村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年09月

Restrictiveな米国実質金利は2%と市場は判断

アングル:8月CPIでも消えない「高金利長期化」、米国株を圧迫へ

米国国債の残存3ヵ月と残存6ヵ月の利回りはほとんど変化はなかった。
ここらへんの年限の金利は5.4~5.5%にあることは、概ねCME開示の先物から計算される政策金利予想と合致する数値となって早2ヵ月となってきている。
前回FOMCではパウエル議長はデータ次第とはいいつつも、あと一回上げるか上げないかというところでの議論になっているわけなので、ここが動くことはもう基本的にない。

【米国債6ヵ月金利のチャート】
タイトルなし


次に見ていきたいのは2年債金利である。
ドットプロットで来年の利下げ回数予想が4回から2回になったことから、現在の2年債金利は2年後までに4回程度の利下げを織り込んだ数値となっているように見える。
2年金利が上昇するには利上げ回数のさらに追加的な増加や、利下げ回数の減少が必要であるが、前回FOMCが相当タカ派と捉えられたことを考えれば、それはとりあえずないように思う。
CMEでの政策金利予想を見ると、5.1%というのは来年7月時点の金利であることから、2年債金利5.1%金利もほぼピークのように見える。

【米国2年債金利のチャート】
タイトルなし


結局現在の金利水準で一番よくわからないのは中期ゾーンより後ろ側の金利だろう。
特に10年国債金利については、国際供給量や中立金利の議論はあるものの、4.5%にたどり着くとは全く思っていなかったことから、ここは反省すべきポイントだったかなあとは思う。
しかし、米国10年債金利が4.5%にたどり着く中で、やや株式は調整する結果となった。
このことが意味することは、市場は現在経済にとってRestrictiveな金利はどこなのかというところの見極めに時間がかかっていて、株式市場も金利の上限がどこなのかというのを探る展開となっていたが、ようやくRestrictiveな金利はどこかというのが判明したということではないかと思う。

【過去参考記事】

株価上昇には時間がかかりそうな雰囲気を示すエヌビディア決算とジャクソンホール会議後株価動向


これが前回FOMCのタカ派的休止姿勢を見て長期金利が上昇し、どの年限においても実質金利2%に達したのを見て株式市場は下落した。
このことから、実質的にRestrictiveな金利水準というのは実質金利2%だということで概ね市場に浸透した。

概ね先週の調整で鬼門の9月相場は終わったと考えてよいという段階になったと思う。
下げとしてもちょうどショートで焼かれた人達の境目である4300にも接近したということもあり、特段クレジットも揺れていないことから、この辺から押し目拾っていけばいいんじゃないかなと思う。

【過去参考記事】

2022年6月~10月に株売った人達全員が焼かれる相場に突入



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何の意味もない不動産支援策の効果を見極めようとする中国

中国、政策金利据え置き 不動産支援策の効果見極め

時間の無駄。

上記記事では9/20に中国中央銀行PBOCが政策金利を据え置くことを発表したという内容で、不動産氏支援策の効果を見極めるのが目的かという表現がなされている。
しかし、ここまで行ってきた不動産支援策はほとんど効果を出してこなかったのは、当ブログ読者であれば知っていることである。

【過去参考記事】

一線都市の住宅購入規制緩和でも需要を喚起できなかった中国不動産市場

そして、いつまでたっても解決しない不動産バブル崩壊と雇用の弱さを見て、これまで外国人投資家はデフレ+人民元安から中国国債の買い・人民元ショートドルロングの組み合わせで、米国債投資より高い利回りを得ながらキャピタルゲインも狙えるという一見リスクフリーっぽいポジションの組み合わせを構築していた。
ところが、昨今の中国政府による人民元ショートの取り締まりによって、人民元の調達コストが大幅に跳ねてしまっており、この戦略が破綻してしまっている。
そのため外国人投資家は中国国債買い・人民元ショートのポジションを解消しているため、人民元の下落がストップしているのと中国国債利回りが景気が最悪なのに上昇してしまっている。

ここまでなんとか外国人投資家に抗ってきたのに、ここでさらに金融緩和をするとこの努力のコストがさらに上昇してしまう。
そのため、苦肉の策で政策金利を据え置いたと考えるのが妥当だろうと思う。
一応不動産支援策の効果を見極めると表現しているのは日経新聞の記事上の表現なので、それが本当かどうかわからない。
しかし、効いていないことは確実で、それを見極めようなんてのは時間の無駄以外の何物でもない。

