村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年09月

世界経済の底堅さは米レバレッジドローンにあり

米レバレッジドローンの需要が堅調、世界経済の底堅さが追い風

因果関係が逆。

上記ブルームバーグニュースでは、米国レバレッジドローンの需要について、世界経済の底堅さを受けて堅調に推移していると言及されている。
レバレッジドローンとは、いわゆる担保付の変動金利貸出で、変動金利+300~500bpsなどの比較的高金利で融資しているものが流動化しているものと認識してもらえればよい。
この堅調さはレバレッジドローンETFであるBKLNの下記チャートを見てもらえればわかると思う。
(分配落ち後かつ分配金利回りが9%なので、横ばいであれば概ね堅調と見做せる)

【BKLNのチャート】
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しかし、当ブログの読者であれば既にお気づきの話ではないかと思うが、このレバレッジドローンについてはそもそも主要プレーヤーがSVBが破綻して1~2ヵ月後ぐらいに派手に始めたビジネスであった。
それはSVBの破綻から始まった米国地銀の資産バーゲンセールスと融資絞り込みによって、本来普通にリファイナンスできれば潰れないような企業でさえ金融機関からの融資が断られたために宙に浮いてしまった資産と融資について、プレイべークレジットプレーヤーが絶好の投資機会としてあらゆるところから資金をかき集めて、現在世界中で絶賛営業中なのである。

【過去参考記事】

巨人ブラックロックが動き、プライベートクレジットバブルに火がつく

SVB破綻して1~2ヵ月のところなんて、市場参加者の大半が米国利上げが進む中でいよいよ金融メルトダウンかと言ったところで、プライベートクレジットプレーヤーと金主はド根性決めて投資を決め込んでいるのである。
そして、ここから発生した融資資金が米国の金融機関の融資態度厳格化の穴を埋める形で資金需要を満たしているのである。

なので、上記ブルームバーグ記事では米レバレッジドローンは世界経済の底堅さによって需要が堅調という風に読めるが、実態は世界経済の底堅さはレバレッジドローンの需要から生まれているのである。
なので因果関係が逆であり、金融が主・経済が従の関係なのである。
そもそも世界経済崩落で金融メルトダウンが本当に近いのであれば、SVB破綻で一番やばい時に資金なんて突っ込まないわけで、今高利回りローン関連に金を突っ込んでいるプレーヤーはそんなこと考えていないわけである。
さらに投資しているプレーヤーも生保やSWFなどの資金の足が長いプレーヤーであり、ちょっと市場が動揺したところですぐに資金を抜くタイプのプレーヤーでもない。
そういった意味で、このレバレッジドローン参加者は多少世界経済が揺らごうがしったこっちゃないという態度である。
なので、このニュースを見た時に、ツイッターではいくつかのアカウントがここが崩れると危ないというつぶやきをしているが、因果関係が逆であるわけで、現状レバレッジドローンが崩れて世界経済が危なくなると考えるのはちょっと違うよなあと思う。
 
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ロレックス中古価格を見る限り、ブランド株の底打ちはまだ遠い

消えた時価総額は250億ドル余り、欧州高級ブランド株が総崩れ

ロレックスの中古価格推移見てると、思ったよりブランド株の底は深いかもしれない。

ここもと最強だと思われていたブランド株の調子が非常によろしくない。
ブランド株の筆頭格であるLVMHの株価および決算を見ると、米国が異常に雰囲気が悪いことと、おそらくだが中国売上比率が3割近くあって、もろに中国景気鈍化を受ける可能性があるのではないかという懸念があるのだと思う。

【LVMHの株価チャート】
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しかし、直近決算は少なくともLVMHはクリアしていたわけで、また懸念がほんとうに現実化するのかどうかよくわからないので、単に今の株価だけ見ると安いじゃないかと飛びつきたくなる。
しかし、明らかに誰もがわかる形で懸念が現実化しており、それに対して企業が対策を取っているならともかく、何やら現状決算にまで跳ねていないふわっとした懸念でつかみどころがない。

例えば、現在の株価下落が株式相場全体が下落する中で生じているものであれば、それは地合い全体が悪いからしょうがないよねということで、そういう時の方がどちらかというと買い向かいやすい。
しかし、今回は比較的先進国の株価指数が堅調に推移している中で、ブランド株の株価下落はLVMHでさえピークから2割弱食らっていることを考えると、ブランド株を売っている人達は何かしらの根拠を持って売っているはずであり、その根拠を考える必要がある。

普通に考えると将来的にブランド品がこれまで通りに売れなくなる・値上げできなくなるという懸念を持っているはずである。
その根拠はどこからくるのか?

