村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年07月

リストラ頼みの株価上昇銘柄に限界が見えてくる

ネットフリックス株急落、売上高と見通しが市場予想に届かず

リストラ頼みの株価上昇はここまで。

IT銘柄の中で、比較的上昇を牽引してきたネットフリックスであったが、今回の決算は市場の期待は満たなかったとして、決算翌日の株価は7%以上の大きな下落となった。
今回はこれを見て、感じたことを書いていきたいと思う。

【ネットフリックスの株価チャート】
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ネットフリックスは2021年11月に株価がド天井をつけた後は、ストリーミングサービスセクターに大量に新規参入者が出てきたことによるサービス価格低下圧力と、経済リオープンに伴ってストリーミングサービス市場のパイが伸びなくなったこと、業界全体に言える過剰投資のために、金利が上昇する中で遠い将来のキャッシュフローの期待剥落と割引率上昇で、株価は75%下落とのたうち回るぐらいの暴落となった。

【過去参考記事】

環境変化に対応できず失墜する米国ストリーミング銘柄


その後、肥大化した費用を削減する形で粛清的リストラやプロジェクトの見直しなどの抜本的コスト削減効果によって下落幅の6割近くは取り戻す形で株価は回復してきた。
特にここ2四半期は決算を無事クリアしたこともあり、株価上昇に弾みがついていた。

しかし、ここまで株価上昇する中で、市場の同社への見方は段々と厳しくなってきていたようだ。
今回の決算はEPSなどの数値はクリアしたものの、先行き成長率に対する懸念ということで実質的に決算ミスとして決算発表後のアフター株価は5%以上下落し、実際に寄りで7%以上の下落となり、その後も反発することはなかった。

これが意味することは、この第二四半期はリストラによるコスト削減をドライブとして上昇してきたIT銘柄について、どうやらリストラオンリーではこの先の株価上昇はそう簡単には認めんよという話であろう。
これはもしかするとIT銘柄だけではなく、他のセクターや銘柄でもリストラがEPS上昇ドライブになってきた銘柄で今後見られる現象かもしれない。

というわけで大分株価は高くなってきたわけだが、ここから上はこれまでの何でも上昇するという局面から、どうやら企業の実力値をきちんと審査される段階になってきたように思われる。
少なくとも先行的に株価が上昇してきたものについては、ファンダメンタルズやその企業の実力自体がどうだったかかなり精査すべきであり、単にリストラしてきた効果しかないよねという企業についてはここから上はすぐには難しいと判断すべきだろう。
それに応じては該当するような銘柄を保有している場合はそのポジションを落とすなどの対応が必要になってくるだろう。

一方で、これはあくまで先行的に上昇してきた銘柄の話であるため、市場全体としては上がりすぎた銘柄でそのような危険があるなら出遅れを漁ればいいのではないかという発想になる可能性もあり、米国株市場でもグロースから一旦バリューへ資金シフトする可能性もあるだろう。
その場合はナスダック/ダウ格差が縮む形で推移する・つまりダウがオーバーパフォームする形で推移する可能性を考えていってもいいのではないかと思う。

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「アリババの野望」を読んで考える中国の民間抑圧政策の弊害

【参考書籍】

Alibaba アリババの野望 世界最大級の「ITの巨人」ジャック・マーの見る未来

起業家精神である反エリート精神を中国で表明するのは難しくなっている。

上記書籍アリババ関連の書籍を読んでいたのだが、その中に書かれている下記フレーズを個人的には注目したいと思った。

ーーーーー
「ぼくたちは中小企業の生業を奪うことに興味はないが、危機感を持たない大企業に一発くらわせることには大変興味がある。それこそがインターネットの力なのだ」
ーーーーー

そう、起業の精神というのはこれなのである。
図体が大きくて踏ん反りかえっているやつらに一発パンチを食らわせてやるという反エリート精神こそが、起業家精神の中心なのである。
この概念と米国の反知性主義が非常に酷似していることから、米国ではあれだけ起業が盛んなのである。
そしてアリババはこれまで上記精神の下に成功してきたと見るべきだろう。

