村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年09月

ファンダメンタルズ分析を勉強していると起こる投資家の技術レベルの変化

今回は完全雑談的なやつです。

足下で様々な投資理論みたいなのを見るが、総じて相場がやや軟調になると多くの投資評論家の意見は非常に悲観的に傾く。
特に一見小難しくそれっぽい材料を少し歴史と混ぜて悲観的に語ると、まるでそれっぽい投資判断に見えて、素人から見るとこれだけ詳しく語っているんだからこれは確実に当たっているだろうと信じて投資を控えたりしたくなるストーリーを語る人が続々と出現するが、実際はもっと知識のある人から見るとまるで穴だらけのとんでも理論だったりするので、今回はファンダメンタルズをゼロから勉強していき、実際に投資に役立つようになるまでに起こるプロセスを書いていこうと思う。
なお、初めからものすごく頭良くて全てをすっ飛ばして理解して稼ぐ人や、そもそもファンダメンタルズ分析かなぐりすてて需給だけでライドする天性の才を持っている人はこの限りではないとだけ先に書いておく。

大体最初に投資に参入する人の姿勢は2パターンである。
最初からギャンブル中毒的にリスクガン無視でポジションを取る人と、びくびくしながら少額から投資を始める人のどちらかである。
ただいずれも、天性の才を持っていなければ、投資知識の薄さからどこかのタイミングで持っていたポジションが盛大に逆をつかれて損をする。
これはほとんどの人にとって避けては通れない道である。

まずこの段階でこれに対して反省するかしないかというので分かれる。
一番タチが悪いのは反省しないギャンブル中毒者で、最終的に退場するまで永遠に損するタイプだ。
また、そもそも最初から時間なくて当てるのは無理だと考え、積み立て投資に路線変更するという人もいる。
最初から投資に人生かけるとかでなければ、積み立て投資オンリーにシフトすることは非常に理に適っているだろう。
ただし、もう一段上の投資家を目指したいという人は、この時点で反省し、ファンダメンタルズ分析の勉強をもっとできなければと思うわけであり、ここから勉強を始める。

しかし中途半端にファンダメンタルズを勉強すると、いかにこの投資の世界というのは不安定かというのを知る。
さらに暴落もいつするかというのは読めないと感じるようになる。
先行きリスクというのはこんなに存在するのだと知ってしまう。
そのために、中途半端に勉強すると、逆にどんな局面においてもリスクが気になって、ついつい暴落論に傾倒してしまったり、いかに世界が不安定化を力説する評論家に陥りやすい。 
昨今の投資系Youtube動画でも、やたら経済への知識がある割には最終的な結論は評論家かつ暴落論者で、なんのクソの役にも立たない・場合によっては有害にさえなる意見を振りかざす人が見受けられ、多くの素人個人投資家も言っていることは頭がよさそうだと思い、参考にしたりするが結局機会損失を受ける形で、相場が棒上げするのを指を咥えてみているだけになる。

ただし、これは普通の人から見れば正常なプロセスである。
なぜなら分析する上で、現在の経済統計だけ見ていることによって、判断を間違えるのである。
テクニカル分析論者と同じだが、世界を数字やチャートの形だけでしか語れないといういかにも器量の小さい考えに固執してしまうのである。
この考えから脱却できるかどうかというのが、次のプロセスになるが、そこにたどり着くまでには人によっては速かったりするが、大抵の人はかなり長い勉強時間を要する。
最終的には現在見えている経済統計や政治事情から、次にどのようなアクションが起こるかを予想できるようになって、はじめてきちんと理論だった稼げる投資ができるようになる。
ここにたどり着けるようになれば、ようやく投資判断が当たるか外れるかは別として、なぜ当たったのか・なぜ外れたのかがクリアに見えるようになり、投資判断の正確性も高まっていく。
外した場合でも損切り判断が速くなったり、中長期的に見れば上昇する資産をきちんとキャッチできることもあり、ダウンサイドの傷も浅くなる。

