村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年02月

中国不動産大手のバンケ(万科)の信用懸念が再度台頭

中國頭部房企萬科境內外股債走低 公司據報導就非標債務展期進行協商

中国の不動産デベロッパーデフォルトは民営から地方政府傘下企業へ移行。

これまで中国の不動産バブル崩壊に関する記事を当ブログでは書いてきたが、ここもとは中国政府の支援期待があるし、新たな不動産企業のデフォルトもあまりないということで小康状態のように見えていた。
しかし、上記記事は中国語なので英語や日本語に訳して読んでもらいたいのだが、上記ニュース記事の通り、地方政府傘下の大手不動産デベロッパーであるバンケがノンスタンダード債(おそらくはクロスデフォルト条項がない債券)について満期延長の交渉を国内保険会社と交渉していたことがReorgというリサーチ会社によって暴かれた。

バンケについては、シンセン省傘下の地方政府系不動産会社で少なくとも民営よりは資金繰りサポートが期待できるものの、地方政府の財政自体が土地売却に依存していたこともあり穴が開いてしまっており、サポートできないのではないかという疑念がもたれていた。
それに対してバンケとシンセン地方政府は慌てて債権者を集めて、地方政府が万全サポートします!と高らかに宣言してなんとか信用不安を押しとどめようと努力をし、一旦はドル建て債券の価格下落も止まっていた。

【参考ニュース】
中国不動産の万科、筆頭株主が2100億円超を支援へ

しかし、実際は一部債権者には債券の満期延長交渉をしていたわけである。
つまり、どうやらシンセン政府からの支援はやはりのぞめないのではないかという疑念が再度頭をもたげたわけで、再びドル債の価格が下落しており、このままだと債務不履行は避けられない可能性が高い。

【参考ページ】
タイトルなし

https://www.boerse-frankfurt.de/bond/xs1713193586-vanke-real-estate-hong-kong-co-ltd-3-975-17-27

ここでバンケが債務不履行を起こすと、さらに中国不動産バブル崩壊には悪材料が加わることになる。
これまでは民営の不動産デベロッパーのデフォルトが主役であり、エバーグランデのように潰れて当然というところばかりであった。
しかし、地方政府傘下の不動産デベロッパーまでデフォルトするとなると、もはや信用できる不動産デベロッパーは中央政府組織直下の不動産デベロッパー(チャイナオーバーシーズランドなど)に限定されるため、市場には2~3社程度しか残らないことになる。

そうなると、もはや未完成の物件を処理してくれる会社も土地在庫を引き取ってくれる会社も残らないわけで、現在市場に滞留している土地・不動産在庫は買い手不足で値がつかないことになる。
この辺の考え方は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
住宅不動産価格の先行きを予想するために知っておくべき不動産需給サイクルとは?

そうなれば、不動産会社の借金は返済不能に陥り、銀行やシャドーバンク経由の融資は全て不良債権になるわけである。
これまで中国株は国家隊の介入・売り禁・金融緩和期待でなんとかつなぎとめてきたが、2022年10月の習近平永久皇帝爆誕からのもしかすると政権安定して景気支援策出るのではな期待で戻った反発相場より明らかに戻りは悪く、このバンケの債務不履行懸念が本格化すれば、かすかに残った期待でさえ剥げ落ちそうな自体になるのではないかと思う。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

夢見るバイオ株が上がるぐらい相場は温まってきた

Viking Therapeutics Stock More Than Doubles on Weight-Loss Drug Trial Results

苦手な相場の一つ。

ここもと年初から上がり続けていた大型株については、特に米国株ではバリュエーションの高さや煮詰まり方もあいまって、調整しそうでしない・上がりそうで上がらないという状態が続いている。
そういうことで、大型の真っ当な株が煮詰まってきていてみんなが投資ネタを血眼になって探している中で、PERとかPBRとかそういう普通の材料は全く無視して買えるものはないか・いわゆる仕手株探しみたいな形になっていて、そこでとりあえずファンダメンタルズよくないけど中小型株買いみたいな動きが見え始めている。

さらにその中でも夢を語ることで実績はないけど無理やり株価の上昇を正当化できるバイオ株の上昇が顕著であり、バイオ株ETFであるXBIが上昇している。

【XBIの株価チャート】
タイトルなし


一応上昇要因として組み込まれているバイキングセラーピュティクスが肥満治療薬の治験で良い結果を出したとして、第二のノボノルディスクかみたいなネタでバーッと上昇している。
(でも治験人数176人なので、道のりはまだまだ長い・・・)