そういえば、最近友人からブランド時計価格が下落しているという話を聞いてふーんと思っていたのだが、その話をふと思い出して、ブランド時計価格のチャートを確認した。

【ロレックス価格指数のチャート】
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https://watchcharts.com/watches/brand_index/rolex

このチャート形状は最近みたような気がする。
そう、以前にブログ記事で書いたポケモンカードの価格推移と全く同じなのである。

【過去参考記事】

教科書に載せたい典型的デットキャットバウンスを描くポケモンカードバブルの崩壊

これが意味することは、高値で買った人間が何かしら売却せざるを得ない理由を抱えており、そのためにだらだらとロレックスの価格が下がっているということであり、じゃあなんで売却せざるを得ないんだという話は下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
熱狂的バブル相場の天井を捉えるために見るべきモラルハザード・不正行為とは?

ここまで来ればようやくブランド株が弱い理由が段々とわかってくる。
中古の価格下落を見ると、2021年の価格高騰は転売ヤー的なかなり質の悪い人達によるかさ増し購入であった可能性が高い。
こういった人達が米国では激しい金融引き締めによる借入コスト負担、中国では根本的な需要減少から中古の売り手と買い手の需給バランスが崩れてしまっているということになる。
ということは、ブランドメーカーはそう簡単に値上げに踏み切れないのではないか・値上げに踏み切っても中古に流れるために売れないという可能性が高いと、事情を知っている人が売っていると見るべきなのではないかと思う。

というわけで、ブランド株についてはロレックスの価格が底打ちするのを見ないといけなさそうな雰囲気がある。
また、ロレックスの価格の底を探るには、中古の在庫量と出来高情報が必要であり、できることならブランド中古時計を扱う店舗で現状の流通状況を聞いてみるのが良いのではないかと思う。
個人的にはこういう時こそYoutubeでこの辺の情報を仕入れると良いのではないかと思う。

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バッテリー材料銘柄に供給過剰の暗雲

リチウム「先物価格」中国市場で急落

みんな市場の急成長に期待しすぎて、既に供給過剰による集団身投げになりかけている。

上記記事ではバッテリー材料であるリチウムの価格が2021年後半の高値からかなり速いペースで価格下落していることが報じられている。
その中でも、どうやらリチウムとニッケルに関しては供給過剰になることが予想されていて、既に価格が怪しい動きをしているということのようなので、今回はこれについて考えていきたい。

【リチウム価格の推移】
タイトルなし
https://tradingeconomics.com/commodity/lithium

電気自動車(EV)市場が成長するのは確かである。
しかし、どうもそれに対して過剰期待しすぎたプレーヤーがバッテリー材料周りに過剰投資をして、供給過剰になる未来を構築してしまっている可能性が高いように見える。
特に、問題はEV材料銘柄の中心が中国にあることにある。
中国プレーヤーは変に政府の補助金なども入ることもあって、ここにビジネス商機を見出していたために、リチウムやらニッケルなどの資源開発に着手するプレーヤーが大量出現した。
中国人の場合は比較的手っ取り早く資金が稼げるビジネスについては特に新規参入者が大量出現することもあり、特にリチウム資源開発会社が上場会社だけでも相当数の存在が確認できる。

中国だけでなく、世界でもリチウム資源開発業者の投資意欲は非常に高い。
最近だとアルベマールが同業のリチウム資源開発会社を買収しようと色々画策している報道なども見られている。
このように供給がこれでもかと増加する地合いは整っている。
これに対してEV市場は確かに成長しているものの、どうやら資源供給会社が期待するような成長率ではないようで、これが昨今リチウムやニッケル価格の下落を引き起こしているように見える。

