村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年04月

名実ともに終焉したレバナス投資ブームを振り返る

後から見れば異常だったとわかるが、渦中にいるとやはりそう思うのは難しいね。

久しぶりに大和レバレッジナスダック(2倍)の資金流入金額を見てみると、資金流入がもう純資産金額におよぼす影響力がないレベルで落ちていて、ここもとまともな資金流入も入らなくなりつつあるということで名実ともにブームは終焉したなというのがわかる。

【大和レバナスのデータ元ページ】
https://www.daiwa-am.co.jp/funds/detail/3377/detail_top.html

【大和レバナスの設定来累計資金流出入金額】
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実際に自分でグラフを見ると、レバナスが暴落してから


実際に日次流入金額を見ていきたい。

【大和レバナス日次資金流出入金額】
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まあこれだけ見てもブーム終焉は明らかであるが、単なる日次データだとどうもデータとしては見ずらいので、複数日による平均データを見ていきたい。
10営業日(実質2週間)の平均日次流出入金額を見ていきたい。


【10営業日平均】
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こう見るとレバナスブームについては4回程の波があったと思われる。
これを振り返っていきたい。

①コロナバブルの反落時(2020年10月~2020年3月)
コロナウィルスワクチンが開発されるのか・きちんと効果があるのかという疑問が浮かんでくるたびに相場が反落するのを繰り返したが、その度にコロナバブルで恩恵を受けてきた米国IT銘柄に金を突っ込めとばかりにレバナスに資金は流入していった。
この段階では、まだきちんと相場が反落したところの押し目買い中心だったということもあり、まだ投資家勢は理性的な人が多かった。

②金融引き締め前夜(2021年9月~2021年12月)の異常熱狂
コロナウィルスワクチンが効果が出てきたということもあり、先行き景気環境は楽観的な方向に傾いてきた。
しかしレバナスでは、それまでの理性的な押し目買いから、明らかに上値を追う形で相場が上がれば上がるほど資金を入れるという、まさに熱狂・狂乱と言える流れであった。
そして、現在レバナス!レバナス!と煽ったり、現在暴落煽りしているインフルエンサーはほとんどこの期間に誕生していると言える。
(つまり相場に関してほとんど大した知見を持っていない)

③押し目買い意欲は以前より格段に低くなる冷却期(2022年1月~2022年9月)
この時期はツイッター上ではレバナスどんどん買っていきますとイキる人は多かったが、その実情は上値追いで多くの素人が一括で大半の投資資金を使ってしまっていたこともあり、流入金額はピークを常に下回る流れとなった。
金融引き締めによってレバナスでは10%にもおよぶ金利負担コストが発生することも露呈し、その人気は徐々に冷めていき、押し目がきてもその買い意欲は時間が経つにつれ逓減していっている。

④ラストのスマート底値狙い買い(2022年10月)
米国のインフレはより加速化するといった妄言が市場を席巻するとともに、相場は底割れ一歩手前となった。
しかし、さすがにそれは悲観的過ぎやしないかという、本当の底値買い狙いのプレイヤーが出現して久しぶりに大きめの金額を投資していった。
しかし、実質的にはここが最後のブームだったと言える。

⑤少額のマニアとやれやれ売り期(2022年11月~)
それ以降は確かにデータ上では少し積み立て投資をしている人はいるが、その金額は大きなトレンドを作るものではない。
相場が下落すると確かに押し目買いは入るが、少しでも上昇すると怖くて利益確定に走る形で解約がとぶという、注目度としてはもうほとんどないといった終焉となった。

概ね②の熱狂ポイントでエントリーしてしまった人は未だ40%超程度の含み損を抱えており、②と③で同時に資金を入れている人も大体は30%程度ぐらいの含み損を抱えている状態が続いているように思われる。
そうした中で多額のお金を投じるわけでもなく、底値で買った人も長く持つわけではなく、上昇すればすぐに売却といった、総じてみれば無関心状況がレバナス界隈に漂っていると言える。

そういった意味では注目度が正常化したということもあり、ナスダック自体の熱狂は正常化したと言えるわけで、相場にお金を入れるのはさほど怖くなさそうといった感触を個人的には持っている。

