっと早い段階で買っているわけで、逆にそういった人達はこの辺で売ろうかと思うレベルになってきているということになる。
だからこそ、これだけコールオプションが買われているが、ビットコイン自体の価格は伸びなくなってきているわけである。
この辺の考え方は下記記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

一応仮想通貨クラスタの人達の雰囲気はどうかとYoutubeなど軽く検索してみたが、どいつもこいつも頭が悪そうな人達が買い一辺倒の話しかしていない。
先行きに対して楽観視しているみたいな脳死みたいなコメントばかりであり、想定外に下がる可能性をみじんも頭に入れていない。
先行き慎重に見ているという人もなぜかかなり浅い押し部分で買い検討をしているなど、その考え方も相当甘いと言わざるを得ない投資判断をしている。
とにかくポジりたいポジりたいという願望が強すぎて、胃もたれしてしまうような内容ばかりであった。
そういった人達の判断の大半はテクニカル分析から来ており、金融市場のメカニズムなんてものは全く理解されていないと言えるだろう。
そういった意味では個人的には、株式市場のぎくしゃくに合わせて調整が続く可能性が高いと見込むが、その押しは最低でも6万ドルという下限レンジは下抜けるだろうと予想している。
さすがに4万ドルまで下がるとはあまり思わないが、5万ドル前後ぐらいまではバックする可能性は十分に考え、株式市場全体がぐらついて米国の早期利下げを求める声が高まったところまでは買いは検討すべきではないだろうと考えている。

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習近平忖度経済で乖離し始めた税関ベースの貿易統計

中国の貿易黒字データ、不可解な食い違い-米国が説明求める

習近平忖度経済の限界が露呈し始めている。

上記記事はなかなか興味深いものだが、中国の貿易黒字データが税関ベースのものは水増しされているのではないかという話である。
具体的には税関ベースのものと国際収支ベースのもので、過去ではさほど乖離が見られなかったものが、2021年頃から乖離が大きくなり、2023~2024年には恒常的に看過しがたいレベルの乖離となっており、これに米国政府やIMFがその異常性を指摘するようになっている。

これを色々考えると、あり得る可能性としては所有権が移転されないまま在庫となってしまっている可能性を考えている。
上記ブルームバーグ記事に書いてある通り、税関は国境を越えた物理的な移動をベースにしたものである一方で、SAFEは所有権の移転をベースとした集計となっている。
つまり税関は通っているが、所有権が移転されていないとこのズレが大きくなっていくことを意味する。

なぜこのような事象が生じるかというと、これは計画されたGDP成長率を達成させるために無理やり行われていることではないかと考えている。
上記ブルームバーグ記事に書いてあるが、中国国内では不動産バブルの崩壊により内需が死んでいる上に、海外からの直接投資も死んでいるので、習近平が掲げるGDP成長率を達成するには輸出しか選択肢がないわけである。
そのためとりあえず国境を越えさせて輸出していることにしてGDPをかさまししているが、実際はそれは在庫として外国で所有権が移転されないまま滞留している可能性が高いということである。
さらに、その量が中国のGDP1%におよぶものであり、これは本来は経済統計にきちんと反映すべきものである。

しかし、以前に記事に書いた通り、中国政府は旧態依然とした供給サイドに偏重した補助金によって過剰生産だけで経済をどうこうしようとしているわけである。

【過去参考記事】

消費・輸出の裏付けなしで中国の生産主導の景気改善期待は続くのか?

つまり過剰生産されたものが、なんの所有権移転計画もなく、とりあえずごまかすために国境を越えているということを意味する。
在庫を貯められるうちは問題ないが、在庫貯蔵に限界が来たらもうそれでおしまいだ。
生産している間は確かにGDPはかさましできるが、消費されなければいずれ限界が来ることは明白だ。
そして、実際に在庫貯蔵に限界が来たから、中国の株価もそのことに感づいて下げているのであると考えるのが自然だろうと思う。

【香港ハンセン株価指数】
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フィスカー倒産によって加速するEV銘柄の株価崩壊

失敗した資金調達、品質問題の数々。破産申請したフィスカーの波乱に満ちた歴史

バブルの完全終了。

上記記事はこの前に破産した米国上場していた米国EVメーカーであるフィスカーが破産したことについての詳細な内容である。

記事を読めば、こんな企業が破産なんてまあ当然だと思うしかない内容であった。
資金調達はシリコンバレーのノリで行われたが、様々な血のにじむ努力の結晶で行われている自動車製造というのを単にデザイナー視点でしか考えずに行った結果、全く粗悪な品質のものしか出来上がらず、満足に受注分さえ引き渡すこともできなかった結果として潜在顧客の信頼を失って、そのままキャッシュフロー足らずかつリファイナンスもできず一直線で破産したということである。
ようはまともな売上を上げることができず、自動車産業のお作法も知らずして、ポンチ絵だけでお金を集めて浪費しただけということである。

【フィスカーの株価チャート】
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このフィスカー破産が意味することは、「自動車産業をシリコンバレーみたいな軽いノリでやること自体が間違っている」ということを示しているわけで、多くのPEがこれまでのIT企業の投資知見を活かして(活かせてない)PE投資する形で新興企業が続出したが、その結果はシリコンバレーのノリである「プロジェクトを走らせながら考えればいいや」という自動車製造ではあってはならない安全軽視・在庫管理ミス・ポンチ絵モックでの新車発表リリースというまるで詐欺のような仕草で資金調達した詐欺企業が続出したということに過ぎなかった。
こうして化けの皮が剥がれ、EV需要が低迷していく中で、いよいよEVメーカーがデフォルトしていく流れが生じ、本格的なEV生産増加の期待が剥落するステージとなっていきそうである。