そしてここからが最大の問題であるが、資源需要量が期待に届かなそうということが判明しつつある中でも、資源開発会社の方は気づいていないのか見て見ぬふりをしているのかはわからないが、未だ投資をやめていないのである。
逆に資源確保量で負けないために投資量を拡大させている観測さえある。
こうなると、もはやリチウム・ニッケルなどのバッテリー材料資源価格についてはさらに下を見る必要性さえありそうで、2014年にシェールガス企業が台頭したことによって原油価格が大暴落した悪夢を個人的には思い出す。

さらにリチウムは必ずしも希少資源ではなく、意外と地球上に存在する量は多いことがわかっている。
そのため、現在の投資ペースであればリチウムの供給過剰はほぼ必至であるという結論に市場は結論づけているようだ。
これが昨今リチウム開発業者中心に株価がかなり厳しい値動きになっている要因だろう。

【参考ページ】
EV電池材料リチウムは枯渇するのか?埋蔵量は200年以上存在する

先行きはどうなるだろうか?
こうなると、供給が伸びなくなる現象が見られない限り、常にバッテリー材料銘柄の株価下落は底打ちしないように思われる。
供給が伸びなくなるということは、今のEV熱狂具合を考えると、もはや投資していられないぐらいに財務を痛める必要性が生じるわけで、これは投資している人達の想定を上回る株価下落が生じる可能性は高いように思われるでの、注意が必要なように思われる。
結局中国勢が環境配慮を無視した乱開発がこのようなバブルとバブル崩壊を招いたんだなというのは、下記過去記事の考えに照らし合わせて考えればなんとなく理解できる話である。

【過去参考記事】
熱狂的バブル相場の天井を捉えるために見るべきモラルハザード・不正行為とは?

ここから得られる教訓として、中国企業が安易に大量に入ってくるようなビジネスはすぐに大量供給によって市場が飽和して、関連銘柄全員利益出なくなって株価が沈むというのが常態化するので、なるべくそういった中国企業の無秩序参入業種は避けようというのが投資の鉄板法則になりそうだ。

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一線都市の住宅購入規制緩和でも需要を喚起できなかった中国不動産市場

中国主要都市で住宅販売失速、支援策発表から2週間足らず

もはや、追加対策が不可避。

上記記事は一線都市で住宅不動産購入規制緩和を発表して一週間ぐらいは販売回復が見られてきたが、2週目以降からどんどん失速していって、もはやほぼ効果はなかったというレベルにまで再び落ち込んでいるということである。

これまで中国政府はバブル再燃を気にしていて、目の前でメルトダウンしている不動産市場について見て見ぬふりを続けていた。
そのため2~3線都市の不動産規制緩和は続けていたモノの、1線都市の住宅不動産購入規制の緩和には及び腰であった。
しかし、2~3線都市の住宅不動産購入規制緩和をしても販売が回復しないことから、ようやく住宅不動産市場の落ち込みが想定をはるかに上回るということに気づき、とうとう背に腹は代えられないということで一線都市、いわゆる北京や上海の住宅不動産購入規制を緩和したのである。

北京や上海は中国国民なら誰もがうらやむ立地であるわけで、購入意欲は他のゴミみたいな都市とはレベルが違うはずである。
当ブログではこの不動産購入規制緩和で一線都市での販売は回復したという報道があり、これでようやく少しはまともになるのではないかと考えていた。
しかし、上記ニュース記事では規制緩和発表後の初週こそ販売は元気だったものの、2週目からもう販売は落ちてきたと報道されている。

これを見た時、どうやら自分が少し抱いていた期待でさえ過大評価であった可能性が高いと感じた。
北京や上海は価格はともかくとして、これまでの中国人であれば手に入るのであればいくらでも買いたいという都市であり、ここでさえ規制緩和で販売促進ができなかったという事実は、純粋に実需購入意欲が根本的に萎えてしまっているということになる。
価格と住宅ローン金利が、もはや住宅購入を正当化できるレベルにないということを意味する。