なのでセンスがある人以外は、ファンダメンタルズ分析でもかなり積み重ねが必要になるということは常に頭に入れておいてほしいと思う。

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トランプ大統領再爆誕の可能性が低いと思う理由

【参考書籍】

「トランプ信者」潜入一年 ~私の目の前で民主主義が死んだ~

来年トランプ大統領爆誕の可能性は低いとは思うんだが・・・

上記書籍を読んでいると、さすがに来年大統領選挙で再度トランプが代表になった挙句再選される可能性はいかほどのもんじゃろと思ったので書いていきたいと思う。

上記書籍の中では当初支持者から熱狂的な支持を受けていたトランプが、時間が経つにつれどのようにまともな思考を持った支持者が離れていったのか、そしてその要因はなんだったのかが書かれているので、それをまとめ、さらに来年大統領選挙についてトランプ再選の可能性はそこまで高くないのではないかと考えていることを書いてみたいと思う。

トランプ支持率が下がった一つ目の原因がコロナウィルス対応である。
当初トランプは国境閉鎖については自分が周りの反対を押し切って決めたと言っていたが、実際はファウチ氏などの専門家が実施しなければいけないと進言したことで決めたものである。
さらにワクチンが完成しないうちに雑な対応をしたりして、米国民での死亡者・重傷者をいたずらに増やしたということで、これまで嘘発言ばかりしていても許されていたトランプの発言も、さすがに人命がかかっているということで許されなくなっていった。

もう一つがジョージフロイド氏殺害事件に対する対応である。
これは白人警官が黒人であるジョージフロイド氏を拘束した時に首に体重をかける形で抑えていたが、これによって窒息死させてしまった事件である。
しかも動画でジョージフロイド氏が「息ができない!」となんども主張しているのを無視した拘束であった。

【参考ページ】

ジョージ・フロイドの死



米国では人種差別的な警官の逮捕姿勢について社会問題になっていて、黒人が有意的に暴力的な逮捕のされ方をされているということに多くの有色人種層は問題だと認識している。
そして過失だった可能性があるとはいえ、原因となった警官のお咎めなしになりそうだったりとかで。このジョージフロイド氏殺害事件によって溜まった社会的不満が大規模抗議デモに発展し、さらにこれに乗じた略奪が発生した。
これに対してトランプは「略奪が始まる時、銃撃が始まる」と軍隊を出して無理やり鎮圧することを示唆するようなツイートや発言をした。
これがトランプが人種差別者であること・暴力でしか物事を解決できない解決能力の低さを露呈したものと認識され、トランプの支持者が段々と離れていった。

この2つにおいては、相当な嘘発言が許されていたトランプもどうやら許されなかったようで、やや中道派的な人はやはりトランプ支持をやめるきっかけとなっていき、その後はトランプの集会も以前よりも集まりが悪くなっていった。
最終的にはこれがその次の大統領選挙で共和党が負け、民主党バイデン大統領が誕生した経緯である。

こうしたことを考えると、来年の大統領選挙でまずトランプが共和党代表で出てくる可能性・代表で出てきた場合に再度トランプ大統領になる可能性というのはさすがに以前と比べると低いのではないかと考える。
もしトランプ再選となった場合は、相当米国民というのは忘れっぽいんだなあと思う。

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中国PBOCは今こそフォワードガイダンスを導入すべき時

中国人民銀行の金融政策の枠組み ~追加的な金融緩和が見込まれるが、政府の景気刺激策を求める声も強い~

フォワードガイダンスなしでやり通せるのか?