中国本土のエコノミストでも、中国の不動産市場の正常化は2024~2025年だと見解を述べている報道も見られているが、日本のバブル崩壊の時の歴史を振り返ればそんなわけないことは明白であるのは、下記過去記事を読んでもらえればすぐ理解できると思う。

【過去参考記事】
日本の不動産バブル崩壊から底打ちまでを振り返り、中国不動産バブル崩壊の先行きを考える 

このように無駄に時間を浪費している中国政府に対して、抗議をする形で投資家は中国株・香港株の売却は続くだろうと思われる。
中国CSI300や香港ハンセン指数はこのままだと、習近平永久皇帝爆誕があった2022年11月のラインに近づいていくだろうと想像される。
とにかく今年の残りの投資戦略においては、徹底的に中国リスクを排除することが重要だろうと思われる。

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日銀のプラス領域での利上げはまだまだ遠い雰囲気

日銀、追加の緩和修正見送り 金融政策の現状維持を決定

正常な金融政策での利上げについては、結構遠そうだしペースも緩やかなものになると思う。

日銀の金融政策決定会合については、この前段階でマイナス金利解除の報道などもあり色々思惑はあったものの、今回の政策決定会合では特段変化はなかった。
今後毎回日銀の金融政策決定会合は変化がないか注目され、市場予想でもマイナス政策金利解除は前倒しになっているものの、プラス領域での政策金利引き上げについては、繰り返しになっているが拙速な引き上げはしないと考えている。
その理由については単にインフレ率・為替以外にも要因があるので、それについて言及していきたいと思う。

多くの人は政策金利の引き上げで住宅ローン金利上昇でタワマン買ってる人は破綻(笑)みたいな反応が大半だ。
しかし、変動金利で金を借りているのは何も住宅を購入している個人だけではない。
中小企業も基本的には変動金利で金を借りているのである。
もちろん完全な変動金利ではないこともあるが、銀行の融資というのは大体1~3年ゾーンに固まっているわけで、借り換えを行う度に現在の短期金利水準に合わせた融資金利を設定される。
5年とか10年とか30年とかの長い期間で固定で金を借りれるのは、基本的に大企業と住宅ローン借りる人だけの特権なのである。
(あとは奨学金とかもこれに含まれるかも)

そして日本の金融構造は大企業を除けば基本的には間接金融、つまり銀行借り入れに全面的に依存しているものとなっている。
そういった意味で、利上げというのは雇用の7割を占める中小企業に直接的にダメージを与えるものになる。
ようやく労働需給のバランスが取れてきて賃上げ機運が生まれているのに、拙速に利上げをして中小企業にダメージを与えて雇用需要を冷やしてしまうと、せっかく見えた持続的なインフレ率2%の達成が再び見えなくなってしまう。

こういったことから、現状はマイナス金利やYCCなどの異常な金融政策かつ中小企業の融資金利への影響が低いところについては順次撤廃していく可能性が高いが、雇用に直接的に影響を与える中小企業への融資金利上昇になる政策金利引き上げまではかなり着手しづらいのではないかと考える。
少なくとも、日本のデフレマインドが払しょくし始めたのが2022年からというのを考えると、これまで30年間のデフレ分を是正するのにすぐに政策金利引き上げに着手するというのは時期尚早なのではないかと考え、基本はビハインドカーブしていくという予想で良いと思う。

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シンガポールGICが中国株が損切りできず苦しんでることが判明

GIC Is ‘Doubling Down’ on Some China Investments, CEO Says

裸で泳いでいるやつはお前だったのか。

上記記事はシンガポールのソブリンウェルスファンドであるGICのCEOが、中国株へのエクスポージャーについて「Doubling Down」、つまり諦めずに賭け(ベット)を続けると発言したようである。
この発言について、個人的には仕方がなかったとしても話すべき内容じゃなく、あとメディアの載っている笑顔はそのうちひきつった暗い顔になるだろうと感じた。

例えばこれが一米国ヘッジファンドとかだと、平気であいつらは大嘘をぶっこくので、発言と実際の投資エクスポージャーが違うことなんて、ごく当たり前の話だ。
特にレイダリオなんて相場に関する発言は、最初から最後まで嘘っぱちしか言わない印象しかない。
一方で、ソブリンウエルスファンドかつシンガポールの代表的な投資ファンドとして有名なGICは、国という面子があるため大嘘をぶっこくことはできない。
大嘘をぶっこけばさすがにシンガポール政府がぶちぎれてトップを変えるだろうからだ。
そういった中で、元々GICは中国へ多大な投資エクスポージャーを抱えている。
あまりにも大きく、売却に動いた場合のインパクトがあまりにも大きいため身動きできていないというのが現状だ。