つまり追加対策のおかわりは不可避である。
ちなみにどう後始末をするかは下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
中国不動産バブルの発生・崩壊した原因のおさらいと今後どのように後始末が行われるかの考察

中国共産党は9月の週では追加景気対策はあまりしてこなかった。
これは、やはり一線都市の住宅購入規制緩和で販売が回復したのを見て、一旦は様子を見ようと油断したものだと考えられる。
しかし、これは今年の4~5月にも同じような間違いをしたはずなのに、全くこれを学んでいないということになる。
そのような経済に対してまったく真摯な取り組みをみせない国の株に期待するなんて、馬鹿げていると個人的には思う。

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レバレッジETF・投信は米国より日本の方が割に合う状態

https://www.daiwa-am.co.jp/funds/detail/3377/detail_top.html
↑大和AMのレバレッジナスダック投信のページ

【レバナスのリターン要因分解】
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上記をどう理解すればいいのかということと、今後のレバレッジETF・投信におけるレバレッジをかけるためのコストについてまとめていきたい。

上記の大和AMのレバナスの基準価額要因分解を見ると、指数の変動によって生じた減価が1年で15.8%生じている。
一般的に、レバレッジETFは代表的な株価指数のものであれば、先物を元本に対して2倍買うことによって成立させていることを考えれば、この減価というのは

「短期金利コスト*2+先物日次売買による減価」

で構成される。
過去1年の米国の短期金利コストはLibor3ヵ月を見れば、均すと概ね5%であるので、以前にブログ記事で書いたがレバナスは10%の短期金利コストを払っているという内容については概ね合っていると思われる。

【過去参考記事】

レバナスの金利コストは来年10%へ上昇予定


よって純粋な先物日次売買による減価は15.8-10=5.8%ということになる。
さらに大和AMのレバナスは証拠金のために資産全体の3~4割程度をドルにしているが、これを円ヘッジしているのでこのコストが1.59%生じていると開示されている。
あとは1%におよぶ信託報酬と併せて18%近くのレバレッジのためのコストを払っていることになる。

この1年はナスダック100自体が26%上昇しているので、レバレッジコスト18%を払ってもなんとかペイしているが、FRBが「Higher for longer(長期間にわたる高金利政策)」を取っているので、少なくとも

金利コスト(今は11%)+為替ヘッジコスト(今は2%)+信託報酬(1%)=14%

のコストを年間払い続けることになる。
つまり1年間のナスダック100の上昇率が14%だと、ほとんどレバレッジのためのコストによって、レバレッジをかけることによって得られたリターンが消えるのである。
このため、短期でぶっこぬくのであれば問題にならないが、長期保有で運用するとこれだけの負担をしながら通常のナスダックの2倍のリスクを取らざるを得ないことが、上記大和AMの開示資料からも理解できたと思う。

こうしたことから高金利時代というのは、やはりレバレッジETF・投信を保有するというのはデイトレやスイングトレードでバンバントレードできる才を持っている人ならともかく、中長期保有を前提とした投資や初心者にはやはり向かない投資だなと思う。

既に通常ナスダックについては円安効果もあり、円建てでは過去最高値をとっくのとうに更新しているにもかかわらず、2021年後半に一括でレバナスに投資してしまった人は現在概ね15%程度の含み損を未だに抱えているようで、彼らが含み益に変わるまではもう1年ぐらいかかるだろうと思われる。

【一般的な2021年レバナス一括投資界隈の含み損率】
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こうしたことをふまえると、個人的にレバレッジETF・投信をそれなりに長い期間持てる時というのは、短期金利が配当利回りより低い時だと考えている。
上述したように、現在レバナスの年間レバレッジコスト14%のうちの7割近くが金利コストによって構成されている。
これがゼロだったり、限りなく低ければ配当利回りで金利コストを全部負担させることができる上に、配当利回りを上乗せでもらうことが可能である。
なので、現状は米国レバレッジETF・投信触るより、普通に日経平均・TOPIXのレバレッジETF・投信触っている方が、レバレッジかけるという意味では割に合うのではないかと考える。

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