村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年05月

高すぎる期待が外れた決算シーズンであったことを示すNYダウ

NYダウ続落で始まる 大幅安のセールスフォースが重荷

やはりFRBが利下げを明確化させないと株価は厳しそうだ。

エヌビディアが5/22に決算発表をしたことにより、4月第二週付近から始まった決算シーズンが終了したわけであるが、ここでNYダウの株価を見ていただきたい。

【NYダウの株価チャート】
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こう見ると一度決算シーズン前の不安感から下がって、その後決算が出ていく中で一応反発上昇していたのだが、エヌビディアの決算が5/22に出た後は一気に5営業日連続で売られる形になり、これはもはや下抜けする方向ではないかという雰囲気させ漂っている。
もちろんNYダウはたったの30銘柄で構成されている上に、マグニフィセント7のうちアップル・アマゾン・マイクロソフトの3銘柄しか入っていないし、半導体関連が少ないとかの要因があり、S&P500やナスダックと乖離が大きくなっているが、それでもいわゆる米国で鉄板的な大型銘柄が構成銘柄であり、これが決算シーズン跨いで元気がないことはかなり由々しき事態だと思われる。
一応決算自体は大滑りした企業は少なく、市場予想自体は超えている企業は多いわけだが、それでもこの株価動向ということは実際に株取引している人の期待はもっと高いところにあった上に、そもそもここまでコール買いでてきとーにワンチャン狙って買いあがってきた人ばかりで後続の買いが続いていないことを示しているのだと思う。

こういったことを見ると、もはや企業決算では株価はごく一部の銘柄を除くと株価を上に持っていくパワーがないことがわかると思う。
そうなると、株価が上昇するにはやはりFRBのピボットが必要になることはほぼ明白だろうと思う。
実際に去年11月から株価が大きく切り返したのはFRBピボットからだったわけで、利下げ姿勢が明白になる必要性があるように思う。
そしてFRBは一度インフレ予想を外してデータディペンデントに徹する姿勢になってしまっていることから、本格的に利下げするタイミングもほぼ間違いなくビハインドすることが予想される。
つまり、市場参加者が「もうこのデータ見えたら利下げするしかないやろ!」って大声が出るまで相場はグズる可能性が高いのではという予想が浮かんでくるのである。

そうなると、個人的に一つ浮かび上がる内容として、米国国債が逆イールドの間ではもはや株価は上がらないのではないかという疑念である。
2022年以降の相場では逆イールドになったら株価暴落だあああ!と多くの人が叫んでいる中で株価がボトムを売って多くのショーターや悲観論者がこん棒で順番にぶん殴られてここまで来てしまっていたが、本来的には逆イールドは将来の利下げを織り込んでいて景気後退を示す予兆であったはずだ。

【過去参考記事】
国債イールドカーブ変化が株価・実経済に与える影響(Pythonで米国のイールドカーブ動向が見れるコード付き)

以上を考えると、いよいよ逆イールド下での株価上昇に限界が見えたので、実際に利下げを開始してもう間もなく順イールドになるよね・FRBは景気支援モードだよねというのが見えない限りは株価に期待すべきではないし、逆に皆が恐怖を覚えて株をぶん投げたところを拾う準備をして待ち構えるべき時だろうと考えている。

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三菱UFJ市場本部長のコメントから考える日本国債金利

金利上昇で「国債保有の復元検討」 三菱UFJ市場本部長

10年1%というところがやはり目線のほうに思うがはたして?

日本国債の金利がじりじりと上昇している状況であるが、日本国債については長年日銀の買い入れがメインで動かしていたところから、徐々に市場へその主導権を移そうとしているが、金融政策の正常化もあわせてどこらへんが長期金利の落ち着きどころなのかというのがやや見えづらくなっている。

さらに日本国債市場というのは「ムラ」と呼ばれるほど特殊で閉鎖的な世界というのもXの金融プロ界隈では有名な話である。
「ムラ」と呼ばれるぐらいであり、その独特なお作法などがあり、過去には日銀の意向を無視して日銀の供給補完策を悪用した外国人のショートが、その後日銀が日銀文学を駆使して警告したにもかかわらず無視したことから、日銀が怒りの強制バイインをしかけたせいで焼き尽くされたことは記憶に新しい。