【バイキングセラーピュティクスの株価チャート】
タイトルなし


最終的にはこういう夢で株価ネタは中長期的にはやっぱり事業として採算とれねえじゃねえかと見切られて暴落するのだが、金余りで相場が熱狂している時は予想外にずんずん上昇していくものである。
特に夢が見れるバイオ株というのはその典型例であることは過去に記事にした。

【過去参考記事】

市場の熱狂度のバロメーターであるバイオ株は散々たる状態


この時こそファンダメンタルズガン無視のテクニカルと需給だけで成り立つ相場になるわけで、この時こそテクニカルチャーチストの出番だろうと思う。
またこういう時は一発逆転狙いの個人投資家が沸き立つ時でもある。

当方は残念ながらこの辺のファンダメンタルズはクソだけど金余りと需給だけでばーっと上がるクソ中小型株相場というのは苦手なものの一つであるため、こういう相場を捉えたい時はこれまでとは違った相場の見方をする必要性がある。
この辺は金余りで上がってるので、短期で入って短期で抜けるぐらいの超割り切りで、少なくとも本当にファンダメンタルズが良くて長期で持てるという勘違いはしてはいけないと思う。

ただ、相場全体として2022~2023年はこうしたクソ株には一切チャンスがないぐらい相場としては弱かったのが、こういう夢見れる銘柄も時々上昇するというのはそれだけ相場が温まってきていることを意味しており、ナスダック100でいうと17000・S&P500でいうと4800以下で株価は暴落するとかいって買えなかった人間は二度とその水準で買うことはできなくなったわけで全負け確定となっており、そういう意味で相場の強さを確認する上では収穫のある相場の動きと言えるだろう。
少なくとも下記のような現象が起きていないことを考えれば相場が熱狂の渦にあるという考え方は違うんではないかなあと思う。

【過去参考記事】
熱狂的バブル相場の天井を捉えるために見るべきモラルハザード・不正行為とは?

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

TMFの投資家にありがちな算数計算間違い



残念ながらそうはならない。

TMFについてはご存じの通り米国超長期債の値動きに対して3倍連動するETFである。
具体的にはTMFの運用元であるディレクションのデータを見に行くと、TLTを3倍保有するように調整がかけられており、TLTの構成銘柄が残存20~30年の米国債で構築されている。
米国の利下げが見えている中で、TMFへの投資については一部で人気的なところがある。

【出所元】
https://www.direxion.com/product/daily-20-year-treasury-bull-bear-3x-etfs

しかし、いろんな人の投稿を見ると、金利が低下した時にTMFがいくらになるかという計算が全くできていない人が多いのが目に付く。
例えば上記のつぶやきでは、政策金利が3%になればTMFは価格が100になることを期待しているわけだが、残念ながらここから政策金利が3%になっても、おそらくだがTMFは100ドルにはならない。
具体的な計算方法について考えてみたい。

TLTの構成銘柄を見ていくと、概ね保有している米国債のデュレーションは14~19年で構成されているので、ざっくりと平均デュレーションは17年ぐらいと見積もるのでよいだろう。
(本当は加重平均する必要性あるがめんどいので、各自でやってください。)

【出所元】
https://www.ishares.com/us/products/239454/ishares-20-year-treasury-bond-etf

政策金利が3%になるということは、今の投資環境を考えるとどう甘めに見積もっても、米国20~30年債の金利の居所は3%になるだろう。
今米国30年債の金利は4.371%であるから、金利としては4.371-3=1.371%の低下となる。
1.371%の金利低下によるTLTの価格上昇は1.371×17=23.3%となる。
TMFだとこれが3倍になるので23.3%×3=70%となる。
この時点でもう聡明な読者であれば気づくであろう。
現在のTMFの価格が53なので、53*1.7=90となるため、100に届かないのである。