しかしこの反エリート精神は、少し見方を変えれば反政府主義・革命主義とも捉えられかねない。
米国ではそもそも法を犯さない限りはなにをしても良いという担保があることで、この起業家精神というのが正当化されているわけである。

ところが中国はこうはいかなかった。
このアリババの反エリート精神は、話題にもなった2020年10月の大学講演会でむき出しとなった。

【参考ニュース】
「中国リスク」が現実のものに……「ジャック・マー氏の政府批判」でソフトバンクが大ダメージを受ける理由

しかし、この時点で習近平はアリババが政府をコントロールできる領域に入ろうとしていること・つまり反政府主義・革命主義の旗振り役になりつつあるということで、これ以上規模を大きくさせることは中国共産党の運営に大きな問題が起きるとして、アリババを叩き潰したのである。
アリババは中国の中で最先端企業として、次世代を担う輝かしい企業として注目されていたが、これを習近平は何のためらいもなく叩き潰したのである。
この時点で習近平は経済より政治を優先していることがうかがえる。

さらに、これはこれまでアリババを見て憧れを抱いて起業してきた起業家達を難しい立場に追い込んでいる。
何度も書いているが、起業家精神は反エリート精神なのである。
これを表明すること自体が、大きなリスクとなってしまっている。
ジャックマーが数年に渡って消息不明だったのを鑑みると、下手すると命さえ取られかねない状態だ。

こんなので、本当にイノベーティブな企業が生まれるのだろうか?
そもそも大企業に一発パンチをお見舞いすることが実質的に禁止されているということは、非効率・無能な国営企業を追い越すなと言っているのと同じであるわけだ。
もちろん追い越すのが自由だが、その際は資産没収などもリスクも発生するため、意味がないのである。

こうしたことが引き続き中国の株価がパッとしない事態を引き起こすだろう。
ちょっと中国政府が景気対策をしたところで、こうした政策を推進している習近平がトップに居続ける限り状況は変わらない。

【アリババの株価チャート】
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また日銀と日本人にむしられそうな外国人JGBショート

120兆円ファンドが日本の10年債先物ショート-日銀の政策転換見込む

また日銀と日本人にむしられるために来てるのか・・・

今週金曜日に日銀の金融政策決定会合があるわけだが、ここでYCC修正を期待するトレードが小規模で行われていることが上記記事で観測されている。

上記コメントを見た時、普通の人からすると外国人がショートしていて日銀が追い込まれるという見方を未だするかもしれない。
しかし、日本人機関投資家はそうは考えない。
ドル円も緊迫感がなく、現在市場が先行き考える日本の2年後インフレ率でさえ日銀予想より低いことを考えれば、日銀が追い込まれているとは到底思えない。
上記のようなコメントを外国人投資家が出す時は状況は逆で、外国人投資家が追い込まれていると考えるべきだろう。

まず上記ファンドが先物でJGBをショートしている時点で、以前と比べて外国人投資家による売りは相当テンションが低い。
今年の1月の時はカレント銘柄を日銀から借り手、それをショートするという中銀に全面的に挑戦する戦略を取っていたが、日銀に全部はめ込まれて身ぐるみを全部剥がされる形で大負けして撤退していった。

【過去参考記事】

日銀とJGB海外ショート勢の最後の聖戦が始まる


そういったこともあり、日本国債をショートする手段は先物しか残っていない。
先物だけショートをしていても、実際に現物をド派手に売る動きがなければ、現状金利を大幅に動かす材料にはなりづらいだろう。

そしておそらくは先物ショートは一度価格が下がったところで仕込んでおり、YCCが修正されないと利益が出ない状態のポジションだと思われる。

【日本国債10年先物のチャート】
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円安の状況を見てYCC修正可能性高そうと思ってポジったら、円高に傾いていってしまい、YCC修正確率はがくんと下がってきてしまい、内心はかなり焦っていると考えられる。
なので、今週YCC修正をたきつけるためにこうしてブルームバーグインタビューに答えることでなんとか少しでも煽ろうとしているのである。(すいません、ぼやっとしていて決定会合来週でした)
YCCが修正されなければ、彼らは腐ったポジションを抱えたまま身動きできなくなり、再び日本人にむしられる展開になる。