まず最初に歯車が狂うのは、現時点でキャッシュフローが回っていないEV専業メーカーである。
上場しているところでいえば、リビアン・Li Auto・Xpengあたりはもう無価値一直線だろう。
現時点でキャッシュフロー回っていなくて、ファンダメンタルズが悪化しているんだからと、投資家は回収不能になる前に取り付け的な形になるので、借金のリファイナンスは誰も応じなくなるので、普通にデフォルトするだろう。
この辺は誰でも想像が付くないようだと思う。

【リビアンの株価チャート】
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次に駄目なのはバッテリー関連に偏重している部材メーカーだ。
米国であればその代表格はアルベマールで、S&P500が最高値超える中で最安値更新待ったなしみたいな状態になっている。
ようはリチウム価格なんて、みんなEVがびっくりするほど需要が伸びること前提にリチウム掘りまくっていたわけで、その目論見が完全に外れてリチウム価格は供給過剰で暴落するしかないので、リチウムに賭けていた企業なんてのは駄目で当然だ。
アルベマール以外ではSQMなどもそれに該当するが、韓国のバッテリーメーカーもなんとなく危うさを感じるところだ。

【アルベマールの株価チャート】
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そして意外なところとしてマグナインターナショナルもひどいことになっている。
先ほどのニュース記事の中にもある通り、フィスカーが生産をマグナに丸投げしていたと書かれていたところから、マグナはOEMでEV製造を相当任されていたことがわかっている。
一時期はなんか自動車生産のホンハイとか意味不明な呼ばれ方をしていたような記憶もあるが、こうした雑丸投げで受注できてた案件がなくなるので、残念ながら不採算ラインが増えるばかりだろう。

【マグナインターナショナルの株価チャート】
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このようにこれまでEVに全振りしてきた企業は不相応な株価評価を受けた後は何もいいことがないまま業績が下方に向かっており、もはや全投資家はEV銘柄についてどのように投資するかではなく、どのように撤退するかしか考えていない状況で、ひたすら投資資金は引っこ抜かれる形が継続していて、フィスカー倒産はそれを加速する流れになるだろう。

実際にEVに全振りしている企業ばかりが集まっているETFであるLITはさらに下に向かおうとしている。

【LITの株価チャート】
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残念ながらLITを見る限り、まだピークから60%しか下がっておらず、ブームが終了したセクターがこの程度でボトムと考えるのは個人的には早計だと思っており、そこらへんは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
ブームからバブル崩壊したセクター・個別銘柄が最低でもピークから75%株価が下落する理由

また、EV銘柄が底打ちするには、こんなデフォルトして当然と見られていたフィスカーレベルの倒産ではなく、もっと「え!この企業がデフォルトするの!?」というものが必要だと思っており、そこらへんは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか


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中国政府のゴールド買い停止と同時になぜ人民元安が再開したのか?

中国、7カ月ぶり元安 人民銀行は政策金利据え置き

これはやってしまったかもしれない。

ここもと中国は脱ドルをお題目にゴールドを買い続けていたというのは当ブログでは以前に記事にしたのは記憶に新しい。

【過去参考記事】

金価格上昇のエンジンであった中国政府買いが予算制約で止まる

しかし、このゴールド買いが終了したという報道と同時に人民元が対米ドルで安くなり始めたのである。
これは個人的には偶然重なっただけではないと考えており、何かしらつながりがあるのではないかと考える必要性を感じた。

【人民元(対ドル)のチャート】
タイトルなし


これまで中国政府のゴールド買いの原資は米国債を売却することによって捻出してきたものであることは、既に衆知の事実である。
資金を捻出するために米国債を売却する際は普通に考えると売りやすいポジションから売っていることはなんとなく想像つきやすいところだと思う。
そうなると流動性が高くマーケットインパクトの低い手前側の債券を売却することが妥当だと思われる。
奥側の債券だと、まだ金利上昇による含み損があったりして、これを売ると損失確定みたいになってしまうなどの事情もあったりするだろう。

しかし、ここで考えなければいけないのは、一般的に自国通貨買い・米ドル売りの為替介入をする際には、今回の金現物買いの原資を作るのと同様に米ドル現物・Tbill・Tbillより長いが短期ゾーンの米国債を売却することによって介入原資を作るわけである。
この辺は最近の日本財務省の為替介入でも色々介入原資についても報道されているわけなので、それと併せて調べてもらうとわかりやすいかもしれない。

そう考えると、ゴールド買いの停止と人民元安について段々となぜリンクするのかわかってくる。
ゴールド買いが停止したのは、過去記事にも書いたが、普通に考えれば予算の制約である。
つまり、これ以上米国債を売却することは円滑な米ドル処理において支障をきたす可能性があるので、ここで停止しているわけである。
逆に言えば、これ以上米国債を売却する余地というのはよっぽど緊急事態にならないと動けないわけである。
また買ったばかりのゴールドを売ることは、中国政府の政策ミスを匂わせるものになるので、脱ドルを看板に掲げる中で、即座に売却することは難しい。
そうなると、実は人民元が対米ドルで安くなろうとする際に介入原資が足りないのではということになる。

当ブログ程度の人間がこれぐらいの推理はできるので、ヘッジファンドのいくつかはこれぐらいのことは考えているだろうと思う。
習近平が考えた「俺が考えた最強の脱ドル戦略」なんてものは穴だらけであり、そこの弱みにつけこんだ人民元ショートぐらいは思いつきやすい。
景気も弱含んでいる中で、変に人民元ショートのコストを高くしたりすると景気阻害要因にもなるわけで、以前より人民元を防衛することが実は中国政府にとって難しくなっているのではないのか?

以上がなんとなくだが、急に人民元が対米ドルでレンジを外れて安くなり始めている原因なように思われる。

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