現在の中国の経済的苦境は、GDP世界2位になったにも関わらず前時代的な政治体制が抱える矛盾を解決せずに突っ走ってきたためにあることが根本的原因である。
その中の一つに挙げられるものとして、PBOCの旧態依然とした市場とのコミュニケーションである。

ご存じの通り、PBOCの金融政策はペラ1で発表されて、特段トップと市場とのコミュニケーションもなく終わる。
特に今年はこうした旧態依然としたコミュニケーションのために、年初多くのエコノミストは中国は政策金利の変更しないとかいうお前らちゃんと分析してるのかよという恥ずかしい言説を垂れ流した後に、見事にそれが裏切られる形で年後半は利下げラッシュとなっている。

しかし、投資家はPBOCが最終的に一体どこまで金融政策を緩和的にしてくれるのかというのが、PBOCがコミュニケーションを取らないために手探りとなってしまっている。
そのことが市場不信を招いており、PBOCが動いているにもかかわらず中国市場に全く安定感が戻っていない原因となっている。
こうしたデフレ時の中央銀行に求められるコミュニケーションというのは一般的にはフォワードガイダンスであることは既に周知のとおりである。
フォワードガイダンスとは、言ってみれば先々の中央銀行のコミットメントに言及することによって、市場の信頼感を取り戻させることによって、中央銀行の金融政策コストを引き下げる目的で導入されるものであって、1999年の日銀やリーマンショック後のFRBやECBが導入した手法である。

【参考ページ】
フォワード・ガイダンス | みずほ証券 ファイナンス用語集

効果があったかどうかという議論はあるものの、やらないよりやった方がずっとましであることは確実だろう。
そういったものがデフレに片足突っ込んでいる中国PBOCにも求められる時代になっているのである。
しかし、PBOCはご存じの通り政府から独立していないこともあり、好き勝手に市場とコミュニケーションは取れない、つまり重要な中銀ツールの一つを縛られている。

そういった意味で、現在の中国における中央銀行であるPBOCは全く責務を果たしていないと言えるだろう。
現在のコミュニケーションでは市場からの信頼を勝ち取ることは難しく、市場を安定化させるためにフォワードガイダンスしていれば不要であった追加的な金融政策でさえ求められることになるだろう。

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最新会社四季報を読んでみて思うこと

【参考書籍】

会社四季報 2023年4集 秋号

ばーっと最新四季報の銘柄に目を通して見た感想。

最新の四季報にようやく目が通せたので、パッと見た感想をメモがてら書いていきたい。
個別銘柄何買えばいいんですか!というのはようわからんので各自で見つけてください(棒)

1、相変わらず元気がないグロース株
とにかくグロース株の元気がない。
手堅いグロース株の代表格であるキーエンスやダイキンを見てもらえればわかるが、よくて横ばいという状況で、利益の裏付けがないものは下落基調が続いている。
特に2021年もてはやされたエムスリー株を見てもらえれば、その惨状の深さは知るところだろう。
そして、未だにグロース株が反転する兆しは見えていないわけで、今回も少なくともバキバキ高PERグロース株みたいなクソ株は触るべきではないだろうと思う。
触れるとしてもPER25~30倍ぐらいのステーブルグロース株ぐらいまでではなかろうか?
高PERで株価がまだ上昇しているのは正直サンリオぐらいしか見えず、グロース株で勝負する気が起きない。

2、バリュー株は高配当中心に好調継続するが・・・
今年前半から当ブログでは日本株はバリュー株正義と書いてきたが、これは概ね現状も正しい判断であったと考えており、特に一番投資的には楽な高配当株投資がここまでワークしてくれるのは好感触である。
ただし、世界景気全体に減速感が出ている中で、株価の上昇ペースほどバリュー株の利益は増加していない。
そのため、段々と配当利回りは落ち始めており、さすがに高配当株の上昇ペースがこのまま青天井というようにはいかないように思える。
業績次第だが、どこまで引っ張るかというのは少し意識しておいた方がいいかもしれない。

3、高配当を狙うなら銀行・倉庫・中堅商社・鉄鋼・自動車部品か
高配当株の配当利回りが徐々に低下している中で、まだ増配余地を使った配当利回り引き上げができるセクターは上記で書いたように銀行・倉庫・中堅商社・鉄鋼・自動車部品あたりだと見ている。
インフレ環境下ではこれらセクターにはあまり業績下振れ可能性は低いと思うので、配当狙いならまあここらへんだよなあと思う。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