しかし、このような外国人が煽っている記事を見て、日銀がYCCを修正しようという気持ちは減少していると思われる。
外国人のいいなりになる形での金融政策をしてしまった場合は、その後に調子づかせる原因になり、金融政策コントロールが難しくなることを考えれば、こういう記事が出てしまった時点で、YCC修正確率は相当程度減少したと認識すべきだろうと思う。

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自作ブルベア指数から見る相場の冬の時代の終焉



いやー、よくここまで戻したよねと思う。

米国株市場が始まる前の毎営業日に上記の通り、独自作成のブルベア指数というのを配信している。

よくブルベア指数ではCNNのFear&Greed Indexを見ている人が多いと思う。

【Fear & Greed Index】
https://edition.cnn.com/markets/fear-and-greed

しかし、この指数は過去データをあまり長い期間振り返ることができないし、さらに言えば指標構成要素が意外と短期間でのデータに重みを置いているため、長い目線のブルベアの偏り具合を判断しづらいという欠陥を抱えている。
個人的には、もう少し長い目線での実際の相場の寒暖差を感じられないと正確に相場を捉えられないなということで、独自ブルベア指数を作成して、配信している。

【自作ブルベア指数 ヒストリカルデータ】
https://muragoeinvest.com/bullbearindex

2018年9月からデータを作成して、ずっとこれを追っているわけだが、今回の下げ相場期間の動きと、冬の時代が終わったことを示していきたい。

作成しているブルベア指数については、実は長い期間取った時の中央値というのは65程度となる。

しかし、相場において深刻な景気後退を招くような事態になると、この数値は一気に50を割れて推移することが見えると思う。
そのため、作成したブルベア指数の利用の仕方は以下の3つである。

1、上昇相場の時は60を割れたタイミングでポジションを継ぎ足していくような押し目。
2、上昇相場から下げ相場に変化する時は一気に40割れを試しに行く。
3、下げ相場の時は50以下での推移が続く一方、50以上での推移が継続していけば下げ相場から上昇相場へ脱却したことを意味する。
4、30割れるようなところは目を瞑って買い向かうのが吉なように思える。

まさに2と3が観察されたのが2022年1月から始まった下げ相場であった。
まず一気に40割れをしていき、その後50より上に戻ろうとしても維持できずに短期間で下押し圧力を受けていった。
そして度々30という低レベルな水準を割れるような展開をド底で見せることになった。
しかし、ここで注目したいのが底の微妙な浅さである。
コロナウィルス暴落の時を見ていただければ、4というありえないような数値を叩き出していた。
これはコロナウィルス暴落の時、どれほど流動性の枯渇が深刻化したのかがよくわかる。
それと比べると今回は流動性の枯渇という事象が起きず、かなり緩やかなプレッシャーであったと言える。
特に3/17のSVB破綻とクレディスイスショックの時でさえ、30を割れることはなかった。
そのため、この一番危ない時期は適切な当局対応によって、金融システムリスク爆発みたいな極端なリスクシナリオは示現しなかったと評価できるだろう。

そして米国のインフレピークとともにFRBの金融引き締めピークがもうほぼ確定したことから、
まだ先行き不安だとか多くの人が言っている中で、ファーストペンギン的に資金を投入する人が続々と現れ始め、遅れてたまるかという形でこれまで投資を待っていたリスク選好度が極めて高いプレイヤーが次々と投資を再開した。
これによって、流動性の不安が消え、相場は押し上げられていった。
この結果が足下の独自ブルベア指数の70という数値で、完全に相場の冬は終わったと評価できるだろう。