さてそんな独特なお作法がある「JGBムラ」の人達がどう動くかは、同じように「ムラ」に所属する人達の声を聴くしかないわけである。
そこで、今回は「ムラ」の人々から信頼を寄せられている、MUFG市場本部の関氏のインタビュー記事があるので、これを読んでいくつか先々について考えたいところである。
MUFG市場本部の役員なんていうのはまさにJGBムラのドンみたいな位置づけの人であり、以前にはマイナス金利解除タイミングなども言い当てるなど、その言動には注目されている。

MUFGはポジションとしては円金利スワップ取引ベースで10年1.2%からデュレーション長期化に取り組んでいきたいとしており、現在OIS1.1%・保有日本国債平均デュレーション1年という水準であることを考えると、このタイミングでインタビューを受けたことも考えるとそろそろデュレーションを伸ばしたいと考え始めているように見える。
そのヒントとして関氏が言及している中立金利のレンジを確認したい。
中立金利については関氏は1%~2.5%あたりではないかと言及しているか非常にレンジが広い。
その上、この上限の2.5%という数値はなんなのかと考えるとFRBが言及している米国の中立金利である。
普通に考えるとクレジットカードを全力で使って借金上等生活をして消費している米国人ほど需要が高いなんてことはあり得ないわけで、それを鑑みて中立金利の上限2.5%という言い方をしているのだと思う。
あるいはこれは銀行のポジションにはほとんど関係ないが、もしかすると30年金利2.5%より上はさすがにないのではといった話なのかもしれない。
(30年ゾーンは一般的に生保が担当するゾーンなので)
そして下限の1%という数値は現在10年金利が1%になっているし、OIS1.2%でポジションを組んで満期まで持ち込むのであれば、政策金利1%というのが一番着地どころとして落ち着いて欲しいと思うところだろう。

去年の3月に同様に三井住友銀行の市場本部の人のコメントでも10年1%というのが一つの目安的な見方となっていたことを考えると、そこにプラスアルファで金利が取れればやりやすいという考え方がなんとなくにじんでいるような話なように思える。

【JGB10年金利のチャート】
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無能デイリー総裁は判断を2度間違えるか?

米利下げ急ぐ必要ない、景気・労働市場堅調で=SF連銀総裁

もしかして状況見えていないのでは?

米国の景気については色々見ていると、雇用については低賃金層のところの需要が強い中で比較的高賃金属性のところが弱く推移しているというのが概ねコンセンサスになってきている。
そういった意味で、州毎の失業率なども見ていると中央部州の失業率が非常に低い状態のままである一方で、沿岸部州はじわじわと失業率が上昇してきている。
その中でも特に一際悪いのがカリフォルニア州で、カリフォルニアの失業率は既に5.3%という水準になっている。

【カリフォルニア州の失業率推移】
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水準的には既に2016年代ぐらいまで悪化しており、この水準は少なくともタイトとは言えない水準になっているのである。
カリフォルニア州だけを見ると、これを管轄している地区連銀はいくらか利下げに言及してもいいぐらい景況感は悪化していると言及しても良いように思う。
このカリフォルニア州の失業率上昇は、あまりにも最低賃金が高すぎて普通の業態だとこんなところで人雇ってもまともに利益をあげられないということと、AI活用によるIT企業の雇用意欲減退というダブルパンチで生じていると言われている。
なので、普通に考えると利下げ議論について最初に話が出てくるとすれば、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁から口火が切られる必要性がある。

しかし、ここで一つの懸念が生まれる。
それはデイリー総裁の能力である。
デイリー総裁下のサンフランシスコ連銀については非常に能力が低いと現在見られている。
その原因は2023年3月のSVB銀行の破綻である。
SVBについては当ブログでも何回か取り上げたが、いわゆるALMミスマッチで短期預金を超長期MBSに突っ込んだ挙句、金利上昇で爆死した銀行であるわけだが、こんなのはちょろっとSVBのバランスシート見ればすぐ気づくだろと関係者から総ツッコミされる案件であった。
どれだけ当時非難されたかは下記参考ニュースを読んでもらいたい。