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金利低下を見込んで米国住宅不動産デベロッパー株が好調推移

DRホートンが決算受け上昇 受注が前四半期比で73%増加=米国株個別

どうせ借り換えるから、絶対価格が低いうちに買っとけという動きがもう出ている。

ここもとは米国の金利上昇を理由に米国景気崩壊を唱えている人が多いし、特に不動産周りでもう破滅・リーマンショックみたいなことが起こると断言する人もいる。

しかし、本当にそうなら米国住宅不動産デベロッパーの株価なんて崩壊してしかるべきであろう。
現に中国では住宅不動産市場の崩壊とともに、不動産デベロッパーの株価は次々と暴落していき、大半の民営不動産デベロッパーの株が取引停止に追い込まれたわけで、本当に危機的であれば米国住宅不動産デベロッパーもそうなるべきだろう。

【中国不動産デベロッパー株価指数のチャート】
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そこで、米国住宅不動産デベロッパー株を見ていきたい。
最大手はDRホートンであるが、株価も見てみると下記の通り。

【DRホートンの株価チャート】
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また、大手で有名なToll Brothersの株価も見ていると下記の通りである。

【Toll Brothersの株価チャート】
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暴落どころか上昇基調推移を見せているし、DRホートンに至っては最高値更新も見えている状態にある。

実際にDRホートンの直近決算を聞いてみると、なんと足下の住宅ローン金利の高さにもかかわらず、受注は好調推移していると説明しているのである。
この受注というのは一体いつ建設着手するのかよくわからないが、それでもこの好調さが株価ドライバーになっていることは確かである。
これは一体何が起きているのか?

普通に考えれば金を持っている人が発注しているということである。
これは住宅価格がトップから10%近く下落したことに加えて、住宅ローン金利は既にFRBの金融引き締めピークが見えていることから、今から住宅発注しても払う住宅ローン金利の目途は立っているということが大きいと思われる。
そういった不確実性が落ちれば、もう住宅建設発注しちゃえという米国人らしいリスク選好的な態度を示しているものだと思われる。
これは米国ではモーゲージを気軽に借り換えるという習慣があることも一つの要因になっていると思われる。
具体的に言うと、金利が下がってきたら、その時点で借り換えればいいだけで、別に今時点で多少の高金利は許容するといった姿勢だろう。

現在の米国経済環境を見ると、雇用の勢いは落ちているが、別に大量の失職者がわんさか出るような状況でもない。
住宅購入者はリーマンショック以降は過去の反省から属性の高い人に限定されてきたことから、この状況においても大量差し押さえられるようなことも生じていない。
住宅供給側もリーマンショックの反省から供給をずっと絞ってきたことから、誰も過剰に在庫を保有しておらず、少し我慢すれば十分在庫が掃ける状態にある。

そして既にインフレ率は7月以降になれば3%前半にまで落ちることが見えている中で、今年2回近くの利下げが見えているわけで、ここから住宅デベロッパーはまだまだ儲かるでしょという発想で最高値をうかがっていると見ることができるだろう。
こういうのを見た時に本当に米国景気は高金利でオーバーキルされて米国株は暴落すると考えるのは少し悲観的すぎないかと思う次第である。
結局ハードランディングは起こらないよねという前提で考えるので問題ないと思っているが、そこらへんは下記過去参考記事を見てもらいたいと思う。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

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住宅ローン破綻の真実は単なるマネーリテラシーの低さ

【参考動画】
【しらべてみたら】夢だったマイホームが・・・”住宅ローン破綻”の現実
(動画なのでPCでの視聴お薦め)

あまりにも特殊事例や、該当者が信じられないレベルでお金にルーズとしか言いようがない。

ここもと報道や一部Youtuber動画でも住宅ローン破綻について論じることが増えてきているように思う。
住宅不動産価格が高い中で、日銀の金融緩和修正観測や欧米での景気不安などもあり、報道すれば注目が集まりやすいという話はあるだろう。

そうした中で上記リンクのような「住宅ローン破綻の真実」と題するテレビ番組特集があったので見てみると、「住宅ローン破綻の真実」とは「異様なまでに低いマネーリテラシー」にあるのではないかと疑ってしまう内容であった。