これが意味することは最も相場としておいしい時期は終わったということである。
もう市場は総悲観ではなく通常に戻ってしまったわけであり、足下で怖がってリスク資産に資金投下できていないのは、常に弱気な人達であることは確実だろう。
相場としておいしいというのは、S&P500で年率20%を超えるような上昇率を叩き出す相場のことを示しており、さらに言えば押し目が浅い形で続々と反発する、ブル姿勢で臨んでいる投資家にとって理想的な相場動向のことを指す。
このおいしい相場の時は、相当雑にポジションを取っても、含み損は一時的ですぐに含み益になるような相場である。
しかし、これが終わるということは、今後はきちんとした押し目で買わないと含み損期間が長くなってしまうわけなので、今後のポジション追加はこれまでよりも慎重に行っていかなければいけないと思う。
というわけで、個人的には引き続き相場にはブル姿勢であるが、国別・セクター別・銘柄別選択をより強化していくことが重要だろうと考えている。

ちなみにこのブルベア指数は火~金+日の22時にツイッターおよび自作HPで公開しているので、チェックしたい人は確認してもらいたい。

また計算方法については下記の通りで、興味のある方はこちらもどうぞ。

【ブルベア指数計算方法】
村越誠ブルベア指数計算方法について詳細開示


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外国人投資家のYCC修正期待とミセスワタナベの追証祭りでドル円レンジ入りへ

円高加速140円台、日銀の金利操作修正を警戒

一定レンジ内相場へ移行しそうだ。

上記ニュースは少し前になってしまうが、ドル円が145円をつけたところで前回介入を決定しひろゆきを靴磨き少年として晒上げることに成功した神田暴威率いる財務省が口先介入っぽいのをアナウンスして動きが止まっていった。
さらにそこから日銀の高官が匂わせYCC修正をぶつけたことによって、一気に円高方向に相場は傾いた。
ここ1年ぐらいは外国人投資家はドル円は為替介入でどちゃくそにやられ、日本国債ショートでも日銀に締め上げられて、日銀の保有国債の利益確定にも使われて大損して撤退したために、変に当局に逆らうととんでもなく痛い目をみることを学習したことによって、こうした口先だけでポジションをアンワインドさせる方向に動かすインセンティブが大きくなっており、こうしたことを反映したドル円の動きとなった。

【6/30~7/13のドル円の動き】
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これに対して個人投資家はどうしていたかというと、ドル円ドピークで買い越しに転じていたことが下記の通り観測されている。



145円からまったく押し目なしで5連続陰線をかましてしまったため、値幅はおそらく多くのプレイヤーの想定外の範囲だったように思う。
値幅も145円→138円と7円におよび、率にしておよそ5%である。
国内FXの最大レバレッジが25倍であるので、20倍ぐらいまでかけてロスカットライン決めていないプレイヤーは普通に破産である。
5~10倍でもかなり痛い目を見たプレーヤーは多いのではないだろうか?
(実際岐阜暴威氏は相当これでダメージを受けたようだが)

そして今回外国人勢からのドル円ロングポジションの解消は、為替でイニシアチブを持つロンドン勢から動き始めており、6/30のロンドン時間から発生したことがうかがえる。
それ以降の日ではロンドン時間になると必ず売られる展開となっていき、匂わせYCC修正で7/7より一気にドル円ショートが優勢となっていった。
そして耐えきれなくなった日本の個人投資家勢が強制決済に追い込まれるようになったのが7/10からであり、7/12の米国CPIで強制決済3日目みたいな感じになったように思われる。

こうした追証祭りが3日もたち、しかも外国人投資家は国内勢から見た時にマジでYCC修正があると思ってるのかよという動きであったために、為替のポジションは7/13時点でかなり軽くなったのではないかと思われる。
実際に7/13はロンドン時間でもまだ多少揺れたが、比較的ドル円の値持ちはよかった。

さらに後ろからは日本において貿易収支の改善が期待されてきているということもあり、段々とドル高円安で攻める要因がフェードアウトしつつある。
以上を考慮すると当面ドル円は135~145円のレンジで、その中でもやや円高レンジで推移する可能性が高いかなと考えている。

【ドル円のチャート】
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