【参考ニュース】
SVBの問題見落とし、戦犯はSF連銀の幸福追求とFRBの官僚主義

直接的にSVBの問題見落としはデイリー総裁のクソみたいな組織運営であったと言及されており、デイリー総裁は次期続投は無理だと言われている。
SVBぐらい簡単なバランスシート問題を見落とすぐらいなのだから、カリフォルニアで生じている雇用の需給悪化についてもしかして見落としているのではないかとも考えられるわけである。
少なくとも真面目にカリフォルニア州の失業率を見ていたら、利下げを急ぐ必要は全くないみたいな記事一番上のニュース記事のようなタカ派っぽい発言にはならないのではないかと思う。
デイリー総裁こそややハト派に傾くべきなのだが、なんとなくだが何も見えていないとすると、他の連銀発言に非常に引っ張られてしまっているのではないかと危惧する。

例えばミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が非常にタカ派なのは、管轄しているミネソタ州の失業率が2%台と非常に労働需給がひっ迫していることに起因しているものであり、そうした地区連銀のFRB理事メンバーがそういう発言をするのはまあしゃあないよねという話なのである。

なので、どの段階でデイリー総裁が再び判断を間違えたのかと燃え上がるのかは個人的には一度見ておきたい事象だと思うし、そういう批判が生じた時は相場も変動しているだろうと思う。

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プライベートクレジットバブルとAIバブルの意外な関係

<米国株情報>ブラックストーンら投資家グループ、GPUクラウド大手コアウィーブに1兆円超を融資

最終的に一蓮托生になりそうな予感。

これまで当ブログでは過去にこれから来るバブルについて書いたことがあったが、この中にプライベートクレジットバブルとAIバブルの2つを挙げていた。

【過去参考記事】

現在起こり得るバブルをおさらい


しかし、どうやら上記ニュース記事を見る限り、これはバラバラにバブルになると見るべきではないと感じつつあるので、これについてまとめていきたい。

上記ニュース記事はGPUクラウド大手のコアウィーブという会社に対してプライベートクレジットを提供しているファンド勢が融資したという話である。
なんかよくわからない社名がいっぱい出ているので、順繰りに詳しく書いていきたい。
このコアウィーブというのは元々イーサリアムのマイニング会社であったが、仮想通貨市場が低調になったところでマイニング事業を諦めたわけであるが、その過程の中でGPUの活用について活路を見出したわけである。
そしてどういうわけかわからないが、なんとスポンサーにエヌビディアがおり、優先的にGPUの取得権利を持っているということである。
当ブログ読者ならご存じの通り、GPUは未だ分捕り合いみたいな状態であり、GPUを持っていること自体に価値があったりするわけである。
そうした中で、このGPUの担保価値に目を付けたブラックストーンをはじめとしたプライベートクレジットのプレイヤーが巨額の融資をしているというわけである。
コアウィーブが順調に事業を拡大できれば、それが返済原資になってよしだし、仮に失敗したとしても保有しているGPUを売れば回収できるやろという目論見で金を貸しているわけである。

この2つのセットはまさにバブルのダブルトッピングである。
AIバブルに賭ける形でプライベートクレジットプレイヤーが資金を供給しているという構図であり、今まで考えていた2つのバブルが1つに悪魔合体したわけであり、これがバブルにならないわけがないというのが今確定したと思う。

もちろんプライベートクレジット側は他にも様々な業種に分散融資をするはずなので、AIバブルがはじけてもプライベートクレジットバブルははじけない可能性があるが、逆にプライベートクレジットバブルがはじけると資金調達できなくなったスタートアップが半導体を買えなくなるためにAIバブルもはじけることになる。

なので、我々投資家はAI側とプライベートクレジット側は一蓮托生であることを前提として、両者のどちらかで変なことが起きていないかを随時観察していけば、どの時点でこのバブルから足を洗うべきかというのを認知することができるはずなので、ここはしっかりモニタリングをしていきたいところである。

