村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年06月

中国のPMIがこのままだと年末に向けて地獄な件について



どうするよこれ?

中国の統計というのは日曜日に発表されるものがあったりするわけだが、その中で中国国家統計局が集計している製造業PMI・サービスPMIがある。
今回この最新の数値が出たので、それをまとめていきたい。

結果については上記ツイートの内容を見ていただければわかるが最悪極まりないもので、政策当局にとっては悪夢といってよい中身だろうと思われる。
まず製造業PMIについては2ヵ月連続で50を割れている上に、前月から一切改善していない。
これが意味することは過去記事にも掲載したが、中国の景気刺激策というのが生産・サプライサイド中心でとにかくモノをたくさん作らせまくるという旧来の手法を使っているが、これが限界を迎え空振りに終わったことを意味する。

【過去参考記事】

中国の製造業PMIの予想外の低下が意味すること


過去には中国からの輸出成長と不動産市場の規模拡大で全てを正当化できていたが、不動産バブルは崩壊し、輸出はデリスキングで欧米が中国依存度を下げていることもあり増えていないために、単に政府の金を使って在庫を積み上げたにすぎない状態になってしまった。

この状態は過去記事にも書いたので、それほど新味のある話ではないわけであるが、追加の悪材料としてサービスPMIが危険な推移をしていることである。
サービスPMIは50.5と2023年11月の最悪だった時期に近づいている上に、50を割れる一歩手前まで悪化している。
これまでなんとか中国経済について投資することを正当化している論理の中にはモノの製造はともかくとしてサービスの消費が活発なのでOKという中国経済の構造を考えたら非常にくだらないアイデアをセルサイドのプレイヤーは振りまいていたわけだが、これさえ中国の構造的問題から来る景気低迷と政府の補助金政策の空振りによって再度の悪化が見え始めたわけである。

結局今回のPMIは自然体で中国景気は低迷方向に向かっており、これまで一時的に政府の補正予算によって支えられていたのが政府の補正予算が切れると同時に即座に再度悪化傾向に向かっていることを意味している。
つまり、新しい政府の補正追加予算がなければこのまま中国景気はコーナーに追い込まれることが今回の統計でわかったのである。
なので、冒頭で説明した通り、今回のPMI統計については政策当局にとっては悪夢以外の何物でもない代物となってしまった。

投資家はここからは中国政府が補正予算を決めるまでは非常に中国株・香港株投資は厳しい状態が続くだろう。
少なくともPMIが去年の最悪時期のレベルにまで落ちていることを考えれば、にわか景気回復期待で上昇した中国株・香港株指数は全戻しする可能性が極めて高いだろう。

【香港ハンセン指数のチャート】
タイトルなし


もし補正予算が出てこなかった場合は年末に向かって中国経済は地獄になることはほぼ確定的で、どの時点で習近平が耐えきれなくなって補正予算を追加させるかが、市場を見極めるキーポイントになるだろう。
いや、実際は追加補正予算が出たとしてもどうせ少額なので、結局それだけでは景気回復できないほど構造的な問題が中国経済には山盛りなわけで、その辺の考え方は下記記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

中国不動産バブルの発生・崩壊した原因のおさらいと今後どのように後始末が行われるかの考察

これから中国が長いデフレに苦しむ理由

独裁国家の経済成長はなぜ止まるのか?

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ひたすら米国個人消費が弱いことを示した6月の統計

US inflation cools in May; consumer spending rises moderately

大分雰囲気だけで米債ショートしているプレイヤーが迷走している。

6月の相場も終わりということで、まだ米国株は高い水準に位置しているものの、一方で米国債金利については相当迷走した挙句、今積極的にトレードしている人達は大局観はあまり見れていなくて、目の前の指標や一部当局者の発言やセルサイドのよくわからないレポートや発言に振り回される形で迷走する形でトレードされている状態が散見され続けている。

特に意味不明だったのは6/26の何の米国重要指標発表がない中で金利が全年限で8bps近く上昇した局面である。
6/26については確かにカナダ・オーストラリアのCPIが多少上振れしたものの、米国では何の重要指標の発表もなかったわけだし、米国のCPIがカナダ・オーストラリアと連動するわけねーだろという中で、どうしても米債ショートしたいというプレイヤーがPCE発表前にショートして米債金利を上昇させていたように思われる。
これまで投機マネーで無理やり上げていた銅などの産業金属や農作物コモディティが下落している一方で、コモディティ関連では最後の上昇にかけられるものとして原油が若干上がっていたことも、米債金利をショートしたい人達を誘引した原因になったように思われる。