なぜ同じ過去と同じ金利水準の時よりTMFの価格が下になってしまうかというと、これまでの強烈な金利上昇によって、TMFの元本が大きく削られたことにあり、単に金利水準の比較だけでは到達可能な価格水準は推察できないことにある。
過去に30年金利が3%の時にTMFの価格が100であった時に、そこから一度5%までのかち上げを食らったので、-60%という強烈なマイナスリターンを出してしまったために、元本が40しか残っていない。
過去にレバレッジ型ETFは内部で相場が上昇している時はポジションの積み増し・下落している時は自動損切りのメカニズムを内包していることは説明済みであるが、ここまでの強烈な下落で元本が自動損切りされてきているので、残念ながら3%では価格が100に戻らないのである。

【TMFのチャート】
タイトルなし


【過去参考記事】

SOXL・SOXS両方保有のようなブルベアETFの両建ては禁忌中の禁忌

また過去と比べてTMFが上昇しづらい要因として実質金利収入の少なさがある。
現在TMFは得られる国債金利が逆ザヤぎりぎりということにある。
TLTの保有国債の金利は現在およそ4.4%である。
なのでTMFはこれの実質3倍エクスポージャーを持っているため、4.4×3=13.2%の金利を得ている。
一方で、レバレッジをかけるのは無料ではなく、米国では苛烈な金融引き締めによって大きな金利コストを払う必要性がある。
一般的に短期金利の指標として代表的な米国3ヵ月LIBORの数値を見ると5.6%あるため、TMFでは5.6×2=11.2%のレバレッジをかけるための金利コストを払っている。
そのためTMFは13.2-11.2 = 2%の実質利回りしか得られていない。
さらに信託報酬が0.9%なので、実質利回り1.1%とほとんどないに等しい。
なので、長期で保有することによる本来の債券の金利収入メリットというのが皆無であることにも注意が必要だ。

株のレバレッジETFでは「こまけえこたぁいいんだよ!」というテンションで売買しても、その後の株価の信じられない上昇で報われるということはあるが、金利の世界というのはシビアな算数で計算されるものであり、算数を間違えた時点で期待できるリターンは得られない世界なので、そこのところは注意してもらいたい。 
(少なくとも中学受験の算数ぐらいできるぐらいでないと普通に計算間違えるように思う)

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

日本の実質GDPマイナスで外国人のJGBショート戦略が実質終焉

日本、予想外の景気後退入り GDPが2期連続マイナス

逆に相場落ち着きに貢献しそう。

上記はそこそこ前の話になるが、2月15日に発表された日本の実質GDP成長率がマイナスという話である。
これは普通の人が見ると、これで株価が上がるのはおかしいという話になってしまうが、個人的には逆にこれまで調子こいて日銀を崩そうと日本国債(JGB)ショートを続けていた外国人の戦略は完全に破綻し、市場の主導権を日銀が完全にグリップしたことを意味すると感じ、日本国債市場で市場の安定感が戻ってきたなと感じた次第だが、これについてまとめていきたい。

2022年後半から2023年中旬まではずっと欧米各国がインフレ対応最優先で従来では考えられないペースで利上げを行ってきて、国債ショートをしてきたヘッジファンドに多額の利益をもたらせていたが、同様にJGBショートで利益をあげようと狙った外国人が日銀アタックを続けていたのは記憶に新しい。
実際に日本のインフレ率も久々に高水準になったところでYCCアタックをかけまくったのは記憶にあたらしい。
そうした表層的な数値しか見ない外国人投資家から見た時に、この実質GDPマイナスというニュースは、これまで必死にJGBショートかましてYCCブリーチングを狙っていた戦略を再考せざるを得ないものとなるだろう。
普通に考えれば実質GDPがマイナスで、CPIについても徐々に日銀見通しレベルに低下しつつある中で、欧米のようなインフレ対応最優先の金融政策をする必要性があるのかと(今さら)気づくのである。
いや、正確に言うと、このニュースを見た時にこれまでのJGBショート戦略をしそうな人が減ることを考慮すると、明らかに分が悪い戦略となってしまった。
このことから、外国人によるJGBショートは2023年初めのような勢いはもう完全になくなったと言えるだろう。

そうなると、JGB10年の金利水準は非常に読みやすい動きをすることになるだろう。
具体的なレンジでいうと下限は0.5%で、上限は1%手前だ。
もっと細かくいうと、少なくともFRBが再度利上げに移行する時期にならなければ0.9%程度が上限だろう。
そして市場参加者は0.5~0.9%のド真ん中である0.7%に居座っている状態で、1月後半以降一切この水準から動いていない。