報道を見るとどうもこれは普通の相談者ではないだろとしか思えないケースというのが率直な感想だ。
まず一人目の人は5年前に東京スカイツリーが見えるところで、3LDK築20年の中古マンションを1800万円で購入しているというわけだが、5年前でこの価格で買えたなら地域にもよるもののかなりお買い得と言えるはずであり、月々の返済も6万円程度という程度なのに、寿司職人だったのがコロナ禍でクビになり再就職できず払えずとなっているとのこと。
しかし、コロナ禍の就職難はご存じの通り比較的短く、既に人手不足であちこちがひーひー言っているわけで、時給1100円でも夫婦でフルで働けば月に30万ぐらいは稼げるので、普通に払える金額のはずであるのに、それができていない。
さらに言えば53歳時点で貯蓄が200万円しかないというのもどうなってんだという話になる。
また、コロナ禍理由であれば、きちんと銀行に相談していればかなり温情が受けられるはずで、銀行が一括返済を要求するということはまれで、おそらくこれまでダマテンだったのだろうと思う。
要は、就職という面であれこれ選り好みをしてし、さらに宵越しの銭は残さないという形でいざという時の備えを全くしておらず、最終的に銀行との相談もしていないという、そりゃどん詰まりますわという内容であった。

二人目のケースはもっと意味が分からない。
国保や固定資産税を大幅に滞納していて、不動産売却のネックになっているということだが、その滞納額はコロナ禍以降ではなく、コロナ禍以前からもう大分長い間滞納されている。
経営者という話だが、十分な金勘定ができておらず、こんなのだったら普通にどこかに就職して働いていた方が良かったのではないかとさえ思える。
加えて、購入当初は稼げたと言っているが、これもこうした国保や税金を払う前の単なるグロス収入で、ネット収入ではないかとさえ思える。

こうしてみると、住宅ローン破綻というのは異常なまでのマネーリテラシーの低さというのが根本的な原因であることがわかると思う。
住宅ローン破綻をしないようにするには、個人的には以下のような備えや心構えがあれば、少なくとも無茶な住宅ローンの組み方さえしていなければ、十分に対応可能なものと思っている。

・少なくとも3年生活できるぐらいの貯蓄を持っておく
・職を失った時は、何が何でも生き残るためにどんな仕事でもやるという気概を持つ
・銀行に早めに相談して、場合によっては返済スケジュールを変更する

こうした当たり前のことを徹底するという、そこそこきちんとした金融リテラシーがある人であればここまで追い詰められるケースはまずないだろうと思う。

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米国会社四季報を読んで厳しさを感じる米国高配当投資

とにかく高い。

当ブログでは日本株については高配当・株主還元を増加させる予定が高いといった高配当株・バリュー株戦略が非常にワークしそうというのは書いてきたが、米国株だとどうなんかなあと思いながら、米国会社四季報をばーっと全部見ていって雰囲気を確かめていた。

【参考書籍】

米国会社四季報2023年版春夏号

【過去参考記事】

グロース株が冴えず、日本高配当利回り株に資金が集中


見ていくと気づいたことは、よさげだなと思える銘柄のPERがバキバキに高いことにある。
そりゃ地政学リスクが絶対的にゼロに近い・最も株主フレンドリーな企業がたくさん集まっている米国企業がPERが高いのはわかるが、どう考えてもPERが業績が伸びることを前提とした数値であるものが多い。
その中でも日本株と同様に高配当株というものを探すと日本株と比べると取れる選択肢があまりにも少ない。

ここで米国高配当銘柄というと、ETFではSPYDが有名だが、そこの構成銘柄を確認すると不動産・エネルギー・金融・通信・公益とその他微妙な銘柄で構成されている。
これのうち、不動産が高金利政策でてんで駄目な動きをしている上に、そもそも米国の不動産企業のバリュエーションが日本と比べるといくらなんでも高すぎる評価だったりする。
金融も高金利政策で業績はともかくとして先行きについて不安感が強い。
金融・公益なんて、よくよく見ると日本企業と大して増益率変わらなくない?みたいな微妙さだったりする。
なのに、バリュエーションはPERで12倍でPBR1.8倍である。
こう見ると、さすがに舐めんなと思わざるを得ない。