4、生成AIネタは再度引っ張れるか?
生成AIネタでは、日本株では後工程関連銘柄の注目が集まっていて、その代表格が日経平均動かすレベルでインパクトがあったわけだが、AIバブルが継続するならまだ似たような銘柄狙えるやろみたいな話はありそうな気はする。

大体注目点は上記4つ程度だろうか。
これ以外はかなり個別性で買えるストーリーを見つける必要性があるように思う。
九州ネタとか養殖水産ネタとかあるだろうが、その辺は個別詳細を詳しく知っている必要性があるので、そこらへんは各自頑張って探してもらいたい。

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投資家全体の態度が弱気に傾いてきた9月後半相場

大分弱気姿勢にみんな変わったように思う。

9月の後半相場というのは統計的に弱い動きになりやすいわけであるが、今年も結局弱気で推移してきている。
8月において金利動向とエヌビディア決算を考えると、上目線は時間軸を長めに取るべきだろうと考えていた。

【過去参考記事】

株価上昇には時間がかかりそうな雰囲気を示すエヌビディア決算とジャクソンホール会議後株価動向


そうして市場を観察していると季節性の悪さもあるが、ここまでの下落で大分相場は悲観に傾いてきたという感じがしている。

独自で集計しているブルベア指数について金曜日時点の集計で52まで低下してきた。
これは今年4~5月以来の水準の低下で、一般的に56を割れば相場は中立よりも悲観的と見える。
基本はここからクレジットクランチが起こらなければ、大体50前後ぐらいで相場は底打ちしてくれることが期待できるので、クレジットクランチが起こらない前提であればこの辺からの押し目買いは合理的でないかと思っている。



また、機関投資家の投資選好度集計されているNAAIM指数についても各プレーヤーが相当弱気に傾いていることを示している。
機関投資家は夏休み入った頃あたりからずっと弱気であったが、既に弱気になって8週目に入っている。

【NAAIM指数】
タイトルなし


米国個人投資家統計もブルーベアの数値がマイナスに転じ、再度弱気に振れてきたなと感じた。
8月の小反発は同じように米国個人投資家のブルーベアの数値がマイナスに転じたところであったが、今回もそうなってくれるかどうかというところだろう。

【米国個人投資家サーベイ】
タイトルなし


さらに、今回の株式調整を引き起こした原因を考えたい。
その原因は米国金利に他ならない。
しかし、株式の調整を引き起こした米国債券金利についても、手前側の金利はもはや動く材料がなくなり、奥側も現在の政策金利低下パスを考えればさすがにそれ以上手前側金利に寄るか?という話になる。
一部で米国長期金利(ようは10年)5%まで上昇して株式暴落という人もいるが、2年金利がどう考えても現在の5.1%が限界だろという中で、10年金利が5%に上昇することは利下げ回数が10年後までゼロって事になるけど、さすがにそれは意味不明では?と思われる。
MOVEもあまり跳ねなかったことを考えると、株式が調整された時点で米国金利上昇も限界まで上昇したと想定しやすいように思う。

【過去参考記事】

Restrictiveな米国実質金利は2%と市場は判断


ツイッターでも、段々と弱気一色となってきており、特にブラックマンデーと相場を重ねて暴落を煽る人が急増している印象があり、盛大なフラグなわけであるが、今回もそうなるか見どころである。

【過去参考記事】

毎回相場が下げそうになるとブラックマンデー再来と叫ばれる理由

個人的にはここからなら、ぽちぽちと米株・日本株をちょこちょこ買い足していけばいいだろと思う次第である。
どうせド底なんてわからんのだから、各自手持ち資金のうちいくらを何分割で投入するか考えて投入しておけばいいんではと思う次第である。


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