【米国債10年金利のチャート】
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しかし、その翌日発表されたGDP確報値では個人消費寄与が2%から1.5%に下方修正された上に、Initial Claimも再び23万人台で定着しつつあり、失業保険受給者もじりじり上昇し、さらに新築住宅販売に下振れしていたということで、小国ならともかくアメリカみたいな大国でこれでインフレ率上振れなんて可能性あるのかよというような状態であった。
そして、発表された月末のコアPCEは前年比が市場予想一致の2.6%、前月比も市場予想と一致の0.1%の上昇となったわけだが、その脇で個人支出の前月比が市場予想0.3%に対して0.2%ということで、あらためて個人消費の抑制が見られた。

以上6月の統計において、全ての個人消費関連統計が下振れたわけで、さらにコアPCEがこの個人支出に対して遅行性があることを考慮すれば、米金利低下が見込めるのではないかと思うが、月末+トランプ大統領爆誕懸念が合わさって米金利は上昇したりなど、未だ米金利はそれをもっぱらメインに投資している金法勢には不安の種となってしまっている。
7月も引き続き小売統計などを中心として、個人消費関連統計を中心に弱含む可能性は過剰貯蓄の消滅やクレカのリボ払い残高が伸びなくなってきたことを考慮すれば、利下げは比較的近いと考えることはそこまで難しい予想ではないと思う。
なので、金利がよくわからない場面で上昇した場合はひたすらそこは買い叩くことがまだワークしそうな状態が続きそうだ。

一方で、政策金利はもうFRBはインフレがーと言っちゃっている手前で、遅行指標で判断しますと実質宣言しているわけで、ビハインドすることは間違いなしなので、この統計結果をもって利下げで株高だと考えるのはやはりちょっと違うのではないかなと思うので、手元ポジションを維持しながら押し目が来れば追加できる資金がどれぐらい手元にあるかを計算して待っているというステージを個人的には続けている。

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日経平均は浮ついた買いしかないため、上がりづらい展開が続きそう

コールオプション売買活発 日経平均株価、急伸の背景に

本腰入っていない。

上記ニュース記事では水曜日の日経平均株価急伸の背景にはコールオプションの買いが非常に活況であったことが書かれている。
まあ実際にはこのコールオプション買いだけでなく、その前日に米国で半導体株が高騰した要因もあったりと複数の要因が重なったが、少なくともコールオプションの買いが活況であったことはデータとしてあるわけで、実際にそういう売買がなされたわけであるが、このニュースとデータを見るのと同時に、木曜日の日経平均の株価動向を見て、ちょっとこれは危ういなあと思ったので、まとめていきたい。

【日経平均の株価チャート】
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コールオプション買いというのは、この記事では何回も書いてきているが、オプションが提示している行使価格で株を買う権利であるわけで、これの買いというのは株が高くなることを期待して買うわけである。
しかし、一方で損失は最悪オプションを買う代金に限定される。
つまり、このコールオプション買いというのは、円安でもしかすると株価上値を狙えるかもしれないが、逆に行かれた時に大きな損失を被るのは怖いから、最悪のケースでも損失を限定させたいという本腰が入っていない浮ついた投資行動に近いように見えるわけである。

一方で現物と先物の買いは、先週データではあるものの海外勢は大幅売り越しとなっていて、どちらかというと先行き警戒度合いが強いという状態になっている。



日経平均が伸びなくなってきてから、早三ヵ月となっているわけで、そろそろ上値を狙えるのではないかとしびれを切らし始める人が出てくることはなんとなく想像できる。
一方で、グローバルな景気が欧米の利下げ後ろ倒しのせいでいよいよ翳りが見え始めているわけで、日本株もこれに影響を受けないわけがないという状態になっている。

そういったことを考慮すると、株価動向だけ見ると、水曜日ににわかに日経平均が高くなっていくかという期待感が出るような動きになったものの、この動きは長続きしないように思う。
やはり日経平均が上をめざすためには、一度下に押して上で捕まっている人達のポジションの損切と、それに向かって調子に乗った売り勢のショートが溜まるといったことが必要なように思う。
この辺のオプション売買に関する根本的な考察の仕方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

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米国政府の対中国関税引き上げ情勢を全く読めていないクリーンエネルギー各社

Renewables chief says Joe Biden’s China tariffs risk slowing green transition

ないものねだりしか言えないようじゃ、投資はできない。

上記フィナンシャルタイムズの記事は米国の大手電力会社であるネクステラエナジーのCEOが中国から輸入するものについて関税を引き上げることは、再生可能エネルギーのための機器輸入コストを引き上げることになるため、再生可能エネルギープロジェクトのコストが上昇してしまい、グリーントランジションのペースが遅くなると昨今の米国政府の対中国への厳しい動きについて文句を言っているという記事である。