じゃあキャッシュフローが安定的な企業を見ていくと、とにかくバリュエーションが高い上に、この会社なら大丈夫だろうと思えるような会社は既に自己資本が債務超過になるレベルで自己株買いをしてしまっていることから、これ以上の株主還元余地が乏しい。
マクドナルドとかはまさにその典型例で、それでPER30倍以上だとちょっとこれはと思わざるを得ない。

こういったこともあり、米国会社四季報をざっと見てみた形では、米国株のけん引役はやはりきちんと決算で結果を見せることができるグロース株だろうと思う。
なお、2020~2021年のような広告宣伝をド派手にやったり、単にコロナバブルに乗っかっただけで売上高だけ上昇してて全然利益出てないやんみたいな投資回収確度が低いものではなく、きちんと参入障壁の高さなどを考慮して業績が伸ばせますよねという銘柄がやはりいいという評価は変わらない。

逆にバリュー株は業績の微妙さと株主還元増加余地の乏しさを考慮すると、バリューゾーンは日本株に大きく軍配が上がるように思う。
(だからこそバフェット氏がここにきて日本株で銘柄探しをしているように思われる)

となると今年の投資戦略はグロースでは米国株、バリューでは日本株という高バリュエーション銘柄と低バリュエーション銘柄で全く別の戦略を取る必要性があるだろうと感じた。

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BTFPの残高量増加から見る一筋縄では解決しない米国金融不安


一筋縄ではいかない分、FRBは金融引き締めを手打ちにせざるを得ない。

一週間ごとに発表されているFRBのバランスシートを確認すると、先週分まではFedのDiscount WindowとBTFPについてSVB・シグネチャー銀行破綻からの預金流出に対応するために一度は増加していた分が落ち着いたことで米国金融不安は遠のいたとなっていた。
しかし、上記ツイート記事の通り今週確認できた分では再度Discount WindowとBTFPの残高が増えており、預金流出に対して借入せざるを得なかったということが示唆された。
端的に言えば、地銀問題は解決方法に進んでいると見られていたものについては、やはり一筋縄ではいかんよねという話であることは確かだ。
過去のMMF推移を見ても、利上げによって金利水準が普通預金口座の利率からかなり乖離してくるとMMFに資金が流出するのは過去にも見られていた話であり、かつ昨今のMMFは市場には戻ってこず、Fedのリバースレポに入ってしまっていることから、Fedが市場から資金を吸収してしまって想定している以上のQTをしてしまっているという事情が発生している。

素直に受け止めれば、米国地銀株はそうそう簡単に回復しないし、引き続き米国金融機関はMMFへの預金流出に対応するために、これまで低金利のまま利益を享受してきた顧客の預金口座の金利水準を引き上げて対応せざるを得ないこと・預貸比率を守るために融資を絞らざるを得ない状態は続きそうだ。
あとは銀行融資が得られることを前提としている米国不動産はここまでやや復調基調で推移していたものの、やはりここも一筋縄ではいかんだろうねということで、実際の利下げが見えてくるまでは高い緊張感が続かざるを得ないように思われる。

【米国地銀株ETFのチャート】
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一方で、これは前回FOMCでパウエル議長が示唆していた通り、実質的な複数回の利上げ効果が確実に出ていることからFRBは金融引き締めの手を緩めざるを得ないことは確実であり、木曜日の相場は素直にこれに反応する形で米国債金利は低下となった。
またCMEで確認できる政策金利予想も5月利上げ打ち止め・9月頃から利下げの可能性と年末までに1~2回の利下げという期待が固まりつつあるように思う。
よってキャッシュリッチで新しい融資を受けなくても十分回る業態や、足下の金融引き締めで手持ち資産の投げ売りを強制されないような企業は、逆に金利低下の好影響を受けやすくて有利と見ることができるだろう。

つまり経済的には微妙な推移が続くとともに銘柄選別色がより強まる相場になるだろうと個人的には考えている。

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