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人間・現実を無視した経済・金融政策議論は限りなく暴論だと思う

【年内1ドル=170円も。高まる通貨危機リスク】急激な円安の理由
↑Youtubeの動画に飛びます

人間を無視した経済政策・金融政策議論は無意味。

上記PivotのYoutubeの動画では、よく為替でメディアインタビューに出てくる元JPMの佐々木氏のインタビュー記事であるが、聞いていて非常に不快感極まりないと感じた。

内容としては昨今の円安についての話であるが、円安を止めるには日銀の利上げがすぐ必要だと主張する内容である。
1%~1.5%にまで利上げすればとりあえずは円高誘導できるという発言に加えて、極端なシナリオでは3%まで利上げがあり得る・円が大幅に売られるのでそのシナリオの蓋然性は高いというような発言をしていた。
さらに穏やかな利上げでは円が1ドル250円になるという極論まで発言している。
しかも、こういうシナリオを持っておきながら株については上がるとかいう意味不明な発言もしている。
まあ元JPMで長年勤めてきたから自分はお金をたくさん持っていて日銀が利上げしようがしまいが別に自分の財布には影響ないから、こういう現実から乖離した発言を何の熟慮もなしに言えるのだと感じたので、今日はこのことについてまとめていきたい。

金融政策・経済政策を考える上では様々な人間がおり、アクションを起こす際のインパクトを多角的に捉える必要性がある。
しかもそれは統計的な話だけでなく、そうしたアクションが人々に対してどのような感情を持たせるのかという数字では見えない部分を考慮する必要性がある。
よく「景気は気から」と言われるが、これは冗談ではなくまさしくそうだと個人的には思っており、なぜそう思うかは下記記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
株価は上昇しているのに景気の改善を実感できないのはなぜなのか?

人間の気持ちに配慮した経済政策・金融政策が必須となっている世の中で、ちょっと為替が円安方向に傾いたからといって利上げを主張する人は前時代の頭しか持っていないとしか思えないし、非常に視野が狭いと言わざるを得ない。
特にこの日銀がさっさと利上げすればいいと言っているのは、繰り返しこのブログ記事では言及している変動金利でお金を借りていて、雇用の65%を担っている中小企業のことを完全に無視した経済・金融政策議論であり、このような暴論を素人ならともかく長年金融市場を見てきたプロが発言することからも、自称プロの多くはこのような傲慢・勘違いを平然と行うのだなと感じた。
こうした人間を無視した経済政策・金融政策議論というのは産業革命以降、何回も先進国の中央銀行が同じようにミスをし続けてきたわけだが、リーマンショックを越えてようやく先進各国の中央銀行が会得してきたものであり、これが中央銀行のフォワードガイダンスなどにつながっているわけである。
日銀の植田総裁も2000年の時に量的金融緩和の継続についての主張や昨今の金融政策決定会合にて地方経済のヒアリングもしっかり重視していることを明言していることからも、その重要性は高いことがわかる。

一方で、まだこういう極端な難しい局面に直面したことのない中国では人間を無視した金融政策が続いている。
不動産バブルが崩壊して、米国との対立で仕事が減りつつあるにもかかわらず、共産党に歯向かう力を持ちそうな大手ITを力で押さえつけて、既に崩壊した不動産バブルの再燃を懸念して金融緩和を躊躇し、借金で破綻しそうな地方政府を自己責任として切り捨てるという一世代前の先進国中央銀行の過ちを犯しており、これまで日本のバブル崩壊を学んできたとあれだけ主張してきたのは一体なんだったのかという話になっており、人間を無視した経済・金融政策議論が如何に有害であるかがわかると思う。

なので、こうした金融機関のエコノミストの予想というのは、その多くが自分は高給もらいなので現実を完全に無視して、今の統計の線形延長線上だけの話ですべてを理解した気になって世の中のことを分かった気でいる勘違い経済・金融政策議論は耳を貸すだけ無駄だし、肝心な投資判断さえ間違えかねないとまとめておきたい。
上記Youtubeの動画コメントを見ても、これに釣られて多くの素人が判断を間違った方向に誘導されていることも見ていただきたいところだ。

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