この記事を読んだ時、個人的には非常にがっかりしたと思わざるを得なかった。
理由は単純でこれから起こることを何も読めていないことを吐露しているも同然だからである。

中国への関税はこれから高くなることはあっても、なくなることはもうあり得ない世界になっている。
なぜなら中国の製造業は大半が人命軽視的なコストカットによって製造している上に、税金投入で不当ダンピングを行っている上に、それによってシェアが高まれば平気で輸出先に対して輸出差し止めなどの恫喝によって自国の立ち位置を有利にしようとするということがはっきりわかってしまった。
そのようなものに対して先進国はNOを突き付けるということが政治的に決定されているわけで、さらに中国はロシアに加担しているわけで、今後偶発的に戦争が起こった場合でも中国に対抗できるような体制をG7は整える必要性がある。
そういう時勢が読めていれば、中国に依存しきったサプライチェーンなんてのはどう考えても事業計画が狂うことは明らかなのに、残念ながらこのネクステラエナジーのCEOは全然理解せず、このような頓珍漢発言をしているわけである。

実際に株価を見てみればそれは如実に表れているわけで、ニュース記事を見ても株価を見ても現実の情勢変化に対してついていけていないことは明らかである。

【ネクステラエナジーの株価チャート】
タイトルなし


ネクステラエナジー自体が米国の電力会社の中ではクリーンエネルギーの先頭にいる会社であるが、そういった会社がこのようなないものねだりしかできないというのを露呈させている時点で、残念ながらクリーンエネルギー関連企業の大半がこのような考えにしかおよんでいないことは明らかだろう。
企業経営というのはイレギュラーはつきものであり、常にプランBを用意していなければいけないわけだが、ネクステラエナジーやその他クリーンエネルギー企業のプランBは「米国政府に文句を垂れる」という何も状況が改善しない方法しかない持っていないという幻滅感だけが残ることとなった。

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中国の住宅不動産販売はなぜ回復しないのか?

http://www.cityhouse.cn/default/forsalerank.html
↑中国の地域別不動産価格動向が見れるサイト

算数的に買えないことは自明の理。

中国政府は一応口だけはなんとか住宅不動産販売を回復させようとあれやこれやと言っているが、実際は今年の住宅不動産販売数は相変わらず前年比-30~-40%と全く売れていないに等しい販売状況で、販売金額の前年割れもとうとう4年連続となっている。
では、なぜ色々中国政府が不動産販売支援をしているように見えながら、販売は回復しないのだろうかというのを今回はまとめていきたい。

そのヒントは記事上部にある中国の地域別不動産販売金額が載っているサイトである。
そこで、上海や北京などの一等地ではなく、やや微妙な地域の価格動向を見ていきたい。
例えば合肥の不動産価格を見てみよう。

【合肥の住宅不動産価格動向】
タイトルなし


上記で黄色い線が中古価格・青い線が新築価格・赤い線がその地域の平均月額賃料×12ヵ月×30年で計算された不動産価格である。
見ていただければわかるが、赤い線というのは上記計算式が意味することは、年利回りが3.333%を前提とした不動産価格である。
これに対して黄色の中古価格や青色の新築価格を見てもらえればわかるが、平気で2倍ぐらい高い。
つまり、年利回りはせいぜい1.6%~2%ぐらいしかないことがわかる。

これが日本のようにゼロ金利社会であるならばまあこれでもギリギリ正当化できる利回りであるが、 中国の住宅ローン金利は平気で4~5%あるわけで、3%近くの逆ザヤとなっている。
つまり、この逆ザヤを正当化するにはアメリカのようにインフレ社会で家賃や物件価格が上がり続けることが前提での取引である。
しかし、今の中国の経済情勢はどうだろうか?
インフレ率はほぼデフレであり、物件在庫が大量に余ってしまっており、皆在庫処分に困っている状況だ。
そう考えると3%近くの逆ザヤが正当化できるわけはないのである。

ここで不思議なのは、なぜ逆ザヤ・在庫過多なのに新築価格・中古価格が未だにこのような高止まりをしているかということである。
実はこれは前から言われているが、中国政府が不動産販売価格を下げすぎないようにするなという指導が入っているものであるわけで、つまり現在の販売価格は全くマーケット価格ではないのである。

【参考ニュース】
中国、大都市も不動産値下げ制限 地方財政悪化に危機感

よって、結局は賃貸利回りが2%以下しかない上に、デフレで住宅不動産在庫が市場にあふれるほど出回っている状態で、住宅ローン金利4~5%を払って買う馬鹿はどこにいるのか?という素直な問いに戻ってしまうわけであり、これが結局は中国の住宅不動産販売が一向に回復しない原因である。
中国住宅不動産販売が回復しなければ景気回復があり得ないのは市場のコンセンサスであり、そう考えれば一時中国本土株・香港株が上昇したのは砂上の楼閣であることはすぐにわかる話である。
根本的に中国不動産が底打ちをするようになるには、下記過去記事に書いたような対策が出てくるまでは期待できず、それまでは中国株投資はやはり御法度なのである。

【過去参考記事】
中国不動産バブルの発生・崩壊した原因のおさらいと今後どのように後始末が行われるかの考察


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