【JGB10年金利のチャート】
タイトルなし


これまでは非常に不透明な市場動向であったが、ここにきて非常にわかりやすい相場になったし、ボラティリティも非常に穏やかなのである上に、順イールドで市場参加者も順当に利益を挙げやすい状態であることから、JGBショートしている奴以外は全員ハッピーみたいな市場環境になっている。

10年債金利のフェアな水準が0.7%ということは、政策金利的に現在の経済環境を前提とするとせいぜいマイナス金利解除後に2回25bpsの利上げがあるかないかという話である。
そうなれば、企業も財務戦略を練りやすいし、個人も住宅ローンを組む際に過度に慎重になる必要性もなく、適度なインフレと融資拡大による景気好循環を日銀は応援しやすい地合いが継続するということである。

また、日銀の金融緩和継続が見通しやすくなったということで、これまで日銀も過度な金融引き締めに迫られるのではないかと怯えていた米国債や欧州債も金利は2/15の数値を基準としてそこまで上にはいかんやろということもなんとなく想像しやすい地合いになってきていると思われる。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

JREITはセリングクライマックスを越えたか

東証REIT指数が3年ぶり安値、日銀利上げに警戒感

まだ売りが続くかもしれないけど、ここより下は底値買いプレイヤーが出現することを期待。

株価が上昇する一方で不調続きが目立つのがJREITであり、その不調具合は下記チャートを見てもわかる次第である。

【東証REIT指数のチャート】
タイトルなし


このJREITの売りの犯人はわかっている。
まず間違いなく地銀である。
なぜ地銀はJREITを売却する必要性があるのか?
理由はいくつかあるが、最も大きな理由は米国債金利が前年度末(2023年3月末)と比べて高い位置にあることだと思う。

【米国5年債金利のチャート】
タイトルなし

金利が高いということは外債投資が損失になっているわけで、この損失はこのままだと決算に反映させなければいけない。
そうなると決算末に他に利益が出ている資産を売却と合わせて損切りすることによって帳尻を合わせなければいけない。
そして地銀のポジションは大体多い順にいうと円債>外債>JREIT>株となるわけだが、リスクウェイトの観点から考えると株を大量に持っているということはまずない。
円債はきちんと順イールドになっているので、一応満期まで持てばきちんと利益が出るはずなのでここでは売りたくない。
そうなるとJREITを売却するという結論になるわけで、全員が同じような結論になっているがために2月真ん中の週あたりからJREIT売りが多くなっていると推察される。

しかし、JREIT自体のファンダメンタルズはさほど変化していない。
別に物件価格が激しく下落しているわけでもないし、賃料収入もきちんと得られている。
そのために、単純に投資口価格だけ下落しているために、NAV0.9倍割れ・配当利回り4.75%という久方ぶりな数値になってきている。

【NAV倍率推移】
https://j-reit.jp/market/08.html

個人的には一つの投資判断基準にしている下記過去参考記事のような見方でも狙えるのではないかという水準になってきた。

【過去参考記事】
どのようにして株式相場で投げ売りされていると判断すべきか注目すべき3つのポイント

日経新聞でもJREITの不調が報じられてきていることから、誰が見てもJREITに投資需給が悪いことは明らかであるが、売っている犯人がわかっていて、売っている理由もわかっているので、あとは誰が底値をがばっと拾いにいくかを観察するだけであった。

そこでここもとはずっと東証REIT指数に連動するETFである1343の5分足を見ながら、出来高が連発して地銀が同時に損切りに追い込まれている状況+それをがばっと拾いに行くプレーヤーの出現が見れるのを待っていた。
それが出現したと思われるのが2/22の木曜日の動きで見れたのではないかと下記出来高推移と見ていて感じたので、ここでポジションをいくらか拾ってみた。

【1343の5分足チャート】
タイトルなし

もちろんこの判断は間違いかもしれないが、少なくともここから下の値段は配当利回り5%という水準があるわけで、積極的に底値買いしようとするプレイヤーが続出してくれる可能性は高いと思うわけで、それを背にして戦うことは十分可能だと個人的には判断している。
外国人投資家からすればドルスワップすれば配当利回り5%+為替ヘッジプレミアム5%=10%の利回りが完成するわけで、これは外国人投資家も食指が働くのではないかと期待したい。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信