そういった中で、中国へのリスク資産投資が習近平のせいでどんどん毀損されている中で、一体中国エクスポージャーは最終的にどうするんだという話で常にプレッシャーを受けているのが最近1~2年の流れだ。
結局方々から中国エクスポージャーどうするのかはっきりせいやと言われた中で、しょうがなく今回ブルームバーグ記事で「Doubling down」、つまり諦めずに賭け(ベット)を続けると言っているのである。

この発言は仕方なく発言したとしても、中国株投資している人にとっては最悪の発言の一つだろう。
それは、これまでもう全員が総悲観になって投げ売りしていると思われていたのが、まだ投げ売り余地を残した大口プレーヤーが残っていることを意味しているからである。
バフェット氏がよく言う、「潮が引いた時初めて誰が裸で泳いでいたかが分かる」がよくわかる話だ。
つまり裸で泳いでいたのはGICなのである。
裸で泳いでいたやつが、最終的には磔にされて処刑されるまで、決して株価が上昇することはないだろう。
つまり中国株・香港株は未だ最悪期が終わっていないのである。
そしてGICが中国に投入しているお金が引き上げられて、他の国に移されるポテンシャルがまだ残っているのである。
GICがぶん投げる時こそシャープに中国株が下落するはずなので、その時ようやく総悲観と表現することができそうだ。
まあ少なくとも、こんな発言をしてしまったCEOがクビになるまではひたすら中国株・香港株がアンダーパフォームを続ける状態が続くだろうと思う。
中国・香港株への見方については下記過去記事を読んでもらえればわかる話だろうと思う。

【過去参考記事】
中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響


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2024年の利下げ回数予想を減らしてタカ派的休止姿勢を見せたFOMC

FRB、金利据え置き 過半数が年内の追加利上げを想定

2024年がHigher for Longer。

注目されていたFOMCが開催されたので、声明文や記者会見も踏まえて振り返っておきたい。

【記者会見動画】
https://www.youtube.com/watch?v=wx1rpfF__E4&t=4320s

まず基本スタンスとして米国経済は存外に強いとして成長率見通しを引き上げた。
そのため、ドットプロットを確認すると今年の政策金利見通しについてはあと1回あるかないかというところは変化なかった。
一方で2024年についてはこれまで中央値は4回利下げだったものが2回利下げにまで修正されており、現在の政策金利水準を長く続けるということでタカ派的な内容であった。

【最新のドットプロット】
タイトルなし


一方で記者会見では政策金利はRestrictiveな水準に近づいている、実質金利は中立金利の推計値を上回っている、労働市場の需給バランスは改善しているなどやや煮え切らない感じであった。
ソフトランディングについては現状基本シナリオでないが、第一目的といっており、必ずしも経済を壊したいという金融引き締めではないことには言及されていた。

金利については記者会見後、ドットプロットの修正も反映されて全年限で実質金利2%越えとなった。
パウエル議長のいうRestrictiveな金利水準はどこなのかという考えを基に動いているように見え、それが2%以上という考え方になるのかもしれない。

株価については、まあこんなもんじゃないのという下落であった。
ハイテク中心に下落したものの、IT以外のセクターでは銘柄によって結構反応はまちまちで全面的の売りというよりはグロースだけ売られたという感覚が強い。
逆に2021年にもてはやされたハイパーグロースはゲロ吐きたくなるほど下がってる銘柄が散見されており、金利が上昇する中でEPSの裏付けがない銘柄は追い詰められ手つつある。
バリューはそこまで下がっておらず、高配当系の株はほとんど下げなかった。

統計的に9月後半はかなり株価にとっては鬼門なので、優良銘柄であればまあこの程度で進捗してくれれば御の字ではないかと思うが、利益裏付けのない銘柄はここから底割れ懸念さえあるので、底割れしてる銘柄については損切が必要なように思われる。

株価は下落した一方で、クレジットはほとんど揺れなかった。
HYGやLQDはベース金利上昇分下落したが、レバレッジドローンETFであるBKLNは動かなかったことから、米国企業が破滅的な状況に追い込まれるようには見えない。

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